ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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和尚の('A`)に朝が来たようです

8 名前:05:41:40 投稿日:2007/09/05(水) 21:41:17.89 ID:BvKHR8MpO
('A`)「うっし、今朝のお勤めこれにて終了っと」

 つるんつるんの頭をぺたぺた叩きながら住職が踵を反した。
 紫色の威厳溢れる衣がふわりと浮いて、心地よい線香の香りが少し冷たい早朝の空気に溶けていく。

('A`)「さ、説法の時間になるまで昨日やっとこ手に入れた永遠留守でもやるかな」

 ふひひ、と気味悪く笑った時だった。

 まだ日の上らない淡い夜の静寂を割って、彼の平穏に終わりを告げる声が響く。



10 名前:05:43:20 投稿日:2007/09/05(水) 21:43:25.67 ID:BvKHR8MpO
J(  )し ちょっとアンター!? 終わったの!?

 遠くから届いたのは住職の嫁様の声だった。

家族であれば当たり前の、ごく有りふれた日常のはず。
しかしそれを聞き取った瞬間、一挙に住職周辺が緊迫した空気に変化した。

Σ('A`)「はっ……はいぃぃ!!」

J(  )し 畑から適当に野菜とってきて! おかずもう一品作るから!!

(;'A`)「了解でありまっす!! 直ちに行って参りまっす! Sir!!!」

J(  )し 頼んだー

 草履のかかとをザシッとぶつけ、本堂に向かって敬礼ポーズ。
 すぐさま住職は両腕を腰の横に付け、駆け足……もとい全力ダッシュの態勢を整えた。



13 名前:05:45:00 投稿日:2007/09/05(水) 21:44:23.56 ID:BvKHR8MpO
(;'A`)「うちのかぁちゃんマジ恐ぇ。今の声色だと制限時間は六時ってところか。い そ が ね ば !」

 気合いを込めた言葉で坊主は自分を鼓舞する。



 しかし最初の一歩を踏み出すまでの数瞬の間に、住職の脳裏を凄惨な思い出がよぎってしまった。

――それは寝ている嫁様を踏んでしまったが為に、鐘突き棒となった自分の頭。
  嫁様の吹き出す怒りが奏でた寺の鐘、秒間十六連打。

――それは、踏み割ってしまった木魚の代わりに頭部を殴打され続けた、お葬式ジャックfrom嫁。

――隠してあったエロゲ発見に伴い、裏山で行なわれた呪いのワラ人形(等身大。人形内部に一人分の収容スペース有)ごっこ。
  最初の釘からいきなり眉間。


――その他、行なわれたルール無用の残虐ファイトは数知れず。


(;'A`)「一秒たりとも遅れられん! 死んでしまうっ!」



16 名前:05:45:15 投稿日:2007/09/05(水) 21:47:26.56 ID:BvKHR8MpO
 住職がお堂の四段階段を一足で飛び降り、土に草履を叩きつけた。

(#'A`)「おおおおおお!!」

 一歩ごとに加速する体が風に溶け、袈裟が千切れんばかりにはためきなびく。
一陣の紫風が境内を駆け抜けていく。

 手入れされた水仙を飛び越え、樹齢数百年を数える御神木を足場にして左方向へ直角に方向転換。

 賽銭箱を踏み切り台にして紫の袈裟が宙を舞い、吸い込まれる様に渡り廊下の下の空間に滑り込んだ。

 スライディング和尚が、敷き詰められた玉石を盛大に弾き飛ばしていく。

(;'A`)「……参っ 弐ぃ 壱ぃっっ」

 地上との僅かな隙間を坊主が抜けた。

(#'A`)「――――――GO!」

 瞬間、両足が踏みしめていた土が爆ぜ姿が消える。

 その上空、山を照らし始めた日光が剃りあがった頭に反射し、移動の後に輝く道を一筋浮かび上がらせていった。



17 名前:05:48:29 投稿日:2007/09/05(水) 21:50:11.28 ID:BvKHR8MpO
(;'A`)「墓地を抜ければ野菜畑、間に合ってくれよっ」

