ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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/ ゚、。 /は峠に行くようです    後半

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:04:05.68 ID:+u5raHzY0

いつも集合場所に使っている峠の頂上付近にある駐車場。
今日も俺達はそこに集まり、静かな峠でじっと耳を凝らしていた。

  _
( ゚∀゚)「……今日も現れねェのか?」

/ ゚、。 /「知らん」


俺がそう答えると、ジョルジュはつまらなそうな顔をして自分のバイクのタンクの上に突っ伏した。

これでもう三日目だ。
昨日も一昨日も張り込んでいたが、現れる気配すらなかった。
出て来て欲しいときに出て来ないとは、いやらしい野郎だ。

この糞暑い中、革ツナギを身に纏ってじっとしているのは堪える。
お陰で口数も減って、ジョルジュがたまに文句を言うだけになっていた。

なんだかんだで「心配だ」と言って着いて来たクーに至っては、
一言も喋らず、腕組みして自分のバイクに跨っていた。

  _
( ゚∀゚)「クソッ、また喉乾いたわ。もう金ねェよ」


そう言いながらジョルジュはバイクから飛び降り、だるそうに自販機まで歩いて行く。




3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:07:04.65 ID:+u5raHzY0

/ ゚、。 /「一昨日から何本飲んでるんだ?」
  _
( ゚∀゚)「覚えてねェよ」


背を向けたままジョルジュは答える。
しかし横にあるゴミ箱は、空き缶で一杯になっていた。


/ ゚、。 /「ついでに俺のも買ってくれ」
  _
( ゚∀゚)「何がいいんだ?」

/ ゚、。 /「コーラで」
  _
( ゚∀゚)「あいよ。クーは何か飲むか?」

川 ゚ -゚)「……いい」
  _
( ゚∀゚)「こうクソ暑いのに、何か飲まなきゃブッ倒れるぞ」


振り向き、眉を顰めてジョルジュは言う。
その手には、コーヒーとコーラと、お茶が器用に握られていた。



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:10:04.26 ID:+u5raHzY0
  _
( ゚∀゚)「ほらよ」

/ ゚、。 /「サンキュ」
  _
( ゚∀゚)「ほら、クー」


ジョルジュはクーのバイクのタンクの上にお茶の缶を置く。
クーは暫くそれを黙って見詰めていたが、やがて栓を開け一気に飲み干した。

そんな様子を見ながら俺もコーラの缶を開け、一口飲む。
そして徐に、バイクに括り付けてある腕時計に目を遣った。


/ ゚、。 /「……そろそろ、前にアイツが現れた時くらいの時間だな」
  _
( ゚∀゚)「そうなのか?」


ジョルジュは俺の側に来て、俺が見ていた腕時計を覗き込む。

  _
( ゚∀゚)「本当だ。
     あ~あ、今日こそ出て来ねェかな? マジで」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:13:04.20 ID:+u5raHzY0

/ ゚、。 /「何か聞こえてくるか?」
  _
( ゚∀゚)「全然」


首を横に振り、つまらなそうにジョルジュは答える。
それを見て、俺も肩を落とし、溜息を一つ吐いた。

やりきれねぇよ、ホント……


――そんな雰囲気の中で、さっきまでずっと黙っていたクーが突然口を開いた。


川 ゚ -゚)「何か……聞こえないか?」


俺もジョルジュも驚いてクーの方を見る。


川 ゚ -゚)「ほら、何か聞こえてくるぞ」
  _
( ゚∀゚)「嘘だァ、何も聞こえないぞ?」

川 ゚ -゚)「いいから静かに聞いてみてくれ」



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:16:13.30 ID:+u5raHzY0

そう言われて、俺とジョルジュは口を閉じて耳を澄ます。

すると、ほんの微かにだが、確かに何か聞こえてくる。
峠の静けさに混じった、ノイズの様な音が。


川 ゚ -゚)「だんだん……近づいてきていないか?」

/ ゚、。 /「……ああ、確かに」


クーの言う通り、音は徐々に大きくなってくる。
その音は、どうやら俺達がいつも走っている方向と逆、つまり山の反対側を上って来ているようだった。


/ ゚、。 /「ジョルジュ」
  _
( ゚∀゚)「あァ、コイツは聞き覚えがあるぜ」


ジョルジュは眉を吊り上げて応える。
さっきまで微かにしか聞こえなかったその音は、もう大きな叫び声の様な音になっていた。

高回転型エンジンを、目一杯回したときに出る独特の排気音。

ライダーがスロットルを開けるのを躊躇わせる、威圧感のある音だ。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:19:06.60 ID:+u5raHzY0
  _
( ゚∀゚)「ここまで回せる奴も、この峠にはそうはいねェ。
     十中八九あの野郎だな」


そう言うジョルジュは、既にヘルメットを被っていた。
俺もまだ中身が残っていたコーラの缶を放り投げ、ミラーに引っ掛けてあった自分のヘルメットを手に取った。


/ ゚、。 /「クー、お前はゆっくり着いて来い」

川 ゚ -゚)「……ああ」
  _
( ゚∀゚)「さて、待ち草臥れたぜェ」


エンジンを掛け、期待を込めて駐車場の入り口を睨みつける。
もう足音はすぐ近くまで迫っていた。

  _
( ゚∀゚)「来るぞッ」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:22:04.45 ID:+u5raHzY0

