ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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週末は雪 3日目&あとがき FAQ

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:10:07.82 ID:O2PBaOPsO

 
3日目

 相変わらずの空模様が、広い窓から覗く。ラジオはガリガリとノイズを交じらせながら、呻いていた。

『高岡……は、この雪は……が付着した上、……硫化水素……の有毒ガスが……するとし……』

川 ゚ -゚)「下らないな」

 わざわざシャーペンを置き、問題を解くのをやめてから、クーは言った。

(´・ω・`)「……へぇ、何で?」

 彼女の「同意を求めている感」を感じ取り、ショボンはひとまず話をつなぐ。
 長く愚痴を聞かされそうな気がする。読んでいた本に、栞を挟んでから、真横にいるクーを向いた。




62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:12:51.92 ID:O2PBaOPsO

 
川 ゚ -゚)「今更になって、雪の成分を解析だなんて、悠長すぎる。私なら、得体の知れないものは、まず初めに調べる」

(´・ω・`)「ふぅん」

 雪が降ったのと、クーがこの図書室に来てから、今日で三日目になる。

 分かったのは、彼女がこんな状況でも、決して勉強を止めないことと、彼女の手の甲に薄いホクロがあること、
 そして、クーは確かに賢いが、臨機がきかないこと。

(´・ω・`)「まぁ、そうできない理由があったんだと思うよ」

川 ゚ -゚)「例えばどんな?」

(´・ω・`)「さぁ。僕にはそこまでは知り得ないな」

 はぁ、ため息のように吐いて、クーは次に吸った空気の冷たさに鳥肌を立てた。

 三日続けて太陽がほとんど出ていない。それこそ、辺境の矮惑星のような寒さだ。
 こんな場所で、しかも制服の夏服で、寒くないとうそぶける人がいるなら、彼らに紹介してほしい。
 まだ若すぎる彼らにとって、単純に勇気となるだろうから。



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:15:48.97 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「……流石に、寒いか」

川 ゚ -゚)「いや、何のことはない」

 一応、ショボンが本と本棚をうまく組んで、可能な限り熱を逃がさない空間を作ってある。
 しかし、それ以外にも問題があった。

川 ゚ -゚)「……腹が減ったな」

 二人が持ち合わせていた弁当も、既に空っぽ、ショボンは昨日、生まれて初めて、本を食べた。

(´・ω・`)「うん……でも、世界中がこんな状態だから、支援は望めないね」

川 ゚ -゚)「……本を……食べるしかないのか」

 せめてここが自分の家だったら、と何度思ったか。時折母の顔がよぎったりもした。
 そしてその度に奇跡を信じ、生きのびてきた。

(´・ω・`)「今度こそ、気合いじゃどうにもならなそうだね」

 ショボンがそう、弱音を吐いたときだった。内線が通じる電話が鳴った。



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:18:31.00 ID:O2PBaOPsO

 
川 ゚ -゚)「出てみなよ」

 ちらっとクーを伺ったショボンに、彼女は少し不機嫌そうにいった。しぶしぶ、ショボンは受話器を取る。

(´・ω・`)「もしもし」

『俺だ』

(´・ω・`)「なんだ、校長先生か。どうしt」

『誰がオッサンヴォイスだ! 俺だよ、ドクオだ!!』

(´・ω・`)(うぜぇ……)

 ショボンは露骨にいやな顔をしながら、言わなければ相手には分からないと気付いて、ふっと笑った。

『おっと、そんなことより。体育館に来てくれ!』

(´・ω・`)「どうしたんだ。良いことか?」

『良いことも良いこと! 飯が食えるぞ、ショボン!!』

(´・ω・`)「なんだ、そんなことか」

(´゚ω゚`)「何だって!?」



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:21:13.90 ID:O2PBaOPsO

 
 うっかり、ドクオのウザさのせいで、朗報を右から左するところだった。

(´・ω・`)「こんなご時世で、どこの誰が飯をくれたってんだ?」

『分からん。近所の農家らしいが、詳しくは……』

(´・ω・`)「ふむ……ともかく、知らせてくれてありがとう。すぐ行くよ」

 ショボンが電話を置くと、クーはだるそうに立ち上がった。これは唯、体力が残っていない故だが。

川 ゚ -゚)「飯なんだろう?」

(´・ω・`)「そのようだ。行くだろう?」

川 ゚ -゚)「いや」

  クーは少し思案して、拒否した。



68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:24:05.30 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「……そうかい」

 ショボンは、敢えて無理やり連れ出すことはしなかった。
 これまで、僅かに成立した会話から、確かだという確率こそ低いが、割り出した事項がある。

(´・ω・`)「それじゃあ、君の分も貰って来てあげるよ」

川 ゚ -゚)「助かる」

 相変わらず無愛想だな、と心の中で呟いてから、ショボンは図書室を出た。

(´・ω・`)「……」

 少し期待してから、外を見る。やはり、相変わらず雪が雨のように降り注いでいた。
 そして地に在る塵どもは、風に踊り、空を舞う。

(´・ω・`)「やっぱり、とち狂った奴が最期に世間の役に立ちたがっただけか」

 もしかしたら、何かしらの好転があったのかと胸を躍らせていたが、期待はずれだった。
 荒天は変わらず、全く破滅の足音はずっと楽しげにスキップして近付いてきていた。



以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:27:13.87 ID:O2PBaOPsO

 
 体育館に入って、ショボンはむっと顔をしかめた。

(´・ω・`)(生き残りは、こんなに多かったのか?)

