ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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遺伝子のゆめ のようです

2:◆ITqALJqy5Y
12/25(火) 03:17 uT/dXGZ20

動く。
私は無意識に右手を腹部にあてた。
妊娠して五ヶ月。まだ名も無いこの小さな命に、いとおしさを感じる。

( ^ω^)「どうしたお?」

ブーンが体を起こした。

ξ゚ー゚)ξ「今動いたのよ」

自然と口元が緩む。
ブーンもまた笑いながら手をあてた。
私はそのまままどろみはじめる。夢へと落ちて行く。


・・・

私は隠れている。
隠れなければならない。
汗が顎を伝い落ちて行く。拭う手は、小さい。
私は小学生の男の子になっている。
真夏らしい。
気が触れたようなセミの声と心音がひどい不協和音となって眩暈を覚える。
物置のようなところに身を潜めて居るようだ。
息遣いを堪える。
埃の臭いでむせ返りそうになる。

扉が開く。私は絶望と恐怖に両手を掲げる。
風を切る音がして、頭部に鋭い痛みが走った。

3:◆ITqALJqy5Y
12/25(火) 03:17 uT/dXGZ20

ξ ⊿)ξ「・・・・・・」

ぼんやりとコップを蛇口にあてがう。
出しっぱなしの水は次から次へと溢れ出してシンクを水浸しにしていく。
ひどい気分だ。
のろのろと蛇口を締め、水を飲む。
ため息が漏れた。

夢。また夢だ。
何てひどい夢なのだろう。

産前産後は睡眠不足になりやすいと聴いた事がある。
ホルモンの乱れなのか何なのか、理由は知らない。

ξ゚⊿゚)ξ「・・・・・・」

鏡を見る。うっすらと灰色に曇った頬。
丁度胎動が始まったあたりだろうか。
夢の中、私はいつも同じ少年として行動している。
おかしな事に、まるで何かの映画の一場面を切る取るように物語は連続しているのだ。
最初は就学前だったのが、先ほどの夢では高学年に成長していた。
神経が高ぶっているのだろうか。
いずれにしろ胎教には良く無い気がする。
私はコップを置き、再び寝室へと歩き出した。
眠るのが怖い、と少しだけ思った。

4:◆ITqALJqy5Y
12/25(火) 03:18 uT/dXGZ20

ブーンが名づけの本を買ってきた。

( ^ω^)「とびっきり可愛い名前を考えるお」

2人でそれを眺めながら、私は小さくため息をつく。

眠れない。

つわりもとっくに治まった時期だと言うのに、食欲も失せてきた。
マタニティー・ブルーとでも言うのか。
はじめての経験だ。体の変化に異常に過敏になってしまう。

明るく笑うブーンに、私は引きつった笑みを返している。



・・・

私は知らない女の子を抱いていた。

川 ゚ -゚)

高校生くらいだろうか。
何とも言え無い、鉛を飲み込んだような感覚。
他人の情事を覗いているような、下世話な気分になった。
いつまで続くのだろう。
女の子は何か小さく名前を呼んでいる。
私・・・もとい、この少年の名前らしい。
吐息混じりで聞き取れなかった。


ξ゚⊿゚)ξ「・・・疲れるわ。」

まんじりともしない夜が明ける。
胎児は活発に動き、夢が途切れた合間の睡眠中に私を起こす。
それは心地よい目覚めだった。

5:◆ITqALJqy5Y
12/25(火) 03:19 uT/dXGZ20

夢は間隔を置いて、しかし確実に進行していた。

卒業。
就職。
退職。
恋愛。
別れ。

男として生活している夢だ。見たくも無い場面に出くわす事もある。

自慰行為などの最中には、目が覚めた瞬間嘔吐してしまった。

そうして、やっと胎児は七ヶ月目に入った。

ブーンとの会話が減った。

私自身が疲れていたせいもあるだろう。
しかし、それとはまた別に理由を含んだ空気だった。
何かを隠しているような、・・・そんな。

思えば昔からこういうところがあった。
1人で何かを抱え込んだような、よくわからない時が。

何を考えているのだ、と頭を振る。
本当にマタニティー・ブルーになっているのか、ストレスで被害妄想が入っているのだろうか。
もう腹部は迫り出すほどの大きさになり、歩くのでさえひと苦労だ。
今更結婚に不安を感じてどうなると言うのだ。