ジョルジュが叫ぶ。
と同時に、一台のバイクが駐車場沿いの道路を走り抜けていく。

――見えたのは黄色い車体。

――黄色いヘルメット。

  _
(#゚∀゚)「行くぞッ!」


ジョルジュは鬨の声をあげる。
それに呼応し、エンジンの回転数を上げ、クラッチを一気につなぐ。
唸りを上げるエンジンを抱きかかえ、半ばフロントタイヤを持ち上げながら、
2台のレーサーレプリカは峠道に繰り出して行った。



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:25:04.94 ID:+u5raHzY0
     *     *     *

('A`)「ん?」


急に後ろから聞こえ始めた2stエンジンの排気音。
それもかなり飛ばしているのか、甲高い音には殺気のようなものすら感じられる。
俺は不審に思い、身を捩って直接後ろを見た。

目に映ったのは、並んで猛然と加速する2台のマシン。

先行する一台は、なんとなく見覚えのある、黒いRGV250Γ。

それに続くもう一台は――――赤いNSR250R。


('∀`)「アイツか!」



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:28:04.55 ID:+u5raHzY0

ガードレールを蹴り飛ばして、唯一俺の技を回避した赤いNSR。
アイツが向こうからやってきてくれた……!

嬉しくて笑い腹の底からこみ上げてくる。
顔のニヤけを抑えることが出来ない。


('∀`)「フヒヒヒヒ、今度こそ――


――今度こそ、路面の血のシミにしてやるよ。

俺はアクセルグリップを更に捻った。



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:31:05.86 ID:+u5raHzY0
     *     *     *

/ ゚、。 /「捉えたぜ、この変態野郎」


駐車場を飛び出てから3コーナー目、やっと奴に追いついた。
向こうも俺達に気付いたのか、スピードを上げる。

だがそれでも充分追いついていける範囲だ。
恐らく、俺達を誘っているのだろう。
上等じゃねぇか。


/ ゚、。 /「俺が行く!」


俺は叫びながら、ジョルジュに向かって手で合図を出す。
ジョルジュが「了解」のサインを出すのを確認すると、更にスロットルを開け車体を加速させる。

風圧から逃げる為にカウルに深く潜り込む。
速度が上がるにつれ視力が落ちる。
俺は次に迫るコーナーをじっと見据えた。

左コーナー。
3台の連なったバイクはほぼ同時にブレーキングを始め、シフトダウンの度に甲高い音が峠に響く。
強引にインを突こうと、俺は何とか鼻先を奴の左側に潜り込ませようとするが、
奴はインをガッチリ塞いでそれを防ぐ。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:34:06.57 ID:+u5raHzY0

/ ゚、。 /「簡単にはやらせてもらえねぇか」


俺は舌打ちして、コーナーの出口を睨みつけた。
まず、どうにかしてインにつくことが出来なければ、アイツをガードレールに突っ込ませることは出来ない。
1番単純なやり方じゃ、流石に無理なようだ。

3台縦に並んだままコーナーを立ち上がる。
アクセルグリップを引き千切れんばかりに捻る。

まるで生き物のように咆哮し、身震いする車体。
そのまま、短い急坂の直線を転がり落ちるように加速する。


/ ゚、。 /「此処で死んでも天国に行ける気がしないな」


俺はヘルメットの中で苦笑した。
同時に、ジョルジュに再び合図を送る。
サイドミラーに、頷くジョルジュの頭が映った。

次いで右コーナーが迫る。
前のコーナーと同じように俺はインを突こうとするが、奴もまたそれをブロックする。

互いに牽制しあうせいで、速度が落ちる。
その隙に、ジョルジュはアウトからコーナーに飛び込んでゆく。



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:37:05.20 ID:+u5raHzY0
  _
(#゚∀゚)「うらァァアア!」


ジョルジュの馬鹿デカイ叫び声が木霊する。
俺や奴とは対照的に、良くスピードに乗っている。
易々と俺を抜かし、奴と横並びになった。

黄色野郎は頭を捻ってジョルジュを睨む。
俺の邪魔をしているせいで、奴はジョルジュに対処することが出来なかったのだ。


/ ゚、。 /「ざまあ見やがれ」


ジョルジュと奴が横に並び、後ろに俺が着いてコーナーを脱出し直線に躍り出る。
俺は少し置いていかれたが、立ち上がりで絶妙に速度が乗っていたジョルジュと奴の加速はほぼ互角。
この急坂とNSRの軽さも手伝ってくれているのだろう。
3台のバイクは珍しく距離のある直線を一気に駆け下る。

このまま次の左コーナーにジョルジュと奴の2台が並んで進入すれば、
さっきはアウト側だったジョルジュが今度はイン側になる。

スロットルグリップを握る手に力が入る。
タコメーターの針がレッドゾーンに飛び込んでも、パワーは衰えを知らず奴を逃がさんと更に加速する。



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:40:05.12 ID:+u5raHzY0

次のコーナーが目の前に現れる。
ここでもまだ2台は横並び――


/ ゚、。 /「よし、いける……!」


しかし、奴はコーナーに入る前にフルブレーキングを敢行する。
鋭く光るYZFのテールランプ。
奴は慣性の法則に逆らいみるみる減速し、ジョルジュは奴の前に飛び出しコーナーに進入してしまった。

