ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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( ^ω^)雨は攫って行くようです

1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:11:39.17 ID:E0DrQiXJ0
 メクラアメ メクラアメ



 愛した男が帰らない

 奥方は雨に寄り道

 学生は蛙に騙された

 娘は雨から出たくない



 想い人の全てを攫うは 憎らしや



2 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:13:05.77 ID:E0DrQiXJ0
こんなにも人を愛したのは、初めてだった。
胸が苦しい。
きっと、こんな感情を持たなければ、僕がこんなにも苦しむことはなかったんだろう。
それでも、僕は思う。
この暗く、狭い世界で君を愛さねば。
この世界は闇だ。


七月の終り。
梅雨もあけたこの時期、君と出会った。

( ^ω^)「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

出会いは、僕の友人の葬式。
二年も前から行方をくらませていた僕の友人は、数日前に骨となって帰ってきた。
人口の少ないこの町の外れにある池から出てきたのだ。
数年に一度、その池の水を抜いて掃除をすることがあるという。
その時、彼は姿を現したのだ。
彼、僕の友達の名前はドクオと言った。
こいつが恥ずかしがり屋で控えめな性格なものだから、僕みたいな馬鹿には相性が良かった。
証拠に、僕は彼を親友と思っていた。
ドクオが姿をくらませたのは先に述べたように、二年前の記録的な大雨の日だった。
気候的、土地柄的にこの町にはよく雨が降る。
しかしその日の雨は今でも僕は覚えていた。
まるで子供が駄々をこねたように、空は泣きやむことを知らぬ。
結局、明朝から日の終りにかけてまで続いた雨の中、彼は行方を閉ざしてしまった。


3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:15:45.23 ID:E0DrQiXJ0
( ^ω^)「どうも」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ」

初めて見る。
この広くはない町で、僕は彼女を知らなかった。
外見といえば、こんな片田舎では珍しい金の巻き髪に、透き通ったような白い肌で。
逆に僕は自分の記憶を疑いもした。
けれども、どれだけ思考の海を泳いだとしても、得るものはない。

( ^ω^)「ドクオのご友人ですかお?」

けれども、彼女がそうだとは思えなかった。
ドクオの友人である僕が言うのだ。
というのも、雰囲気が違う。
僕やドクオはそれこそ地味で、目立たず、かといって存在を忘れられずという曖昧な位置にいた。
対して彼女は見た目もさることながら、どこか人種が違うと感じた。
少なくとも、僕たちのような大人しい側ではなく、進んで何かしらやってきたタイプだろう。


4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:17:41.51 ID:E0DrQiXJ0
ξ゚⊿゚)ξ「いえ。妹です」

その返答に僕は驚きを隠せなかった。
これが。この美女が奴の妹だって?
いや、それはまだ置いておこう。驚くのは別の問題だ。
ドクオに妹がいるなんていうのは、初めて聞いた話だ。
確かに僕は彼の家に遊びに行ったことは無いし、彼の家族構成を聞くことはなかったが。
だからといって、こんな美人を自慢せずにいられるだろうか。
僕が彼女の兄ならば、無理な話だ。
きっと阿呆のように言いふらすに決まっている。

(;^ω^)「そ、そうなのかお。あ、僕の名前は内藤だお。敬語じゃなくても?」

ξ゚⊿゚)ξ「結構ですよ」

彼女の名前はツンと言った。
聞けば僕より歳が三つばかり離れているらしく、今は高校二年生なのだそうだ。


6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:21:12.52 ID:E0DrQiXJ0
ξ゚⊿゚)ξ「内藤さんの話は兄からよく聞いてました」

( ^ω^)「お?あいつが?」

ξ゚ー゚)ξ「ええ。いつもいつも、今日は何を、昨日はあれをと耳にタコができるほど」

ふと僕は思う。
ドクオ。まさか君がそこまで僕を思っていてくれたとは知らなかったよ。
だのに。
何故君は、こんな形で僕を裏切ると言うんだい?
僕は望みもしない。君が死ぬことなど。
心のどこかで、何となくは分かっていた。
きっと、ドクオはもう帰っては来ないだろうと。
あの雨の日に、君は攫われてしまったのだろうと。

