ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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从 ゚∀从ハインがメンヘラになるようです  まとめ読み

2:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:21 RmRjHMs70

学校に行くのを辞めようと思った。

この先の事を考えれば不安が残るけど、とりあえず現状のくだらない悩みから少しだけ
解放される事が出来る。

从 ゚∀从「・・・そうだ。そうしよう。」

言い聞かせるように、口に出してしまった。

从 ゚∀从「とりあえず深夜番組でも見るかな」

リモコン片手に、チャンネルを適当に回す。
が、次の瞬間耳障りな音が響いた。

从 ゚∀从「・・・チッ」

舌打ちして、無視する事に決めた。
画面の向こうでは、水着姿の女どもが甲高い声をあげて逃げ回っている。
くだらねぇ。
段々イライラしてきて、またテレビを消した。

真っ暗な画面の向こうに、変な女が映っている。

赤髪。ピアス。眉毛は何処に置いてきた?

从 ゚∀从「・・・あ。オレだった!」

会話しようとしたところで気づく。危ねえか、自分?いや、セーフだろ。
独りだけの部屋は嫌いだ。このまま闇ん中に喰われちまうんじゃないかって、変な妄想が沸きやがる。
オレは筆記用具と、真っ白なノートを取り出した。

从 ゚∀从「結局これなんだよな」

呟いて、シャープをノックする。
自分で勝手に作った線から食み出せないオレは、この薄っぺらい世界で暴れるしかない。

また携帯が鳴り出した。
電源を切って、そのままベッドへと放り投げる。
静寂の中に、ペンを走らせる音だけが響いた。

3:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:22 RmRjHMs70

从;゚∀从「・・・うぇっ・・・」

新ジャンル、『朝っぱらからゲロ吐いてる女子中学生』。

从 ゚∀从「間違っても流行んねぇな」

歯磨きを済ませて、外を見る。オレと同じ学校の生徒が登校していく姿が見えた。
鼻で笑ってやろうとしたけど、虚しくてやめた。

从 ゚∀从「飯どうすっかな・・・食欲無いし、いらね」

というのも、見た夢が最悪だったからだ。

某アジアにオレは潜伏している。亡命して来たらしい。
言葉も通じないもんだから、身振り手ぶりで懸命に交流を計っている。

すると、安ホテルを経営しているという夫婦の家に世話になる事が決まった。
オレより年上の息子が2人居て、雑用をしているが人手が足りなかったのだという。
夢の中のオレはとにかく自分の家に戻りたく無いらしく、仕事をするから置いてくれと
土下座までして頼み込む。
そこからは、まぁまぁいい夢だった。
良くしてもらえたし、休みにはその家族と湖に泳ぎに行った。
なのに・・・

从;゚∀从「う゛っ・・・」

アジアン母ちゃんがある日作ってくれた料理は、カレーだった。
喜んで蓋を開けて、瞬間。オレはフリーズ。

胎児の頭が丸々煮込んであったからだ。
闇医者で堕胎されただかなんだか知らんが、とにかくその国か村では栄養たっぷりという事で
ごく一般的な食材らしい。
ジャパニーズなオレは必死に抵抗したが、この味を受け入れられないなら国に帰るしか無いと
冷たく突き放される。

その瞬間、犬のようにカレーをかっ込んでいた。
臭いはスパイスで消えていたが、食感は残っている。ぐにゃりと柔らかい骨が印象的だった。

从 ゚∀从「・・・やっぱ、サバの水煮みてぇな感触だったな・・・」

完全に食欲が無くなった。

オレは毎日必ず夢を見るタイプで、しかも無駄な記憶力を発揮して、
起きた後も完全に内容を覚えていた。
ああバカ。何も詳しく思い出す事なんか無かったのに。
三日ぶりに寝たと思ったらこれだよ。全く、不眠になるのも当たり前だ。

4:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:23 RmRjHMs70

从 ゚∀从「・・・ヒマだなぁ」

学校に行くのを辞めたはいいけど、する事が無い。
出かけるか、携帯いじってるか。
と、その時メールが届いた。

从 ゚∀从「あん」

『やぁ。(´・ω・`) 起きてるかい。今日は休むの?』

从 ゚∀从「・・・・・・」

『ハムスターを買いに行くので行きません。』

携帯のフリッパを閉じる。
ショボンの野郎もヒッキーになりゃいいのに。
そうすりゃアイツん家でパソコンやり放題だ。

从 ゚∀从「・・・よし」

立ち上がり、髪を整えて財布を片手に立ち上がる。
本気でハムスターを飼いたくなったのだ。
行き当たりばったりの思考だけど、ハムスターは昔も飼った事があるから大丈夫だろう。

从 ゚∀从「あの真っ白でふわふわなヤツがいいなぁ」

煙草を咥えて、鍵を閉める。

( ФωФ)「おっ、ハインちゃん。お出かけかい?」

从 ゚∀从「あ、こんちはっす」

階段を降りたところで、大家のロマネスクさんに会った。

( ФωФ)「父さんの具合はどうなの?」

从 ゚∀从「あー・・・まだ、悪いみたいっすね」

( ФωФ)「そうかい。早く良くなるといいねぇ」

ロマネスクさんは、そう言いながら自分の家へと入っていった。

从;゚∀从「あれ?そういや今月家賃まだ払ってねえ・・・」

気づいたけど遅い。つうか、ロマネスクさんはいくら滞納しようが、
こっちから言わない限り一切請求して来ない。
すんごく穏やかに喋ってるけど、実はバリバリの現役ヤクザだって知ってる。
この前ニュースでどっかの組が抗争して1人死んじまったらしいが、ロマネスクさんの
知り合いだったらしく数日落ち込んでいた。

从 ゚∀从「・・・あ、ハムスターハムスター」

家賃は後で置いてこよう。
オレはそのまま近所のペットショップへと走り出した。

5:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:23 RmRjHMs70

从*゚∀从「へへっ、どうだ?うまいか?」

ハムスターに話しかけるのも、セーフだよな。
一目ぼれだった。大福のように丸々としているところがポイントだ。

近くにいた店員を捕まえて、「あの白くてふわふわしたヤツを一匹」と言ったら

( ><)「はい、わかったんです!」

と威勢のいい返事をした後


  _,,..,,,,_
/ ,' 3  `ヽーっ
l   ⊃ ⌒_つ
`'ー---‐'''''"


こんなのを持ってきやがった。


从 ゚∀从「確かに白くてふわふわだけどよ・・・20万だぞ?買えねっつの」

その後もビロードとかいうその店員にゲージやら餌やら持ってこさせて、お会計。

(*><)「ありがとうなんです!」

いや、すまんね20万のじゃなくて。


その後ダッシュで家賃を払いに行き、紙箱からそっとヤツを出してやって、今に至る。

从 ゚∀从「・・・名前は・・・」

ああ、ほっぺた膨らんでる。可愛いなぁ畜生。

从 ゚∀从「・・・アニジャ。お前の名前は、アニジャだ。」

本当はモチ、とかそういう安直なヤツにしようとしていたけど、反射的に出したのは・・・
アイツの名前だった。

从*゚∀从「よっしゃ、今日から寂しく無いぞ!オレにも家族がいるんだー!」


ごめん、誰かオレに温もりを下さい。

6:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:24 RmRjHMs70

ピンポーン

「高岡、いるー?」
「ハイン?」

从;゚∀从「ちょっと待ってろ!!」

アニジャと戯れるのに夢中になってた。

从 ゚∀从「はいはい今開けるぜ」


( ´_ゝ`) 「よう、不良少女」

川 ゚ -゚)「遊びにきたぞ!」

(´・ω・`)「手土産を持ってきたよ」


いつもの三人だった。

从 ゚∀从「おう、入れよ!お前らに紹介したいヤツがいるんだ」

(;´_ゝ`)「はい?」

川 ゚ -゚)「む?誰だ?」

(;´・ω・`)「高岡、まさか本当に・・・」

从 ゚∀从「ご名答!じゃーん!」

茶の間のテーブルにゲージを乗せる。


从*゚∀从「オレの家族でーす」

川*゚ -゚)「か、可愛いじゃないか!!」

(;´_ゝ`)「おお!?」

(;´・ω・`)「まさか本当に買ったとはね」


クーは既に手にのせて愛でている。ショボンが四人分の飲み物を取り出した。

从 ゚∀从「おっ、サンキュー!」

それぞれ好みがハッキリ分かれてるから、選ぶのは簡単だ。

オレがコーラ、兄者がお茶、クーがレモンティー、ショボンがファンタ。

从 ゚∀从「んで、どうしたんだよ?何かオレに用事か?」

( ´_ゝ`)「用事というか、・・・」

兄者が口ごもる。
ピンと来た。伊達に付き合っている訳じゃない。

从 ゚∀从「ははん、オレが学校行かなかった事だろ?」

(´・ω・`)「まさかハムスターの為じゃないよね」

从 ゚∀从「それもあるけど・・・行きたくなくなった。」


沈黙。
こういうの好きじゃねぇけど、でも理由を皆知ってるから仕方無い。


川 ゚ -゚)「ハイン、ハムスターの名前は?」

打ち破ったのはクーだった。コイツの異常に空気読めるところは、見習いたいと思う。

从 ゚∀从「おう!そいつか!アニジャだ!」

川 ゚ -゚)「なんと」

(´・ω・`)「つまり今日からアニジャと同棲生活という訳だね」

(;´_ゝ`)「ややこしいな。というか、何故俺の名を・・・」

从 ゚∀从「いやいや、理由はあるんだぜ?目が垂れてるところとか、眠そうなところとか」

(;´_ゝ`)「む・・・似てる・・・かな?」

川 ゚ -゚)「アニジャ、こっちにおいで」

(;´_ゝ`)「え?何?」

川 ゚ -゚)「ハムスターの方だ」

(;´_ゝ`)「ああ、もう!」

困惑している兄者を見ていると、なんだか楽しかった。

(´・ω・`)「あ。そろそろ帰らないとマズイや」

川 ゚ -゚)「私も。」

2人が同時に立ち上がる。
外はいつの間にか夕闇に覆われ始めていた。

从 ゚∀从「おう、ショボン!クーをちゃんと送ってってやれよ!」

(;´・ω・`)「高岡!」

川 ゚ -゚)「・・・いい。私1人で帰れる。じゃあ、また来るぞ」


バタン。

7:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:25 RmRjHMs70

从 ゚∀从「・・・・・・」

( ´_ゝ`)「・・・・・・」

閉ざされたドアの隔たりと同じような空気を、クーとショボンの間に感じた。

( ´_ゝ`)「・・・なあ、ハイン」

兄者が温くなったお茶を啜る。

从 ゚∀从「なんだ」

( ´_ゝ`)「・・・あいつら、付き合ってるんだよな?」

そんな事オレに訊かれても困る。

从 ゚∀从「たまにショボンからクーとの恋愛相談のメール来るぜ」

( ´_ゝ`)「俺もだ。女心はわからんから、ハインに訊けと言っておいた」

从 ゚∀从「・・・」

この話題は避けたかった。クーがショボンに冷たい理由を、オレは知っていたから。

从 ゚∀从「なぁ、まだ帰らなくていいのか?」

話題を逸らしてみる。・・・いや、不安が先立ったのかも知れない。

( ´_ゝ`)「あと一時間くらいはな。俺が帰ったら寂しいだろう」

いけしゃあしゃあと言ってくれるが、事実だった。

从 ∀从「・・・・・・ああ」

俯いて、声を絞り出す。
怖くてたまらなかった。
また夜が来る。嫌な事ばかりの、夜が。

( ´_ゝ`)「・・・ハイン」

从 ∀从「・・・・・・」

( ´_ゝ`)「・・・ごめん・・・」

その言葉を聴きたくなくて、俺は兄者の唇を塞いだ。







从 ∀从「・・・・・・」

カラカラカラとリズミカルな音が響いた。
アニジャが回し車をしているのだろう。

そっと寝返りを打った。素肌のまま布団の中に潜り込む。
中に残ったアイツの体温を、逃がしたくなかった。

惰性か。誰が嘘つきだ。何が狂っていて、何処が間違っている?

从 ∀从「オレだ」

一番は。原因は。


携帯が鳴り出す。サァッと血の気が引いていくのがわかった。

从 ∀从「・・・・・・もしもし」

『リッちゃん?今日どうかな。』

从 ∀从「・・・」

オレは。

『もしもし?リッちゃん?』

从 ∀从「・・・はい」

『ああ、暗い声だね。今日はとってもいいところを用意したんだよ。お金も弾むし』

ミシッ
力いっぱい握った携帯が軋んだ。

从 ∀从「・・・わかりました。何時に行けばいいですか」

忘れちゃいけない。
オレは最低だって事を。

8:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:25 RmRjHMs70

从 ゚∀从「・・・進路相談とか、どうすりゃいいんだろ」

オヤジの入院先から『短時間の面会は許可されました』と連絡が来て、考えた。

从 ゚∀从「とりあえず、見舞うか・・・」

のろのろと服を着る。気が進まないからだ。


从 ゚∀从「なになに・・・「閉鎖病棟への面会室は二階です」・・・あっちか」

螺旋階段を昇り、上へと向かう。
ついた場所は、病院という感じのホールだったけれど・・・薄いプラスティックの仕切りがあった。

从 ゚∀从「・・・なんか、アレだ。」

そう、ドラマなんかで見た事のある・・・留置所みたいな部屋。
看護士に促されて、椅子に座って待つこと5分。


('A`)「・・・ハイン」

痩せこけたオヤジが現れた。

从 ゚∀从「よぉ」

歩けるようになったんだな、と続けようとして

(;A;)「早くこんなところから出たいよハインハインハインハイン・・・」

オヤジの号泣に掻き消された。


*(‘‘)*「ちょっと興奮してしまったみたいなので、お部屋に戻しますね」

从 ゚∀从「・・・はい」

*(‘‘)*「えーと、入院道具は・・・」

从 ゚∀从「これっす」

ボストンバックを指差す。看護士は中身を取り出して、確認を始めた。
下着、シャツ、コップやらその他雑貨も含めて、全てオヤジの名前が書かれている。
精神病院では盗難が絶えず、それを防止する為なのだと説明を受けた。

*(‘‘)*「はい、大丈夫ですね。すみませんが、もう少し落ち着いたらまたご連絡しますので」

从 ゚∀从「・・・はい」

学校の三者面談の事を、話すつもりだったのに。

再び螺旋階段を降りる時、凄まじい絶叫が響き渡った。
動物園みたいだ。

从 ゚∀从「・・・」

あんなところ、オレだって嫌だろうな。

帰り道はすっかり暗くて、本屋に寄ろうとしていたオレはそのまま突っ切って家へ帰る事にした。

从 ∀从「・・・・・・」

名前が書かれたオヤジの私物の映像が瞼をチラつく。

ぽたり、と何かが爪先だけ見て歩いていたオレの視界に入った。

从 ;∀从「・・・・・・」

小学生の頃、オレは達筆だったオヤジに持ち物の名前を全て書いて貰っていた。
名札、上履き、ランドセル、筆箱・・・
今はどうだ?オヤジのヤツ、手が震えてひらがなすら碌に書けやしない・・・

从 ;∀从「・・・ははは」

これじゃ、オレが母ちゃんみてぇじゃんか。
どうなってんだよ。全く、どうなってるんだ。

9:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:26 RmRjHMs70

( ^ω^)「お。高岡、進路相談の事なんだけど・・・」

从 ゚∀从「ブーン。もちっと伸びそうだわ」

(;^ω^)「先生と呼びなさいお。そうかお、まだお父さん調子悪いのかお・・・」

オレはこの担任の事が好きだった。

( ^ω^)「また小説書いたかお?」

从 ゚∀从「あー、一応書けた」

(*^ω^)「まじかお!採点するから持ってくるお!」

国語担当でもあるブーン(内藤先生、か)は、オレがノートの隅っこに走り書きしていた小説に
『続きが気になるので書いてください。主人公が好きです。』と感想を添えて返してきた。
それがきっかけだっただろうか?