奴はそれを見計らい、ジョルジュの後ろにピッタリついてコーナーに入り、
ジョルジュ、黄色野郎、俺の順に3台並んで左コーナーを旋回する。

  _
(#゚∀゚)「畜生ッ!」


ジョルジュが悔しそうに自分のバイクのタンクに拳を叩きつけるのが見えた。

どうやら、俺達がしようとしていることは奴に勘付かれたらしい。
なら、むざむざやられてはくれないだろう。
なんとかして、奴を誘い出さなければならないな……
もうあの作戦しかない――



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:43:11.71 ID:+u5raHzY0

俺は2台前を行くジョルジュに向かって再びハンドサインを出した。


/ ゚、。 /「気付いてくれるか……」


そう危惧したが、ジョルジュは左手の親指を立てて見せた。

  _
(#゚∀゚)「やろうじゃねェか」


コーナーの出口で、俺は速度が落ちていた奴のイン側に滑り込む。
同時に、ジョルジュは少しスピードを落とし奴のアウト側に着ける。
これで3台横並びだ。

そのまま短いストレートを加速し、緩い右コーナーを掠めるように回り、今度は左ヘアピンコーナーが迫る。
俺は、他の2台より一足早くブレーキを掛ける。
一番内側を走っているので、旋回半径が小さくなってしまうのだ。
それともう一つ、理由があって――

ジョルジュと黄色野郎はそんな俺を置いて前に出る。
奴がイン側、ジョルジュがアウト側だ。
好機とばかりに、奴はアウトに、ジョルジュの方ににじり寄る――



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:46:10.51 ID:+u5raHzY0
  _
(#゚∀゚)「ヘッ!」


しかし、ジョルジュはタイヤ半分だけ奴の前に出ている。
一番外側を回るジョルジュは、旋回半径が大きい為、俺や奴よりスピードが速いのだ。
このコーナーでの主導権は完全にジョルジュの下にあった。

競り合いながらも、難なくコーナーを抜けていく。
俺は立ち上がり重視のライン取りをし、出口で再度奴のインに入る。
これで再び3台横並びだ。

すぐさま次のコーナーが迫る。
今度は右コーナー。
俺が外側だ。

ジョルジュは一足先にブレーキを掛ける。
俺と奴が飛び出る。
コーナリングの姿勢をとる。
ブレーキング――

激しい減速Gが全身を襲う。
油圧ピストンに押された4枚のブレーキパッドは高速で回るブレーキディスクを挟み、摩擦で焼けるように熱くなる。
サスペンションは縮み、フロントタイヤは荷重を受けて潰れる。

上手く前に出れた。



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:49:04.71 ID:+u5raHzY0

/ ゚、。 /「よし!」


ブレーキを徐々に緩めながら車体を倒しこむ。
旋回――

奴が俺の方に寄ってくる。
負けじとそれを抑る。
繊細なスロットルワークで荷重をコントロールし、コーナーを回る。

コーナーの出口が見え、車体を起こす。
同時に、アクセルをガバッと一気に開ける。
エンジンはビリビリと振動し、パワーが湧き上がってくる。
リアタイヤは路面を蹴り、俺と車体を前へ前へと押し進める。
奴の左隣にジョルジュが現れた。

コーナーを脱出し、三たび3台横並びとなった俺達は、短い直線を滑り落ちるかの如く加速していった。



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:52:05.46 ID:+u5raHzY0

     *     *     *

川 ゚ -゚)「ふ~む……」


すっかり置いていかれてしまった。
あの2人と、黄色い男は速すぎる。


川 ゚ -゚)「悪いことになっていなければいいが……」


不安が募る。
幸い、遠くから威勢のいい排気音が聞こえてきているので、きっとまだ大丈夫なのだろうが。

あの2人の腕を信じていないわけじゃない。
実際、あの2人はこの峠の常連の中でも特に速いのだ。
互いに切磋琢磨した結果なのだろう。



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:55:04.91 ID:+u5raHzY0

それでも、いや、だからこそ心配だった。
彼等にはその自負がある。
だから、ああ言っていたが絶対に引かないだろう。

私の言うことを聞くような耳は持っていないだろうしな。


川 ゚ -゚)「心配だ……」


でも……実は心の片隅に嬉しく思う気持ちもあったりする。

彼等は、私のためじゃないとは言っていた。
それはもしかしたら本心なのかもしれない。
だけど、半分ぐらいは私のためにやってくれていると思ってもいいだろう?