( ^ω^)「おっおっ。それは意外だおwwww」

ξ゚ー゚)ξ「けれど、これで納得しました。内藤さんと仲がよろしいことの意味を」


7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:23:09.71 ID:E0DrQiXJ0
意味?
それはどう言う意味なんだい?
僕がそう尋ねると、悲しい表情で僕を見つめた。

ξ゚ -゚)ξ「貴方なら、こうなることを理解していたからじゃないですか?」

心の中に、鈍い音が響いた。
さながら包丁で突き刺されたような、そんな感じだ。
チクリと痛みも走った。
けれど、実際に胸に触れれば、そこにはなにも無く。
流れ出ているのは血なんかじゃなくて、汗なのだ。

ξ゚ -゚)ξ「何故、止めてくれなかったのですか」


8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:25:53.78 ID:E0DrQiXJ0
きっと、今なら分かる。
ドクオが僕と友人でいた理由が。
それは彼が、僕なら止めないと分かっていたからだ。
そしてその証拠こそが、これ。
ふと、骨壺を見上げる。
あれが人の最終形態。あんな物に収まるほど人は粗末になるのか。

( ^ω^)「はて、何の事だか?」

一体、僕に彼を止める義理があっただろうか?
いや、無い。
僕に口を出す権利なんてなかったのだから。

ξ - )ξ「恨んでやる。あんたを、一生呪ってやる」

この時、僕は既に理解していた。
彼女も、ドクオと一緒。
ふと、あの雨の日の景色が脳裏をよぎる。
最後に見た、ドクオの背中が。


9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:28:45.47 ID:E0DrQiXJ0
 

 
最初は、本当に些細なことから始まった。
例を挙げるなら、毎朝配られているはずの朝刊がなくなったり、夕刊も消え去ったり。
干していた洗濯物の数点が姿を無くした時もあった。
次第にそれはどんどんエスカレートを極めた。
軒先には死んだ野良猫が置かれていた時もある。
窓硝子を突き破って石が侵入してきたこともある。
その石にくるまれた紙を引き剥がせば、呪詛の羅列が目をつく。
留守中に家宅を荒らされたこともあった。
けれど、僕は咎めることはなかった。
犯人を知っているにもかかわらず、だ。
それが罪滅ぼしだとは思わない。
どころか僕には罪の意識はない。

電話が鳴り響いた。
これも毎日の繰り返しだ。
両親が先立って残されたこの広い家で、機械的な呼び鈴が何度も鳴る。
僕は眠気眼を擦ると、蒲団から這い出て廊下に出る。
玄関の前にあるそれの受話器を手に取ると、もしもしと呼びかけた。


10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:30:27.04 ID:E0DrQiXJ0
『死ね、死ね、死ね、死ね』

( ^ω^)「…………」

ゆっくりと、覚醒に伴い言葉を理解し始める。
毎晩のやり取りに、これが目覚めの合図となったのかもしれない。
人間の体の順応性というものは素晴らしい。

( ^ω^)「ツンちゃん」

『死ね、お前なんか死ね、人殺し、人攫い、犯罪者』

続く言葉は何とも幼稚だ。
安っぽい悪口の台詞でも読み上げる様に似たり寄ったりの言葉がなおも続く。
僕はそれを、黙って聞くことにした。
何故?
それは罪滅ぼし。
けれど、僕に罪の意識はない。
本当か?
本当だろう。
いや、違う。
少なくとも僕は今、罪悪感を感じているではないか。
この子に。


12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:33:05.10 ID:E0DrQiXJ0
『どうして、どうしてなの?何で止めなかったの?』

『何で私は一人ぼっちなの?何でお兄ちゃんはいないの?』

『あんたの所為だ。全部あんたが悪いんだ』

『鬼、悪魔、外道、お兄ちゃんを返してよ』

『死ね、死ね、死ね、死ね』

涙交じりの声に、僕はただ、すまないと思う。
これが、僕のできる罪滅ぼし。
君への罪滅ぼし。
けれど、僕は罪悪感なんてない。
きっとドクオは望んでいたんだ。
だから僕は止めたりはしなかった。
一体、誰が踏み込めるだろう?
愛する者同士の世界に、誰が干渉してもいいのだろう?
いいや、許されないさ。
そうに決まってる。



ドクオ。君は今、幸せなのかい?
あの雨の中、君は出会えたのかい?