 しかしはやる気持ちとは裏腹に、踏み込む度に履物の寿命は迫る。

 足袋が感じる草履の悲鳴、土踏まずが聞き取る植物繊維の断末魔。
 履物の限界をこえた動きが、一歩ごとに編み込まれたワラを切っていく。


そして終わりは唐突に。





   ぶつっ





(;'A`)「のぉぅうわぁぁぁぁぁ!?」

 内藤家、と書かれた墓石に右足を乗せた瞬間だった。

 鼻緒の切れた衝撃で、坊主が盛大にバランスを崩す。足が予定を狂わされ宙を踏む。

 地面に叩きつけられた住職が、猛烈な勢いで地蔵様や複数の墓を巻きこみ転がって行った。



20 名前:05:50:00 投稿日:2007/09/05(水) 21:52:48.12 ID:BvKHR8MpO
(メ'A`)「いっ……てぇ……」

 体にのしかかる磨き込まれた御影石を蹴りとばし、ドクオは身の自由を確保した。

 立ちのぼる砂煙。線香の灰と枯れた花びらが汗ばんだ頭に張り付いている。

(;'A`)「ったく、朝からツイてねぇ。一分一秒が惜しいってのに」


  風が止んだ。


('A`)「……ん?」

 尻餅をついたままの和尚が微かな違和感を探る様に、いぶかしげに辺りを見回す。

('A`)「なんだ……?」

 先程まで湧き水のように澄んだ冷たい空気が覆っていたはずの墓地。

 しかし、散らかってしまった墓地には血生臭い空気で満ち始め、おぞましい気配が体を包んでいく。



21 名前:05:51:17 投稿日:2007/09/05(水) 21:54:50.62 ID:BvKHR8MpO
 総毛立ってしまった腕を握り締め、背筋を伝った汗に身を強ばらせた。

('A`)「この気配……まさか……まずいな……」

(;'A`)「しまった! 数珠っ! 経文っ!」

 ハゲ頭に脂汗が一気に吹き出す。

 あわてて衣の袖や懐をばさばさと探るが目的の物は無い。

(;'A`)「……っ!? ちっ! 来たかっ!」

 異様な気配が上から猛烈な勢いで近づいてくる。
反射で和尚がその場から真後ろへ跳び退いた。

 同時にさっきまで寄り掛かっていた墓石が、何かに直撃され凄まじい轟音を上げ砕け散った。

(;'A`)「あああぁぁぁ一番の金持ち檀家の墓がぁぁ……」

 傷心の声は真っすぐ破砕の中心へ。

 見えずとも感じる異形の気配が、払いきれぬ嫌悪感となってまとわり付く。

【+  】「何、金のことなど気にしなくて良い」

 瓦礫の山に突き立った棺桶から、ぞろりと首筋を舐めるような声がした。



24 名前:05:53:36 投稿日:2007/09/05(水) 21:57:59.89 ID:BvKHR8MpO
 徐々に薄れていく砂煙の向こう側、黒塗りの棺がゴリゴリと蓋の擦れる音を立て開いていく。

【+  】ゞ゚)「久しいな坊主。貴様の血肉、今日こそ喰らって不死を得てやろう。金勘定は存分にあの世でするが良い」

(;'A`)「毎度毎度もののけ共のつまらん噂で俺を喰いに来るなよな。オマエラ不浄の者が何を喰らおうが不死どころか地獄行きは変わらんぞ」

【+  】ゞ゚)「それは喰ってみんと判らんだろう。何より坊主の説教は耳が腐る。余計な言葉など出せぬよう、まずは頭から頂くか」

 言い終えるや否や、棺桶から顔を出した異形が牙を剥く。

 じゃっ と空気の裂ける音と共に、鞭のような獰猛な一撃が首の動脈を狙った。

【+  】ゞ゚)「もらった!」

 しかし攻撃が到達した時そこに獲物の姿は無く、空間を削り取るような一撃が虚しく空を切る。

(;'A`)「喰らうって言われてもなぁ。素直に餌になる趣味は無ぇよ」

 数メートル先の石灯籠の上、裸足の坊主がいつ移動したのか少し裂けてしまった袈裟をいじくっている。

( 'A`)「最高に面倒臭ぇし、何よりタイミングが悪すぎだ」

 灯籠の上でため息ひとつ。

 恐らくは遅れた時の嫁の激昂を思ってだろうか。
諦めは次第に怒りへと転化され、目前の存在へ注がれる。

(#'A`)「嫁リミットまでもう何分も無いんだ! 邪魔するなら魂の欠片に至るまで清め尽くす!」



26 名前:05:55:08 投稿日:2007/09/05(水) 21:59:21.22 ID:BvKHR8MpO
 石灯籠の上に立ち上がった和尚が、怒声を叩きつけ飛び降りた。
 禿に朝日が煌めく。