夢が全てを狂わせた気がする。
妊娠した事が原因?
いや。私はこの生き物に殺意や怒りなど抱け無い。
私の中でしか生きる事の出来ない者に、どうしてそのような感情など持てようか。

6:◆ITqALJqy5Y
12/25(火) 03:20 uT/dXGZ20

・・・

夢は再び訪れた。

私は冷めた目で事態を見守る。
眠りたい。心から思う。

泣いている。

少女が泣いている。

(*;ー;)

幼い。中学生くらいだろうか。
ここは何処だ。

・・・車。車の中に私たちはいる。

私はその子の鼻に拳を放った。嫌な感触がして、血が吹き出す。

下着に手をかける。少女の足が私を蹴る。
とても苛立ち、再び手をあげた。
抵抗が止む。

私はひどく興奮している。

いや。
彼は。

私は嫌悪感を抱いている。
耳鳴りが近づき、脳を突く。
痛い。
苦しい。胸が・・・


目覚めた後はひどい頭痛で、私は一日中ベッドから出る事が出来なくなった。

7:◆ITqALJqy5Y
12/25(火) 03:21 uT/dXGZ20

何かが引っかかっている。
ソファーに寄りかかりながら、吐き気を抑えながら、私は夢を反芻する。

何かが。
確かに何かが。

カレンダーを見る。
八ヶ月目。



ξ-⊿-)ξ「・・・・・・」

私はまどろんでいく。
抵抗して、無理矢理瞼をこじ開けようとした。
景色がブレて、次第に夢の中の景色へと摩り替わる。


私は再び女を抱いていた。
何かしら囁きかけながら。
恋人同士の房事らしい。
衣擦れと息遣い。
女が不意に顔をあげ、私と目を合わせた。
私は叫び出しそうになった。いや、叫んだ筈だった。

ξ ⊿)ξ

抱いていた女の顔は私だった。


誰かが肩を揺すっている。
私はかすれた金切り声をまだあげ続けていた。
手を振り回した。何か硬い感触がして、私は再び息を飲みひぃと情け無い声をあげた。

( ^ω^)「ツン。どうしたお?」

ブーン。
ブーンが覗きこんでいた。

ξ;゚⊿゚)ξ「いやぁあああああああ!!!!」

叫んで、ソファーから転倒する。

夢の中の私は私にこう囁いていた。
「ブーン、愛している」・・・と。

8:◆ITqALJqy5Y
12/25(火) 03:22 uT/dXGZ20

私の絶望は続いている。






結婚。






妊娠。







そして・・・ブーンが今現在強姦している少女の顔。

転倒した私は、病室のベッドにいた。
腹部を打ち、切迫早産の危険性があると言われてそのまま入院になった。

ああ
これが妄想ならどんなにいいか。
夢はとうとう現在に追いついた。
私はブーンになり、私の知らない夫の過去も時間も全て盗み見る事が出来る。
体の傷も前日の接待で食べたものも鞄に入っている私物も全てが・・・夢と一致しているのだ。

私の中で胎児が蠢く。
この世に生れ落ちるその日を待ちきれ無いように、活発に。

この生き物が私に見せているのだ。
自分の父親の事を。
遺伝子を継いだその夢を。

ξ ⊿)ξ

私は点滴を引き抜き、素足のままベッドを降りた。
深夜の廊下は静まり返って、人の気配はなかった。

足の付け根に痛みが走って、再び出血がはじまった事を伝える。
けれど私の母なる殺意はそれを止める手立てを知らない。

明日も何食わぬ顔で病室に現れるのであろう、
夫という最悪の肩書きを持った悪魔の子を孕んだ私はフラフラと闇の中へと歩き出した。

END

[ 2008/04/07 21:07 ] 短編まとめ | TB(0) | CM(0)

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