ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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ブーンとツンデレが喧嘩してしまったようです

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 21:53:53 ID:i2D3lZgA0
最近めっきり寒くなってきた。
折角温めてもらった弁当も冷めてしまいそうだ。
駆け足で家路を急いでいると、街灯だけが明るい公園に、見知った人影を見つけた。
灯りの真下。一人ベンチに腰掛けている。

あれは。

ツンだ。





『ブーンとツンが喧嘩してしまったようです』





「どうしたの?」
そう声をかけると、ツンははっとして顔を上げた。
驚きで小さく開いた唇。
寒さのために高潮した頬。

そして、その見開かれた丸い大きな瞳には、たくさんの涙が潤んでいた。


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 21:58:05 ID:i2D3lZgA0
「えっ!?あっ!!」
ツンは慌てて頭を下げ、その顔を見せまいとした。
「え、えっと」
思わず引いてしまった。
僕はツンが泣いている所なんて見たことがない。
ツンは両目を手のひらでごしごしとこすった後、顔を上げた。
「毒男くん、どうしたの?」
鼻声だった。どうしたの。それはこっちの台詞だよ。

「いや、これ」
コンビニの袋を掲げる。
「夜食を買いに行ってたんだ」
「そうなんだ」

気まずい沈黙。
何か喋らなくてはと思う。
こういう場合、ショボンだったらどう切り返すのだろう。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 22:02:19 ID:i2D3lZgA0
「なにか、飲む?」
やっとのことで探り出した言葉がそれだった。
「え?」
ツンは何の事だか分からなかったようだ。
二度繰り返すのも間抜けなので、弁当をツンデレの横に置くと、
「ちょっと買ってくるよ」、そう言い捨てて、近くにある自販機へと走った。

僕はこういう空気が苦手だ。
ツンは友達だけど、女の子だ。
僕は女の子が苦手だ。

でもなぜだろう、駆ける両足が軽いのは。

何がいいのかな。
女の子は甘い方がいいんだろうか。
いやいやツンのことだ、糖分の摂取への拘りがあるかもしれない。
ちょっとだけ悩んで、カフェオレと微糖の二本を買った。


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 22:06:57 ID:i2D3lZgA0
「ありがとう」
小さく微笑んで、ツンは微糖のほうを受け取った。
僕は弁当を端に寄せると、ツンとの間にほんの少しだけ間を空けて、座った。

再び沈黙。
気まずい沈黙。
誰もいない公園。
僕らだけを照らしている街灯。

僕は必死に、この間を繋ぐ言葉を捜していた。

ツンが泣いていた。
学校で見るツンはいつも元気で、僕は、その笑顔がとても好きだった。
でもその笑顔は。
その笑顔が向けられていたのは。

「喧嘩、しちゃった」
缶コーヒーを手の中で転がしながら、ツンデレがポツリと呟いた。


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 22:11:21 ID:i2D3lZgA0
「喧嘩?」
「うん」
「誰と」
「ブーン」

しまった。
いきなり踏み込んだ話になってしまった。
僕はこの手の話題に耐性がない。
元々僕は人との衝突が苦手なのだ。
ましてや、それが男女とそれならば。

僕の内心の混乱を他所に、ツンは訥々と続ける。
「私のせいで、怒らせちゃった」
「え、怒らせたって、ブーンを?」
ツンは小さく頷く。
あのブーンを?
ブーンがツンを怒らせることはあっても、ツンがブーンを怒らせるなんて事はあるんだろうか。
温和な彼の顔が浮かぶ。
僕には想像がつかない。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 22:21:28 ID:i2D3lZgA0
「えっと、なんでまた」
「もうすぐブーンの誕生日だから、何かプレゼント買おうと思って…
でも男子へのプレゼントなんて買ったことないから、その、ショボン君にお願いして、
一緒に買い物に付き合ってもらうことにしたんだけど…」
「……それで?」
「その場をブーンに見られちゃってたらしいの…」
アウト。

「…そ、それで?」
「私…ブーンを驚かせようと思って、その日は用事があるからって、さっさと下校しちゃってて…」
ツーアウト。

「で、プレゼントを家に届けに言って、『べ、別にあんたのために買ったんじゃないんだからね』って言ったら…」
「言ったら?」
「『ショボンのためだったんだお!?』って」
スリーアウト。
ゲーム、セット。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 22:25:50 ID:i2D3lZgA0
これは酷い。
間が悪いというかなんというか…
「あ、ああ…で、『え、そ、そんなつもりじゃ』『じゃあどんなつもりなんだお!!』って流れで追い出されちゃったのか…」
「どうしてわかるの!?」
僕は思わず可哀想な子を見る目でツンを眺めてしまった。
ツンは本当にそういうところは鈍…いや、よそう。
「……それは、ツンは悪くないと思うよ…と、思うよ…」
思わず反復してしまった。
我ながらなんと自信のない慰め。
「でもたぶん、話せば分かってくれるって。ブーンはほら、いろんな意味で真っ直ぐだからさ。
そういうところを誤魔化せない、その、純粋な奴なんだよ」
繋ぐ、紡ぐ。
ツンの笑顔のために、言葉を結ぶ。
「……明日、学校で話してみたら?」