从 ゚∀从「だりい・・・」

来たくも無い学校に顔を出したのは、ブーンに迷惑をかけているという負い目があったからだ。

( ´_ゝ`) 「五回目」

隣の席の兄者が言う。

2時間目の授業からやって来て、今は昼休みだ。いつの間にそんなに言ってたんだ。

从 ゚∀从「帰ろうかな」

( ´_ゝ`)「もうすぐ終わりだから、居ればいいじゃないか」

从 ゚∀从「なーんか嫌な予感がすんだよ」

そしてそれは大体当たる。


ζ(゚ー゚*ζ「高岡・・・久しぶり。ちょっとこっち来なよ」

ほら、な。

( ´_ゝ`)「またお前か」

突っかかろうとする兄者の袖を引く。

从 ゚∀从「いいって。行って来るわ」

(♯´_ゝ`)「ダメだ!!」

从 ゚∀从「どうせいつもと同じさ。な?」

だから・・・
優等生のお前は、巻き込みたくねぇんだよ。





ζ(゚ー゚*ζ「アンタみたいなのと付き合うなんて、あの男も相当趣味悪いよね」

从 ゚∀从「ああ。ゲテモノ趣味なおかげで楽しくお付き合いさせて貰ってるぜ」

ζ(゚ー゚*ζ「頭おかしいんじゃないwwアンタ自分の立場とかわかってる?」

从 ゚∀从「・・・ああ。」

ζ(゚ー゚*ζ「声が震えてるんだけど」

握った拳に、自然と力が篭っていった。
心臓がバクバクいってやがる。落ち着け。落ち着け・・・

ζ(゚ー゚*ζ「アンタ目ざわりなんだよね。自分がモテるとか勘違いしてない?」

从 ゚∀从「またそれかよ」

ζ(゚ー゚*ζ「これは忠告だよ?調子に乗って痛い目に合わないように」

視界が滲む。ヤバイ。

ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ。円光少女のハインさん?」

从 ∀从「ッ・・・」

ζ(゚ー゚*ζ「そのブッサイクな顔と貧相な体で荒稼ぎしてるって言うんだから、世も末だよねぇ」

唇を噛む。このまま噛み千切ってやろうか?
行き場の無い感情の波が押し寄せてくる。

ζ(゚ー゚*ζ「姿慎みなよ。マジで。見てるこっちが恥ずかしいから」

从 ゚∀从「ああ、そうですか」

ζ(゚ー゚*ζ「知ってる?男子の噂。「高岡と一回目が合えばヤらせてくれる」・・・だってさ」

言い返そうと思っている。なのに口が開かねえんだ。
コイツの言ってる事が――事実だから。

ζ(゚ー゚*ζ「そんなに男が好きなら、輪姦してあげよっか?アンタとヤりたいって馬鹿多いしさ」

从 ∀从「・・・ざけんじゃねぇよ。てめぇがヤれ」

ζ(゚ー゚*ζ「あはは、追い詰まってるww高岡はヤリマンって言われると弱いね~」

ああ、くそ。この女に何か言ってやりてえ。ぶん殴ってやりてえ。
無理だ。オレには出来ない。

ζ(゚ー゚*ζ「あ。アンタってさ」

次の台詞は、オレの頭を真っ白にさせた。

ζ(゚ー゚*ζ「自分のオヤジともヤッてたってマジ?キチガイオヤジとさww」





从♯ ∀从「あぁああああぁぁぁぁああああああ!!!」

え?今の声ってオレ?

ζ(;ー;*ζ「きゃああああ!!」

あれ、デレのヤツ吹っ飛んだ・・・
あ、オレが圧したのか・・・


从♯゚∀从「立てよコラ!!オレのオヤジが何だって!?オレとオヤジが何だって!?」

ζ(;ー;*ζ「ぎゃっ!」

从♯゚∀从「言ってみろよ!もっぺん言ってみろっつってんだろうがこのクソ女!!!」

ああ、なんだこれ。
頭ん中真っ赤になっていくような。
どうしちまったんだ・・・


(;=゚ω゚)ノ「女子が喧嘩してるんだょぅ!!」

(;・∀・)「止めろ止めろ!!誰か、先生呼んでこい!!」

从♯゚∀从「邪魔すんじゃねぇ!!ぶっ殺すぞ!!」

ζ(;ー;*ζ「ふぇ~ん・・・」


( ^ω^)「・・・!高岡!?」

10:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:27 RmRjHMs70

从♯゚∀从「あァ!?オレがアイツを殴ったって!?」

先公たちが何事かと振り返るが、構ってられない。

( ^ω^)「落ち着けお、高岡。見ていたぃょぅたちの話と、保健の先生に訊いた結果
       デレの嘘だとわかったんだお。」

从♯゚∀从「じゃあなんだって言うんだよ!?オレは帰る!!胸糞悪い!!」

( ^ω^)「・・・僕が訊きたいのは、高岡がどうしてそこまで怒ったかって事なんだお」

从 ゚∀从「!!」

罵詈雑言を喉の奥に押し込める。沈黙。
急激に体の中の嫌な熱が冷めていった。

( ^ω^)「デレは、高岡が急に怒ったって言ってるお。」

从 ∀从「・・・・・・」

( ^ω^)「ブーンの思い上がりかも知れないけど、高岡はそんな子じゃないお。
       見た目はよろしくないけど、いきなり暴力振るったりなんかしないお」

从 ∀从「・・・・・・」

( ^ω^)「話したくないかお?」

从 ∀从「・・・ああ」



『そんな子じゃないお』

これはブーンからオレへの信頼の証だ。
だとしたら、言えない。ブーンが大事な先生だから、余計に言えない。
今学校で流れている噂は全てただの噂話だと思って欲しかった。

( ^ω^)「・・・高岡だって言いにくい事あるおね。ごめんお」

違う。
ブーンが信用出来ないから話さないんじゃない。オレは。

从;∀从

ブーンに嫌われたくないんだ。
これ以上――大人を嫌いになりたくないんだよ・・・

11:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:27 RmRjHMs70

(♯´_ゝ`) 『だからあんな馬鹿について行くなと言ったんだ!!』

帰宅した瞬間着信した兄者の声がキンキン響く。なんか頭いてぇ。風邪か?

从 ゚∀从「ごめすー」

煙草を吹かしながら答える。オレ死ね。

(♯´_ゝ`)『いいか!周りが何と言おうが俺はハインが好きだ!!』

从 ゚∀从「・・・ああ」

馬鹿野郎。煙草落としたじゃねぇか。

(♯´_ゝ`)『一番悪いのは知っていて何も出来ない俺だ!!わかったか!!』

从 ゚∀从「・・・関係ねぇよ」

(♯´_ゝ`)『そうやって自己解釈するな!』

从 ゚∀从「オレ・・・感謝してるぜ?」

(♯´_ゝ`)『だから・・・』

从 ゚∀从「体売ってるオレを、抱いてくれるから」

(♯´_ゝ`)『ハイン!』

从 ゚∀从「あ、アニジャに餌やんなきや。じゃあにー」

無理矢理電話を切った。ついでに電源も落とした。

从 ∀从「・・・はっ」

馬鹿だ、オレ。


ベッドに寝転がって、天井を眺める。
進路相談。
どうなるってんだよ。何がどうなるって・・・

从 ∀从「売春して、いじめられて、不登校で、オヤジが精神病で・・・」

どんな未来があるっていうんだよ?

カーテンを引いた薄暗い部屋の中に、またカタカタと回し車の音が響いた。

12:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:28 RmRjHMs70

*(‘‘)*「こんばんは、ハインさん」

从 ゚∀从「こんばんは」

二回目の面会許可が降りて、オレは少しの期待を抱いて病院を訪れた。

('A`)「ハイン!やっと来たのか!」

久しぶりに会えて嬉しいのかと思ったら、前回の記憶が無くなっただけだった。

前回より長く離していたけれど、会話が出来ない。
ちぐはぐな返答が帰ってくるばかりで、そうしているうちにオヤジの主治医から話があると
オレは下へと呼ばれた。

(-@∀@)「やあ、久しぶりですねハインさん」

从 ゚∀从「どうも・・・」

そういや、オヤジがぶっ倒れて担ぎ込まれてきた日以来話してなかったな。

(-@∀@)「お父さんの事についてなんですが、娘さんであるあなたしか身内がいないとの事
     だったので・・・なるべくわかりやすく説明しますね」

そう言って掲げられたのは、レントゲン写真だった。

(-@∀@)「これがお父さんの脳です。」

続いて、別のレントゲン。

(-@∀@)「こちらが、一般の脳です。比較してみて、何かお気づきですか?」

从;゚∀从「・・・・・・」

言葉に詰まった。気づく?そんなレベルの話じゃねぇだろ。

从;゚∀从「・・・空洞・・・」

(-@∀@)「・・・はい。そうです。」

从 ゚∀从「これは・・・」

(-@∀@)「萎縮してしまっているんです」

从 ゚∀从「・・・治るんですか」

(-@∀@)「・・・完全とは言えません。むしろ、若年性痴呆になる可能性がとても高いと思われます」

从 ゚∀从「・・・・・・」

(-@∀@)「この進行を食い止める為の治療を行う予定です。同意して頂けますか」

从 ゚∀从「・・・はい・・・」

間の抜けた返事しか出来なかった。
目の前に突きつけられたものが、あまりにもでかすぎた。


*(‘‘)*「・・・あの子、大丈夫でしょうか。顔色が・・・」

(-@∀@)「まだ中学生だよ。・・・残酷過ぎる話だったな」

*(‘‘)*「・・・お父様がハインさんの施設行きを断ったんですが・・・あの子、1人でどうやって
     暮らしているんでしょうね・・・」

(-@∀@)「・・・・・・」

13:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 04:29 RmRjHMs70

从 ∀从「・・・・・・」



(;A;)『ヒート!目を開けろ!ヒート!!』

从;∀从『お母さん!いやぁああああ!!』


('A`)『ハイン、これから・・・2人で頑張って行こうな』
从'ー'从『うん、わかったよおとうさん』


『ハインへ

ごめんなさい。お父さんは疲れました。弱い父を許してください』


从'ー'从『おとうさん・・・お仕事でしょ?なんで・・・』



('A`)『ハイン』

ひどい 酒の臭い

('A`)『ごめん・・・ごめん・・・』

从 ∀从『・・・もう・・・捨てるんじゃねぇぞ・・・クソオヤジ・・・』


お母さんと暮らした家も

友達も

大事だったものも

何もかも捨てて わたしたちはこの街へ 逃げてきた



( A )『あああああああ!!』

( A )『酒!!酒!!』

从;゚∀从『オヤジ!?やめろよ、何すんだよ!!』

( A )『お前は誰だぁあああああ』

( A )『出て行け!!』


从 ∀从『・・・失禁したのかよ』

从 ∀从『はは・・・』



『高岡ってさ、なんか臭くない?』

『キチガイオヤジの介護してるらしいよw』

『うわ、ありえねぇwww』

『超悲惨www』


( A )

从 ∀从『オヤジ、腹減ったよ』

( A )

从 ∀从『もう金もねぇんだよ。どうしたらいい?』

( A )

从 ∀从『オヤジ・・・なぁ・・・』

( A )『・・・け・・・』

从 ∀从『・・・あ?』

( A )『酒・・・買って来いよ・・・』





从;゚∀从「――ッ!!」

コメカミがズキズキと疼く。
嫌だ。あんな記憶。いらねえよ。嫌だ。嫌だ。嫌だ・・・!!

从;゚∀从「んぐっ!?」

フラフラとしていた体が、急に後ろへ引きずられた。
誰だ、と思う間もなく

オレの体は車の中へ放り込まれた。



从 ∀从「・・・・・・」

あーあ。
どうすんだよこれ。
制服破るなよなぁ。買う金ねぇんだからよォ。
なんか・・・すっげぇ気持ち悪いし。

从 ∀从「・・・ふ・・・ふふふふ」

今更レイプ如きでオレが傷つくかっての・・・

从;゚∀从「あはははははははは!!!ざまぁみろ!!こんな汚ねぇ体相手にして!!」

だって、笑っちまうじゃねぇか。

从;゚∀从「バーカ!!馬鹿!!ヒャハハハハ!!」

月が、やけに赤く見える。


16:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 20:57 RmRjHMs70

从 ∀从「・・・いってぇ・・・」

頭上からシャワーを浴びながら、肩を撫でる。
ざけんなよ。痣になってるじゃねぇか。
口の中も滲みる。何もここまでする事ねぇだろう?

从 ∀从「・・・・・・」

兄者に何て言い訳すればいいんだよ。
・・・円光相手にヤリ逃げされたってか?

从 ∀从「・・・はっ」

どっちにしろオレは汚ねぇ。





携帯が鳴ってる。メールの音だ。

从 ∀从「・・・・・・」

ショボンからだ。

(´・ω・`)『こんばんは。アニジャは元気かい?今日もクーに一緒に帰ろうと言ったら断られてしまいました』

从 ∀从「・・・くっだらねぇ、メール・・・」

そう言いながら、オレは返信していた。

『クーはアレだ、ツンデレってヤツだ。心配すんな。アニジャは、元気』

ウーロン茶を流し込む。あ、口ん中いてぇわ。
3分ほどして返事が来た。パソコンのキーの方が打ち慣れているらしく、携帯メールは時間がかかる。

(´・ω・`)『そうだね。僕がクーの事を信じなきゃダメだよね。またアニジャを見に行ってもいいですか』

『お前、彼氏なんだからしっかりしろよ。いつでもおっけー牧場』

从 ∀从「・・・・・・」

時折、ショボンから告げられる小さな葛藤。
クーはどうして―接触を避けようとするのか?