【+  】ゞ゚)「数珠も経文も持たぬお前がいかに我を倒すのだ」

(#'A`)「こいつで、だぁぁぁ!!」

 吠える住職、着地と同時に地を舐めるような超低空の猛進。
紫電が蛇行しつつ一瞬で棺桶に迫る。

【+  】ゞ゚)「なっ?」

(#'A`)「遅えっ!」

 鋭い気迫と共に振りぬかれたのは今し方抜かれたばかりの、墓場に立ってるなんかうねうねした棒だか板。
 ぐねぐねとのた打つその歪なフォルムが空気との多大な摩擦を引き起こし、灼熱の軌跡を描く。

 稲妻の動きに棺桶死オサムは声を上げることすら出来ず、次の瞬間には首の断面を焦げ付かせ頭を地に落とした。




29 名前:05:56:47 投稿日:2007/09/05(水) 22:01:17.82 ID:BvKHR8MpO
(#'A`)「不浄の者よ! 現世への思いを断ち切り、償いを経て輪廻の輪に帰れ!!」

 踏み込む左足でぶすぶすとくすぶる頭を踏み潰す。
 足裏が感じた ぐしゃ という感触の上に全体重を乗せ、水平に構えたぐねぐねとした板の握りをきつく持つ。

(#'A`)「お前の急所は棺桶の十字架っ!! 本体ががら空きだ間抜けっ!」

 繰り出した突き。

 赤く燃える刀身。


 しかし摩擦で火を吹くうねうねした棒だか板は、突如開いた蓋に直撃され宙を舞った。


31 名前:05:57:55 投稿日:2007/09/05(水) 22:04:04.98 ID:BvKHR8MpO
【+  】 油断したな

 暗く淀んだ棺桶内が盛り上がり、形を為していく。

 黒い塊が研ぎ澄まされ牙を産む。
 次々開く濁った双眸。

あまりのおぞましさに和尚の視線は縛り付けられ、逸らせなくなる。

(;'A`)「なっ!?」

 和尚が狼狽し一歩退いた瞬間、膨張を続けていた黒が爆裂した。

 唾液と腐汁を撒き散らし亡者が、無数のオサムが溢れ這い出す。


【+  】ゞ゚)「迂闊だったな坊主。本気で私が急所を無防備に晒したと思ったのか?」

(;'A`)「うっをぉっ!?」

 突如深淵から伸びた数十の手を一足飛びで後方へ回避する。
しかし着地までのわずかな隙に、大きく開いた口が猛烈な勢いで発射された。

(#'A`)「糞ォォォッ!!」
【+  】ゞ゚)「遅い」

(メ'A`)「っがぁぁっ!?」

 身を捻りぎりぎりで避ける。
 だが避け損ねた肩口の衣がまとめて剥ぎ取られ、露出した肌が血を吹き出した。


33 名前:05:59:21 投稿日:2007/09/05(水) 22:12:45.19 ID:BvKHR8MpO
【+  】ゞ゚)「貴様がのうのうと木魚を叩いていた日々は、私に新たな武器を与えるに十分な時間だったよ」