「うん、そうしてみる、つもり」

沈黙。
コーヒーが温かい、沈黙。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 22:30:27 ID:i2D3lZgA0
ツンが小さく身を震わせた。
少し風が出てきたようだ。
「もう、家に帰ったほうが良いよ。風邪引いたら元も子もないよ」
「うん…」
ツンは細い体を少しだけ縮めたあと、立ち上がった。
見上げたツンの目はまだ赤かったけれど、その目元は笑っていた。
「ありがとう、話聞いてくれて」
「いや…」

そして僕は、少しだけ躊躇して、彼女に「おやすみ」と言った。
「おやすみ」
彼女は応えてくれた。

僕は一人街灯の下、ベンチに取り残された。
弁当はすっかり冷めていたけれど、そんなものはもうどうでもよかった。
なぜだろう。
妙に舞い上がっている僕。


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 22:35:35 ID:i2D3lZgA0
翌朝。
学校。

事態は、思ったよりも深刻らしい。


「毒男、昼ご飯食べに行くお!」
昼休み。
ブーンはツンには目もくれずに、僕を食堂へと引っ張っていった。
教室を出る間際に見た、二人分のお弁当を鞄から出そうとしていたツンの姿が、とても痛々しかった。


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 23:15:10 ID:i2D3lZgA0
「どうしたんだい、あれは」
ぼくは呆然と立ち尽くすツンに声をかけた。
「なんかあったのかい?」
ブーンが毒男を連れて出ていった扉と、ツンを見比べながら、尋ねる。
なんだか、不穏な空気じゃないか。



「ブーン!ちょっと!襟首掴むなよ!」
「あ、ご、ごめんお」
凄まじい高速移動から漸く解放された僕は、首をゆっくりと回しながら尋ねた。
「どうしたんだ、一体」
「な、なんでもないお」
「なんでもないお、じゃねーだろ。」

昨日のツンの横顔を思い出す。
ついつい態度が硬化してしまう。


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 23:15:44 ID:i2D3lZgA0
「お前昼飯いつもツンの弁当だっただろ」
「…」
「…」
「け、喧嘩したお」
知っている。
「いつもしてるじゃん、痴話喧嘩」
知っている。
「そ、そういうんじゃないお、その、大喧嘩したお」
知っている。
お前が。彼女を。

「どうしたら仲直りできるんだお」

毒気が抜けてしまった。

やりにくい。
こいつらは本当に。
本当に。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 23:16:40 ID:i2D3lZgA0
「あぁ、成程。それであれか。
『え、そ、そんなつもりじゃ』『じゃあどんなつもりなんだお!!』って流れで追い出されちゃったんだね」
「どうしてわかるの!?」
ぼくは思わず可哀想な子を見る目でツンを眺めてしまった。
ツンはとても聡明だけど、妙なところで抜けている。
そんなところが彼女の魅力でもあったりするんだろうが…
「いや…すまない、ぼくのせいだ。引き受けるべきではなかったかもしれないね…」
「そ、そんなことないわよ!ショボン君のおかげで買えたんだから!……裏目に出ちゃったけど…」


ツンにプレゼントの話を持ちかけられたのは、一週間ほど前になる。
最初は一通のメールだった。
『ブーンの誕生日ってそろそろだっけ?』
『そうだよ』
そう返すと、ものの一分も立たずに返信が返ってきた。
『いつだっけ』

すぐに気付いた。
自分から本人に聞けばいいのに、と心底思う。
どうせ、何か用意しようとやる気になってしまっているのだ。
それで、ブーンに「ひょっとして何かくれるのかお?」なんて看過されるのが恥ずかしいのだ。
そこまで考えているくせに、彼女はブーンのことになると周りが見えない。
聡明なわりに、妙なところで抜けている。

とりあえず、「本人に聞いてないの?」ととぼけたメールを送ってみた。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 23:35:41 ID:i2D3lZgA0
メール越しではツンの動揺が楽しめないのは残念だ。
あまり苛めるのも可哀想だと思ったので、ひとしきり遊んだあとで、誕生日を記したメールを送った。

そして、ついつい笑っている自分に気付いた。


ぼくとツンはとにかく行動に移すまでが早い。
翌日僕らは下校時間を若干ずらした上で、駅前のショッピングモールで再会した。
「ごめんね、付き合せちゃって」
ツンは到着一番そう謝った。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 23:36:34 ID:i2D3lZgA0
「なにがいいのかな」
「まあ…小物だろうね」
「例えば?」
「うーん、ベルト?」
「確かに。何本あっても困らないから無難よね」

ツンは色々な衣類(斬新と言うにはあまりに前衛的なデザインのもの)を僕に当ててはコロコロと喜んでいた。
僕はこんな顔だから、殊更に面白かったのだろう。

今思えば、二人とも回りが見えていなかったのだ。
ブーンのために頑張るツンと。
この状況を楽しんでしまっている自分は。


だからこそ。



「どうしたら、仲直りできるかな」

やりにくい。
君たちは本当に。
本当に。



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 23:46:14 ID:i2D3lZgA0
冬の夕刻。
影は長く細い。
町を一望できる神社へ続く長い階段で、見知った影を見つけた。
「よう」
声をかける。
ショボンが、腰掛けていた。