オレはそれを知っている。2人が付き合って数日後、クー本人から理由を聴いた。

(´・ω・`)『うん、ありがとう。いつもごめんね。同じような話ばっかりで』

『気にスンナ。あ、じゃあ明日相談料代わりにやって欲しい事があるんだけど』

話を逸らす。いつも、いつも。同じ変わらぬやり取り。
オレは極端に自分の話がするのが好きなだけ、空気が読めないヤツなのだと笑い飛ばしてくれ。

(´・ω・`)『やって欲しい事?なんだろう?僕に出来ることなら』

从 ∀从「・・・・・・」

ショボンは優しいヤツだと思う。けど、だからって可哀想だなんてオレには言えない。
クーがあの時零した涙が、痛いほどわかるから。

『アニジャの友達を見繕って、家に持ってきてくれ。金は届ける時に払う』

从 ∀从「・・・・・・」

クー。

(´・ω・`)『僕の好みで選んでいいんだね?了解』

17:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 20:58 RmRjHMs70

(´・ω・`)「・・・ふう」

『さんきゅ』と、短い返事を最後にやり取りを終えた。
我ながら女々しいと思う。高岡がいつまでループする相談にのってくれるか、不安だ。

(´・ω・`)「・・・彼氏なんだから、信じろ。か」

兄者は、どうなんだろう。
例えば今高岡が何をしているか、

・・・何をされているかとを考えて、気が狂いそうになる事は無いんだろうか?

(´・ω・`)「・・・兄者って絶対愚痴らないもんなぁ」

高岡がこうだ、ああだなんて話は一切聴いたことがない。
それは彼の強さなのか?

(´・ω・`)「・・・・・・」

僕は何を考えているんだ。
今頃、高岡はどうしている、なんて・・・。

僕が、クーの事を高岡にメールする理由って何だ?
最近は相談というよりただの雑談ばかりじゃないか。

高岡と話していると・・・楽しい。

(´・ω・`)「・・・馬鹿な」

この前、高岡の家から塾だと嘘をついて帰った理由は何だ?

・・・兄者と2人きりの方がいいだろう、と思ったから。
・・・兄者に・・・嫉妬、したから・・・?


「ショボン!ご飯よ」


母さんの声がして、携帯を閉じる。

僕はクーが好きだ。
好きだけど。

高岡の方が、・・・好きなんだ・・・

18:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 20:59 RmRjHMs70

川 ゚ -゚)「・・・もしもし?」

从 ∀从『クーか?・・・オレだけど』

川 ゚ -゚)「なんだ、ハイン。やけに声が暗いじゃないか」

从 ∀从『・・・あ?いつものアレだよ。情緒不安定ってヤツ』


ハインはそう呟いたが、何か言いたくない事を隠しているんだろう。
私だって訊かれたくない事はある。だから、彼女から言い出すまで黙っている事にした。

川 ゚ -゚)「で、どうした」

从 ∀从『・・・オレが言うのも何なんだけどさ。ショボンの事だよ』

川 ゚ -゚)「・・・ああ・・・」

胸がツン、と痛む。
放課後の情景が蘇る。せっかく、帰ろうと言ってくれたのに、私は。

从 ∀从『・・・まだ、無理か』

川 ゚ -゚)「・・・うむ・・・」

从 ∀从『そっか・・・そうだよな。また、四人で集まれるように予定組むからよ』

川 ゚ -゚)「・・・いつも、すまない」

返した声が、震えた。

从 ∀从『あん?・・・ショボンと同じ台詞じゃねぇかw』

川*゚ -゚)「そ、そうなのか!?知らなかった・・・」

从 ∀从『はは、照れてるんじゃねぇよ。じゃあ、またな』

川*゚ -゚)「は、ハイン!」

何か言い足そうとしたけど、電話が切れてしまった。

川*゚ -゚)「ま、全く・・・」

顔が熱い。正直、嬉しかった。いや、すごく嬉しいんだ。

川  -)「・・・・・・」

きっと、何もわからずにハインに救いを求めているショボン。
もう少し。あと少しだけ待ってくれ。
私に、あの事を話せる勇気が出る日まで・・・

19:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 20:59 RmRjHMs70

( ´_ゝ`)「・・・・・・」

今日はハインの家に行く事が出来なかった。
がちゃり、とドアノブが回って男が入ってくる。

(´<_` )

弟者。
俺と瓜二つの顔をした男。


ベッドが軋む。紙が擦れる音がした。何か読み出したらしい。
俺も視線をFMVに貼り付けたまま、無言でキーを打つ。
重苦しい沈黙。一触即発の空気。
ハインと付き合い出してから間も無く、俺と弟者の間には険悪な空気が流れるようになった。
今だってそうだ。
今日、ハインの家に行けなかったのは・・・コイツのせいだから。


(´<_` )「いい加減あのDQNと別れたらどうですか、と」

抑揚の無い声がした。

( ´_ゝ`)「お断りしますが何か」

棒読みで突っ返す。

俺と弟者は双子、同学年だ。当然ハインの噂も彼は知るところになる。

(´<_` )「・・・恥ずかしくないの?あんた」

( ´_ゝ`)「意味がわかりません」

(´<_` )「オレのクラスでも有名だぞ。学校に来なくなったのは、子供堕ろしたからって」

( ´_ゝ`)「ハインは妊娠なんかしてません。残念でした」

(´<_` )「・・・・・・」

沈黙。


乱暴にベッドが軋んだ。

(´<_` )「あんたは、馬鹿だ」

それだけ告げて、弟者は部屋を出て行く。
いつからだろう。アイツが一階の和室で寝るようになったのは。

( ´_ゝ`)「・・・・・・」

俺は馬鹿なのか。
ハインみたいな子を好きになっちゃいけないのか?

( ´_ゝ`)「・・・上等だ」

頭がおかしかろうと、悪趣味と言われようと。
俺にはハインがいい。それだけの事だ。

20:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 21:01 RmRjHMs70

从 ゚∀从「くっそ、あのヤブが・・・」

線路脇を歩きながら、吐き捨てる。
何やらおかしな出血があり、オレは婦人科に行く事にしたのだ。

( ゚д゚ )『君、中学生でしょう?親が泣くよ?』

オレの体の中は爛れているとか、爪で引っかいた跡がたくさんあったらしい。
そのせいで出血していたらしく、炎症を起こさないようにと抗生物質と緊急ピルを貰ってきた。

从 ゚∀从「乱れた性生活・・・か。」

医者に言われた言葉が何度も何度も頭に繰り返し響く。
レイプされたって言えば良かったか?
けど、確かアレって親告罪なんだろ?誰が訴えるってんだよ。

从 ゚∀从「第一、体売ってるようなヤツが警察走るってのもなぁ・・・」

携帯を開く。午後一時を回っていた。
そうだ、今日ショボンのヤツに頼み事をしていたんだっけ。

从 ゚∀从「そのバス待て!!乗ります!!」

腕を振って叫ぶ。ああ、腹ん中いてぇ。
やっぱ婦人科は嫌いだ。

21:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 21:01 RmRjHMs70

(´・ω・`)「高岡、いる?」

バタバタ、と軽い足音が近づく。

从 ゚∀从「うっす。上がれや」

(´・ω・`)「お邪魔します」

高岡の家は全て青系統でまとめられて、マリンノートの匂いがする。
まるで海の中みたいな雰囲気だ。

从 ゚∀从「どうよ、可愛いのいたか?」

(´・ω・`)「待って、今出すから」

がさごそと袋に手を入れて、小さな箱を取り出す。

从*゚∀从「うおお!可愛い!」

高岡が嬉しそうな声をあげた。どうやら気にいってくれたらしい。

(´・ω・`)「ジャンガリアンなんだけど、ホワイトパールと一緒に飼っても大丈夫らしいから」

从 ゚∀从「サンキュサンキュ!いくらだった!?」

(´・ω・`)「えっと、980円」

待ってろ、と高岡が財布を取り出す。
1000円が手渡された時、指先が触れた。高岡の手はいつもびっくりするぐらい冷たい。

(´・ω・`)「今おつり渡すから」

从 ゚∀从「あん?いらねえよ。残りは交通費だ」

高岡がいそいそとゲージにハムスターを移す。
アニジャは新しい侵入者に驚いたようだったけど、数分もすれば二匹で仲良く遊び出した。

从 ゚∀从「こいつアニジャよりでかいなぁ」

(´・ω・`)「ああ、本当だ」

高岡が冷蔵庫から飲み物を取り出す。僕に一本手渡して、どっかりと腰を下ろした。
赤い髪が日に透けて眩しい。

从 ゚∀从「名前どうすっかなぁ」

(´・ω・`)「高岡って前もハムスター飼ってたんだよね?その時の名前は?」

从 ゚∀从「おう、前のヤツか?
     アルビットクラリーヌ・スミス・ド・モンデルト・ヒゲッパ・クリスティーヌ倉田マークⅡ
     と、チョコだ」

(;´・ω・`)「ええ!?なんで極端に長いのと短いのなの!?」

从 ゚∀从「めんどくせぇから倉田とチョコって呼んでた」

(;´・ω・`)「意味無いじゃん!ていうか倉田さんて誰!?」

高岡は「意味はねぇ」とケラケラ笑い転げた。
僕も一緒になって笑ってた。

楽しかった。

从 ゚∀从「コイツってオス?メス?」

(´・ω・`)「店員さんは、男の子だって言ってたよ」

从 ゚∀从「うーん・・・そうだなぁ。じゃあコイツの名前は・・・」

ゲージを見つめていた目が、じっと僕の方を見た。

从 ゚∀从「しょぼん。」

(´・ω・`)「へ?」

从 ゚∀从「眉毛みたいなのあるじゃん。しかも垂れてるし。」

なんだ。今の気持ち。
・・・嬉しい?

从 ゚∀从「それに、アニジャとすぐ仲良くなったしな。決めた。こいつはしょぼんだ。」

高岡がゲージを日あたりのいい場所へと移す。

(´・ω・`)「・・・・・・」

从;゚∀从「あれ?怒った?」

(´・ω・`)「いや」

嘘をついた。本当は・・・苦しかった。

高岡に取っての僕は・・・兄者の親友、親友のクーの彼氏。
友達、なんだ。

(´・ω・`)「しょぼんも高岡と同棲生活か」

从 ゚∀从「はは、ハーレム状態だなw」

高岡はいつもこうだ。無意識に、人をいい気分にさせる言葉を使う。
嫌われるのが怖い彼女の悲しい習性から来ているのだと、僕は知っている。
なのに、期待してしまうのは・・・勝手だろうか?

(´・ω・`)「・・・それ」

从 ゚∀从「あん?ああ・・・」

指差した先には、ゾンビゲーム。

从;゚∀从「・・・買ったのはいいんだけどよ・・・怖くて、1人じゃ進められないんだ」

卑怯だよ高岡。
いつも、兄者と一緒にやってるんだろう?

(´・ω・`)「僕、得意だよ」

从 ゚∀从「まじ!?」

(´・ω・`)「・・・少しやって行こうか?」

从 ゚∀从「おkwwwwオレ、見てるwww」

僕に、少しぐらい高岡との時間を分けてくれたっていいだろう?兄者。

22:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 21:02 RmRjHMs70

( ´_ゝ`) 「A判定か」

塾のテストが返って来た。志望校には入れるらしい。

( ´_ゝ`) 「・・・卒業したら、ハインと中々会えなくなるなぁ」

ハインは下手したら高校に行かないかも知れない。一応志望は定時制にしているけど。

( ´_ゝ`) 「・・・・・・」

かたや俺はこの辺で有名なエリート校だ。
卒業したらすぐ収入が安定した仕事に就けるように・・・ハインと一緒に暮らせるように、選んだ道。
けれど、ハインはどんな気持ちなんだろう?

( ´_ゝ`) 「優等生と・・・」

落ちこぼれカップル。
それが、学校内での俺たちの名称だった。

元々休みがちだったハインは、まともな成績のつけようが無い状態だ。
学校に来ても中抜け、遅刻、早退を繰り返している。

( ´_ゝ`) 「成績は悪く無いのに・・・」

つまりは、内申がどうしようもなくヤバイ状態なのだ。
なるべく学校に来るようには言ってみるが、この前のように揉めるのがオチだ。

( ´_ゝ`) 「・・・無力だな、俺」

ハインは、俺が庇おうとすると必死で抵抗する。
俺が問題を起こして進学に影響するのが、嫌らしい。
付き合っているというだけで充分だから、と呟く笑顔は・・・見ていて気分のいいものじゃない。

( ´_ゝ`)「・・・・・・」

売春しているハインも、俺は止められない。
彼氏として最低だと思う。
施設にも行けない。身内もいない。働き先は全て断られた彼女。

俺に出来る手助けは・・・食事を差し入れたりする程度だ。

家出は考えられない、というハイン。
父親が捨てられないというハイン。
それは彼女の罪か?

いっそ警察に捕まって楽になりたいというハイン。
俺が語る、あまりにも遠い「結婚」の話を支えにして、今日を生きているハイン。
俺の中で矛盾する感情がある。

体を大事にして欲しい。俺以外になんか触らせたくない。

俺が助けられるようになるその日まで、どんな手段を使おうが生きていて欲しい。


( ´_ゝ`)「中学生って、何にも出来ないじゃないか」

早く大人になりたいという言葉は、子供だけが使うのだそうだ。
その通りだと思う。今の俺は、あまりにも子供過ぎる。

23:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 21:03 RmRjHMs70

(´・ω・`)「夢中になりすぎたよ。ごめんね遅くまで」

从 ゚∀从「あぁ、いいよいいよ!面白かったぜ!」

(´・ω・`)「うん、じゃあまたね」

バタン

从 ゚∀从「オレも少しやってみっかな」

勿論、音量は0。これ定説。

从 ゚∀从「まさかこんなところに隠し扉があったとはなぁ・・・」

ゲーム中のオレは特に独り言が激しい。クセだ。

从;゚∀从「うおおおお待て待て待て!!どっから狙撃してやがんだ!?」

あっという間に追い詰められるオレ。くそ、このパートナーの女弱いんだよ!