14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:36:30.12 ID:E0DrQiXJ0
僕が近所のスーパーから帰ると、門前に彼女はいた。

ξ゚ -゚)ξ「…………」

彼女を見て僕は驚く。
一つは、前見た姿とはかけ離れすぎているいでたち。
綺麗に撓るあの金色の巻き髪は、今や乱れに乱れていたし、目の下には谷底よりも黒い隈があったからだ。
そして、その手には包丁。

( ^ω^)「とりあえず、落ち着くお」

後ずさる僕に、彼女が包丁を突き出す構えで一歩踏み出す。
どうやら聞こえていないらしい。
額に汗が垂れたが、気にしている暇はなかった。

ξ゚ -゚)ξ「死ね……死ね……」

まるで何かに取りつかれたように、彼女は僕へと近寄ってきていた。
目からは狂気が見て取れる。

ξ#゚ -゚)ξ「ああああああああああああああああ!!!!!!!」


16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:38:52.50 ID:E0DrQiXJ0
おぼつかない足取りは、ついに火ぶたを切って駆けだした。
ほんの数㍍。時間にすればたった数秒の間に、僕が抵抗をしなければあれは確実に僕に突き刺さるだろう。
それもいいのかもしれない。
彼女に、それで罪を滅ぼすのもいいのかもしれない。



けれど。



僕のこの気持ちはどうなる?



気づいたとき、僕は自分の右腕の痛みを耐えながら、ツンを抱いていた。
胸の中にいるツンは、気を失っているようでうんともすんとも言わない。
どうしたものかと考える。
病院へ行く?
いや、ダメだろう。
きっと面倒なことになるのは目に見えているのだから。
ならば、答えは一つ。
僕はツンを抱きかかえると、自宅の玄関を開いた。


17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:40:37.53 ID:E0DrQiXJ0
ξ;゚⊿゚)ξ「……ここは?」

ツンを布団に寝かせてほんの一時間もすると、彼女は体を起してそう呟いた。
彼女は横にいる僕に気づくと、布団を手繰り寄せて僕から身を守るようなそぶりを見せた。

( ^ω^)「安心しろお。何もしないお」

それは嘘じゃない。
証拠に僕にはやましい気持など微塵も無い。
それにそのようなものがあるのならば彼女が寝込んでいるすきにやってしまえばよいのだ。

ξ;゚ -゚)ξ「何のつもりよ……」

( ^ω^)「さて、僕はただ道端で倒れている人を助けたまでなんだがお」

ξ#゚⊿゚)ξ「ふざけないでよ!!」

ツンが大声を上げる。
しんと静まった部屋に、彼女の荒い息使いだけが妙に響いた。


18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:43:23.03 ID:E0DrQiXJ0
ξ#゚⊿゚)ξ「あんたなんかにこんなことされる覚えなんかないわよ!!」

ξ#゚⊿゚)ξ「何を企んでるのよ!?言いなさいよ!!」

ξ#゚⊿゚)ξ「知ってるくせに!!私があんたにどれだけ嫌がらせをしてるか!!」

ξ#゚⊿゚)ξ「聖人君子でも気取ってるつもり!?気持ち悪いのよ!!」

矢継ぎ早に繰り出された言葉は、直接聞くだけあって迫力がある。
けれど、僕が彼女を否定することはない。
ただ黙って彼女の呪詛に耳を傾けるだけ。
そのうちに言葉は震えだし、布団に水滴の落ちる音が聞こえ、ついには泣き声となった。