「やあ」
「どうしたんだよ、ぽかんとして」
「別に、何もないよ。君こそどうしたんだ、この時間はバイトじゃないのかい?」
「今日は休みだ」
「そうか」

「お前さ、ツンのことどう思ってるの」
「なんだい、藪から棒に」
「えっ…い、いや別に」
「君こそどうなんだ?彼女のことを好ましく思ってることは知ってるんだぞ?」
ショボンは、その困ったような顔を少しだけほころばせた。
少しだけ意地の悪そうな笑顔。
「お、俺のことは良いんだよ。お前に聞いてるんだって」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 23:47:19 ID:i2D3lZgA0
ショボンは少しだけ考えて。
「よく、わからない」
そう、答えた。

「なんだそれ」
「彼女はいい子だ。賢くて、優しい子だ。でもそれがイコール『そう』ってわけでもないんだ」
「なんだそれ」
「だから、よくわからない。なんだろうね。
たぶん、あの二人は、二人で一つなんだよ。
だから、彼らが別々になってると、なんだかとても『据わり』が悪い気がするんだ」
「言ってることがわからねーよ」
「二人を見てると、なんとかしてあげたいと思うってことだよ」
「……」
「そう思うと、親心で本心を誤魔化せる気がしないかい?」
「……最初から、そう言えよ」

二人で、小さい笑いを噛み殺した。

「飯でも食べに行かないか?折角だ、奢ろう」
「え、マジで?」
「バーボン」
「…」


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 23:49:52 ID:i2D3lZgA0
翌日。
僕とショボンは二人で並んで歩いていた。

ショボンと一晩かけて考えたが、
二人を元の鞘に収めることが出来るような具体案は思いつくことが出来なかった。
そもそも彼女などいた試しのない僕と、他人に興味のないショボンでどうにかできる問題ではないのだ。
ショボンはもともと疲れたような悟ったような顔をしているからよかったものの、
僕の顔にはありありとした疲労が見て取れた。

そして、学校。
暗い気持ちで教室の扉を開く。


何事もなかったかのように仲直りを果たしている二人がいた。


いつものように、どこか鈍いブーンがツンを怒らせていた。
ツンがブーンにしか向けることのない、それはそれは楽しそうな罵声。

ショボンに目をやると、あいつはただでさえ困ったような顔を余計にしぼませて、苦笑していた。

やりにくい。
この二人は、本当に。
本当に。
僕らの言葉など必要ないくらい、深いところで結びついているんだ。



その日、僕らは久しぶりに四人で帰った。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 23:53:03 ID:i2D3lZgA0
――クリスマス。

しかも緩やかな降雪。

まさにカップルおあつらえ向きの演出。
別に予定があるわけでもないのに、情けない見得と希望にすがって、バイトに休暇を入れていた僕には逆効果だ。
外に出る気も起こらない。

…ブーンとツンは、今頃何をしているだろうか。
二人で仲良く、その寒空の下を寄り添って歩いているんだろうか。


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 23:53:20 ID:i2D3lZgA0
カンカンカンカン!
誰かがアパートの階段を急いて登ってくる。
この天気だ、誰だって家の温もりが恋しいのだろう。


ガンガンガンガン!ドスン!ガタガタガタッ!
え、なんだ?


ピンポーン。
ピンポンピンポンピンポンピンポーン!!
インターホンの連打にあわてて扉を開けると。


肩には白い、大きな布袋。
頭には、真っ赤なとんがり帽子。


ブーンが立っていた。



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/25(金) 23:53:44 ID:i2D3lZgA0
「クリスマスだお!」
ブーンは玄関に靴を慣れた風に脱ぎ散らかすと、どたどたとやかましく上がってきた。
「あああ?なにやってんだよお前!」
「なにって、クリスマスだお!」
布袋を揺すってみせ、ブーンは答えた。
「はああ?クリスマスってお前……、だ、だいたい、そのツンはどうしたんだよ」
「いるわ…」
「えぇ?」
振り返ると、玄関の前で、ツンが済まなそうに首をすくませていた。
「ショボンもいるお!」
ブーンが付け足す。
「ああ?」
「やあ…」
大き目の紙袋に両手を塞がれたショボンが、ドアの淵から顔を覗かせる。
「クリスマスだお!みんなでパーティーするお!鍋持ってきたんだお!闇鍋するお!」
「ごめんね、やるんだやるんだって大騒ぎして…」
「なんか、気付いたら両手に鍋を持たされていたんだ」

「そんなところに立ってたら寒いお、早く入るお」
ブーンが勝手にコタツに潜り込みながら手招きする。
ツンが僕を見て、困ったように笑う。
ショボンが僕を見て、呆れたように笑う。

僕は二人を招き入れると、扉を静かに閉じた。



おしまい。



保管庫探ってたら出てきた。これ昔どっかで見たんだよな・・・
[ 2000/03/18 18:59 ] 短編まとめ | TB(0) | CM(0)

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