从 ゚∀从「ヘルプじゃねぇよ全く・・・ん?」

携帯が鳴っている。一度中断して画面を開いた。

(´・ω・`)『学校に来れる時は、僕も助けになります。なので、安心してきて下さい』

从 ゚∀从「なんだよショボンのヤツ・・・改まって・・・」

閉じようとして、改行が続いている事に気づいた。

从 ゚∀从「・・・?」

カチ カチ カチ ・・・




(´・ω・`)『今日はとても楽しかった』




从 ゚∀从「・・・」

カチ カチ カチ カチ カチ カチ カ チッ・・・










(´・ω・`)『大好きだ。高岡』

24:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 21:03 RmRjHMs70

川 ゚ -゚)「・・・よし。」

言おう。明日こそは。

私も一緒に帰りたかった、と。

川 ゚ -゚)「いつまでもハインに甘える訳にはいかないからな」

そして・・・ショボンにも。

25:◆ITqALJqy5Y
12/18(火) 21:04 RmRjHMs70

( ´_ゝ`)「・・・もしもし?」

(´・ω・`)『・・・ああ、なんだい』

やはり声がおかしい。


( ´_ゝ`)「お前にも、ハインから連絡が来たか?・・・暫く会いたくないと」

(´・ω・`)『・・・いや。連絡しても無視されているだけさ』

一体何があったというのだろう。
クーには連絡があったらしいが。

( ´_ゝ`)「・・・何か聴いてないか?理由とか」

(´・ω・`)『兄者が知らないのに、僕が知ってる訳ないじゃないか』

( ´_ゝ`)「・・・・・・」

嫌に棘のある言い方だ。

( ´_ゝ`)「ショボン」

(´・ω・`)『・・・』

( ´_ゝ`)「お前、最近変じゃないか?学校でも、俺を避けてるような感じだし」

(´・ω・`)『ギコたちと遊んでいるだけさ。』

( ´_ゝ`)「・・・ほう?いつからそんなに仲が良くなったんだ?」

(´・ω・`)『やめてよ、恋人じゃあるまいし。僕の自由だろう』

( ´_ゝ`)「・・・ああ。そうだな」

(´・ω・`)『・・・じゃあね』


( ´_ゝ`)「・・・・・・」

ギコのクラスには―弟者がいる。

( ´_ゝ`)「・・・まさか・・・」

有り得ない。
ショボンは・・・昔っからの友達だぞ?
それに・・・クーは?アイツ、一年の時から、クーの事を・・・
俺は・・・何を考えているんだ?

27:◆ITqALJqy5Y
12/19(水) 02:00 bTrbQovX0

携帯が、鳴っている。

从 ∀从「・・・・・・」

ピッ

『ただ今電話に出る事が出来ません・・・』

ピーッ

『高岡?もしもし、高岡?内藤だお』

从 ∀从「・・・ブー・・・ン」

クソだりぃ。動けねぇ。

『2日後から学校祭の準備期間に入るお。思い出作りに来るといいお』

ピーッ

从 ∀从「・・・・・・」

出る前に・・・切れちまった・・・。

从 ∀从「・・・そういや・・・そんなのあったっけな・・・」

煙草の灰が落ちた。同時に、再び携帯が鳴り出す。

从 ∀从「・・・んあ?」

ツンからだ。

从 ∀从「・・・モシモシ」

ξ゚⊿゚)ξ『高岡?わたし、ツンだけど』

从 ∀从「言わなくてもわかるっつの・・・何だよ」

ξ♯゚⊿゚)ξ『何じゃないわよ!アンタ、学校祭もサボる気!?』

相変わらず甲高いキンキン声だな。

从 ∀从「その件についてはお答えしかねます」

ξ♯゚⊿゚)ξ『ちょっと、いい加減にしなさいよ!アンタ忘れてるんじゃないでしょうね!?』

从 ∀从「・・・あ?何か、あったっけ・・・」

ξ♯゚⊿゚)ξ『てめぇアナウンサーだろうが馬鹿ァァア!!』

从 ゚∀从「あ゛っ」

すっかり忘れてた。そういやオレ、放送機材会に入ってたっけ。(しかも副会長だ)

ξ♯゚⊿゚)ξ『あんた私1人に全部押し付けるつもり!?』

ツンがぶちギレてる。これはヤバイかもわからんね。

28:◆ITqALJqy5Y
12/19(水) 02:00 bTrbQovX0

从 ゚∀从「ごめん。必ず行くから」

ξ゚⊿゚)ξ『まったく・・・頼むわよ?わたしよりアンタの方が後輩の指導巧いんだから』

オレ相手だろうがツン相手だろうが、キツイのは変わらないと思うんだけどな。

从 ゚∀从「ああ。約束するよ」

ξ゚⊿゚)ξ『・・・高岡』

从 ゚∀从「あァ?」

ξ゚⊿゚)ξ『・・・当日、わたしと一緒に居なさいよ。・・・今、居づらいんでしょ?クーたちと』

こういうところがしっかりしてっから、コイツは会長の役職を任されたんだろうな。

从 ゚∀从「・・・だな。悪いけど頼むわ」

ξ*゚⊿゚)ξ『ば、馬鹿ね!親友なんだから遠慮する事無いのよ!』

从 ゚∀从「・・・ありがとう」

この頃には、オレの気分も良くなっていた。
そうだ。ツンだってオレのダチじゃないか。文化祭はアイツと一緒に居よう。

ξ*゚⊿゚)ξ『あっ!そ、それとね、高岡!』

从 ゚∀从「んァ?」

ξ///)ξ『わ、わたし・・・その・・・好きな人が、出来たの』

从 ゚∀从「おぉおおっ!?すげぇ話じゃん!」

彼氏いない歴=年齢 フラれた回数=年齢
男に免疫の無いツンにしては随分な事だ。

从 ゚∀从「誰よ誰よ?告んのか?学校祭の時なんかいくらでもチャンスあるだろ」

ξ///)ξ『あ、いや・・・その・・・実は・・・』

きっとコイツ、ガチガチになって受話器握り締めてんだぜ。オレが男だったらすぐ彼女にするのに。

从 ゚∀从「どうしたい、はっきり言いやがれ」

ξ///)ξ『ッ・・・た、から・・・』

从 ゚∀从「聞こえねーなー」

ξ///)ξ『高岡からっ・・・言ってくれないっ!?』

从;゚∀从

そう来るとは。

从;゚∀从「おい、お前頭沸いてんじゃねぇのか?昔もその手使って、
     オレが告ったって勘違いされた事あっただろうが!」

ξ///)ξ『でも!わたし、高岡みたいにスラスラ告白なんか出来ないもん!』

从 ゚∀从「スラスラっておま・・・」

ξ///)ξ『だってだって・・・あの兄者と付き合った時の話・・・』

从 ゚∀从「・・・・・・」

29:◆ITqALJqy5Y
12/19(水) 02:01 bTrbQovX0

一年前

从 ゚∀从 ひゃっほー!王様ゲーム!

从 ゚∀从 え?オレ?何すんの?・・・好きな人に告白!?おっけー牧場!


从 ゚∀从 おい、兄者

( ´_ゝ`) 何?

从 ゚∀从 好きです!

( ゚_ゝ゚ )

从 ゚∀从 ・・・

(;゚_ゝ゚ ) ・・・

从 ゚∀从 ・・・やべ。このあとって何言えばいいんだ?

(;´_ゝ`)・・・付き合ってください・・・とか?

从 ゚∀从 おう、それだそれだ!付き合ってください!

(;´_ゝ`)・・・本気?

从 ゚∀从 うん。

(;´_ゝ`)まだ動揺と疑惑が治まらんが・・・喜んで

~回想終了~


从 ゚∀从「確かにムードもへったくれもなかったわな」

第一あの頃はバリバリ伝説レベルの処女だ。それ故の無鉄砲さがあった気がする。

ξ゚⊿゚)ξ『ねぇねぇ、その時兄者が言ってた「疑惑」って何の事?』

从 ゚∀从「アレだ、ドッキリとかだと思ったらしい」

ξ゚⊿゚)ξ『・・・確かにそう思っても仕方ないかも・・・』

二本目の煙草に火をつける。ソブラニー・ミンツ。デザインを眺めるだけで幸せな気分になる。

从 ゚∀从「で、本筋に戻してだ。オレがやったらドッキリって疑われっかも知んねぇぞ」

ξ*゚⊿゚)ξ『大丈夫!作戦があるの!』

从 ゚∀从「ほぅ?どんなよ?」

ξ*゚⊿゚)ξ『まず、高岡が体育館ギャラリーで待つの!』

从 ゚∀从「ふん?」

ξ*゚⊿゚)ξ『わたしが、その人に「高岡から何か話があるみたい」って言って呼び出すから』

从 ゚∀从「・・・なるほど」

ξ///)ξ『あ、あとは、「ツンがあんたの事好きみたいだ」とか言うだけでいいわ!』

从 ゚∀从「だけって・・・おま、それかなり最初からクライマックスよ?」

ξ///)ξ『報酬は弾むわ!わたしの手作りのクッキーたくさん持っていってあげる!』

从*゚∀从「引き受けたぜ」

オレの大好物・・・ツンの作ったクッキー。
甘いものが嫌いなオレを一瞬で虜にした味だ。

ξ*゚⊿゚)ξ『も、もしフラれたら高岡の家でわたしのクッキーで残念パーティーしようね!』

从 ゚∀从「もうそっちの話かよ」

ξ///)ξ『た、高岡と久しぶりに遊びたかったんだもん・・・』

从 ゚∀从「わかったわかった。必ず行くから、詳しい事は学校でな」

ξ*゚⊿゚)ξ『うん、じゃあね!』


从 -∀从「・・・・・・」

なんか久しぶりに中学生らしい会話が出来た気がする。性的な意味で。

从 ゚∀从「あ!」

そういや、意中の彼の名前を訊くのを忘れた。
まぁ、いっか。どうせ会うことになるんだから。

从 ∀从「・・・・・・」

ピッ

『もしもし。ブーン?オレだけど。学祭、出る事にしたから・・・』

30:◆ITqALJqy5Y
12/19(水) 02:02 bTrbQovX0

从 ゚∀从「うぃーっす」

(-_-)「あ・・・高岡、先輩だ・・・」

(*゚ー゚)「センパイ!お久しぶりです!」

( <●><●>)「学祭に来る事はわかってたんです」

この部室に入るのも、久しぶりだ。


ξ゚⊿゚)ξ「高岡!マイクの本数確認と動作チェックお願い!ライブでも使うらしいのよ」

从 ゚∀从「任せとけ。ヒッキーは音響チェック頼む。しぃはビデオセッティング、ワカッテマスは
     放送機材の確認をよろしくな」

(-_-)「は・・・い」

(*゚ー゚)「わかりました」

( <●><●>)「了解したんです」

从 ゚∀从「わかんないとこあったらオレに訊け。ツンは他の打ち合わせで忙しいからよ」

ξ゚ー゚)ξ「・・・ありがと。高岡」

そういうや否や、ツンは慌しく部室を出て行った。
出し物予定のクラスに使う機材の確認に回っているから、かなり忙しいだろう。

从 ゚∀从「このマイクは・・・コードレスだな。ライブ用はこれにしとくか」

(-_-)「先輩・・・ここ、ちょっと調子悪いみたいなんですけど・・・」

从 ゚∀从「あー、それな。たまになるんだよ。そっちのつまみを3にしといてくれ」

(*゚ー゚)「センパイ、こっちのビデオの使い方がちょっとわからないんですが・・・」

从 ゚∀从「これ、蓋が横になってんだよ。赤いのが録画スイッチだ。このテープは
     向こうの棚ん中。そうだな・・・四本も用意しときゃおK」

( <●><●>)「僕の方は終わったんです。高岡先輩を手伝います」

从 ゚∀从「サンキュ。そっちの分頼むわ」


礼を言いたいのはオレの方だ、ツン。
こんなに学校で悪い噂があるオレに、後輩が自然に接してくれるのは・・・お前のおかげだろう?

31:◆ITqALJqy5Y
12/19(水) 02:02 bTrbQovX0

从-∀从「・・・・・・」

( <●><●>)『そろそろです。準備はいいですか』

从-∀从「ああ。いいぜ」

( <●><●>)『本番五秒前。4・3・2・1』

ポーン・・・

从 ゚∀从「VIP中学校の皆さん、おはようございます。○月×日晴れ、朝の放送です。
     本日は年に一度、秋の学校祭準備の日です。怪我などに注意して、楽しく
     本番に向けて活動しましょう。朝の放送、高岡でした」