川 ゚ー゚)「……」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 21:58:04.14 ID:+u5raHzY0
     *     *     *

/ ゚、。 /「糞ッ……」


ヘルメットのシールド越しに路面を睨みつけながら俺は呟いた。

もう十数回もあの危険なコーナリングを続けている。
ドッグファイトならジョルジュと散々やってきたが、こういうラフファイトの経験は無い。
コーナーでアウト側になる度に、必死になって奴の攻撃を躱さなければならない。
更にこの暑さも手伝って、既に集中力が切れかけていた。

時々脳味噌の回転が止まる。
目が霞む。
糞ッ、もうすぐなのに……

次は右コーナー。
俺がアウト側だ。
ジョルジュは予定通りに早目にブレーキを掛ける。
ワンテンポ遅れて俺と奴もブレーキを掛ける――


/ ゚、。 /「! しまった……!」


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:01:23.92 ID:+u5raHzY0

畜生、減速しすぎた……!
奴はタイヤ半分だけ俺の前に出る。
俺が前にいなければならないのに……!

奴が俺の方に寄ってくる。
俺の走行ラインを塞ぐ。
目の前には白く光を反射する剥き出しのガードレール――


/ ゚、。 /「畜生ッ……!」


奴は限界まで迫ってくる。
タイヤがガードレールの足を掠めた。
全身に戦慄がはしる――

もうすぐだってのに……!



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:04:05.07 ID:+u5raHzY0
………
……

  _
( ゚∀゚)「なあ、さっき言ってた『作戦』って何なんだ?」


クーが居なくなったのを見計らって、ジョルジュは俺に聞く。


/ ゚、。 /「ん? ああ、昨日色々考えてな。まずは……」


俺は自分の机にシャーペンで峠の概略図を描く。


/ ゚、。 /「下りでやるんだから、俺達は頂上の、ここのいつも使ってる駐車場で待ち伏せる。
      で、奴を見つけたら追いかけるわけだ」
  _
( ゚∀゚)「ふん」

/ ゚、。 /「そしたら、まずは簡単な方法を試してみようと思う。
      多少強引にでもインに着いて、アイツを弾き出す」


シャーペンで描いた概略図を突きながら俺は話す。


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:07:05.25 ID:+u5raHzY0
  _
( ゚∀゚)「でも簡単にインを取れるか?」

/ ゚、。 /「まあ難しいだろうな。
      そしたら、少し危険だけど一度アウトからいく。
      そうすれば次のコーナーじゃインが取れるだろう」
  _
( ゚∀゚)「なるほどね……2人でやるなら1人が牽制したりすれば上手くいきそうだな」

/ ゚、。 /「だけど、例えインを取れても相手に逃げられたら意味が無くなる」
  _
( ゚∀゚)「? どういうことだ?」

/ ゚、。 /「内藤さんが言ってたアイツに対しての対策があるだろ?」
  _
( ゚∀゚)「あの『すぐにブレーキを掛けろ』ってやつか」

/ ゚、。 /「そうだ。アレをやられたら意味が無くなる。
      自分の技のことぐらいは良く把握しているだろうから、躱される可能性は高い」
  _
( ゚∀゚)「じゃあどうすれば?」

/ ゚、。 /「アイツを嵌めるには、止まれないくらいの速度で並んでコーナーに進入しないといけない。
      簡単な方法を試して駄目だったら、アイツを『騙す』しかない」
  _
( ゚∀゚)「騙す?」



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:10:04.37 ID:+u5raHzY0

/ ゚、。 /「ああ。
      アイツは最近になって現れた。ということは恐らく、あの峠の道を完全には覚えてないと思うんだ。
      だから、一見自然なように見える一定のアクションを見せ続けて、
      あるところで勘違いをさせようと思う」
  _
( ゚∀゚)「なるほどね~」


関心したようにジョルジュは呟く。
俺はそんなジョルジュの声を聞きながら、図のある箇所を丸で囲んだ。


/ ゚、。 /「その『あるところ』ってのがここだ。
      普通峠道ってのは、左右のコーナーが交互に来るもんだが、ここは右コーナーが2回連続してる。
      それに、道の起伏や鬱蒼とした木なんかで見通しが悪い。騙すにはもってこいだろう?」

川 ゚ -゚)「成る程ねぇ」
  _
( ゚∀゚)/ ゚、。 /「「!」」


驚いて俺とジョルジュは同時に声のした方を向く。
なんと、俺達が話していたすぐ横に腕組みしてクーは立っていた。

  _
( ゚∀゚)「何時から居たんだ、オメェ?」

川 ゚ -゚)「ついさっきだ。君達の話し声が聞こえたんでな」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:13:04.43 ID:+u5raHzY0

しかしクーはそれ以上何も喋らない。
黙って俺が書いた地図を見詰めていた。

暫く気まずい沈黙が続く。
耐えかねて俺はクーに聞いた。


/ ゚、。 /「言いたいことは無いのか?」

川 ゚ -゚)「私はもう何も言わないよ」


クーはそれだけ言うと、俺達に背を向けて教室の出口まで歩き始めた。
俺は立ち上がり、その背中に向けて声をかけた。


/ ゚、。 /「なあクー、今のところ俺にはこれ以上の案が思い浮かばねぇ。
      だから、これが駄目だったらその時は諦めるよ」

川 ゚ -゚)「そうか、好きにしてくれ」


クーは頭だけこちらに向けてそう応えた。
そのときの夕日に照らされたクーの顔が、俺にはなんだか残念そうに見えた。
なんでそんな顔をしたのか、いや、何でそう見えたのか、俺にはわからなかったが。