【+  】ゞ゚)「ああ、幾夜夢想した事か。貴様の血で喉を潤すその瞬間を」

 崩れた体勢に足元への追撃。
棺桶から伸びた腕が枝分かれしながら超低空を薙ぐ。

【+  】ωФ)「私は手に入れたのだ。新しい力を! この身はオリジナルと寸分違わぬ体を際限無く生み続けるっ」

(メ#'A`)「ちいぃぃぃぃっ!!」

 すんでの所で地を這う腕を踏み付ける。

しかしそれに合わせ魔を産む棺から無数の首が伸びた。
上下左右縦横無尽に腐臭を撒き散らす牙が迫る。

【+  】ゞ゚)「全てが私で全て武器。諦めその肉をよこせドクオ、一辺残らず糧としてやる」

(#'A`)「言ったはずだオサムっ! 不死はお前等の幻影ッ! 俺は喰われてやる気なんぞ一片たりとも持ち合わせて無ぇ!」

 怒声にあわせハゲがうなじへ手を伸ばし、袈裟の襟を掴んだ。

(#'A`)「まとめて成仏しやがれ化け物共!!」

 ぶちぶちと縫製の糸を引き千切りながら、後ろから前へ一気に紫布を打ち振るう。



34 名前:060133 投稿日:2007/09/05(水) 22:13:56.79 ID:BvKHR8MpO
(#'A`)「おらぁああぁぁっ!」

 袈裟に巻き込まれた首共が凄まじい勢いで土に叩きつけられ、複数の頭蓋の砕ける鈍い音が布下から響いた。

(;'A`)「へ……へっ。この程度で俺を餌にするなんて100年はえーんだよ」

【+  】ゞ゚)「アまイイイィィィィッッッ」

 衣での捕縛を逃れた一匹が、上空から金切り声と涎を混ぜながら垂直高速落下。
むき出しのうなじ目がけ牙を剥いた。

(;'A`)「な!? 一匹残ってやがったか!」

 即座に身を捻り横に飛ぼうとする。




【+  】ゞ゚) ぃひヒヒひ逃しゃしねぇよおぉォォォ!!

 顔面半分を砕かれ失ったオサムが袈裟越しに足へ食らい付いく。
 めり込んだ牙がづぶりと音をたて、さらに肉をえぐった。


35 名前:06:02:18 投稿日:2007/09/05(水) 22:15:07.87 ID:BvKHR8MpO
(#'A`)「がっ!? ぃぎぃぃぃああアアっっ!!」

 その場にうずくまり絶叫、悶絶。
おさむの右半分しかない口から、だくだくと和尚の鮮血が溢れ出す。

【+  】ゞ゚)「終わりだドクオ! 今すぐその肉喰いちぎってくれるッッ!」

 今まさに延髄に牙が達しようかと云う瞬間だった。


36 名前:06:02:24 投稿日:2007/09/05(水) 22:16:49.14 ID:BvKHR8MpO
 墓場全体の空気が異常な重圧に包み込まれた。



 身動きはおろか、呼吸すらままならない圧迫感にその場の時間が凍り付く。


 誰一人何一つ動く事を許さない鮮烈な怒りの渦が、暴風となって吹き荒れている。

 遥か上空を舞っていた数十羽のカラスが、黒い羽を撒き散らしながら次々地上に墜落していった。



【+  】;゚ ゞ゚)「なんだ、この暴力的な威圧感は……閻魔か? いや、禍々しすぎる! ありえん……!」

和尚の首の皮に牙が触れた状態で、宙に縛り付けられ動けないオサム。

((( A ))) オワッタオレシンダオワッタオレシンダカンニンシテオクサマモウワルイコトシマセンカラドウカドウカイノチダケハイノチダケハ

 虚ろな瞳に凄絶なまでの震え、止まることのない懇願の言葉。




37 名前:06:04:03 投稿日:2007/09/05(水) 22:17:54.12 ID:BvKHR8MpO
 次の瞬間、空中のオサムの額に銀色の菜箸が突き刺さった。

【+  】ゞ゚)「ぎゃぁぁぁぁぁっ!? 」

 猛烈な推進力がそのまま化け物を運び行く。

 遥か後方に位置する御神木に、楔を打ち込むような高い音をたて、亜音速で飛来した箸は突き刺さった。

J(  )し「ちょっと、あんた」


 目玉をはみ出させ、激しく痙攣している御神木の化け物を一瞥し、戻した視線で地に伏す旦那を貫く。

J#´_ゝ`)し「たかだか野菜を取りに行くだけで、一体どんだけ俺を待たせる気だ?」

(((;A;)))「ごごっごごごめめんなさっななさななささいぃぃぃぃ」



38 名前:06:05:11 投稿日:2007/09/05(水) 22:19:13.29 ID:BvKHR8MpO
 この場をその威圧感と、一本の箸で完全に制圧した人物が姿を現した。

 頭の白い三角巾を飾る様に長いおさげが揺れ、可愛らしい桃色割烹着のポケットからは菜箸が一本はみ出している。

 手に持ったお鍋の中身をおたまで優しくかき混ぜる度に、ふわりふわりと豆腐やわかめが汁の中で踊った。
おいしそうな味噌汁の薫りが、荒んだ墓地に立ちのぼっていく。


 柄に〔兄者子〕と刻みこまれたそのおたまを鍋から引き上げると座り込んだ坊主に向けた。


J#´_ゝ`)し「あげく、こんだけ墓を無茶苦茶にしたんだ。もう自分の葬式用に念仏唱え終わってるんだろう?」

(((;A;)))「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!悪いのはぜんぶこいつっ! こいつのせいなんですぅっ!」