ξ;⊿;)ξ「何でよ……何でこんなことをするのよ……」

( ^ω^)「…………」

ξ;⊿;)ξ「やめてよ……優しくしないでよ……」

( ^ω^)「ツンちゃん……」

ξ;⊿;)ξ「あんたしか恨める人がいないのに……何でこんなことをするのよお!!」


19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:45:36.35 ID:E0DrQiXJ0
 

 
('A`)『なあ、内藤、聞いてくれよ』

( ^ω^)『どうしたお?』

あれは、そう。
僕たちが高校一年生の時だった。
二学期の半ばというまた微妙な時期に彼は僕に相談を持ちかけた。

('A`)『クー先生いるだろ?』

クー先生とは、この学校で一番の美貌を誇る教師の事だ。
自身でもう三十路だと公言しているが、しかしそうとは思えないほど若く見える。
先生は実は未亡人で、生徒たちの間では再婚をするのか疑問が渦巻いていた。

('A`)『俺、クー先生と付き合ってるんだ』

( ^ω^)『はぁ?』


20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:48:09.27 ID:E0DrQiXJ0
初めは、本当に冗談だと思っていた。
それほどに突拍子もない話題だったし、第一こんな不細工な男と先生のような大和撫子が
そんな関係になることはあり得ないと思ったからだ。
だがしかし、彼の眼を見たとき、それを真実だと理解した。

(;^ω^)『おまっ、マジなのかお』

('A`)『ああ、これがマジなんだ』

一体いつからそんな関係だったのか、だが僕は聞くことはなかった。
そんなことを問いただしたところで、事実に変わりなんて無いのだから。

その話が数か月前のことになったある日のこと。
ドクオはまた僕に突然こう聞いた。

('A`)『内藤、盲雨って、知ってるよな?』

( ^ω^)『あー、あの?』


21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:51:37.05 ID:E0DrQiXJ0
僕たちの住むこの町には、昔からこんな言い伝えがある。
盲雨、読みはめくらあめと言う。
盲雨は、引き裂かれた男女が、迷って抜けられなくなる雨だと言われている。
暗闇から消えたかたわれが相手を呼ぶ。そしてそれに応えると、応えた方は”向こう側”へ行って
二度と帰ってこないそうだ。

('A`)『最近、嫌な夢を見るんだよ』

( ^ω^)『夢?』

('A`)『クーがな、雨の中にポツリと立っているんだ。傘も持たず、寂しそうに。
    忙しなく、まるで何かを探すようにキョロキョロと頭だけ動かしてな。
    そうしていると、突然、動きが止まるんだ。そう、探し物を見つけたみたいにさ。
    でな、笑うんだ。泣きながら。それが雨なのかは分からない。
    それで、最後に俺を、たぶん俺にだと思うんだがこう言うんだ。ごめん、って」

その時は、ついにドクオは狂ったのかと悲しくもあったが、本当に不安そうな表情を作る
ドクオを見て何かあるのだろうと思っていた。
そしてその次の日。
局地的な豪雨の日に。
クー先生は姿をくらませてしまった。


22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:53:40.22 ID:E0DrQiXJ0
それからのドクオといえば、もぬけの殻の状態で、何をしてもどこか抜けているし、
上の空なんて言うのも頻繁に起きた。
話しかけても聞こえていなかったこともあったし、時々ふらっとどこかへ行っては数日後に泣きながら帰ってきたりもした。
きっと、彼はクー先生を探していたのだ。
そんな彼を見て、僕はよく、恐ろしさと狂気を感じた。
人の愛というのは、こうまで狂わせるのかと身震いした。
僕には恋愛感情を抱いたことがない。
だから、彼がここまで堕ちる理由も理解が持てなかった。

( A )『何故だ、何故攫って行った。クー、お前はどうして!俺じゃダメなのか!なぜなんだああああ!!』

日を増すごとに、彼は壊れていく。
いつしか授業中のこと、そんなことを叫ぶとクラスメイトに暴行を働いて停学処分をくらったこともあった。


24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:55:47.59 ID:E0DrQiXJ0
盲雨。
もしもそれを信じるのなら、果たして誰が先生を誘惑したというのだろう。
前夫だろうか?
だとしたら、クー先生はドクオを愛していなかったのだろうか?
愛していたのならば、きっと盲雨に攫われることなどなかったはずだろう。
だとしたら。
ドクオは報われない。
なんとも独りよがりな愛情だろう。
僕は同情を抱く。そして軽蔑を抱く。
信じていた者に、愛していた者に裏切られたという事実に同情を抱く。
帰ってこない者を諦められない彼に軽蔑を抱く。
当時、今だに先生は行方不明の扱いをされていた。
当然、盲雨に攫われたのだと騒ぐものなどいなかった。
だが、否定を続けていた僕は、攫われたのだと直感する。
そして、年が明けた一月五日。
山の麓の林の中に、腐乱した死体が見つかった。