( <●><●>)『・・・はい、OKです。』



从 ゚∀从「ふぃー。久々だから舌噛みそうになっちまった」

(-_-)「・・・先輩・・・滑舌いいですね・・・声も通るし・・・ビックリしました・・・」

从 ゚∀从「お?そうか?猫被ったからな」

(*゚ー゚)「普段の先輩も素敵ですよ」

从 ゚∀从「やめろよww蕁麻疹が出るww」

( <●><●>)「高岡先輩のアナウンスは有名なんです。」

从 ゚∀从「たまにしか来ねぇからじゃねww」

(*-_-)「ぷっ」

(*゚ー゚)「ヤダもうwwわたし先輩に憧れてここに入ったのに」

从 ゚∀从「しぃの声は柔らかくてきれいだからな。た行の発音が悪いんだっけ?」

(*゚ー゚)「そうなんですよ・・・」

从 ゚∀从「喋りなれたら、大丈夫だ。」

(*゚ー゚)「・・・はい!」


从 ゚∀从「よし、体育館の点検行こうぜ。会長が疲労でくたばっちまうぞ」




ξ;゚⊿゚)ξ「あーもう!わたしは1人なのよー!!」

あっちこっちから呼ばれて、まさにてんてこ舞い状態のツンが絶叫していた。

从 ゚∀从「お疲れ」

ξ;゚⊿゚)ξ「高岡、お疲れ!大丈夫だった?」

从 ゚∀从「ああ。これ飲んで休んでろ。あとはオレと後輩でやっとくから」

ξ;゚⊿゚)ξ「サンキュー!すっごい喉渇いてたの!」

小柄な体でよく頑張ったぜ。

从 ゚∀从「ヒッキー!ワカッテマス!舞台の音響頼むな!オレとしぃはビデオセットするわ!」

(-_-)「はい」

( <●><●>)「わかってます」

从 ゚∀从「一階はいいんだ。ギャラリーに上がろうぜ」

しぃを伴って、階段を上がる。そこに二台置かれたビデオのひとつに彼女を招いた。

(*゚ー゚)「センパイ?」

从 ゚∀从「これ、さっき使い方わかんねえって言ってたビデオだろ?今オレが実際に使うから、見ててくれ」

(*゚ー゚)「・・・!はい!」

カメラの向き、ズームポイントと一緒に操作を教えてやる。
しぃはきちんと覚えたようだ。

(*゚ー゚)「ありがとうございます。正直、本当に使えるか不安だったんで・・・」

从 ゚∀从「ああ、わかんなかったら遠慮なく言えよ」

(*゚ー゚)「・・・ツンセンパイには、訊きづらくて・・・」

しぃの瞳が翳る。ピンと来た。

从 ゚∀从「自分でやってみてから言いなさい!・・・って言われたんだろ?」

(*゚ー゚)「は、はい!」

これが原因で、ツンと後輩の間には境界線のようなものがある。
オレが巧く間に入ってくれているおかげで助かる、と言うのがツンの口癖だった。

从 ゚∀从「ツンはよ。責任感が強いんだ。だからすぐテンパるし、つい口調もキツくなる」

(*゚ー゚)「・・・はい」

从 ゚∀从「けどよ、お前らに嫌われるような事ばっかしてるって泣いたんだぜ?アイツ」

(;゚ー゚)「えっ!?」

从 ゚∀从「きつい事言っても、慌ててるだけなんだ。だから悪く思わないでくれ。・・・な?」

(*゚ー゚)「わたし、ツンセンパイの事誤解してました。気をつけます」

从 ゚∀从「しぃがこうやってひとつひとつ色んなモノを覚えていったら、アイツも余裕が出来る。
     それでもアイツが怒鳴った時は・・・怒れ。その時、だけな。」

不登校のオレが言えた義理じゃないがな。

32:◆ITqALJqy5Y
12/19(水) 02:03 bTrbQovX0

从 ゚∀从「よォ、大将。全部終わったぜ。ヒッキー達もクラスの準備で戻ってった」

コンビニで買ってきた弁当を手渡す。予想より準備が長引いたのだ。

ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう!ホント、あんたが来なかったらと思うとゾッとするわ」

割り箸が軽快な音を立てて割れる。

从 ゚∀从「悪ぃな。ほとんど参加もしねえのに部に置いて貰っててよ」

ξ゚⊿゚)ξ「あら。わたし高岡と一緒だから頑張ってきたのよ」

ツンは食う時にすごく美味しそうな顔をする。
幸せそう、とでも言うのか。見ている方が笑顔になるような表情。

从 ゚∀从「オレも食べますかね・・・」

よく考えたらここ数日碌に食ってない気がする。
それでもカルビ弁当は譲らない。胃の泣き言は無視の方向だ。

ξ゚⊿゚)ξ「高岡ってお肉好きなのに太らないわよね」

从 ゚∀从「どうだろうな。内臓がひどい事になってるかも」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっとォ!食べてる時にやめてよ!」

从 ゚∀从「ツンだって太らないじゃねぇか」

ξ゚⊿゚)ξ「そんな事無いわよ・・・」

下らない雑談をしながら、弁当を食う。幸せだと思った。

ξ゚⊿゚)ξ「・・・ねぇ、高岡?」

从 ゚∀从「ん?」

ξ゚⊿゚)ξ「・・・クラスの手伝い・・・行かなくていいの?」

从 ゚∀从「ああ、ほっとけほっとけ。」

コーラを流し込む。オレの食事って完全にピザだよなあ。

ξ゚⊿゚)ξ「・・・兄者たちと・・・ケンカでもした?」

从 ゚∀从「・・・喧嘩、っつう訳じゃねぇけどさ」

ξ゚⊿゚)ξ「・・・・・・」

大きな目でじっと見つめられる。
クーよりも、長い付き合いのツン。オレの口から自然に話が出た。

从 ゚∀从「男と女の友情ってよ、幻想なのかもな」

ξ゚⊿゚)ξ「・・・・・・」

从 ゚∀从「オレのクラスは劇をやるんだ。ブーンが考えた話らしいんだけど、
     中学生がタイムスリップして、戦争時代に迷い込む」

ξ゚⊿゚)ξ「へえ!すごく面白そうじゃない!」

从 ゚∀从「それな。オレも出番があんだよ」

ξ*゚⊿゚)ξ「うっそー!早く教えなさいよ!何の役!?」

オレは傍らのバッグから、チラリと衣装を覗かせた。

ξ゚⊿゚)ξ「何よこれ・・・うちの制服・・・」

ツンの言葉は、次に出てきたスラックスに遮られた。

从 ゚∀从「オレの役。男子生徒」

ξ*゚⊿゚)ξ「あー・・・うん。似合う・・・わ。アリ!アリよ!」

クシャクシャとスラックスを押し込む。

从 ゚∀从「こんなナリだし、言葉遣いもおかしいし・・・まぁ当然か」

ξ*゚⊿゚)ξ「高岡背が高いから、きっとカッコいいわよ!」

ツンは本気でそう思ってくれているらしい。

从 ∀从「・・・だろ。・・・なのによ」

ξ゚⊿゚)ξ「・・・高岡?」

从 ∀从「ショボンに告られちまった」

ξ゚⊿゚)ξ「ッッ・・・!!」

ツンが息を飲む音がした。

ξ♯゚⊿゚)ξ「そんなの、高岡が悪い訳じゃないでしょ!クーがいるのにそんな事してくる
      ショボンが悪いのよ!第一、兄者の・・・親友の彼女でもあるのよ!!
      ふざけてるわ!!」

激昂。ツンらしいと思う。

从 ∀从「いや。オレにも何かしら原因があったと思うんだ」

ξ♯゚⊿゚)ξ「ばっ・・・」

从 ∀从「お前の時だってそうだぜ?思わせぶりな事してって言われたんだ。」

ξ゚⊿゚)ξ「・・・」

从 ∀从「なんかもう・・・全員に合わせる顔がねぇよ。もっとも・・・
     話したのはお前だけだけどな」

ペットボトルがバコンッと音を立ててへこむ。

ξ゚⊿゚)ξ「・・・堂々としてなさいよ」

从 ゚∀从「・・・・・・」

ξ゚⊿゚)ξ「胸張って兄者と一緒にいなさいよ!」

つ⊿;)ξ「誰が何と言おうが!!わたしから見ればお似合いよ!!」

从 ゚∀从「・・・バーカ・・・お前が泣いてどうすんだよ」

言いながら肩を抱いてやった。こんなちっさいクセして、中身はすげぇのな。

从 ゚∀从「そろそろ帰ろうぜ」

つ⊿;)ξ「・・・うん。誰にも、言わないから・・・」

从 ゚∀从「信用してるっつの」

いつの間にか体育館の中はオレンジと黒のコントラストになっていた。
こんなに長く学校に居たのは―そういや、久しぶりだ。

36:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:14 TcxfvMYQ0

川 ゚ -゚)「・・・・・・」

怒りに近い感情を覚えていた。

(´・ω・`)「・・・・・・」

無言で歩く家路。
ショボンは少し前に、私は少し後ろに。
ショボンは歩幅が広い。だから、私はすぐに置いていかれそうになる。
だというのに。
一度たりとも振り向こうともしない。

川 ゚ -゚)「・・・・・・」

ハインから最後の連絡が来たあの日から。
ショボンは私を共に帰ろうと誘わなくなった。
自分なりの精一杯の勇気を出して・・・私から誘ってみた。

ああ。

上の空、という形容詞がピッタリな返事。

あれだけハインに熱心に相談しておきながら、こんな態度を取るものなのか?
曖昧な苛立ちが体を重くして行く。・・・もう。歩きたく無い。

川 ゚ -゚)「・・・ショボン」

(´・ω・`)「ん」

川 ゚ -゚)「私は、向こうの家だから。」

(´・ω・`)「・・・ああ・・・送っていくよ」

川 ゚ -゚)「結構だ。」

私はさっさと背を向けて歩き出す。
ショボンは追って来なかった。T路地にぼんやりとしばらく立ち尽くした後、無言で自宅へと
踵を返していく。

また明日。ついにその言葉は出てこなかった。

乱暴に玄関のドアを開け放った。

川 ゚ -゚)「ただいま」

lw´-_-ノv「おねえちゃん・・・米・・・出来てる」

川 ゚ -゚)「いらん」

そのまま靴を脱ぎ、階段を走る。


川  -)「・・・・・・」

自室のドアを背にして、ずるずると座り込んだ。
鞄を放り投げる。

川  -)「・・・馬鹿みたいだ、私・・・」

勝手に舞い上がって。勝手に怒って。
今まで避けたのは・・・私の方なのに。
こんなに嫌な女だと・・・自分でも思わなかった。

37:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:15 TcxfvMYQ0

( ´_ゝ`)「・・・一足遅かったか」

職員室を出る。
朝の放送で高岡の声が聞こえた。来ている事に気づいていたが、生徒会長をしている身分では
中々思うように時間を取る事が出来ずに。
放送会の顧問に訊けば、「ついさっき帰っていった」との一言。

( ´_ゝ`)「・・・ツンは結構見かけたんだがな」

アイツも会長職だ。あちこち飛び回っていたのだろう。
今なら高岡とツルんでいるのではないかと思っていたが・・・

( ´_ゝ`)「タイミング悪いな。俺」

けれど、明日から学校祭の本番がはじまる。高岡は劇に出なくてはならないし、その前にも一度
HRでクラスに顔を出す事になるだろう。
その時に追求するしか無い。

( ´_ゝ`)「ショボンのヤツはクーと一緒に帰ってしまって話にならんしな・・・」

アイツ、念願の夢が叶ったというのに。
何故朝の放送の時の方が・・・嬉しそうな顔だったんだ・・・?

38:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:15 TcxfvMYQ0

学校祭本番。

从 ゚∀从「・・・・・・」

オレは体育館ギャラリー内の放送室に閉じこもっていた。

从 ゚∀从「逃亡者みてぇ。オレ」

昨日あれだけツンに励まして貰ったってのに、オレは結局クラスの中に入る事が出来なかった。
オレの隣の席が、兄者。
オレの前は、クー。
クーの隣は・・・ショボン。

从 ゚∀从「針のむしろってヤツだァァァ!!」

ソファーを蹴り上げて飛び降りる。

从 ゚∀从「やだねったら♪やだね♪」

機材の確認をする。全校モードにして、と・・・




『VIP中学校の皆さん、おはようございます。○月△日、朝の放送です。
 今日はVIP祭本番日です。来賓者の方が見えたらすみやかに席に案内して下さい。
 演劇や催しの開始時刻は午前10時からです。各クラスに配られた日程表通りに行動を
 して下さい。朝の放送、高岡でした』

(;´_ゝ`)「あらぁあああ!?」

俺は奇声をあげた。
え?何今の?

(;´_ゝ`)「だって俺が今いるところ・・・」

放送部だぞ?

ξ゚⊿゚)ξ「兄者、うるさいわよ」

(;´_ゝ`)「す、すまん。どうなってるんだ?ハインは部室の中にいないだろう?」

ξ゚⊿゚)ξ「さぁ。わかりかねます」

(;´_ゝ`)「・・・・・・」

この女、どうして俺にだけこんなに冷たいんだろう?

(;´_ゝ`)「・・・はっ!」

この学校で、もう一箇所放送が行える場所・・・

(;´_ゝ`)「体育館だ!」

ξ゚⊿゚)ξ「部外者の立ち入りは禁止しています」

(;´_ゝ`)「・・・ひゃい」

ハインのやつ・・・巧い事逃げ回るつもりか・・・!!



从 ゚∀从「・・・ま」

手の中で鍵を弄ぶ。

从 ゚∀从「せいぜい逃げ回らせて貰いますか」

39:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:16 TcxfvMYQ0

(´・ω・`)「・・・・・・」

良かった。高岡、今日も来てるんだ。

(´・ω・`)「HRも来ないつもりなのかなぁ」

劇に出演する時に、どうせ会うのに。
・・・会いたいのになぁ。


川 ゚ -゚)「・・・・・・」

40:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:20 TcxfvMYQ0

ξ゚⊿゚)ξ「あんた、逃げ回る事にしたの?」

从 ゚∀从「まぁな」

どの道学校祭の最中はこっちの部室に閉じこもるんだ。

ξ゚⊿゚)ξ「あ。2年生の劇だわ。」

从 ゚∀从「おk」

『続いてのプログラム、2年A組による「走れメロス」・・・』


(;´_ゝ`)「ああもう!」

すぐ上から声がするのに!

(*゚∀゚)「会長!来賓者の席足りないよ!」

(;´_ゝ`)「はぁい!!」

クソ忙しいんだよ!!





(´・ω・`)「・・・・・・」

(´<_` )「ショボン」

階段の踊り場で話し込んでいても、今の時間ほとんどの生徒が自由行動だ。誰も気にも留めない。

(´・ω・`)「なんだい」

(´<_` )「あのDQ・・・高岡からの返事は?」

(´・ω・`)「まださ」

(´<_` )「・・・何もったいぶってんだ、あの女・・・」

僕の恋を応援してくれる人間は―当然兄者の敵。

(´<_` )「しっかし、よくわからんねぇ。男どもは雁首揃えてあの女狙ってやがる。」

(´・ω・`)「・・・・・・」

(´<_` )「どこら辺に魅力を感じるのか理解出来ない」

(´・ω・`)「・・・弟者」

声が無意識に低くなっていた。

(´<_`;)「あ、ああ・・・すまん。いや、おれのクラスでも好きだってヤツがいるんだよ」

(´・ω・`)「・・・誰だい?」

(´<_` )「おれの後ろの席の・・・」

(´・ω・`)「・・・アイツか。」

41:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:22 TcxfvMYQ0

从 ゚∀从 「あー喉渇いた・・・連チャンで喋るのはキツイぜ・・・」

言いながら、衣装を着込む。このスラックスってヤツは中々履き心地がいいかも知れない。

(*゚ー゚)「センパイ、飲み物どうぞ」

从 ゚∀从「おっ!サンキュー!」

(*゚ー゚)「ツンセンパイも、どうぞ!」

ξ*゚⊿゚)ξ「えっ・・・あ、ありがとう!」

(*゚ー゚)「高岡センパイ、それが衣装ですか?」

从 ゚∀从「ああ」

ξ*゚⊿゚)ξ「似合うじゃない!」

(*゚ー゚)「楽しみです」

窓を開けて煙草を吸い出す。誰が置いたのか知らないが、ここには灰皿があるのだ。

从 ゚∀从「・・・・・・」

ξ゚⊿゚)ξ「高岡・・・喉潰れるわよ」

最初の頃は喧嘩になったが、今は何を言っても無駄だと悟ったらしい。

从 ゚∀从「枯れたらしぃが代役だ」

(*゚ー゚)「えっ!?」

从 ゚∀从「オレは次のアナウンサーに、しぃを選ぶ」

ξ゚⊿゚)ξ「・・・そう・・・そうね」

从 ゚∀从「しぃ。次の放送やってみろ。大丈夫。紙に書いてやるから」

(;゚ー゚)「で、でもわたし・・・」

从 ゚∀从「はじめてだから噛んだっていいんだ。けど、やらなきゃそれ以上絶対に巧くならねぇぞ」

(*゚ー゚)「・・・!」

さらさらと紙にペンを走らせる。読みやすいように、大きめに。

从 ゚∀从「次の劇は、オレのクラスだ。・・・カッコ良く頼むぜ?」

ξ゚ー゚)ξ「しぃちゃん。頑張って」

(*゚ー゚)「はい!」


『続いての催しは、3年生による、『夏雲』です』

( ´_ゝ`)「む?」

今の声・・・誰のだろう?
たどたどしいが、中々キレイな声だった。


拍手が鳴り響いて、ステージの奥の階段からハインが走り降りてくる。

「え?あの人誰?」

「かっこいい」

( ´_ゝ`)「・・・・・・」

一年生から嬌声が上がる。舞台の上、ハインの赤い髪が踊った。


从 ゚∀从「モナー!!」

(;´_ゝ`)「へ?」


何言ってるんだアイツ。そんな台詞じゃないだろ?