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:16:03.78 ID:+u5raHzY0

……
………

集中しろ集中しろ集中しろ集中しろ集中しろ集中しろ……

俺は歯を食いしばりながら自分にそう言い聞かせる。
集中すれば曲がれないことはない……
俺はジョルジュの言葉を思い出した。

全身の感覚が研ぎ澄まされる。
フレーム、タイヤ、サスペンションの状態が手に取るようにわかる。

一瞬の逆操舵。
車体を限界ギリギリまでバンクさせる。

自分の右膝が、右側を走る奴のバイクにぶつかった。
鋭い痛みに顔を顰める。
背中を一筋の冷たい汗が這う。

しかしそんなことには構っていられない。
タイヤのグリップ力の限界も近い。
フレームもたわんで悲鳴をあげている。

畜生、出口までもう少しだ――



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:19:16.42 ID:+u5raHzY0

要求されるのはとにかく繊細なコントロールだ。
荷重、スロットル操作、ハンドリング、どれか一つでもバランスを崩してしまえば、
後は曲がりきれずにガードレールに突っ込むか、タイヤを派手に滑らせ転倒してガードレールに突っ込むかだ。
どちらにしろ、グチャグチャのスクラップになることは免れないだろう。

俺は改めて全身の神経を集中させる。
自分の心臓の音が聞こえる。
早く、そしてやけに大きく。

全ての操作を、針の穴に糸を通すかの如く慎重に行い、
今にも破綻してしまいそうなマシンを後一歩のところで踏みとどまらせる。
マシンはいたるところで悲鳴を上げているが、それでも内側に、内側に、と旋回させる。

クリッピングポイントを過ぎる。

やっと、出口が見えた。

奴は既に加速体勢にはいろうとしている――
ここで逃がしてしまえば今までの苦労は全て水の泡だ。

早く車体を起こして俺も加速しなければ……!
タイヤの機嫌を伺いながらスロットルを開ける。
更にハンドルを少し抉る。


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:22:29.35 ID:+u5raHzY0

マシンは弾かれたかのように素早く起き上がるが、その瞬間、僅かにフロントタイヤがスライドをおこす。
心臓が縮み上がった。
不気味に揺れる車体。
思わず、スロットルグリップを握る手が緩みそうになる。

だが俺はすぐにその恐怖心を振り払い、咄嗟にグリップを握りなおした。
まだ大丈夫だ……!
自分に言い聞かせる。根拠があるとは言えない。
ただ、このままスロットルを閉じても危険だということは経験でわかっていた。

どっちも危険なら、俺はスロットルを開けて奴を追いかける。
握りなおしたグリップを思い切り捻る。
唸りを上げるエンジン。
一気に吹け上がり、タコメーターの針は勢い良くレッドゾーンに飛び込む。
願いが通じたのか、マシンの不審な挙動は納まり、一気に加速した。

遂に3台のマシンは、並んでコーナーを飛び出した。



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:25:03.65 ID:+u5raHzY0

視界の隅を景色が流れる。
鬱蒼と木が生い茂っている。
やがて下り坂から若干の上り坂に変わった。
その先がすぐにまた下りになっているせいで、先にあるコーナーが見えない。

やっとここまで来た。

最後。
これで俺の仕事は終わりだ。

俺はブレーキレバーに指を掛け……

クッと引いた。

後は頼んだぜ、ジョルジュ。



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:28:18.71 ID:+u5raHzY0
     *     *     *

('A`)「畜生、かわしやがったか」


俺はメットの中で舌打ちした。
確実に仕留めたと思ったのに。

あの赤いNSRに、この黒いガンマ。
コイツらはなかなかの腕の持ち主だ。
骨がある奴に出会えて、俺は嬉しかった。

しかし、さっきからワンパターンな動きで避けてばかりだ。
万策尽きたのか、これがコイツらの限界なのか。


('A`)「少しガッカリだな」


俺は呟きながら、スロットルを開けていた。
くぐもった排気音に、倦怠感のある吹け上がり。
コーナーで最後まで執拗にあのガンマに迫っていたせいか、回転数が落ちている。
明らかにいつものパワーが無い。

しかし幸運なことに、コーナーを脱出すると珍しくそこは上り坂になっていた。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:31:08.14 ID:+u5raHzY0
上りでなら、流石に250ccには負けない。
馬力は2倍以上あるのだからな。
どうやら、幸運の女神まで俺の味方をしてくれているらしい。

俺は一人、ニヤッと笑った。

上りきる直前、横を走るガンマがブレーキを掛けたのか、急に減速して後退していった。
今までと、また同じパターンか。
俺はそう思って、半ば反射的に左横を走るNSRに着いて行った。

赤いNSR。
今度こそ潰してやるよ。
そういきり立ちながら、俺は前を見詰める。

上り坂を上りきったところで、前方の視界が開けた。
前に迫るコーナー。
どうなっていたのか、俺は一瞬理解できなかった。
そして理解できたとき、愕然とした。
全身から血の気が引く音が聞こえた。



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:34:08.32 ID:+u5raHzY0
     *     *     *
  _
(#゚∀゚)「か か り や が っ た な ッ ! この糞野郎ッ!」


