ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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( ^ω^)この夏、僕は恋をする「ようです」 2

9 : ◆06NY4sFIG.:2008/08/30(土) 19:05:52
 
 
2
 
『夕暮れまでどのくらい?』
イヤフォンから耳にその歌が届いたとき、既に当たりは夕暮れに包まれていた。
ボンヤリと沈んでいく太陽を追うかのように、カラスが二羽、空を飛んでいる。

( ^ω^)「カラスの鳴き声は聞こえないけど、帰るおー」

『夕暮れはもう到来』
前に伸びる影を追うように、僕は帰路に着く。

( ^ω^)(…あー)

ふと、僕の横を自転車が通り過ぎた。
荷台には女の子が、運転を男の子がしていた。
ふん、と鼻を掠める風と、ほんの少し甘い香りが鼻腔をくすぐる。

( ^ω^)(……)

恋。僕はその単語が頭に浮かんだ。
前を行く自転車は既に豆粒ほどの大きさになっていたことから、自然と僕の足が止まっていることに気づく。


10 : ◆06NY4sFIG.:2008/08/30(土) 19:06:27
( ^ω^)「…はぁ」

羨ましい。彼らのような人種が。
 
恋は素晴らしいことだと思う。
例えばソレはチョコレートのような誘惑。とろけるように甘く、切ない。
例えばソレは画鋲を放り込まれた上靴。身の危険を回避するために捨ててしまう。
一喜一憂し、時には叫びたくなるような胸のくすぶり。
締め付けられるような、体がしびれるような。
好きな人を想うだけで顔が真っ赤になったり、恥ずかしくなったり。
 
そんなことがよく漫画では描かれ、僕は興味をそそられたものだ。

( ^ω^)「ちくしょー」

何だか居た堪れなくなり、近くに転がっていた小石を思い切り蹴り飛ばした。
僕は恋をしたことが無いのだ。


11 : ◆06NY4sFIG.:2008/08/30(土) 19:07:07
 
 
『真夜中は何食ってもうまい』
部屋のウーハーから流れる歌は、そう呟いた。

( ^ω^)「まったくもってその通りだお」

カップメンを啜り、独り言を呟いた。
少し自分が寂しい人間のように思えたが、気にしたら負け。
そそくさとカップメンを空けると、僕はいよいよ鉛筆を握り締めた。

( ^ω^)「決まらあああああん!」

しかし数秒という時間の間に僕は鉛筆をへし折った。
これで五本目である。
僕が何故このような奇行をしでかしているかといえば、部活が終わって帰ろうとしたときだ。


12 : ◆06NY4sFIG.:2008/08/30(土) 19:07:58
川 ゚ -゚)『おい、内藤』

( ^ω^)『何だお?』

川 ゚ -゚)『お前まだ明後日応募する課題終わってないだろ』

( ^ω^)『は?』

川 ゚ -゚)『市の美術コンクールのだ。テーマは自由。明日までにもってこい』

( ^ω^)「いや無理ですから!無理ですから!」

ああ、もう時間は一時を指しているというのに、未だ目の前の紙は白々しい。
本日六本目の被害を出したところで、僕は机の上に頭を置いた。

( ^ω^)「僕は絵が嫌い僕は絵が嫌い僕は絵が嫌い僕は絵が嫌い……」

ぶつぶつと呟く。
傍から見れば異常だと思うだろうが、どうだっていいことだ。
今はこの顔の下に広がる白の大地を染め上げることを考えねばならないのだ。


13 : ◆06NY4sFIG.:2008/08/30(土) 19:08:33
『君よりはイカれていない』

( ^ω^)「!」

ふと、我にかえる。
相変わらず僕の部屋は、ウーハーが怒鳴り散らす音で酷い有様だ。

『ここ焦燥都市24時』

( ^ω^)「こ…」

浮かした頭をコンポへと向ける。

( ^ω^)「これだお!」

『さすらっていた』

( ^ω^)「きたきたきたきたおー!!」

ばっと鉛筆を取る。
先ほど頭を掠めたイメージを殺さないよう、丁寧に、優しく現実へと、この紙へと引きずり出す。
そうして粗方下書きができて、僕はいよいよ筆を握り締めた。
まるで走り回るような絵の具。爆発したような荒い着色。
影だとか色だとか、僕は知ったことではない。
何故なら僕は絵が大の苦手だからだ。
何と一時間で完成したその絵に、最後に僕は題名を書いた。


14 : ◆06NY4sFIG.:2008/08/30(土) 19:09:14
 
 
川 ゚ -゚)「『焦燥都市24時』…」

明くる日の昼過ぎ、僕は先生に完成した絵を届けに来た。
相変わらず夏日が差込み、開かれた窓からは運動部の掛け声と蝉の鳴き声が届いた。

川 ゚ -゚)「なるほど、確かにこの筆遣いは焦っているようにも見える」

(;^ω^)「いや、馬鹿にしてんのかお」

今日は部活の日ではない。
従ってやはり、この美術室には僕と先生の姿しかないのだ。
少し口の角を上げて笑い顔を作る先生に、僕は少し頭にきた。
絵の苦手な僕だが、生まれて初めて良い感じに描けたと思っている。
そんな作品を、まるで馬鹿にされたようで悔しいのだ。

川 ゚ -゚)「だが―」

突然、先生は絵を持ったまま背を向けてしまった。
何だ、と不思議に思うも、次の仕草で僕は何ともいえない気持ちになるのだ。


15 : ◆06NY4sFIG.:2008/08/30(土) 19:10:01
川 ゚ ー゚)「いい絵だ」

ミンミン、蝉がなく。
振り返った先生の初めて見る微笑みで、何故か僕はほんの少しだけ、ドキリとした。

川 ゚ -゚)「どうした?」

(;^ω^)「え?あ、いや、こ、これでもう帰っていいのかお?」

静止していた僕に先生が近寄ると、不思議そうに僕を覗き込んだ。
慌てて離れると、焦ったように上ずった声でそう訊いた。

川 ゚ -゚)「ん、あー、いや駄目だな」

(;^ω^)「へ」

川 ゚ -゚)「お前ここのところサボってばかりだったろ、やってない奴全部片付けろ」

そうとだけ言って、先生はイスに腰掛ける。


16 : ◆06NY4sFIG.:2008/08/30(土) 19:10:34
(;^ω^)「あのー…」

川 ゚ -゚)「何だ?」

(;^ω^)「体調が悪いので帰りますお…」

川 ゚ -゚)「駄目だ」

( ;ω;)「鬼ー!嫌だお帰らせてくrごふぁ!」

川 ゚ -゚)「さぁ、まずは先週の―」


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[ 2008/09/05 00:52 ] 夏祭りまとめ | TB(-) | CM(0)

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