(;´∀`)「も、モナ?」

从 ゚∀从「オレが休んだらよー!!代役お前だったんだよなー!?」

(;´∀`)「そ、そうだモナー!!」


(;´_ゝ`)「・・・・・・あいつ」

まさか。

从 ゚∀从「交代だー!オレは出ない!!」


(;´_ゝ`)「やりやがった」

42:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:22 TcxfvMYQ0

言い終わると同時に、ハインは舞台を飛び降りた。外に出したシャツがめくれあがり、腹が覗く。
女子が奇声・・・もとい黄色い声をあげた。

从 ゚∀从「どけどけーーー!!」

バックステージの扉まで一気に走り抜けていく。ネクタイがはためいた。

( ^ω^)「・・・モナー。頼むお」

(;´∀`)「は、はいモナ!」

内藤先生は慌てるでもなく、モナーをステージへ上げる。
ハインはもう何処かへ走って行ってしまったようだ。

(;´_ゝ`)「フリーダム過ぎるだろ常考・・・何故内藤は怒らないんだ・・・」

劇が始まる。

夏休み、補修で学校へとやってきた三人の男子生徒たち。

場面が暗転して、凄まじい爆音が鳴り響く。

空襲警報。戦闘機の銃弾。

現代の中学生がいきなり戦時中に放り込まれる、という内容だ。

終戦記念日まで生き延びた彼らは、それをきっかけに現代へと戻る。
命の事について考えるようになる、という内容だった。

拍手が鳴り響く。
それこそ、地鳴りのような勢いで。


( ´_ゝ`)「・・・・・・好評のようだな」

ハインのヤツ、せっかく主人公枠だったのに・・・

( ´_ゝ`)「む?」

暗転した舞台のスクリーンが光り、テロップが流れ始めた。
その最後には・・・

( ´_ゝ`)「なるほど、な。」


『原作・高岡ハインリッヒ』

アイツが考えた話だったから出なかったのか。・・・恥ずかしくて。

( ^ω^)「・・・・・・」

内藤のヤツ、わかってたのか。

『これにて午前プログラムを終了します。つづいての休憩時間中はアーティストPVを放送します・・・』


(´・ω・`)「・・・・・・」

高岡が考えた話だったのか。
やっぱり彼女はすごい。
ほらね。こんなに拍手が鳴り止まないんだから・・・。

43:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:24 TcxfvMYQ0

(*゚ー゚)「はぁあ・・・き、緊張したぁ・・・」

从 ゚∀从「なんだよ、発音しっかりしたんじゃねぇか!」

ξ゚⊿゚)ξ「高岡!!アンタ、どうして黙ってたのよ!?」

ツンに詰め寄られる。おいおい、勘弁してくれよ。

从 ゚∀从「何の事でしょうか」

ξ*゚⊿゚)ξ「もう!あの劇の事よ!内藤先生じゃなくて、あんたが考えたんじゃない!」

背中をバシバシ叩かれる。いてぇよ馬鹿。

(*゚ー゚)「すっごい面白い話でした」

从 ゚∀从「ありきたりだけどな。」

ξ゚ー゚)ξ「・・・とっても良かったわ」

オレがドタキャンする事も想定の範囲内だったのか、一日目は無事終了出来た。


从 ゚∀从「あー、ネクタイ苦しい・・・」

ξ゚ー゚)ξ「似合ってるじゃん」

ツンと2人、廊下を歩く。

从 ゚∀从「職員室にこの制服返しに行かなきゃ・・・」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、誰かから借りたんじゃなかったの?」

从 ゚∀从「ああ、職員室にある展示を借りたんだ」

と。突然オレをカメラのフラッシュが襲った。

从;゚∀从「なんだなんだ!?」


(*‘ω‘ *) 「さっきの男の人だっぽ!」

('、`*川「こっち向いてください!」


ξ゚ー゚)ξ「・・・wwww」


从;゚∀从「オレは男じゃねぇ!!あ・・・わ、わたくしは女の子・・・あ゛ーーーもう!!」


おかげで、家に帰る道すがら・・・ずっとツンにからかわれっぱなしだった。

44:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:25 TcxfvMYQ0

二日目もオレは順調に逃げ切っていた。

劇が終わった後は、休憩時間になる。

从 ゚∀从「ヒッキーたちも準備出来たみたいだな」

時間中ビデオを上映する予定だ。観るか観ないかは自由で、その間に自由行動を取るヤツもいる。

(*゚ー゚)「じゃあわたし、ビデオのところに行って来ます」

从 ゚∀从「おう!」

ドアが閉じられ、オレはツンと2人きりになった。


ξ゚⊿゚)ξ「しぃちゃん、アナウンスに慣れたみたいね。」

从 ゚∀从「オレが卒業した後はあの子に任せようぜ」

ペットボトルのお茶を飲み干す。流石に喋ったあとのコーラはきつい。

ξ*゚⊿゚)ξ「あ、あのね」

从 ゚∀从「ん?」

ξ///)ξ「け、計画の事なんだけど・・・」

从 ゚∀从「おお。いつなんだ?」

ξ///)ξ「ご、五分後に西ギャラリーで、って言っておいた・・・」

从;゚∀从「随分急な話だな」

ξ///)ξ「い、忙しくて中々切り出せなかったのよっ!」

嘘が下手なヤツ・・・

从 ゚∀从「わかったわかった。んじゃ、行ってくるわ」

ペットボトルの中身を一気に飲み干して、立ち上がる。
ぐいっと袖が引かれた。

ξ゚⊿゚)ξ「・・・ごめんね」

从 ゚∀从「報酬は抜かりなくやれよ」

部室を出て、歩き出す。
上履きのゴム底が床でキュキュと音を立てる。なるほど西側の方のギャラリーは人気が少ない。

从 ゚∀从「ほぉー。ヒッキーたち頑張ったんじゃん」

ビデオはヒッキーたちがそれぞれの学年にアンケートをとって、上位だったアーティストのPV。
観ている奴らが結構いた。

从 ゚∀从「・・・・・・」

「おい」

背後から、突然男の声がかかった。

  _
( ゚∀゚)「何だよ、話って」

从 ゚∀从「・・・・・・」

冗談キツイぜ。ツン・・・

45:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:26 TcxfvMYQ0

从 ゚∀从「長岡・・・だったのかよ・・・」
  _
( ゚∀゚)「あァ?何訳わかんねぇコト言ってんだよ」

从;゚∀从「・・・・・・」

ヤバイ。頭が真っ白だ。

  _
( ゚∀゚)「さっさと話進めようぜ。お前、俺に告る気だったんだろ?」

从 ゚∀从「・・・はっ?」

違う。そうじゃなくて・・・ツンだ。
けど・・・言えない。コイツに・・・!!

  _
( ゚∀゚)「体育倉庫行くか。」

从;゚∀从「な・・・」
  _
( ゚∀゚)「ヤろうぜ?」

まずい。まずい。どうすればいいんだ。クソったれ、誰なのか確認すりゃ良かった・・・!!

(♯´_ゝ`)「コラ、長岡」

从;゚∀从「!!」

ああ・・・多分、バッドタイミング。





(♯´_ゝ`)「お前、人の彼女に何の用だよ」
  _
( ゚∀゚)「は?馬鹿言え。こっちが呼び出されたんだよ」

从;゚∀从「・・・ッ」

どうする。

(♯´_ゝ`)「もう少しマシな嘘を吐け。お前の事がハインは大嫌いなんだよ」
  _
( ゚∀゚)「うはwww言ってくれんじゃん?けどマジだぜ。事実」

从;゚∀从「ちがう、オレは話があって・・・」

話?・・・ツンがお前の事好きだって・・・?

( ´_ゝ`)「ハイン。話ってのは何なんだ?」
  _
( ゚∀゚)「おま、邪魔www消えろwww」

(♯´_ゝ`)「テメェはすっこんでろ。俺はハインに訊いてるんだ」

兄者と長岡はメチャクチャ仲が悪い。
今だっていつ掴み合いになってもおかしくない状態だ。

从; ∀从「・・・・・・」

( ´_ゝ`)「ハイン?」

46:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:27 TcxfvMYQ0

( ,,゚Д゚)「おい、何だあれ?」

(;・∀・)「・・・また揉めてる・・・みたいだけど」

( ,,゚Д゚)「・・・昨日の劇に出てた・・・高岡か?」


数人の生徒が集まってきた。

  _
( ゚∀゚)「高岡はオレに告ろうとしてたんだよなあ?」

从;゚∀从「だからちがうっつってんだろ!」
  _
( ゚∀゚)「じゃあ何だよ?こんなところに2人きりになるように呼び出してさ」


(’e’) 「・・・修羅場ってヤツ?」

( ^Д^) 「ヤリマンハインにとうとう捨てられんのかwww兄者www」


ダメだ。絶対コイツとツンを付き合わせる訳には行かない。
でも・・・その理由が・・・言えない・・・!!


川 ゚ -゚)「?なんだあの人だかりは」

珍しい。あのギャラリーに生徒がいるなんて。

川 ゚ -゚)「一体何をして・・・」


从 ∀从

( ´_ゝ`)
  _
( ゚∀゚)



川;゚ -゚)「!!」

眩暈がして、思わず手すりを掴んだ。

川;゚ -゚)「な・・・がおか・・・」

心臓がざわめき出す。どうしてあの三人がいるんだ。
嫌だ。アイツの顔なんか2度と見たくなかったのに・・・!!


ξ;゚⊿゚)ξ「やだちょっと・・・遅いと思ってきてみれば・・・」

川;゚ -゚)「ツン!?」

ξ;゚⊿゚)ξ「クー・・・」

川;゚ -゚)「何なんだあれは。お前は知っていたのか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「し、知っているも何も・・・私が頼んだのよ。私が長岡を好きだって、伝えてって・・・」

川;゚ -゚)「!!」

状況が読めた。
ハインは多分、相手が長岡だと知らずに引き受けた。親友のツンをアイツと付き合わせる訳にはいかない
が、その理由は言えない。・・・ダンマリを決め込む事にしたのだろう。

川;゚ -゚)「まずい。とりあえず止めないと・・・っ」
背後を誰かがすり抜けた。長身のシルエットが過ぎる。

(´・ω・`)

ショボンだ。

47:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:28 TcxfvMYQ0

  _
( ゚∀゚) 「さっさとしてくれよ。オレ疲れたんだけど」

(;´_ゝ`)「ハイン?お前、本当に長岡の事が好きになったのか?」

从 ゚∀从「・・・・・・」

(´・ω・`)「ちょっと。勝手に話を進めるのはやめない?」

从 ゚∀从「!」

(;´_ゝ`)「ショボン!」
  _
( ゚∀゚)「ああ?・・・お前が、ショボンってヤツなのか?www」



( ,,゚Д゚)「・・・よくあの中に入っていけたな、アイツ」

( ・∀・)「兄者の親友らしいよ。」


ギャラリーうっせぇよ。散れ。

(´・ω・`)「僕も高岡の事が好きなんだけど。」

(;´_ゝ`)「!!」

从 ∀从「ッ」

ξ;゚⊿゚)ξ「ばっ・・・馬鹿・・・!!」



川 ゚ -゚)



  _
( ゚∀゚)「く・・・はははは!!クー捨てられてやんの、哀れwwww」

(;´_ゝ`)「ショボン!何言ってるんだ!?正気か!?」

(´・ω・`)「正気さ。兄者に渡すのも気に入らないけど・・・そこの馬鹿はもっとムカつくからね」
  _
(♯゚∀゚)「あぁ!?なんだと!?」

(´・ω・`)「黙ってろ。ぶち殺すぞ」

(;´_ゝ`)「どうして話をややこしくするんだ、お前は!!」

(´・ω・`)「違うよ。高岡にはもう何日も前に告白してたのさ」

(;´_ゝ`)「なんだと!?」

(´・ω・`)「早く返事が欲しくてね。高岡。答えは?」

从 ∀从「・・・・・・」




ξ;゚⊿゚)ξ「何よこれ・・・メチャクチャじゃない・・・」

川  -)

お前もか、ショボン。

48:◆ITqALJqy5Y
12/20(木) 00:29 TcxfvMYQ0

( ^Д^)「いいぞ、やれやれ!www」

( ,,゚Д゚)「おい!煽るな!!」

( ^Д^)「賭けようぜwww高岡が誰に乗り換えるかwww」

ξ;゚⊿゚)ξ「高岡!!もういいわよ、私が直接・・・」

从 ∀从「ダメだ!!」

ξ;゚⊿゚)ξ「・・・・・・」

从 ∀从「・・・お前と長岡を付き合わせる訳には・・・いかねぇんだよ・・・」

  _
( ゚∀゚)「んだよ?オレを好きなのってツンだったの?うはwww無理無理www」

つ⊿;)ξ「・・・・・・」


ξ;⊿;)ξ「高岡の・・・裏切り者・・・!!」


从 ∀从「・・・・・・」

ああ、ツンが行っちまった。報酬ナシだぜ?厳しいよなぁ・・・


川  -)「・・・・・・」

人込みから背を向けて歩き出す。

悪いな、ハイン。私をかばったばかりに。
でも。・・・ショボンの事が・・・許せない。

ショボンの事が・・・私は・・・こんなにも、好きだったんだ・・・

55:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 00:39 US8OKFKV0

「高岡、どうすんだよ!?」

うるさい。

「ショボンの方がイケメンだよね」

うるさい。

「お前ぐらいヤリマンなら、長岡の方が合ってるんじゃねwww」

うるせぇんだよ。黙れ。


(  _ゝ)


从 ∀从

オレたちを、そんな目で見るな。

56:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 00:39 US8OKFKV0

从-∀从「・・・・・・」

どうやって家に帰ったのか、思い出せない。


兄者本人は何て言ってた?