 初日の朝から雪が降っていた。有毒ガスが薄いうちに学校に来て、生きているのは、ほんの数十人と思っていた。
 それが、大凡二百人といったところか?

(´・ω・`)「ドクオー、どこだい?」

 ドクオを探すついでに、顔ぶれを見てまわる。

(´・ω・`)(ふむ……斉藤、荒巻、杉浦……サッカー部? いや……)

 目に付く人間の共通点を探し回る。もちろん、生き残っている理由となるような。

(´・ω・`)(なるほど。こいつら……ほとんどが朝練がある集団だ)

 疑問が解消したところで、真剣にドクオを探す。
 めんどくさい事に、ドクオは低身長な俺男だ。こう雑踏の中では、待ち合わせをしても会えない事がある。



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:30:08.56 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「どこだ、ドクオ……そもそも生きてるのか、アイツ」

 ドクオが死ぬばかりはお断りだ。例えお断りしますがお断りしなくても、ショボンは断る。
 ドクオは、これまで唯一、彼を理解しえた人間だった。ドクオの死は、ショボンの心の死である。

 その時だった。体育館のステージから、マイクを使ったシャウトが、全員の耳をつんざいた。

ノハ#'A`)「お前らぁ! トウモロコシが……茹で上がったぞおおぉおお!!」

(´゚ω゚`)(前言撤回! 野郎め、死ねっ!!)

 ショボンは不意の200デシベルに、意識を持って行かされそうになりながら、どうにか立ち続けた。
 そして、また変なコスプレをした――カツラを被り、スカートの下に制服のズボンを履いている――ドクオを睨んだ。

(´・ω・`)「全く、こんな時に元気なもんだよ」

 ともあれ、ショボンもそろそろ限界が近づいていた。壇下から喚いて、消費できる体力はもう無かった。



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:32:37.71 ID:O2PBaOPsO

 
 大人しく列に並び、トウモロコシを待つ。
 ショボンは最後尾集団だが、独占をしようとする者は、普段から教育の行き届いた私立ならでは、一人も居ないようだ。

(´・ω・`)(一人一本か……クーのぶんは貰えるかな……)

 もし、余りが出たら遠慮なく戴こうと決めて、ショボンはせめて陽気に、口笛を吹いた。
 かなりやつれた背中の男に、うるさいと囁かれてからは、すぐに止めたが。

 さて、茹で上がったトウモロコシを受け取るだけの、単調な作業。
 ずらりと並んだ列の消化も、時間がかかると言うほどでは無かった。

('A`)「お、ショボン。来たか」

(´・ω・`)「うん。流石に、飲まず食わずではね……僕と、あと一人いるんだ。二本くれないかな?」

 ドクオは、一、二、三……とトウモロコシの数を数えてか
ら、ショボンの後ろにいる人数を確認する。

('A`)「……すまん、いっぱいいっぱいみたいだ」

 それから、申し訳なさそうに言った。



76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:35:20.08 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「……そうかい。じゃあ、一本でいいや」

 少し冷めた大鍋からトウモロコシ一本を、勝手に取った。

('A`)「……大丈夫なのか?」

(´・ω・`)「大丈夫さ。昨日、ひどく不味いが腹には溜まるものを見つけた。いざとなったらそれを食べるさ」

 素直に本を食べると言わなかったのは、ショボンの小さな自尊心を守るためか。
 それとも、ドクオが余計な心配をしないようにとの配慮か。

 どちらにしても、ショボンはまるで逃げるように、体育館を後にしたのだった。

('A`)「……ショボン……」




78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:38:08.34 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「ほら、持ってきてあげたよ」