慌てたように、奴はブレーキングを始める。
みるみる速度が落ちる。
俺もそれに合わせる。

  _
(#゚∀゚)「逃がしゃしねェぜッ!」


それにもう遅い。
無駄なんだよ。
今からじゃ止まれない。

もう俺達は曲がり始めているんだ。
無理にブレーキを掛けようとすれば、タイヤが滑ってスクラップさ。
奴もそれに気付いたのか、ブレーキを離して車体をバンクさせようとした。

俺はそんな奴の方ににじり寄る。
半ばカウルをぶつけながら、奴をアウトに押し出す。

ガードレールがどんどん近づいてくる。
俺自身も衝突の恐怖に駆られる。
だがもう少し。
まァだ俺は大丈夫だ。



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:37:06.31 ID:+u5raHzY0

もう少し……

口の中が乾く――

もう少し……

早鐘のように心臓が鳴る――

ここだ……!

俺はギリギリのところで車体を倒し、コーナーの内側に向かって曲がっていった。

残されたのは奴ただ一人。

恐らく、大驚失色して狂ったようにブレーキを掛けているか、
無理に曲がろうとバイクの上で踊っているかのどちらかだろう。

無駄なんだよ。


(;'A`)「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――――


お前の負けだ、諦めな。

――――"ガシャン"



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:40:12.96 ID:+u5raHzY0
     *     *     *

(メ)A`メ)「すみませんでした。なんか会社とかいろいろムシャクシャしててブッ!……」


ジョルジュの拳が傷だらけ奴の顔面に突き刺さり、奴はゴロゴロと転がった。
もう何度目だろうか。

その顔の傷は、全てジョルジュに殴られたためのものだった。
運良く…いや、悪かったかもな…軽傷で済んだ奴はジョルジュに引き摺り起こされ、正座させられた挙句殴られ続けていた。
全く自業自得だが。

  _
(#゚∀゚)「すまんで済んだら警察はいらねェんだよ、ボケがッ!」

(メ)A`メメ)「ヒィ!」


ジョルジュは奴の胸倉を掴んで怒鳴る。
お前が居れば警察はいらなそうだな。
俺はそんなジョルジュを見てそう思った。
かと言って同情は感じないけどな。

俺は近くに転がっている、奴のYZFに目を遣った。
ガードレールと一体化してしまったんじゃないかと思うほどグチャグチャに大破していた。



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:43:16.18 ID:+u5raHzY0

これでコイツも、二度とこんなことはしないだろう。
少なくとも、あそこで目一杯奴を脅しているジョルジュが居るこの峠では。

  _
(#゚∀゚)「今すぐにでもお前を殺してやろうか?」

(メ)A`メメ)「ゆ、許してくださいぃぃ……」


暫く眺めていると、上の方からクーが走って来た。


川 ゚ -゚)「……大丈夫だったか?」


クーはバイクから降り、俺、ジョルジュ、掴まれている奴、
スクラップになったバイクを順に見回してからそう言った。


/ ゚、。 /「見ての通りさ。俺もジョルジュも何とも無い」

川 ゚ -゚)「そうか。なら良かった」


クーはそう言うと、やおらジョルジュの方に寄って行った。
ジョルジはそれを見て、奴から手を放すと無理やり正座させた。



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:46:18.24 ID:+u5raHzY0

川 ゚ -゚)「もう二度とあんなことはしないと約束してくれ」


クーは奴を見下ろし、静かにそれだけ言った。


(メ)A`メメ)「はい、もう二度としません……」


鬼の様な形相で仁王立ちしているジョルジュから一刻も早く逃げたいと思ったのか、奴は即答した。

  _
(#゚∀゚)「甘いぜクー。せめて修理代ぐらいは貰わんとな」

(メ)A`メメ)「え? あ……」
  _
(#゚∀゚)「なァ?」


蛇に睨まれ、蛙は観念したようで、大人しく財布を差し出した。
ジョルジュは「これしかねェのかよ」と不満を言いながら、全てのお偉いさんのブロマイドを抜き取ると、
空の財布を奴に叩き返した。
ジョルジュは一瞬クーの顔色を伺ったが、クーはいつもの無表情でそれを見ていた。


/ ゚、。 /「さて、じゃあ最後に……」



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:49:03.92 ID:+u5raHzY0

そう言いながら俺は奴のバイクに歩み寄る。
突然そんなことを言ったので、ジョルジュとクーは訝しげにこっちに視線を向けた。
俺はその視線を背中に浴びながら屈み、奴のバイクからある物を引っこ抜いた。

  _
( ゚∀゚)「キー? そんなもんどうすんだ?」


ジョルジュは俺の手に持たれた物を見て尋ねる。
恐らく、そんなことを聞きながらもジョルジュは俺のしたいことを大体把握しているだろう。
その証拠に、ジョルジュはこれまでに無いくらいニヤついていた。


/ ゚、。 /「こうすんだよっと!」


俺は叫びながら手に持ったバイクのキーを谷に向かって放り投げた。


(メ)A`メメ)「あっ……」

川 ゚ー゚)「……」


そのキーは綺麗な放物線を描いて飛び、一度太陽の光を反射し"キラッ"と光ると、
後はもう何処にいったかわからなくなった。



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:52:04.60 ID:+u5raHzY0
     *     *     *