最近の警察は驚かされることが多い。
と、いうのも、死体から出所を割り出してしまうからだ。
死体はクー先生だった。
何となく、予想はついていたのだ。
ああ、やっぱり、と。


25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 02:57:56.95 ID:E0DrQiXJ0
通夜にも葬式にも、ドクオが姿を現すことはなかった。
ただ、何故か連日に渡って続いていた雨は、この数日間だけ妙に激しさを増した。

そして、二年前。その日のことはよく覚えている。
学校からびしょ濡れになって帰ってきた時、既にあたりが見えないほどの豪雨が続いていた。
テレビをつければ記録的な豪雨と言われ、注意報が飛び交う。
証拠に古い我が家に打ち付ける雨はまるでシンバルでも鳴らしているかのように騒がしい。

突然、玄関を殴りつける音が響いた。
ガンガンと鳴らし打つそれはまだかまだかと僕を急き立てる。
こんな雨の中に一体誰だ、と僕は思いながらも扉を開けた。
すると、そこには僕の友人の姿があった。

(;^ω^)『ど、ドクオ!?お前、どうしたんだお!?』

そこには、ここ最近僕の前はおろか、学校にすら顔を出さないドクオがいた。

('A`)『よお、内藤』


27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:00:13.79 ID:E0DrQiXJ0
彼は傘も差さずに外を歩いていたためか、びしょびしょに濡れていた。
こんな日に、完全に壊れたのだろうか。
だが口に出すことはない。
代わりに家へ上がるよう催促をするが、彼は顔を振るう。

('A`)『内藤。今までありがとうな』

(;^ω^)『……お前、何を』

('A`)『呼んでるんだ。クーが。だから会いに行く』

雨の勢いが、増した気がした。
視界が一瞬だけ、ぐらついた気がした。
頭を殴られたような痛みが走る。
こいつは、もう戻ってこない。
そう直感した。

('A`)『内藤。もう会うことはないと思う。お前を友人に持てて、本当によかった』

(;^ω^)『僕は、止めないお』

('∀`)『ああ、知ってるさ』


28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:02:04.68 ID:E0DrQiXJ0
くるりと彼が背を向ける。
玄関から先は、豪雨の世界。
きっと彼はもう戻ってこない。

('∀`)『だから友達にしたんだ』

彼の姿がだんだんと小さくなると、やがて景色は雨の世界と化す。
無性に、力が抜けていった。
ぺたりと地にへたり込み、開け放された扉から外を見続ける。

(  ω )『馬鹿……野郎がおぉ……!』

僕の予感は外れることを知らない。
次の日、前日とは打って変わっての快晴の日。
ドクオが行方をくらませたことを知った。


29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:04:21.06 ID:E0DrQiXJ0
 

 
ξ ⊿ )ξ「本当はね、分かってたの。お門違いだってことくらい」

( ^ω^)「…………」

落ち着きを取り戻したツンは、ポツポツと語りだした。

ξ ⊿ )ξ「お兄ちゃんが消えたのはあんたのせいじゃないのは、分かってたの」

ξ ⊿ )ξ「けれどね、もういないのよ。あんたしか」

ξ ⊿ )ξ「生きてて、恨める人が」

ツンは真実を知っていた。
ドクオがクー先生と付き合っていたことも。
クー先生が盲雨に攫われたことも。
ドクオが狂い始めたことも。
そして、ドクオも盲雨に攫われたことも。
だが、彼女の気持ちはなんとなくだが分かった。
死んだ者に、恨み事など届くものか。
生きている者に言わねば気は済まないのだ。