 図書室に戻ってくると、ショボンは湯気を放つ食料を、クーに手渡した。

川 ゚ -゚)「……トウモロコシか。好かんな」

(´・ω・`)「塩が要るかい? 生憎、無いよ」

川 ゚ -゚)「……お前が食え。私はトウモロコシより勉強が好きだ」

 トウモロコシをショボンに押し付けてまた、ペンを取るクー。その姿に、ショボンは確信を得た。

(´・ω・`)「……君は誰なんだい?」

川 ゚ -゚)「言ったろう。私はクー、3年A組のクーだ」

(´・ω・`)「それじゃあ、僕は?」

 我ながら回りくどい訊き方をするな、と苦笑しながら、ショボンは続ける。

川 ゚ -゚)「……2年C組のショボンだろう?」

(´・ω・`)「うん。確かにそう言った。……でも、本当は違うんだ」



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:41:04.53 ID:O2PBaOPsO

 
 クーの表情に、一瞬だけ焦燥が現れた。

(´・ω・`)「僕は、3年A組のショボン。だけど、3年A組のクーという名前は、聞いたことが無いんだ」

川 ゚ -゚)「……それがどうした。ただ単に、お前の頭が弱いだけじゃないのか」

(´・ω・`)「悪いけど、僕は暗記力だけは良くてね。言われれば、大抵の本は最初から全て暗唱できるよ」

川 ゚ -゚)「む……」

 クーは明らかにたじろいだ。その反応を楽しみながら、ショボンは追い討ちをかける。

(´・ω・`)「……君は、死んでいるよね? 3年A組のクーは、亡霊なんだろう?」

川 ゚ -゚)「……」



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:44:03.52 ID:O2PBaOPsO

 
川 ゚ -゚)「……気付いていたな? 私が、3年A組と言った時から」

(´・ω・`)「確信がなかっただけさ。それで、食べ物を渡したらどんな反応をするかと思って」

川 ゚ -゚)「莫迦者め。べらべら話してないで、とっととそいつを食ったらどうだ」

(´・ω・`)「……お言葉に甘えるよ。すまないね」

 少しでも無駄にしまいと、丁寧に粒を取って、何度も咀嚼して食べた。味気ない紙の、幾億倍も旨い。
 涙を流しそうになるのを堪えながらも、ショボンはぽたぽたとトウモロコシに塩味を添加していた。

(´;ω;`)「……ごめんね、食べられない人の前で……」

川 ゚ -゚)「構わん。食事なんてものには、とうに興味は失った」

(´;ω;`)「……それでもとりあえず、……ごめん、クー」

川 ゚ -゚)「しつこい奴だな。……これだから生者は嫌いだ」

(´;ω;`)「……」



86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:46:10.47 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「……過去最高に、綺麗なトウモロコシの食べ方が出来たよ。芸術点10点だ」

川 ゚ -゚)「……前歯に欠片が挟まっている。五輪競技にあるとしたら、お前は出場も出来ん」

(´・ω・`)「手厳しいね。どうでもいいけど……」

 ショボンは、机にトウモロコシの芯を置いて、ほっと安堵の息をついた。

川 ゚ -゚)「空腹は満たされたか?」

(´・ω・`)「満たされた、と言うには程遠いかな。まぁ平気さ。少しは栄養になった」

 本を喰らっても、そこに人体に必要な養分は無い。山羊じゃあるまいし、腹を壊すだけだ。
 時たまには、こうした機会が必要だが、これ以降、食糧支援はあるだろうか?

川 ゚ -゚)「……雪が長引けば、お前も死ぬだろうな」

(´・ω・`)「うん。多分、本を食べても同じことだね」

 それでも、多少空腹は紛れる。ショボンは、雪が晴れるようにと、祈るほか無かった。



90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:49:13.86 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「そう言えば、クー。人は死んだらみんな、君のように彷徨うのかい?」

 せっかく目の前に死者がいるんだ。ショボンは僅かな元気が起きた途端に、好奇心が沸き上がってきた。

川 ゚ -゚)「……未練を残している者は。そうでない者は天国へ行き、我々はあまりこうして現世に居続けると、地獄へ堕ちる」

(´・ω・`)「その猶予は、どれくらい?」

川 ゚ -゚)「十年と一日だ。たまに、いたこが過去の偉人を憑依させているが、あれは全て嘘ということになるな」

(´・ω・`)「ほう……一日のような十年が、十年と一日目に変わるのか」

川 ゚ -゚)「聞くところによると、そういう意味らしい。死んでからも説法を聞くとは思わなかった」



92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:51:17.14 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「君は、ずっと一人だったのかい?」

川 ゚ -゚)「いや、幽霊同士の交流は、とても盛んなものでな。こっちではそこそこ友達が出来たよ。
      貞子や長岡、渡辺。新参には内藤とか……みんな良いやつだ」

 ショボンはふと、クーの使っているノートを見やった。

渡辺:おいすー
内藤:あ、ぽこたんインしたお!
貞子:前々から思ってたけど、その「お」って何なの……?
素直:むしろ「ぽこたん」に突っ込むべきかと
渡辺:わたしもそう思ったけど、