 震える指が示した先には騒動の発端となった棺桶。

J#´_ゝ`)し「……嘘は?」

(((;A;)))「てててて天地神明に賭けて嘘など言うものですかっっっ」

 凄惨な予感と確信がもたらした恐れ。
今にも魂も凍り付きそうな旦那との対峙を切り上げ、嫁様が視線を棺桶へむけた。

J#´_ゝ`)し「まぁいい。オマエはそこから動くな。後でみっちり話をしよう」
( ;A;)「はっはひいいぃぃぃぃ」


39 名前:06:06:51 投稿日:2007/09/05(水) 22:21:41.74 ID:BvKHR8MpO
J#´_ゝ`)し「ちょっとそこの化け物。人の敷地でさんざ良い様に暴れてくれたわねぇ」

 兄者子が一言発するたびに、半ば物質化した轟風がオサムに向け吹き荒れる。

J#´_ゝ`)し「屑亭主はあとでたっぷり可愛がるとして、アンタには今ここで消えてもらうわよ」

 怒気の籠もった視線の槍が、鋭く棺桶を貫いた。蓋の端にひびが入る。

【+  】ゞ゚)「いっ……いかに威圧が凄まじくても所詮は人間! 前菜代わりに貴様を喰ってくれる!」

 のしかかる途方も無いプレッシャーを跳ね返すように叫ぶ異形。

【+  】ゞ゚)「行くのだ我が分身達っ! 奴の肉、欠けらも残すな!」

 それに合わせる様に百を優に越えるオサムを一気に吐き出した。

 前方から嫁の視界を埋め尽くし殺到する殺意。

だが、兄者子は落ち着き払い息を吸い込み



J#´_ゝ`)し「喝ァァァァァッ!!」



 気迫を周囲に叩きつけた。

 至近距離でまともに食らった周囲のオサムがジュッと嫌な音をたてて蒸発する。


40 名前:06:07:19 投稿日:2007/09/05(水) 22:24:14.51 ID:BvKHR8MpO
 予測を超えた事態に一瞬動きの止まった化け物共。

 その隙を逃さず兄者子は前方高くに鍋を放り投げ、同時に残像の残る速度で大群の中へ駆けこんだ。

 正面先頭に居た頭を右フックで撃ち抜き、左手で事切れたオサムの口を開ける。

J#´_ゝ`)し「そおい!!」

 桃色の獣が化け物の顎を上下に引きちぎり、両手にそれぞれ体液滴る肉の付いた牙を持つ。

 そのまま踊るように高速回転。

 周囲に群がった10を超える顔が、瞬きひとつの間に無数の裂傷で判別不能になる。

【+  】ゞ゚)「ボディががら空きだぜぇえェェェ!」

 回転の終わりを見計らい、腹に食らい付こうと突っ込んできた頭を膝で蹴り上げ、間を置かず肘で叩き落とす。

J#´_ゝ`)し「肉が喰いたかったんだろ? 存分に味わえ」

 両手の牙を真下でもがく顔に突き立て、健康サンダルで一息に踏み潰した。




42 名前:06:07:21 投稿日:2007/09/05(水) 22:25:43.96 ID:BvKHR8MpO
J#´_ゝ`)し「次ッ!!」

 更に奥へ猛進しつつ、逆手でポケットに一本残った菜箸を抜き取り鋭く振るう。
瞬時に眼底を喉を、眉間を貫かれた三つの頭で串が出来上がった。

 返す腕で串の具をライフルの様に撃ち出し、軌道上の異形が失せたその弾道を即座に追う。

J#´_ゝ`)し「ふぅっははははははぁぁぁ」

駆け抜けながら、凄まじい勢いで首を振った。

 おさげの先に結ばれた苺の形の髪留めが、豆腐に箸を入れるように化け物を削り取る。
同時に発生したかまいたちが更に多くのオサムを切り刻んだ。

 魂を刈り取られた頭が落下を始めた。


43 名前:06:07:25 投稿日:2007/09/05(水) 22:28:20.54 ID:BvKHR8MpO
【+  】;゚ゞ゚)「はっ……速すぎるっ! 見逃すな捕捉しろ! 獲物はたった一人、数で押せッ!!」

