ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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(,,^Д^)は奪って堕ちてゆくようです  下の下

90 : ◆y1TBgQ3JzI:2007/04/23(月) 19:29:40
───────────
   下の下   二人
───────────



……今……僕のことを──

「……ゲホッ! ゲホッ……」

僕の服に付く赤色。

「でぃさん? でぃさん?!」

でぃさんは満身創痍だったんだ。それをいつまで忘れてるつもりだったんだ?……僕は……

「大丈夫……」

せめてこれだけ……

『痛みを奪え』

「大丈夫なわけが無いだろう! ほら!……病院に行くぞ──

(;^ω^)「あ、あいつですお! あいつがドクオをぶっ飛ばし……」

あいつ……! 警察呼びやがったか……!

でぃさんを殴り倒しておいて……警察呼べるような身分でもないくせに……!!

<ヽ`∀´>「分かった……今から事情を聞きに行く!」

くそ……

「でぃさん? 掴まって! 走るよ!」

Σ<#`∀´>「ちょ…………待てーー!!」

待つわけないだろう……!



僕は走った

でぃさんを抱きかかえて

走る

走る

振り切れない
.



91 : ◆y1TBgQ3JzI:2007/04/23(月) 19:30:39

息が

持たない



僕の左前方向に、車が見えた

こちらに走ってくる

後に警察官



僕の脳みそは、とんでもない計算をする



『注意力を奪え』

車に念じる

警官にも念じる

僕は車の前を全速力で通過する



後で響く、ブレーキ音、衝突音。

警官は、車に撥ねられた

計算通りに





もう、

堕ちるところまで堕ちてしまったんだな

僕は
.


92 : ◆y1TBgQ3JzI:2007/04/23(月) 19:31:36



どれぐらい逃げただろうか

どこかの廃ビルだ

灯りは一切無い。

辺りがよく見えない。

月も雲に隠されている。

気がおかしくなりそうなほど澄み切った空気

僕とでぃさんだけの、絶対世界

「ここまで……ハァ……逃げれば……大丈夫……じゃない……

 でぃさん……ァァ……し……死なないで……」

涙が出てきた。

「大丈夫……私は死なないわ……」

まだ痛そうな顔をしてるね。……気休め程度だけど……

『辛さを奪え』

「……何を……ハァ……言っている……んだ」

「今まで隠してて……ごめんね……まだ、隠し事が……あるの……」

月が出てきた

でぃさんが、腕を捲り上げる。

月は、その部分だけ照らして、僕らの顔を照らさない。

痛々しい傷



それが、

見る見るうちに

綺麗な肌に変わっていった
.


93 : ◆y1TBgQ3JzI:2007/04/23(月) 19:32:33

「……驚いた……でしょ?」

正確には、綺麗な肌、ではなかった。

もともとある、痛々しい虐待痕は残っていた。

でぃさんは、そして、すぐに僕を抱き締めた。

温かさしか感じない

「……タカラ君なら分かるかな……この力……

 今ね、抱き締めているのは……タカラ君が逃げていかないようにするため……

 タカラ君は……頭が良いから……分かるでしょ?」

「……………………もしかして……荒巻かい……?」

でぃさんは、頷いた。

僕が何か言おうとすると思ったのか、でぃさんは矢継ぎ早に話を続けた。

僕がね、君に敵うと思っているのかい?

僕は全然歯が立たないんだよ。

何も言うつもりは無いし、逃げるつもりも無い。

もう、何か分かっちゃったんだ。直感で。

だから僕はずっとこうしているよ。

「私が、両親が私の世界からいなくなって……途方にくれていたときにね……

 荒巻は目の前に突然現れたの……『力が欲しくないか』って……」
.


94 : ◆y1TBgQ3JzI:2007/04/23(月) 19:33:22

「それで……渡されたのが……この絶対再生能力……どんなにケガをしても自分の意思で回復できる

 ただ、その能力を渡されたとき、デフォルトはこの痣だらけの体……後遺症までは治らなかった……

 だから丁度良かった……殴られ屋の仕事は……ケガをしたような痕がしっかりあって……誰も不審には思わない……

 もともと、誰も殴られ屋の心配なんかしないしね……

 ただ、私と同じ、荒巻から能力を受け取ったものに対して、技は効かない。

 能力者から受けた傷は自然治癒とか手術でしか治らない。

 つまり、私を殺せるのは……タカラ君だけ…………まあ、荒巻が他の人にも能力を与えてたら別だけど……」

「そ……それで……」

それで、……別に言うことはない。

ただ、この雰囲気に繋ぎの言葉が欲しかった

僕だけ何も言わないなんて、耐えられなかったから

「……私は……タカラ君のことが好きなの……だから……家に招待してもらったときは本当に嬉しかった……

 タカラ君も……私のこと好きだって……分かったから……」

「でも……それは……!」

僕も、でぃさんも、心臓が爆発しそうになっているみたいだ。

声が、出にくい。
.