(´・ω・`)「……アナログだね」

 今も、クーがただ覗いているだけのノートには、ガリガリと文字が現れていっている。

川 ゚ -゚)「昔からある方法だから、こうせざるを得ない。電子機器にも干渉してみたが、すぐ電源が落ちてしまう」

(´・ω・`)「いやに分かりやすいポルターガイスト現象だね」



96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:54:17.13 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「……君は、勉強をするフリをして、ずっとここでお話をしていた訳か」

川 ゚ -゚)「こうしていれば、大抵の人間には見えないし、見えても関わろうとしないからな。……お前は、特別なんだな」

(´・ω・`)「やめてよね、僕が死んでるみたいな言い方。そんなホラーはお断りだよ」

川 ゚ -゚)「お前は物を食えるだろう。それはまだ、生きているということだ」

(´・ω・`)「……そうか、そうだね」

 ショボンは急に安心したように、にやけた。ただの杞憂を不安がったのが恥ずかしかったのだろうか。

川 ゚ -゚)「……ん? なんだ、長岡……」

 クーにつられて、ショボンはノートを覗きこむ。そこにはまた、汚い字が書かれ始めていた。
 やけに焦ったような走り書き。解読に少し時間を要した。



97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:56:22.37 ID:O2PBaOPsO

 
長岡:オレの知り合いが、雲を無くす実験を成功させた。もうすぐ雪が消えて、晴れると思う。
貞子:あら、本当?
渡辺:天才ktkr

川 ゚ -゚)「これは……」

(´・ω・`)「まさか嘘ってこともなさそうだね……ただ、本当に成功なのか、疑わしいところかな」

長岡:ただ、ガスはすぐには無くならんようだ。お前らに助けたい人間がいるなら、それだけは伝えておいたほうがいい。
内藤:渡辺さん、ktkrってなんだお?

川 ゚ -゚)「黙れ内藤、ggrks」

(´・ω・`)「手厳しいね。まぁ、どうでもいいけど」

内藤:うえーん、意味が解んないおー!
長岡:……内藤は、助けたい奴は居なさそうだな
内藤:あ、そう言えば、ツンがまだ生きてるかも知れんお。いてくる!
長岡:……素直は?



99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:59:04.68 ID:O2PBaOPsO

 
素直:私は誰が死のうが構わない

(´・ω・`)「酷いこと言うじゃない……」

川 ゚ -゚)「なんだ、ショボンだけは生きてて欲しいと、そう言われたかったか?」

(´・ω・`)「……そうだね。クーが黙ってノートを見せてくれるだけで満足だけど」

川 ゚ -゚)「……ふん」

 クーはため息をついて。ショボンの目を見据えた。

川 ゚ -゚)「お前は、私を唯一理解した者だよ。……ショボン。例えこの後空が晴れても、外には出るな。
      何故なら、外にはまだ雪が齎したガスが残っているからだ。しばらくは屋内に居、時期を待て。そして……生きてくれ」

 ショボンは深く頷いた。

(´・ω・`)「……分かった、ありがとう。きっと生き延びてみせるよ」

川 ゚ -゚)「……私は外で、一足先に晴れ間を見に行く。当たり前だが、付いてくるなよ?」

 足早に去った背中に、ショボンは一言、「照れるなよ」と言った。その後すぐ、何かしらの念力が体に働いた気がした。



101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:01:32.05 ID:O2PBaOPsO

 
 ショボンが窓から見える空をじっと見つめていると、図書室の扉を叩く者がいた。

(´・ω・`)「誰だい?」

('A`)「訊く前に自分で確かめろ。俺だ、俺」

(´・ω・`)「! 校長先生。どうされたんです?」

('A`)「あぁ、それがのう……バカ野郎、ふざけてる場合じゃねえ。間もなく雪が消えるぞ」

 ショボンは、ドクオの言葉に耳を疑った。そして、確かめる。

(´・ω・`)「ねぇドクオ。どこでその情報を?」

('A`)「なんだって良いだろ、そんなの……それと、注意事項だ。晴れても、ガスが無くなるまでは外には出たら駄目だ。
    死ぬ。だから、絶対外には出るな。校長先生との約束じゃぞ?」

 最初、ショボンはドクオの言葉に反発しかけた。しかし、結局はドクオの言うとおりだと思い直す。

(´・ω・`)「……そうだね、なんだって良いか」



102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:04:05.51 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「ともかく、情報をありがとう」