/ ゚、。 /「暑い……」


俺は駐車場のアスファルトの上に仰向けに寝転がりながら呟いた。
半袖のTシャツは既に絞れるくらいに汗で濡れている。
気持ち悪い。


川 ゚ -゚)「なぁ、ダイオード?」


クーはそんな俺の顔を上から覗き込みながら話しかける。

翌日も、俺達3人はまたこの峠に集まっていた。
でも今回は何の約束もしていない。
ただなんとなく、なんとなく此処に来ようと思い立って来てみたら、既にそこにはクーとジョルジュが居たのだ。
俺はなんで来たのか聞いた。
しかし2人とも「なんとなく」としか答えなかった。

俺は起き上がって聞き返す。


/ ゚、。 /「なんだ?」

川 ゚ -゚)「君達は全力で走るとあんなに速かったんだな。少し見くびっていたよ」


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:55:04.54 ID:+u5raHzY0

/ ゚、。 /「ん~、あれはまだ『全力』とは言えないぞ。なあジョルジュ?」


俺は自分のバイクのタンクの上に突っ伏していたジョルジュに声をかけた。

  _
( ゚∀゚)「へァ?」

/ ゚、。 /「昨日のアレ、全力で走ったとは言えないよな?」


ジョルジュは俺の言葉の意味を理解しかねたようで、一瞬眉を顰めた。

  _
( ゚∀゚)「ん~……全力って言えば全力だよ。あんなラフファイト、二度としたくないね。
     速さだけに絞って考えれば、俺達はもっと速く走れるな。うん」

/ ゚、。 /「まあそういうことだ、クー」

川 ゚ -゚)「そうか……今度見てみたいものだな」
  _
( ゚∀゚)「サーキットとか、安全なところに行けば見せてやれるよ。
     もっとも、サーキットのレベルには到底及ばない代物だがな」

川 ゚ -゚)「奥が深いな」



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 22:58:08.79 ID:+u5raHzY0

/ ゚、。 /「そこが面白いんだろ?」

川 ゚ -゚)「そうだな。……なあダイオード、ジョルジュ?」


何処かかしこまったようにそう言うクー。
俺達は少し怪訝に思ってクーの顔を覗き込んだ。


川 ゚ -゚)「ありがとうな」

/ ゚、。 /「なんだ、感謝されるようなことは何もしてないぞ?
      俺達はただこの峠の為に、お前の反対を押し切ってやったんだ。
      むしろ叱られるべきなんじゃないのか?」