 しかしその時、嫁は大群を抜け棺桶の横に辿り着いていた。
 事態をまだ把握出来ていない産まれたての頭を棺から引き摺りだすと、軽く自分の前に浮くように投げた。

J ´_ゝ`)し「こぉぉぉぉぉぉ」

 腰を落とした兄者子の呼吸は空手の息吹。
固く握られた右拳が、強大な握力により鋼の塊に変化して行く。

 ゆっくりと目の前に投げられた頭が回転する。

J#´_ゝ`)し「こ れ で お わ り じ ゃ ー !」

 嫁と異形の視線が交錯した瞬間、渾身の右正拳がオサムの眉間に炸裂。

 粉砕された頭骨の破片が散弾になり、異形の群れを一斉に貫く。

 風穴を開けられ、自分に何が起きたのか理解する間も無く、その一瞬に全ての異形が事切れた。


44 名前:06:07:31 投稿日:2007/09/05(水) 22:30:15.32 ID:BvKHR8MpO
J#´_ゝ`)し

 砂まみれになってしまった割烹着を、軽くぽんぽんと叩いて汚れを落とす。
 そして前に手を差し出すと、先程空中に投げられた鍋があるべき場所へと帰ってきた。

J#´_ゝ`)し「あとはその薄汚い棺桶だけだな」

 横に立っている棺桶にゆっくりと嫁様が向き直る。

【+  】ゞ゚)「き……貴様本当に人間か?」

J#´_ゝ`)し「大和撫子を地で行く俺に何を言っている」

【+  】ゞ゚)「大和撫子……聞かぬ名の鬼だな」

J#´_ゝ`)し「お……!?」

【+  】ゞ゚)「ああ。確かにその名覚えたぞ。大和撫子……恐ろしい鬼であった」

J# _ゝ )し

【+  】ゞ゚)「最後の相手が貴様のような鬼でよかった。それも閻魔と並ぶ悪鬼なら相手に不足は無

 棺桶から顔を出し話すオサムの両目を、二本の指がぶっ刺した。


45 名前:06:08:59 投稿日:2007/09/05(水) 22:31:59.68 ID:BvKHR8MpO
J#´_ゝ`)し「いい加減にしろよ糞虫。誰が鬼だ、あ??」

 耳を塞ぎたくなるような叫び声をあげる化け物の懇願は、嫁様には届かない。

J#´_ゝ`)し「人語を話せるだけの豚が意気がるんじゃねぇよ。豚は豚らしく味噌汁の具にでもなってろ」

 苦痛に舌をだらりと垂らした化け物を、そのまま鍋へと突っ込んだ。

鍋】ゞ )「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 オサムが汁に触れた途端、じゅっと云う音と共に白煙が立ちのぼる。
生きながら溶かされていく者の悲痛な断末魔が墓場に響き渡っていった。

(;'A`)「あっ……ああああ」

 数秒後、絶叫はその肉ごとおダシと成り果てた。

 幾分コクを増した香りが何事も無かったように、揺らぎながら空へ上っていく。


46 名前:06:09:17 投稿日:2007/09/05(水) 22:34:04.67 ID:BvKHR8MpO
J#´_ゝ`)し「おい、コレ持ってろ」

 無造作に旦那に鍋を渡す兄者子。

その時、和尚に食らい付いたままのオサムが覇気に当てられ霧散したが、嫁様は気付いてすらいなかった。

('A`)「わ、わかった。わかりましたっ」

 嫁様は座り込むドクオから棺桶目がけ、助走を付ける。
おさげが風に吹かれ水平になびく。

J#´_ゝ`)し「よっ」


 短い掛け声と共に一対の健康サンダルが、見事なドロップキックで棺桶の十字架を蹴り抜いた。


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/05(水) 22:35:37.00 ID:BvKHR8MpO





















 







48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/05(水) 22:36:47.82 ID:BvKHR8MpO
(;'A`)「いってぇっ! もっ、もういい! 参ったたたた痛たたた!!」