('A`)「なに、お前の命の為ならだ。気にするな」

(´・ω・`)「ほんと。僕としたことが、どうでもいい事を気にしたよ。さっき、このノートを見たばかりだったからさ」

 机に無造作に置かれた、一冊のノート。素直クールという名前負けの記名とともに、そこには、

(´・ω・`)「VIP学院高等部、3‐A専用チャットノート……って書いてあるんだ。なんだろね、これ」

(;'A`)「……お前! それをどこで?」

(´・ω・`)「……ドクオ、念のために確認をとらせて。……君は、死んでいるよね?」

 ドクオが完全に硬直する。ぱくぱく開閉する口が気持ち悪いが、黙っておいてやろうとショボンは情けをかけた。

(´・ω・`)「……肯定ととらせて貰うよ」



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:06:12.10 ID:O2PBaOPsO

 
('A`)「……ショボン。なんていうか……どう話していいか」

(´・ω・`)「ん? 別に話すこともないだろう。僕はきっかり全部理解しているよ」

 ショボンはおどけてノートを捲る。独自の速読術でスピーディーに文字を追い、読み終えてから言う。

(´・ω・`)「君は、会話には参加してないね。ひょっとして、最近死んだばかりかい?」

('A`)「いや、ずいぶん昔のことだ……知ってるだろ、俺が話し苦手だってこと」

(´・ω・`)「僕とは話せるのにね。変わらないよ、彼女も。字面でいいんだから、軽く話せばいいのに」

('A`)「ははっ……それができたら、死んでないしここに居座ってなんかいないよ」

 ドクオは苦々しく笑うと、ショボンの隣に座った。

(´・ω・`)「……あれ? お前、さっきトウモロコシ配ってなかった? ギャーギャー騒ぎながら」

('A`)「え? だって俺、適当に生きてる奴には見えないはずだぜ?」

 ショボンはドクオの目を見た。どうやら本気で言っているらしい。



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:09:07.17 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「ドクオ……君が見えなくても、トウモロコシは見えるんだ。
        適当な人たちには、トウモロコシが浮いてるように見えただろうね」

 ドクオの顔が、さっと青ざめる。

('A`)「ひょっとして、俺、バレた?」

(´・ω・`)「まぁ、空腹を忘れて、トウモロコシが浮いてるのは何故かを考えた人には」

(゚A゚)「イイイイイイイィィ!! 人間コワイッ!!」

 青くなったドクオは、ばさりと制服を被ると、消え去った。

(´.ω.`)「……まったく、どうしようもないやつ。ドクオなんて見えなきゃ良かった」

 ひどい言葉を吐き捨て、ショボンはため息をついた。



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:11:08.38 ID:O2PBaOPsO

 
 ショボンはそろそろと窓際に寄る。

(´・ω・`)「暑くなってきたな……さすが夏」

 外にはぞろぞろ、蟻のように人が蠢いていた。
 彼らの様子を見てから、外に出てみよう。いつ空気が浄化されるか、全く予測はつかない。
 ともすれば、不用意に外に出るのは危険だ。

(´・ω・`)「倒れる人がいなくなったら、外に出てみるかな……」

 人を実験体にするなんて、決して気分のいいものではない。だが、それと、自分が犬死にするのとは別だ。

(´・ω・`)「人間は、自分のために倫理を殺す……か。確かに、倫理は死んでいるな」

 せめて多くの人に、外は危険だと気づいて欲しいと、願うしかない自分に呆れる。
 テレパシーなんて超能力は持ち合わせていない。ただ情けなく祈るだけ。
 ハインとやらのように、世界を救うような知識も発想も持たない、いたく弱々しい人間だ。

(´・ω・`)「……ひとりになったりしたら、嫌だな」

 ぽつりと呟いた。



111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:14:05.09 ID:O2PBaOPsO

 
 ふと、手元のノートがガリガリ鳴った。慌てて開いてみると、長岡が文字を綴っていた。

長岡:ガスの濃度が致死量を下回った。もうしばらくしたら、外に出ても問題ないだろう。
長岡:ただ、水場にはまだ多量の有害物質がとけているらしい。水場には近づかないように、言っておくといい。

(´・ω・`)「水場……そういえば、トウモロコシを茹でる時に水は当然使うはずなんだけど……」

 ひょっとして、僕も死んでいるのか? と考えてから、ショボンは笑い飛ばした。
 自分はトウモロコシの美味さを知っている。塩味がかった甘さを知覚できる。

(´・ω・`)「ま、死んでるとしたら、それはそれでいいけど。でも、
        知らないうちに十年と一日経って、地獄に堕とされたらたまんないか」

 くすりと笑うと、またノートがガリガリ鳴る。



114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:16:12.18 ID:O2PBaOPsO

 
長岡:ガスは完全に希薄になった。外にでても平気だろうと、ハインは言っている。
長岡:だんだん暑くなってきたが、引き続き水場には近づかないように要請してくれ。
渡辺:水遊びしたいよー
貞子:井戸に入るのもダメ?
長岡:あんたらは好きにしたらいいだろ……bk(亡霊的に考えて)