笑いながら俺は言う。
それを横で聞いていたジョルジュもヘラヘラ笑っている。


川 ゚ー゚)「全く、君達は掴み所が無いと言うか何と言うか……」


そう言うクーも僅かに微笑んでいた。



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 23:01:11.42 ID:+u5raHzY0

/ ゚、。 /「さて、じゃあ行きますか」


俺は近くに転がしてあったジャケットを手に取った。
日差しを吸っていて熱い。

  _
( ゚∀゚)「そうだな!」


ジョルジュもヘルメットを被り、バイクのエンジンを掛ける。


/ ゚、。 /「例の如く、負けたら奢りだ」
  _
( ゚∀゚)「OK!」

川 ゚ -゚)「私も本腰を入れて走るかな」


3人は、ほぼ同時にクラッチを繋ぎ、キツイ日差しの中峠道に繰り出していった。
懐に抱いたエンジンから響き渡る音に胸を高鳴らせながら。



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 23:02:34.49 ID:+u5raHzY0

~~~


/ ゚、。 /「しゃあ、ジョルジュ、コーラ買ってこい!」
  _
( ゚∀゚)「畜生……」



76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 23:05:15.59 ID:+u5raHzY0
     *     *     *

( ^ω^)「……よし、これでいいお」


ボルトを締め付け終えて、僕は手に持ったメガネレンチを台の上に置き、ゆっくり背伸びした。
ずっと屈んで作業していたためか、全身がポキポキと音を立てる。
呻き声が僅かに口から出るが、気持ちいい。


( ^ω^)「ふぅ」


ひとつ溜息を吐き、辺りを見回すと、もう夕日が差していた。
コーヒーでも飲んで一息吐こうと思い立ち、僕は作業台の片隅に置いてあるポットに手を伸ばした。
中のお湯は少し冷めていたが、疲れた体に染み入るようだった。

カップ片手に、暫く外の様子を眺めながらぼんやりしていると、何処からか聞き覚えのある音が聞こえてきた。
2stエンジン独特の排気音。
80~90年代に流行したそのエンジンを積んだバイクは、
バイクブームの終焉と排ガス規制の煽りもあって、今ではすっかり市場から姿を消していた。

よって、そのバイクにのっている人は今は少ない。
若いころ、そのバイクブームに身を置いていた僕にとっては寂しい話だ。



77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 23:08:23.20 ID:+u5raHzY0

つまりあの音の主は大体予想が出来る。
それに、ある噂話も耳に入れていたし。
僕はすぐに着くであろう来訪客の為に、新たにコーヒーを一杯準備した。


/ ゚、。 /「こんにちは……ですよね?まだ」

( ^ω^)「おっおっ、ダイオード君かお。来ると思ってたお。コーヒーでも飲むかお?」

/ ゚、。 /「頂きます」


僕は手に持ったコーヒーを彼に差し出し、座るように促した。
彼が一口飲むのを待ってから、僕は話始める。


( ^ω^)「もう噂になってるお。君達があの男を叩きのめしたって」

/ ゚、。 /「そうですか……」


彼は苦笑いで答える。


( ^ω^)「僕も捕まえようと準備していたけど、これで必要なくなったおね」



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 23:11:05.85 ID:+u5raHzY0

/ ゚、。 /「その網ですか?」


彼は、床に転がされたバレーボールのネットの様なものを指差す。
これ以上あの男の被害があれば、コレを仕掛けて捕まえようと用意していたものだ。


( ^ω^)「とにかく、峠の皆を代表してお礼を言うお」

/ ゚、。 /「俺達はそんなつもりでやったんじゃないからいいですよ、そんなの」

( ^ω^)「仲間の為に、ってかお?」

/ ゚、。 /「格好つけてるようですけどね。
      大切な友達がやられて、黙ってられなかったってだけですよ。
      皆の為だとか、そんなこと微塵も頭に有りませんでしたよ」

( ^ω^)「そうかお。でもまあ結果的に皆感謝しているみたいだから、すぐに噂になってたお。
       多分、峠で会う人全員にお礼を言われるじゃないかお?」

/ ゚、。 /「少し大げさじゃないですか?」

( ^ω^)「そうでもないお。あ、でもこんな無茶はもうあまりしないで欲しいお」

/ ゚、。 /「どうですかね? また友人に何かあったら保障は出来ませんよ」


笑いながら彼は答えると、残っていたコーヒーを一気に飲み干した。



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 23:14:05.33 ID:+u5raHzY0

/ ゚、。 /「じゃあご馳走様でした。殆ど全部知っているみたいですから、特にすぐ伝えることも無さそうですね」

( ^ω^)「あ、でも今度どんな荒っぽいファイトだったか事細かに話してくれおwww
       こう面白いことはなかなか無いからおwww」

/ ゚、。 /「じゃあまた時間があるときに来ますよ。丁度お客さんも来たみたいですからね」


言われてみると、確かに外からトラックのもののような音が聞こえてきた。
彼はカップを台に置き、出口に向かって歩き出した。


/ ゚、。 /「あ、そうだ」


途中で何か思い出したのかそう言うと、彼は振り返る。


/ ゚、。 /「ぶっ壊れたYZFを修理に持ってきた根暗そうな男が居たら、
      その網で縛って川にでも流しといてくださいよ」

( ^ω^)「わかったお」

/ ゚、。 /「じゃ、仕事頑張ってください」


彼はそう言うと、再び背を向けて帰っていった。



83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 23:17:04.73 ID:+u5raHzY0

僕が表に出ると、そこには一台のトラックが停まっていた。


(メ'A`)「あ、すいません、バイクの修理を頼みたいんですけど」

( ^ω^)「おっ、把握したお」


僕はトラックの荷台の扉を開いた。
そしてそこにあったもののせいで、僕は改めて客の顔をじっくり見なければならなかった。


( ^ω^)「……ちょっと待ってるお」

(メ'A`)「あ、はい……」

(メ'A`)「……あのガキ共……」



85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 23:19:06.13 ID:+u5raHzY0

(メ'A`)「……今度会ったら絶対にブッ殺してやる……」

(メ'A`)「……」

( ^ω^)「……待たせたお」

(メ'A`)「あ、え? 何ですかそのサッカーゴールの網みたいなものは」

( ^ω^)「……」

(;メ'A`)「ちょ、うわ、なにをするやめr……」


          ―――― / ゚、。 /は峠に行くようです・完 ――――





ここから質問

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 23:22:27.78 ID:k3WZS9CLO
>>87
乙!
初投下……じゃないよな


90 名前: ◆AP.EK6HqUs 投稿日:2007/09/12(水) 23:24:48.90 ID:+u5raHzY0
>>89
以前('A`)と( ゚∀゚)は最低・利己的なようですっての書いてました


91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 23:24:50.05 ID:w0Dkw7ov0
>>87
YZFってR6ですよね


92 名前: ◆AP.EK6HqUs 投稿日:2007/09/12(水) 23:26:42.46 ID:+u5raHzY0
>>91
そうです。もし前の年式ならドクオが勝っていたとか……


93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/09/12(水) 23:28:45.48 ID:k3WZS9CLO
>>90
やっぱり、バイク好きっぽい作者だと思ったんです
しかし自分はふられるために告白が好きだったり、と言うかジョルジュ?


95 名前: ◆AP.EK6HqUs 投稿日:2007/09/12(水) 23:31:46.68 ID:+u5raHzY0
>>93
有難う御座います。
あの話の主人公は自分の中ではジョルジュ。
またあんな話とか最低の続きとか書きたいけどいい案が浮かばん……


[ 2008/03/03 20:55 ] 短編まとめ | TB(0) | CM(0)

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