95 : ◆y1TBgQ3JzI:2007/04/23(月) 19:34:00

「……自分のこと……責めてるんでしょ?」

「……分かるかい?…………情けなくてさ……もう……」

今更言う必要もない。

でぃさんは、僕が能力を使って自分を犯そうとしたことは分かっている。

その上で、僕と接していた。

あのとき、僕が使った力の内容に合わせて行動していた。

荒巻から教えてもらった特殊すぎるルールを、忘れるわけがないだろう。

今は、こんなに近くにいる。

体の距離は、0

「……あのことは……いいの……私が望んだから…………欲望の塊なのは、私のほう……

 ……私の演技……上手かったかな?……タカラ君に胸、触られたとき……大げさな声出したけど……

 本当に……気持ち良かったし……タカラ君になら……最後までされてもいいかなって……

 そうね……ここは屋外だけど……したいなら……してもいいよ?」

……ちょ……ちょっと……

「や、やめてくれ……!」

……なんでそういうこと言うのさ?

今度ばかりは本当にびびったよ?

「……君が…………でぃさんがそういうようなこと……言っちゃ駄目だ……!

 全部僕が悪いし……僕が言えた立場じゃない……!

 けど……でぃさんは綺麗だ……僕みたいに穢れてない……

 身勝手だけど……君には……そんなふうに言ってほしくないんだ!……」

頭が、熱い

溶けそうだ
.


96 : ◆y1TBgQ3JzI:2007/04/23(月) 19:34:47

「…………意気地無し!……穢れてない?……殴られ屋やってる時点で、十分穢れてるって言えるわよ!」

僕の胸の中で、怒ったようにでぃさんが言う。

怒ってもいいんだよ? 僕はそうされるべきだから。

でも、君は一切怒ってくれないんだ。

「……あなたは優しいわね…………さっきだってそうだった……痛みを取ってくれようとした……

 生憎、あなたの力の恩恵には与れなかったけど……嬉しかった……」

「……き……君に何が……分かるって言うんだい……」

ああ、分かるだろう。

でぃさん、君なら僕の事を、全て分かるだろう

僕は君には歯が立たないからね。

ただ、でぃさんと同じ口振りで接したかったからそう言ったんだ。

それさえも君は見抜いてるだろう。

「……分かるわ……あなたはいつも優しい……学校でも、しぃさんに何でも貸していたし……

 なにより……家に招待してくれたときだって私と真剣に話をしてくれた」

僕のこと……いつも見てたのはそういうことか……

気づかなかったなんてな……

「……僕が……そんなにいい人間に見えるかい……?……八方美人なだけだよ、僕は……

 僕は力を暴走させてなんでもやったさ……人だって殴ったし、

 ……君じゃなければ……優しさの欠片も分けない男だよ?……僕は君が好きだから、話も真剣に聞いた……

 全部君を犯すための手段だったんだ…………だから……僕は──

「私に嫌われるようなことをわざと言うなんてね……私に嫌われるのが恐くないの……?」
.


97 : ◆y1TBgQ3JzI:2007/04/23(月) 19:35:28



月がまた出てきた。

青い光をばら撒く

「……そりゃ、恐い──

「も、もう……何も言わないで……自分から聞いてて変だけど……堂々巡りになっちゃう……」

僕らの頬には涙が伝っていた。



全て分かった。

でぃさんは、僕のことを嫌ってなんかくれないだろう。



「あなたのことは

 私が全部決めるから

 私のことは

 あなたが全部決めて」



(#^;;-^)



あの時にも見た、綺麗で明るくて、僕の一番好きなでぃさんの表情



「私は、嘘を隠し通せなくて、自虐的な、優しいタカラ君が好きで、愛おしい

 今までも、あなたがそうでなかったことなんて無いし。これからも、そうでないことなんて無いわ」


.


98 : ◆y1TBgQ3JzI:2007/04/23(月) 19:36:22





僕は、でぃさんの唇を奪った



正確には、奪い合った。かな



月も姿を消した、二人だけの空間で



思う存分



世界一、甘く



世界一、いやらしくなるように



誰にも負けないように





朝が来たとき、

僕らはその場所にはもういなかった



──────────────
   下の下   二人   終
──────────────


[ 2000/03/06 20:17 ] 中篇まとめ | TB(0) | CM(0)

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