 それを見てショボンは、ふむ、と頷いて、ノートを置いた。

(´・ω・`)「……クーの様子でも見に行くかな。外の……どこにいるんだろう?」

 窓から見てみるが、それらしい人影は見当たらない。とすれば、屋上あたりだろうか。

(´・ω・`)「とりあえずあたってみるか。どうせ時間はたっぷりある」

 ショボンを体を伸ばすと、だらだら歩き始めた。
 図書室も、階層で言えば高い位置にあるが、やはり空に一番近いのは屋上だ。



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:19:06.64 ID:O2PBaOPsO

 
 重々しい扉を開けると、灰塵が渦を巻いて飛び回っていた。

(´・ω・`)「……」

 これ自体にさほど問題はなさそうだが、反射的に息苦しくなる。
 ずっと換気していないよどんだ空気を吸っていた。どうせなら、最初には澄み切った空気を吸いたかったが、
 それも今となっては叶わない。ショボンはもう少し歩き出しながら、フェンスに寄ってクーを探そうとすると。

川 ゚ -゚)「ショボン。もう平気なのか」

 いつも間にか、ショボンの背後に立っていた。

(´・ω・`)「うん、長岡さんが言っていた。水場には近づかないようにとも」

川 ゚ -゚)「なるほど。……今、各地の亡霊と交信で諮っていたのだが、どうやら、生きているものは相当少ないぞ」

(´・ω・`)「どれくらいだい?」

 ショボンがそう訊くと、クーはぱっと片手を広げて見せた。

(´・ω・`)「……五人?」

 クーは、こくりと頷いた。絶望するには、十分な答えだった。



119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:21:26.01 ID:O2PBaOPsO

 
川 ゚ -゚)「詰めが甘い奴らだよ。寒い中じっと耐えてきただろうに、こんな事で全て無駄にして……」

(´・ω・`)「……あぁ。でも、生きてる人はいるんだよね? その人たちは、どこにいるんだい?」

 ショボンが言うと、クーは信じられないという表情で振り返った。

川 ゚ -゚)「まだ、この世界で生きようとするのか?」

 ショボンはふと考え込む。
 この世界は今、どうなっている。どうすれば生き延びることができて、どうすればその命を安定させられるか。
 自分たちに残されたたった十本の手で、何が出来るんだろう。

(´・ω・`)「……」

川 ゚ -゚)「確かに建物は損壊してはいないな。しかし、農業は壊滅か……ビニールハウスとて換気はするものだしな……
     家畜も獣も消えたな。」

 クーは街を見眺めて、ぶつぶつ思考を巡らせている。

(´・ω・`)「……何も残ってないな、この世界には。ハイン博士はどうして放送を流すなりして、
       注意を呼び掛けなかったんだ。彼は生者じゃないのか?」



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:24:14.15 ID:O2PBaOPsO

 
川 ゚ -゚)「ショボン、ハイン博士は女性だ。――故に、やはり詰めが甘かった」

(´・ω・`)「……どういうことだい?」

川 ゚ -゚)「まず始めにだが、ハイン博士には恋人がいる。名は長岡、彼女の助手だな」

 長岡。たしか、ノートにそんな名前の書き込みがあった。亡霊の長岡のことだろう。

(´・ω・`)「……僕と似た境遇だね」

川 ゚ -゚)「黙れ。それで、ハイン博士は、装置を雪雲に向かって打ち上げた後……長岡を強く求めた」

(´・ω・`)「……夢中になって、報せるのを忘れたか。本当に詰めが甘い。砂糖黍だね」

 徐々に日照りが強くなる。
 もしかしたらハイン博士の場合、何かしらの太陽光線も増幅してしまっているのではないか。

川 ゚ -゚)「それで、どうするんだ?」

(´・ω・`)「……」

 そんな仮説は、なんの意味もないか。




124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:26:06.24 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「クー。海へ行こう」

 少し遠回しに。
 死のう、とショボンは言った。
 クーは特に表情を悲哀や喜楽に歪めるでもなく、ひとこと、「おk」と言った。

(´・ω・`)「ドクオも連れていきたい。いいかな?」

 クーは首を捻って、その名を反芻していたが、やはり覚えがないらしく、また首を捻る。

川 ゚ -゚)「それは、生者か? 死者か?」

(´・ω・`)「死者だ。この学校に住んでいる、ね」

川 ゚ -゚)「……聞いたことないな。対人恐怖症の類いか?」

(´・ω・`)「そんなところ。で、いい?」

川 ゚ -゚)「私は一向に構わない。……さて、隠れてないで出てきてもらおうか」

(´・ω・`)「?」

 クーがあさっての方を睨みつけた。ちょうどそこから突如紫色の煙が上がり、共にドクオが落ちてきた。



125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:29:05.12 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「うわ、いきなり出てくんなよ気持ち悪い」