思い出せないのか。・・・無言だったのか・・・。

从-∀从「・・・・・・」

どうすりゃいいんだよ。
電話するか?一人一人に。

ツンに何て説明する?言えるか?

長岡とクーの事を。

クーに電話するか?

オレは好きじゃないから安心しろ・・・って?


从 ∀从「無いな」

どれもこれも、オレの口から言える話じゃない。
完全に手詰まり。チェック・メイトだ。

从 ∀从「・・・3年生になったら♪3年生になったら♪」

友達、全員、失った。

57:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 00:40 US8OKFKV0

ξ ⊿)ξ「・・・・・・」

このぐちゃぐちゃの紙袋、何かしら。

・・・ああ。高岡に作ってあげたクッキーだった。

ξ ⊿)ξ「・・・どうして、よ」

『長岡と付き合わせる訳にはいかない』

何よあの台詞。・・・全員に好かれていたいって事?
ちゃっかり兄者は彼氏にしておいて。
他の男の子からもチヤホヤされて。

私の気持ちを無視して。

ξ;⊿)ξ「・・・・・・ッ」

また涙が出てきた。息が詰まる。
どうして急にそんな事になったの?相手が長岡だって知った途端、気が変わったの?

ξ;⊿)ξ「最低よ」

58:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 00:40 US8OKFKV0

川 -)「・・・・・・」

教室に戻った後、質問攻めされていたハイン。
助け舟を出さなかった私。

いい気味だ、なんて笑えなかった。重苦しい固まりが胸につっかえて、たまらなく。

悪いのは彼女じゃない。責めるべきは・・・誰だ?
ショボン。・・・私。
何も分かり合おうとしてなかった―私たち。

川 -)「・・・バラせば・・・良かったのに」

屋根から音が鳴る。雨が降り出したようだ。

あの日と同じ、薄暗い空の日。

川 -)「・・・・・・」


  _
( ゚∀゚) 『オレら付き合ってるんだぜ』

一年の時に

川 ; -;)『嫌だ!!』

私が
  _
( ゚∀゚)『この倉庫誰も来ねぇんだよ』


川 -)


長岡としていた事を。

59:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 00:41 US8OKFKV0

(♯´_ゝ`)「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

(´・ω・`/)「ぐ・・・っ」

ガキの頃、いつもこの公園で遊んだものだった。こいつと。

(♯´_ゝ`) 「立てよ!!」

胸元を掴み上げる。

(♯´_ゝ`)「お前、自分が何をしたかわかってんのか!!」

(´・ω・`/)「がっ!!」

頬に一発。
喧嘩ははじめてじゃない。けれど。親友を殴ったのは、はじめてだった。

(♯´_ゝ`)「ハインも!クーも!」

二発。

(♯´_ゝ`)「どっちも苦しめて、楽しいか!?」

そのまま突き飛ばした。
ぐちゃ、とぬかるんだ音を立ててショボンの制服が泥に塗れる。
いつの間にか雨は本降りになっていた。

(´・ω・`メメ)「・・・好きな人が・・・変わっただけさ」

(♯´_ゝ`)「ふざけっ・・・!?」

顔面めがけて泥が跳ねる。両腕で塞いだ視界に衝撃。

(; _ゝ)「グッ!!」

背中から泥に突っ込む。マウントを取られた。

(♯´・ω・`メメ)「自分でもわかってるさ!クーに悪い事ぐらい!!」

襟首を捕まれて怒鳴られる。握った拳の中で砂利の感触がした。

(♯´_ゝ`メ)「わかっててやった方が性質が悪いだろうが!!」

(♯´・ω・`メメ)「好きな気持ちって我慢出来るものなのか!?
        僕は出来なかった!!君だってそうじゃないのか!?」

(♯´_ゝ`メ)「・・・随分偉そうな事言うようになったな。クーの時はあれだけ行動を起こせなかった癖に」

(♯´・ω・`メメ)「そうさ!だから思った!高岡に対する気持ちが本当の恋愛感情なんじゃないかって!!
        兄者が周りに何を言われても彼女と別れないように!!」

(♯´_ゝ`メ)「・・・・・・」

60:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 00:43 US8OKFKV0

土砂降りの中、俺たちの体が濡れていく。視界は最悪だ。目が巧く開かない程に。

(♯´_ゝ`メ)「・・・よく分かってるじゃないか。その通り、俺はハインと別れるつもりは無い」

(♯´・ω・`メメ)「高岡が決める事だろう」

(♯´_ゝ`メ)「アイツは俺を選ぶ。クーを絶対に裏切れないから」

(♯´・ω・`メメ)「クーが納得したら?」

(♯´_ゝ`メ)「俺が納得しない!!」

襟元の手が緩んだ。
ショボンがゆっくりと立ち上がる。

(♯´・ω・`メメ)「・・・僕も納得出来ないね」

親友だという言葉が吹っ飛ぶには、充分過ぎたのかもしれない台詞。

(♯ _ゝメ)「・・・いい加減にしろよ。お前がハインを好きな理由って何だ?
       学校で流れてる噂を鵜呑みにしてるからじゃないのか!!」

(♯´・ω・`メメ)「違う!!高岡がそんな事をしているのが我慢出来ないくらいさ!!」

言ってくれるじゃあないか。俺が、言いたくても、いつも押し込めているその言葉を―

(♯ _ゝメ)「・・・じゃあお前は・・・救えるんだな?今すぐ!ハインを!!」

慟哭に近かった。俺が悩み続けていた事を、小石のように見るショボンが、許せなくて。

(♯´・ω・`メメ)「君よりは守れると思うけどね。」

(♯ _ゝメ)「ッ!!」

もう一発。胸元をどん突いた。

(´・ω・`メメ)「げほっ・・・」

(♯ _ゝメ)「お前はハインに同情しているだけだ。それと同じ努力をクーにしていれば、
      もっと違った結果が見えたかも知れないのに」

(´・ω・`メメ)「・・・クーに出来ない努力を、高岡にするのさ」

(♯ _ゝメ)「馬鹿言え。クーの不幸の上にそんな都合のいい話が成り立つか」

空が青く光る。刹那、雷鳴が轟いて雨が一層激しくなった。
てっぺんから爪先まで全部が水浸しで、背筋が凍りそうなほど冷たい。
なのに。俺の頭の中は冷めない。

(´・ω・`メメ)「君に信じて貰う必要性は無いよ。全ては高岡次第だ」

(♯ _ゝメ)「・・・まず、クーに話を通すのが最低の礼儀じゃないのか」

怒りだ。声が掠れて、上擦っているのは。


(´・ω・`メメ)「・・・僕らって付き合ってたの」


空に閃光。まるで世界ごとひび割れたような錯覚すら起こすほどの。


(´・ω・`メメ)「電話をすればつまらなさそうに切られる。帰ろうと誘えば無視。
       ・・・2人きりになった事すらない。それって、付き合ってるって言うの?」

淡々と紡がれる、彼の初恋への別離は。


(♯ _ゝメ)「・・・お前が怒らないからだろ?・・・俺やハインに泣き言を言うだけで、
       クー本人に一度でも本心をぶつけた事があったか?」

何か音がした。

(´・ω・`メメ)「そうだよ。僕らは恋人ごっこだったのさ」

ショボンの、薄っぺらい・・・張り付いたような笑い声。

(♯ _ゝメ)

くだらない。全部。

今すぐこの雨と一緒に記憶から洗い流されてしまえばいいのに。

61:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 00:45 US8OKFKV0

从 ゚∀从「オヤジ」

仕切り越しに手の平をあてがう。

('∀`) 「ああ、また来てくれたのか?」

オヤジはここ数日調子がいい。笑顔なんていつ以来だった?

从 ゚∀从「なぁ、オレ・・・」



('∀`)「ねぇ君、俺の娘を知らないか?」



从 ゚∀从「・・・・・・」

('∀`)「とっても可愛いんだ。ひとり娘でね。目に入れても痛くない程だよ」


从 ゚∀从「なに、言って・・・」


('∀`)「ハインリッヒって言うんだ。男っぽい名前だろう?」


オレは・・・ここにいるじゃないか?


('∀`)「今年で八歳だったかな。おてんば盛りでちょっと我侭だけど・・・自慢の娘だよ」

从-∀从「・・・・・・」


*(‘‘)*「ハインちゃん・・・」


从 ゚∀从「・・・おっさんの娘は、幸せ者だな」

('∀`)「はは。違うよ。俺が幸せ者なのさ」

从 ゚∀从「そのうち、遊びに来るって」

('∀`)「ふふ。」



从 ∀从


オヤジ、幸せそうだ。良かった。
だから。

8歳のオレの亡骸を、ママと一緒に道連れにしてくれ。

恥ずかしくて―『お母さん』と呼び出す前の―あの頃のオレを。

62:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 00:46 US8OKFKV0

( ^ω^)「阿部」

(´・ω///) 「・・・はい」

( ^ω^)「流石」

(□´_ゝ`) 「はい」


(;^ω^)「・・・お前ら、その顔どうしたんだお?」

(□´_ゝ`)「御法度野郎にやられました」

(´・ω///)「唐変木に襲われました」


(;^ω^)「?・・・欠席は・・・高岡と素直かお」


ヒソ…やっぱりあの2人…


( ^ω^)「こら、そこ!私語を慎みなさいお!」

欠席した2人と、怪我をしている2人。
あれは・・・付き合っているグループじゃないかお・・・?

63:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 00:46 US8OKFKV0

(´<_` )「・・・・・・」

机に書き殴られた、『寝取られブラザーズ』の文字を擦る。
ほらな。双子ってだけでこういう扱いを受けるんだよ。

  _
( ゚∀゚)「クク」

(´<_` )「・・・・・・」

犯人はお前だろう?こんな汚い字じゃバレバレだ。

兄者が泥まみれの腫れあがった顔で帰ってきたあの日。
反吐が出そうだった。
学祭の騒動からすぐ後のことだ。気づかない方がどうかしてる。

ショボンの野郎とあの女の事で殴り合いになったのだろう。

馬鹿げてる。全く、馬鹿げてる・・・

  _
( ゚∀゚)「あれ~?弟者君?ひどいラクガキだなあ~」

(´<_` )「ああ。本当にな。書いた奴はよっぽど頭が足りないんだろうよ」

長岡はヘラヘラと笑みを崩さない。
これがひとつの血を分かっている証拠なのか。おれもこいつの事が好かないのは。
  _
( ゚∀゚)「オレが手伝ってやるよ」

だらだらと墨汁が机を流れ落ちて、おれの上履きにどす黒い模様を作っていく。

(´<_` )「・・・・・・」
  _
( ゚∀゚)「ホラ見てみ?全部真っ黒になってラクガキが消えたぜ?」

ドッとクラス中から笑いが巻き起こる。
  _
( ゚∀゚)「あれ?ウケた?オレ鬼才wwww」


(<_  )


(<_  ♯)「うあああああああああああああ!!!」

 _  
(;゚∀゚)「おっ!?」

胸倉を掴み上げて、後ろへと力任せに押し付ける。

 _
(; ∀)「ぐっ!!」

ひどく耳障りな音がして、ロッカーがへこんだ。

  _
(♯゚∀゚)「・・・にすんだコラァァァ!!!」

(´<_`♯)「黙れ!!」

長岡の腕がおれを絡めとり、次の瞬間衝撃とともに目の前が眩んだ。

(<_ ;)「が・・・」

頭突きを喰らったらしい。額にビリビリと痛みが駆け抜ける。

  _
(♯゚∀゚)「おぅらああああ!!」

(´<_`♯)「ああああああ!!!」

掴み合い、もつれ合ううちに机の中へ雪崩れ込んだ。
木とパイプ両方に痛めつけられてなお床を転げ回り、怒鳴り散らす。

/ ,' 3「お前たち!!何をしとるか!!」

担任が走りこんでくる。

  _
(♯゚∀゚)「前々から気に食わなかったんだよテメーはよォ!!」

(´<_`♯)「こっちの台詞だ!!!」


  _
(♯゚∀゚)「所詮テメーは、アニキの出来損ないじゃねぇかよ!!」


(<_  )