30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:06:20.29 ID:E0DrQiXJ0
だから、ドクオと深くかかわっていた僕を恨みの対象にしたのだろう。
けれど、ツン。
君はやはり僕を呪っていいのだと思う。
あの時、もしも僕が彼を半殺しにしてでも引きとどめていれば、彼が攫われることはなかっただろう。
だから、やはり僕にも責任があるのだ。

ξ ー )ξ「んーん。それもあるけど、それでもあんたは悪くないのよ」

ξ ⊿ )ξ「全部は、あの女のせいなの。あの女さえいなければ、こんなことにはならなかった」

( ^ω^)「…………」

そういう、ものだろうか。
けれど、今の僕になら、分かる。
昔とはもう違うから、理解できる。

ξ ー )ξ「ごめんね。迷惑をかけて」

( ^ω^)「気にしないでいいお。僕は全然平気だったお」


31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:08:20.03 ID:E0DrQiXJ0
分かっている。
ツンは、ドクオが好きだったんだ。
そんなの、考えなくても分かること。
だって、そうじゃなきゃここまでする必要なんてないじゃないか。
分かっている。

( ^ω^)「けど、ツン」

ならば、僕のこの気持ちはどうなるという?
今まで抱いたことのない感情を、僕は抱いてしまったんだ。
ねえ、ツン。
僕もまた、ドクオのように狂ってしまうのだろうか?
それでもいい。
この心に嘘をつくことはできない。

そっとツンへと手を伸ばすと、彼女は恐れるようにその手をはねのけた。

ξ; - )ξ「やめて……」

無理だ。
僕は、狂ってしまったんだ。


32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:10:40.64 ID:E0DrQiXJ0
( ^ω^)「分かってる。君の心の中には、まだドクオがいることくらい」

それでも、いい。
それでもいいんだ。

( ^ω^)「ツン、僕は君が好きだお」

それは一目ぼれだった。
ドクオの葬式のとき、ふいに目にとまった君があまりに綺麗だったから。
初めてだった。
こんなにも胸が熱くなったのは初めてだったんだ。
そして気づいた。これが愛だと。

ξ; ⊿ )ξ「いや……」

君は拒絶する。
だから僕は、君にもっと近づこうとする。
いや、いいんだ。
それでも。
この距離の間に、あいつがいることくらいわかっている。
けれど、ツン。
あいつは、君を愛してなんかいないじゃないか。
それに、あいつはもういないじゃないか。
なのに君は、まだあいつのことを?


33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:12:14.03 ID:E0DrQiXJ0
(; ω )「それでもいい……」

傍に居させてくれないか。

ξ; ⊿ )ξ「あ……ぁあっ」

ドクオ。君を止めなくて、僕は正解だったんだろう。
じゃなければ、きっと僕もツンも、潰れていたに違いない。
お前がいなくてよかった。
おかげで、僕は彼女のそばにいることができるんだ。
なあ、ドクオ。
僕も今、君みたいに狂っているだろうか?
これを愛情だと言うことができるだろうか?
いや、いい。
狂っていていい。
なあ、ツン。
理由は本当にちっぽけで、その上君にまだ認められてすらいないだろう。
けれど、それでもいい。
どうか僕に、君を愛させてもらえないか。
君を愛さなければ、この世は所詮闇。


35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:14:24.90 ID:E0DrQiXJ0
 

 
君を抱いて眠ると、何も怖くなかった。
それを愛の行為と呼ぶかといえば、きっと認められなかっただろう。
君はあいつの名前を呼び、僕は君の名前を呼び。
お互いの心に存在する相手に向かって愛を叫び続けていた。
けれど僕はそれでもよかった。
君のそばに入れるだけ、君と一つになれるだけよかった。
もしかしたら、ドクオもこんな感じだったんじゃないか?
クー先生との最中、こんな気持ちだったんじゃないか?
僕も君も、要するに間男だったわけか。
お笑いだな。傑作だ。
けれどいいんだ。