(;'A`)「ぱ、はじめまして」

川 ゚ -゚)「どうも。クーだ」

 尻餅をついて呻くドクオに、クーは手を差し伸べた。

(;'A`)「……え?」

 ドクオは戸惑いながら、その手とクーの顔を交互に見る。

(;'A`)「さ……触っても、いいの?」

川 ゚ -゚)「……過去に何があったかは知らんが、私は君を蔑んだりしない。……この体勢、つらいから早くしろ」

(;'A`)「は、はい……」

 ドクオはおずおずと手を握ると、立ち上がらせてもらった。
 そして、ショボンに駆け寄ると、

(゚A゚)「ショボン、すげぇ! あの子、めちゃくちゃ手が柔らかい!!」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「僕を巻き込むなよ……」




129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:31:05.52 ID:O2PBaOPsO

 
川 ゚ -゚)「それで、話は聞いていたな?」

 ドクオを思う存分ボコボコにしてから、クーは訊いた。

(###A`)「……はい」

川 ゚ -゚)「それじゃあ、早速行こう。海がきれいにならないうちにな」

(´・ω・`)「……あぁ」

 廊下を歩いていると、ドクオがなんとも気味の悪い声で囁いてきた。

('A`)「クーさんの手、マジやべぇって。お前も触れよ、この世の物とは思えない」

(´・ω・`)「だって、この世の物じゃないし」

('A`)「そ、そんなのはどうでもいいんだよ。……って、お前は生者なんだっけ。お前じゃ無理だ」

(´・ω・`)「……どういうこと?」

 ドクオはふわりと浮いて、指を立てると、地獄の笑みを浮かべた。

('A`)「いやー、亡霊たちはな、自分の意識を集中してないと、相手に触れることも触れられることも出来ないんだ。
    無機物に対しては意識は要らないんだが……」



130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:34:20.57 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「ふぅん……」

('A`)「それから、この事の問題は、別のところにある」

 一層近づいて、ドクオは意地汚くにやつき、黄色い歯を見せた。臭い。

('A`)「生者と死者では、セックスができない」

(´・ω・`)「……それが?」

('A`)「そりゃセックスが不可能な訳じゃないんだが、強く意識を保たなきゃいけない。
    基本的に淫蕩に浸るものだから、それを抑えなきゃいけない。当然、気持ちよくなんかないんだ」

(´・ω・`)「はいはい、残念だよ」

('A`)「そうだろう、そうだろう……だが、亡霊同士なら……だから、すぐこっちに戻って来いよ」

(´・ω・`)「……なんだ、それが言いたかったのか」

 ショボンは苦笑して、ドクオの肩を叩こうとした。

('A`)「これがほんとの肩透かし!」

(´・ω・`)「絶対に戻って来ないから」



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:36:23.54 ID:O2PBaOPsO

 
 理事長のベンツを、鍵を拝借して動かした。死体をまさぐるのも、特に心に感じるものはなかった。
 むしろ、いつも偉そうにしているそいつが、馬鹿馬鹿しいことで死んでいることがおかしかった。

川 ゚ -゚)「車の運転が出来るのか?」

(´・ω・`)「出来ないよ。感覚でやってみるだけだ」

('A`)「ま、対向車もないんだし、余裕だろ」

 海に着いた頃には、漆黒のボディは無数のひっかき傷があり、バンパーはぶつけ過ぎてどこかに落ちていた。

(´・ω・`)「本当に死ぬかと思った」

('A`)「一種才能だよ……理事長死んでて良かったな」

(´・ω・`)「このことで未練が生まれて、蘇ってくるかも」

川 ゚ -゚)「やめろ、本当に来そうだ」

 車を降りて、砂浜に降り立つ。ショボンは、海を久しぶりに見る。
 最後に見たのは、ずいぶん幼い頃だったか。母に手を引かれて、人でごった返す中見えた海は、人の色に見えた。



133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:39:03.66 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「綺麗だな……」

 だけれど今度の海は、誰もいなくて、砂浜に流木が埋もれるかのようにある人の死体が目立つ。
 青ざめた海には、燦々と光を放つ太陽の下ながら、誰もいない。

 そう思うことは、不謹慎ではあったのだが、やはり、その海は美しかった。

川 ゚ -゚)「この海を見てると……何もかも忘れて、遊びたくなるな」

(´・ω・`)「覚えておくようなこともないだろう。この暑さ……泳ごうよ、クー」

('A`)「俺は泳げないから焼くわ。クーさん、オイル塗ってください」

川 ゚ -゚)「調子に乗るな、カス。行こう、ショボン」

 ドクオはいじけて、自ら砂に埋まっていった。このまま出さないで良いだろう。

(´・ω・`)「うん……怖いからそばにいてくれよ、クー」

 ショボンは汗が染みはじめたワイシャツを脱ぎ捨て、波打ち際へ歩いていく。
 その傍らには、少しだけ眉をひそめたクー。片時も離れぬよう、しっかりショボンの手を握っていた。