おれの何かが千切れた。



(<_ ♯)「あぁあああ!!」

長岡が抵抗も出来ずにおれに殴られていく。墨汁と鼻血が拳の上で混じりあった。

<;ヽ`∀´>「こら、2人とも止めるニダ!!」

荒巻1人の手に負えずに、体育教師のニダーがおれを押さえつける。

(<_ ♯)「離せ!!離せよ!!あぁあああああ!!!」

なおも腕を振り回し、逃れた瞬間に長岡の顔面を殴打する。

(<_ ♯)「おれは!出来損ないなんかじゃねぇえええ!!!」

長岡が遠ざかっていく。違う。おれだ。力任せに引き剥がされた。

(<_゚ ♯)「コイツを殺させてくれよぉおおおお!!!」

狂犬のような鳴き声を張り上げた。

64:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 00:48 US8OKFKV0

(´・ω///)「・・・・・・」

天は僕に味方したようだ。

キィ・・・

あの日から固く閉ざされていたドアが、ゆっくりと開く。赤い髪。

(´・ω///)「やぁ」

从 ∀从

高岡に先に2人きりで会えたんだから。


从 ∀从「・・・何の用だよ」

(´・ω///)「会いたかったんだ。」

从 ∀从「・・・誰に?」

(´・ω///)「高岡に」

从 ∀从「・・・・・・」

高岡はくるりと僕に背を向けて、部屋の中へと行ってしまう。

(´・ω///)「・・・高岡?」

返事が、無い。

(´・ω///)「・・・入るよ?」

靴を脱いで、一歩踏み入れる。やはり返事は無かった。



从 ∀从「・・・・・・」

高岡は無言のまま、カーテンを閉め切った部屋で三角座りをしていた。

(´・ω///)「・・・・・・」

从 ∀从「死んだよ」

突然、ポツリと、一言だけが。

(´・ω///)「え」

从 ∀从「・・・・・・」

再び黙り込んでしまう。すう、と指先が伸びた。
その先には・・・

(´・ω///)「!」

二匹仲良く寄り添う様に、目を閉じたハムスター。

携帯が鳴り出した。高岡のだ。
着信は兄者。

(´・ω///)「・・・出ないの?」

出て欲しく無いのに、出たらすぐ奪って切ってやるつもりなのに、僕は訊く。
高岡は答えない。

音楽が止まり、息が止まりそうな程の静寂が部屋を覆い尽くした。


从 ∀从「・・・なんでだ」

(´・ω///)「・・・・・・」

从 ∀从「何でお前が来るんだよ」

(´・ω///)「・・・・・・」

从 ∀从「どうして兄者が直接会いに来ないで電話なのに、お前がオレの前にいるんだ」

(´・ω///)「・・・高岡」


(´・ω///)「来れないんだ。彼は」

从 ∀从「・・・・・・」

(´・ω///)「今日、彼の弟が暴力沙汰を起こしてね。当分外出禁止だそうだ。・・・2人、仲良く、ね。」

僕はいつからこんな挑戦的になった?
クーの頃からは想像がつかない。高岡を見ていると、抑えきれ無い程の感情が溢れ出す。

从 ∀从「・・・その隙に、オレに会いに来たのか」

(´・ω///)「・・・そうだね。その通りだ」

从 ∀从「・・・・・・」

高岡は一度も目を合わせない。
何を考えているのだろう。僕が疎ましい?兄者の事?それとも。

从-∀从「・・・・・・」

音も立てず立ち上がる。両腕が交差して・・・

(;´・ω///)「!?」

トレーナーが無造作に床へ落ちた。

(;´・ω///)「高岡?」

シャツが。

(;´・ω///)「何をしてるんだ!」

ズボンが。

( 从从「・・・・・・」

後姿は、完全に下着。

(;´・ω///)「う・・・ぁ・・・」

酸欠の金魚のように、意味もなく僕の口が言葉を求めて動く。

パサ。

とうとう下着までも外されて。
高岡の白い肌が目を射る。

( 从从「・・・おい」

(´・ω///)「・・・・・・」

動けず、へたり込んだままの僕へと、彼女は向き直った。

从 ∀从「ショボン」

彼女は、一体どんな表情をしているのだろう。

(´・ω///)「・・・・・・」

例えば。クーと丁度対照的であろうその体。

浮き上がった鎖骨。

小さな胸。右側にホクロ。

垂直と言っていい程、膨らみが全くない腹部。骨盤が連なり、真ん中に小さく覆われた場所。



从 ∀从「お前、オレを抱いてみろよ」



高岡の呟きが零れ落ちた。

65:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 01:07 US8OKFKV0

(□´_ゝ`)「・・・・・・」

20回目のコールで、留守電の無機質な音声が流れ出す。

(□´_ゝ`)「・・・どうして出てくれないんだ?」

突然携帯が奪い取られた。

(□´_ゝ`)「っ!!」

(´<_`メ)「いつまで女々しい真似をしている」

弟者だった。

(□´_ゝ`)「返せこのッ・・・!!」

(´<_`メ)

すり抜けた手の向こうで、携帯からおかしな音がした。

(□ _ゝ)「・・・・・・」

(´<_`メ)「あんたには、過ぎたオモチャだったな」

かからない。何度いじっても。

(´<_`メ)「ムダだよ。あんたはPCは使えても携帯オンチだろうが」

(□ _ゝ)「・・・・・・」

言い返す気力も無い。ショボンも、コイツも、クーも、皆狂ってしまった。

(□ _ゝ)「・・・何故ここまでハインを嫌う?」

(´<_`メ)「醜いから」

即答。迷いの欠片から見られない。

(□ _ゝ)「・・・お前がハインの何を知っているというんだ?」

(´<_`メ)「誰が見たってあの女は異常だろう?何故短期間に男があんなに群がるかわからないのか?」

(□ _ゝ)「可愛いからだろ」

(´<_`メ)「馬鹿が感染ったか?あの女の魅力はただひとつ。させてくれるから。だ。」

ドッ!!

(□ _ゝ)「・・・・・・」

パラパラと破片が零れ落ちる。弟者の顔ギリギリ、背後の壁に拳が吸い込まれた。

(´<_`メ)「・・・・・・」

顔色ひとつ変えない。
昔は分かったはずだ。この張り付いた能面の向こうの感情が、手に取るように。

(□ _ゝ)「お前が言っている高岡ハインリッヒは、悪魔だ」

(´<_`メ)「・・・今更気づいたのか」

(□ _ゝ)「学校の、無責任な噂話が創り出した・・・架空の化け物だよ」

(´<_`メ)「いい加減にしろよ。それこそがあんたの妄想だ」

(□ _ゝ)「お前が繰り返すハインって女は何者だ?薄っぺらい。実体が無い。」

(´<_`メ)「貴様・・・」

(□ _ゝ)「一度でも本人と喋ったか?2人きりで会った事があるか?アイツが料理好きな事は
      知っているのか?面倒見がいい事は?」

止まらない。

(´<_`メ)「それがどうしたっていうんだ!!」

(□ _ゝ)「ハインに人を好きになる資格が無い事。愛される資格が無い事。それは、誰が決めたんだ?」


沈黙。



(´<_`メ)「世界だよ」



(´<_`メ)「あの女は」

(´<_`メ)「生まれてくるべきじゃなかった」



( <_ メ)「あんたは、エリートになって、人より恵まれた将来を約束されているくせに」

( <_ メ)「自らハンデを背負って生きて・・・楽しいか?」


声が震えていた。


( <_ メ)「そういう行為が」

( <_ メ)「おれや、あの女に取って」

( <_ メ)「どれ程屈辱的な事か・・・わかっているのか?」

握り締めた拳に血管が浮き上がる。

(□´_ゝ`)「・・・何を言って・・・」

( <_ メ)「あの女も言われているんだろ?」

( <_ メ)「『兄者には、取るに足らない女だ』と」

(□´_ゝ`)「弟者?」


( <_ メ)「エリートなのに」

( <_ メ)「出来損ないばかりに囲まれて、可哀想に・・・」

(□´_ゝ`)「・・・・・・・」

ポタリ。

見間違いじゃなかった。弟者は、泣いていた。

( <_ メ)「おれがあんたの弟である事。あの女があんたの彼女である事」

( <_ メ)「それだけでおれたちは罪だ」

( <_ メ)「・・・そういうおれたちに、自己犠牲のフリをして近づくお前は・・・」

反射的に耳を塞ごうとして、言葉が鼓膜に捻りこまれた。

( <_ メ)「ただの偽善者だよ。自己満足の、かたまりだ。」

66:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 01:08 US8OKFKV0

(´・ω///)

高岡の体の上に跨って、顔を見下ろす。
はじめての事だった。
兄者は何度この角度で彼女を見つめたのだろう。
どんな言葉を囁きかけていたのだろう。

从 ∀从

長い前髪に隠れて、高岡の目が見えない。
通った鼻梁、薄く横長の唇。

顎に指先を添えて、口付けようとした。

頭が真っ白になっていく。心音だけが耳を打つ。
顔が熱くなっていって、次第に息が速くなるのがわかった。

触れるか触れないかの刹那。

从 ∀从「そこは、一週間前レイプされた時に突っ込まれた場所だ」

冷たい高岡の声が、僕の背筋を凍らせた。

(´・ω///)

从 ∀从「そこは、何人のおやじにナメられたかわかんねぇな」

高岡の声は続く。

从 ∀从「そこは、ムチだかでスパンキングされまくって筋がイカレてる」

从 ∀从「そっちは・・・」

髪の先から爪先まで。
高岡は淡々と「そこを通り過ぎた男」の話をした。

僕はゆっくりと視線を上へと移動させる。

从 ゚∀从

高岡の目に僕の引き攣った顔が映っていた。


从 ゚∀从「兄者は」

从 ゚∀从「オレの息が止まりそうな程キスをした」

从 ゚∀从「兄者は」

从 ゚∀从「何も残って無いこのオレを何度も抱いた」

(´・ω///)「僕は・・・」

从 ゚∀从「ショボン」

从 ゚∀从「オレの体、今のお前にはどう見える?」

(´・ω///)

掌で支えていた体重を倒して、高岡を抱き締めた。
折れそうな、頼りない肩に腕を回して。

从 ゚∀从「オレの体には」

从 ゚∀从「見えないけど、傷がある」

从 ゚∀从「多分」

从 ゚∀从「頭ん中は、もっと酷い」

(´;ω///)

強く結んだ腕が、すり抜けそうな程細く。
僕はただ泣いて
どうして抱く事が出来ないのかと


从 ゚∀从「もう、どうでもいい」


(´;ω///)「高岡・・・たかっ・・・か・・・っ」

嗚咽がこみ上げて、赤髪が濡れる。

(´;ω///)「ゴメンッ・・・ごめ・・・」

違うんだ。こういう事を望んでいたんじゃない。
君があまりに笑う時が幸せそうだったから。
そのまま留めておきたかった。
こんな、人形のように虚ろな顔をさせるつもりは、なかったのに。

从 ゚∀从「・・・お前、誰が好きなんだ?」

从 ゚∀从「クーじゃない?オレでも無い?」

从 ゚∀从「ああ」

从 ゚∀从「自分が一番好きなのか」


(´;ω///)「――ッ!!」





高岡は、もう僕には、・・・笑ってくれない。

67:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 01:54 US8OKFKV0

从 ∀从「・・・痛く、ない・・・」

カミソリが転がり落ちて、血を振り撒いた。

何も痛くない。
暑いのも、寒いのも、全てが消えた。

从 ∀从

ああ、いいや。
オレは最高の人生だったじゃねぇか。

オレの事を誇りに思う父親がいた。

オレを愛してくれる男がいた。

オレを友達だと言ってくれるヤツがいた。

オレを信じてくれる教師がいた。

みんな、オレと一緒に笑ってくれた。

从 ∀从

みんなが大好きだ。オレ。
本当に。大好きだ。

だから、オレが消えれば。
またみんな、笑ってくれるよな?

68:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 01:57 US8OKFKV0

そう、わたしはわかったんだ。あなたを地に引きずり下ろしてしまったことを。

わたしはずっと自分を偽りつづけてきた。

あなたとだけ一緒に生きていける、などと思ったりもした。

でも、抱えた傷と痛みをとおして、ようやく認めるべきときが来たんだ。

あなたが愛しているこの世界は、至高の世界だということを。



だからこそ、悲しいことだけれど、わたしが為すべきことは、

それに終止符を打って、永遠に旅立つことだと思う。

起きてしまったことは、仕方がない。眩暈がする。

ああ、かつてあった幸せと、いまここにある悲しみ。

わたしはもう決して愛することはない、世界は終わろうとしている。



時間を元に戻せたらいいのにと思う。

だって、今や、わたしは罪を一身に背負っているのだから。

あなたの愛する人たちから信頼されるようでなければ、生きるに値しない。

わたしたちは起きてしまったことを、なかったことにはできないし、

なおかつあなたが愛と誇りを捨てることはないだろう。

そのことが、わたしの心を内側から切り裂く。



すべては無に還る。

すべては崩れゆく、崩れゆく、崩れゆく。

すべては無に還る。

わたしはそこにずっと横たわる、横たわる、横たわる。



わたしは悟ったの。

わたしはもう愛することができないし、すべてを失ってしまった。

わたしにとって大事なこと、この世界の諸々を。



時間を元に戻せたらいいのにと思う。

だって、今や、わたしは罪を一身に背負っているのだから。

あなたの愛する人たちから信頼されるようでなければ、生きるに値しない。

わたしたちは起きてしまったことを、なかったことにはできないし、

なおかつあなたが愛と誇りを捨てることはないだろう。

そのことが、わたしの心を内側から切り裂く。



すべては無に還る。

すべては崩れゆく、崩れゆく、崩れゆく。

すべては無に還る。

わたしはそこにずっと横たわる、横たわる、横たわる・・・。




和訳・甘き死よきたれ

69:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 01:57 US8OKFKV0











10月5日。

高岡が、死んだ。
父親の入院する病院から飛び降りて。

70:◆ITqALJqy5Y
12/21(金) 02:04 US8OKFKV0

川  -)「・・・・・・」



川  -)「私は・・・」

ショボンに、汚れていると思われたくなかった。
その意味を裏返して考えた事などなかった。
あの時の私の告白を、君はどんな気持ちで聞いていたんだろう、と。

ハイン。君を一番蔑視していたのは・・・私だった。






(  _ゝ)「・・・・・・」



(  _ゝ)「俺は・・・」

本気でハインを愛していた。
誰に後ろ指をさされ様と、傍に居たかった。
俺に力がついたその日には。

過去の事など関係無いと、彼女を笑わせる事が出来るようになりたかったのに。



(<_  )「・・・・・・」



(<_  )「おれは・・・」

双子というだけで常に兄者と比べられる事が辛かった。
出来損ないと罵られて。それでも兄者への憧憬は捨てられなくて。
そんな兄者の傍にいた高岡ハインリッヒに・・・

おれは、自分を重ねて見てしまった。




ξ ⊿)ξ「・・・・・・」



ξ ⊿)ξ「私は・・・」

兄者と付き合うようになったハインに置いていかれたようで、寂しかった。
クーたちの方が大事になってしまって、私の事はただの知り合いなんだって。
『ダメだ!・・・長岡とお前を・・・付き合わせる訳にはいかねぇんだよ・・・』

ハイン。クッキー作るから、私に謝らせてよ。




  _
( ゚∀゚)「・・・・・・てめぇ」

ジョルジュの口から、ボタボタと血が流れ落ちる。

  _
( ゚∀゚)「はっ・・・わらえ・・・たぜ?オレの、お下がりを・・・ぶら下げて、よ・・・」

もう一度ナイフを捻じ込む。排水溝が詰まったような、歪な音がした後、その口は2度と言葉を
発さなくなった。





( ´ ω`)「・・・・・・」



( ´ ω`)「僕は・・・」

ハインに慰めを求めていた。ずっと好きだったクーの幻影を、彼女に重ねて。
僕は結局何ひとつ行動する事が出来なかった。・・・だから。

アイツを連れて行く事だけが、精一杯だった。









从 ∀从『もしもし?ブーン?』

从 ∀从『オレの最後の小説、読んでくれよ。ポストに入れておくからさ』

从 ∀从『まだだぞ?まだダメだからな。約束だ。10月5日、その日に読んでくれ。』

从 ∀从『・・・なぁ』


从 ∀从『信じれば、空も飛べるはずだろ?』


从 ∀从『大好きだぜ。 内藤先生 』






(  ω)「・・・・・・」


(  ω)「僕は・・・」

無力な教師だったお。
君の外見に一番惑わされて、真実が見えなかったのは―僕の責任だお。
だから高岡。僕を好きだと言わないでお。

僕は君を守ってやれなかったんだお。





『从 ゚∀从ハインがメンヘラになるようです 作・高岡ハインリッヒ』





END




[ 2008/03/26 18:46 ] 中篇まとめ | TB(0) | CM(0)

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