J ´_ゝ`)し「怪我してそのまま本堂に血を撒かれては面倒だからな。黙って治療されてろ」

('A`;)「ひぎっ! むっ無理無理無理ッ! 終わっ……止めッあ゙あ゙あ゙あ゙!!」

J#´_ゝ`)し「動くな巻けんだろうが」

(;'A`)「これ以上どこに何を巻くおつもりでモガッ!? ホムガマグガマっ!!」

 全身にくまなく巻き付いた包帯が、遠慮無く目口にまで及ぶ。 

 もはや鼻しか肌の見えなくなったミイラ男は言葉を遮られ、観念したようにおとなしくなった。

('A`)(…………)

 過剰に巻かれた包帯で、ボーリング球みたいになった右足。
動かそうと軽く力を入れてみたが、幾重にも巻いた布の重さにぴくりとも動かない。

 不器用過ぎる愛情に全身を包み込まれているのを感じて、和尚は口の端で微笑んだ。




49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/05(水) 22:37:38.45 ID:BvKHR8MpO
('A`)「ぷはっ」

まだ動かせる手で口の包帯を外す。

J#´_ゝ`)し「動 く な と 言」

('A`)「さっきはありがとうな」

J ´_ゝ`)し「…………礼などいらん。さっさと治せよ」

('A`)「ああ、こんだけやってくれればすぐ治る。ましてや空っぽの腹をお前の旨い飯でなんとかすれば、今すぐ治るかもしれんな」

J*´_ゝ`)し「きゅっ……! 急に何言いだすっ!? ままままぁお前が喰いたいってそこまで言うんならしょうがないっ。飯にしてやっても良いぞぉぉぉ!」

 人差し指でぶすぶすと墓石に穴を空けながら照れる嫁様。
すごい速さで突き刺し、穴が『の』の字を描いていく。

J*´_ゝ`)し「墓地の後片付けやっといてやるよ。痛かったろう、ゆっくり休んで早く治れ? ほら肩貸してやるから帰ろう」




50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/05(水) 22:38:12.53 ID:BvKHR8MpO
 あっと云う間に三つの『の』を書き終え立ち上がった桃色割烹着が、包帯人間に手を差し出した。

(*'A`)「ああ、すまん。一緒に帰ろう。早く飯と漬物を食って、味噌汁を飲みた」

Σ(;'A`)「!!」

J*´_ゝ`)し「どうした?」

(;'A`)「あ……あのぅ、つかぬ事をうかがいますが奥様。……そのお味噌汁、先程化け物が触れた途端にじゅうじゅう溶けましたよね?」

J ´_ゝ`)し「?? ああ、溶けたな」

(;'A`)「その……なぜ彼の化け物は溶けてしまったんでしょうか?」

J ´_ゝ`)し「聞きたいか?」

(;'A`)「は……はい」



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/05(水) 22:38:46.41 ID:BvKHR8MpO
J ´_ゝ`)し「簡単な事だ。味噌汁には味噌が溶けている。塩も出汁も、もちろん私のありったけの愛情も溶け込んでいる」

( 'A`)……

J ´_ゝ`)し「味噌や私の愛情が溶けるのに、あんな物が溶かせないはずがないだろう?」

Σ( ゚A゚)……!?

J ´_ゝ`)し「存在自体がうやむやなものが溶かせなくて、どうして味噌の様に確かな存在が溶かせようか」

J ´_ゝ`)し「愛が溶けた味噌汁に溶かせないはずはあるまい。私の愛情の前では例え、えたーなるふぉーすぶりざーどですら春を告げる暖風に変わる」

( A ) ゚゚ ポーン

J ´_ゝ`)し「理解したか? さぁ、早く朝飯にしよう。ん? 足りないおかず? なきゃ無いで構わんよ」

(;'A`)「いや、ああああのですねそういえば読経に来てくれと杉浦さんが

J*´_ゝ`)し「俺の飯とどっちが大事かな☆」

(;A;)「もちろんあさごはんですぅぅぅ……」



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/05(水) 22:39:23.19 ID:BvKHR8MpO
 肩を貸すどころか、お姫さま抱っこでミイラ和尚を連れ去る大和撫子。
嫁が一歩踏み出すごとに揺れる旦那が軽く笑った。


 だが、本堂に向かうドクオはまだ知らない。


 朝食後、部屋を掃除してくれた嫁が鬼畜炉エロゲ永遠留守を見つけてしまう事を。



 近隣の山々に哀れな絶叫が響き渡ったが、それはまたの別のお話。

今日も美っ府寺が穏やかな一日を迎えたようです。

(完)


[ 2008/03/05 19:06 ] 短編まとめ | TB(0) | CM(0)

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