136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:41:09.67 ID:O2PBaOPsO

 
 波打ち際にくると、ショボンはまた立ち止まる。

川 ゚ -゚)「どうした?」

(´・ω・`)「……クー」

 ショボンはぐっとクーを抱き寄せて、素早く唇の高さを揃えると、すぐそこの唇と合わせた。

川 ゚ -゚)「むっ? ……」

(´・ω・`)「……だめかい」

 ショボンの顔は、半透明になったクーの顔に、半分ほど埋まっていた。
 クーは、ほとんど反射的に回避してしまったのだが、ショボンはやはりしょぼくれていた。

川 ゚ -゚)「いや、すまん……」

(´・ω・`)「いや。これで未練が残ったはずだ。安心して死ねるよ」

 クーは一瞬呆けてから、眉をひそめて、ショボンを押しのけた。

川 ゚ -゚)「そういうのは……何も言わずに行けばいいんだ。そのほうがロマンチックだからな」

(´・ω・`)「すまないね。そういうのは苦手なんだ」

 ショボンはそう苦笑した。




140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:44:02.67 ID:O2PBaOPsO

 
(´・ω・`)「それじゃ、しばらく」

 一度だけ振り返ると、ショボンはざらざらと、指の間に挟まる小石を忌みながら、ズボンをずぶずぶに濡らしていく。

(´・ω・`)「……大丈夫だろうか……」

 その背中はすぐに海水に浸り、突如ショボンは崩れ落ちた。

川 ゚ -゚)「……何故だろうな」

('A`)「はい?」

川 ゚ -゚)「ショボンが……二度と戻って来ない気がした」

('A`)「……すぐにその海から、ザバッと出てきますよ……ショボンは、約束を破りません」

川 ゚ -゚)「……そうだな。当然、信用している」

('A`)「だから、じっと待ってて下さい。心配しなくてもすぐ来ます」




142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:46:06.38 ID:O2PBaOPsO

 
 長く、空虚な時間が流れた。

('A`)「……俺のときは、こんなに時間はかからなかったが」

川 ゚ -゚)「恐らく、自分が感じるより長い時間が経つのだろう。よくあることだ」

('A`)「そうだな……それに、ショボンが帰ってこない理由がないものな。あいつは確かに、
    厭世主義のきらいはあったけど、ショボンはクーのこと、本当に好きだったはずだ」

川 ゚ -゚)「……未練が無いわけがない。が……はじめは、未練が湧いてなかったのではないか?」

('A`)「……何だって?」

川 ゚ -゚)「あいつが私にキスしようとして、言ったんだ。これで未練が残ったはずだ、と」

('A`)「……」

 二人の心に明確な不安がよぎる。確証もないのに、異様な説得力があった。




146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:48:40.20 ID:O2PBaOPsO

 
川 ゚ -゚)「もしかしたら、あいつはあいつなりに未練を残そうとして……だが、人生が厭になっていて……」

('A`)「やめてくれ。そんな憶測を並べても仕方ない。俺らはただ待つだけでいいんだ」

 クーはやっと、ショボンの沈んだ辺りから目線を外して、砂の上に座った。

川 ゚ -゚)「……戻って来るだろうか」

('A`)「戻って来ない訳がないだろ?」

 ドクオは、そんな言葉が自分でも下らなく思えた。
 励ますつもりなのに、どうして己に言い聞かせるように言ってしまうのだろう。

('A`)「……なぁ」

 ドクオが言いかけたのを、クーは首を横に振って制した。

 いつの間にか、夕日に目が行っていた。



おわり




149 名前: ◆ZTwLFpk8Ao :2008/08/28(木) 21:49:50.17 ID:O2PBaOPsO

あとがき

夏らしさ? テーマ?

そんなもんありません。

ただ、地球最後の日(ver.じわじわ)の恋愛模様が書きたかっただけの悪ふざけと言うべきもんです。
まだまだ至らないところもあるようですし、伏線のような無駄要素、穿ってみなければ解らないくらいの伏線が多いです。



支援など、本当にありがとうございました。
引き続きブーン達の夏祭りをお楽しみください。

(俺が最後とかじゃないよな……?)







FAQ 

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:57:58.29 ID:Ybx6x+Aq0

そうなのか
でもセクロスで成仏のが面白いぞ
死者が一気に増えたってとこもハインが実験成功させて開放感でセクロスで成仏って思っちゃったし


158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:58:50.30 ID:mTYdGEyz0

ジョルジュはガスマスク云々の前に幽霊だから毒が効かなかったんだな


159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 22:00:38.16 ID:34QoVf0J0

野暮かも試練が
>>1的にはショボンはどうなったという設定?


162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 22:02:23.73 ID:O2PBaOPsO

>>157
ううむ、そうかも? 力不足ですね
>>158
そういうことです。これも書くべきでした

>>159

ショボンは……




帰ってきません



[ 2008/09/01 23:35 ] 夏祭りまとめ | TB(-) | CM(0)

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