ξ゚⊿゚)ξ「私は、それでもお兄ちゃんが一番なの」

( ^ω^)「いいお」

ξ゚⊿゚)ξ「酷い女でしょ?愛されたことがないから、愛してくれる男には何でもあげちゃうの」

( ^ω^)「いいお」

ξ゚⊿゚)ξ「けど、一番は上げられない。貴方は、ずっと二番」

( ^ω^)「いいお」

ξ゚⊿゚)ξ「……ごめんね。ありがとう」


36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:17:04.00 ID:E0DrQiXJ0
暗がりの中で、お互いそんなやり取りを何度も繰り返した。
それが、当り前だった。
抱き合うたびにそれを繰り返した。

ξ゚⊿゚)ξ「あ……」

( ^ω^)「お……」

長い夜に感じていた。
何度目かの行為の時、それは耳に入ってきた。
ぴちょん。
雨の音。

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

( ^ω^)「…………」

お互い、動きも止まって、無言になった。

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ」

ツンが服を着ながら、僕に言う。

ξ゚⊿゚)ξ「散歩にいかない?」


38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:19:17.27 ID:E0DrQiXJ0
この雨の中を?と、聞き返す前に、僕は何かを悟った。
いいだろう、と僕は了承を返す。
大丈夫。彼女は、攫われたりはしない。
彼女はもう、諦めている。
君は、狂っていない。

ξ゚⊿゚)ξ「小さい頃からお兄ちゃんが好きだったの」

真夜中の雨の中、僕たちは一つの傘の中で身を寄せ合って歩いていた。

ξ゚⊿゚)ξ「顔はあんなんだけど、何でか惚れてね。きっとあの性格のせいだわ」

次第に激しさを増すのがわかる。
ツンが濡れないように、僕は傘をツンへと寄せた。

ξ゚⊿゚)ξ「お兄ちゃんが高校に入って彼女ができたって聞いた時、全部が崩れた気がした」

いい夜だ。
この町で降る雨なんか縁起が良いものではないと言われるけれども、それでも僕は穏やかな気持ちだった。

ξ゚⊿゚)ξ「それからお兄ちゃんはどんどん狂っていった。そして、姿を消して、二年ぶりの再開は、死体」

きっと、全部が良くなっていく気がする。
そうさ。
ねえツン。君のその独白が終わる頃。
僕はきっと、君を心の底から愛することを誓えるだろう。


39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:21:03.96 ID:E0DrQiXJ0
ξ゚⊿゚)ξ「今でもそう。私の中の一番はお兄ちゃん」

二番でも構わない。
だって、僕は君を愛しているから。

ξ゚⊿゚)ξ「けれど、死んだ人は私を愛してなんかくれない」

ツンが止まり、釣られて僕も止まる。

ξ゚ー゚)ξ「だから、もうさようなら、お兄ちゃん!」

ツンが、傘を放り投げて、空へ向けてそう叫んだ。
なあ、ドクオ。
心配するな。僕はツンを幸せにしてみせるから。
君のようには、絶対にさせないから。
いつか、僕は一番になる。
そして、その時、結婚でもせまってみようか。
ツンの手を引く。
一歩遅れた感じでツンが歩いてくる。

大丈夫。
君は僕と歩んでくれている。


40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:23:21.92 ID:E0DrQiXJ0







「ツン」












ξ゚⊿゚)ξ「え?」


41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:24:36.04 ID:E0DrQiXJ0
( ^ω^)「そうだ、ツン。お腹減って無いかお?ちょうどカップラーメンがあまりまくってて――」

繋いでいる右手に力を込める。
空を切った。

( ^ω^)「え?」

ばっとふりかえる。
視界に映るのは、世界を飲み込んでしまうのではないかと思うほどの豪雨。

( ^ω^)「――ツ、ン?」



 メクラアメ メクラアメ



 愛した男が帰らない

 奥方は雨に寄り道

 学生は蛙に騙された

 娘は雨から出たくない



 想い人の全てを攫うは 憎らしや


43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/02/10(火) 03:26:16.91 ID:E0DrQiXJ0
ここまで
元ネタ、もとい原作はご存知の方も多いと思うけどAAストーリーの盲雨です
是非とも読んでください
ttp://www.geocities.jp/aoi_umi_mona/aavideo/rain1.html


[ 2009/03/16 19:26 ] 短編まとめ | TB(-) | CM(0)

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