ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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週末は雪 2日目

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:08:19.08 ID:O2PBaOPsO

 
2日目 奇跡の人

 ところは変わり、東京郊外。
 _
( ○◎○)「コー……シュホー……コー……シュホー……?」
 _
( ○◎○)「コー……シュホー……コー……シュホー……おし、平気っぽいな」

 ガスマスクを付けたジョルジュは、雪を幾片か頭に乗っけながら、頷いた。
 そして、体に付着した雪を丹念に払ってから、高岡研究所と看板が掲げられた建物に入っていく。
 _
( ゚∀゚)「ハイン! おい、ハイン! ガスマスクで何とかなったぜ!!」

从 ゚∀从「……なるほどな、やっぱり雪から発生するガスが問題か」

 中にいたのは、また白衣の女。彼女、ハインは何やら呟いた。
 ジョルジュはため息をついて、ハインに寄る。




29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:11:17.58 ID:O2PBaOPsO

 _
( ゚∀゚)「……で、ハイン? どうすれば雪は止むんだよ」

从 ゚∀从「うるせぇな、ジョシュジョルジュ。俺様の部下なら自分で考える事をしろ」
 _
(;゚∀゚)「考えるったって、オレ生物専門だから……雲がかかってるから雪が降ってるってことしか分からねえ。
      つーか、それ以上のことを考えたくねえ」

 雪が降り始めて、今日で二日目だ。どこの研究者も血眼になって雪を止ませる方法を探っている。
 ハインもその一人だ。もっとも、彼女の場合は、決起の旗に正義の二文字はない。

 あるとしたら、「金くれ」とか「ハイン様参上」とか、痛々しいフレーズだろう。

从 ゚∀从「使えねえなぁ……」
 _
( ゚∀゚)「あんたが呼んだんじゃないか……」

 とはいえ、ハインは美貌のほかに、実力も相応に備えている。だからジョルジュも、本当は心の中で燻る正義感を隠して、
 ハインの要請を請けた。彼女なら、きっと世界だって救ってくれると、だいぶ無茶苦茶な期待をふっかけて。



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:14:05.10 ID:O2PBaOPsO

 _
( ゚∀゚)「オレだって、科学者の端くれだ。出来ることはしたいが……」

从 ゚∀从「じゃあ、出来ることからやれ」
 _
( ゚∀゚)「んもうっ。冷酷なハイン様!」

 ハインには、ジョルジュが若干調子に乗ったと見えて、彼はフラスコに入っていた赤い液体をひっかけられた。
 _
(;゚∀゚)「なにこr……熱い熱い熱い! 何これ!!」

从 ゚∀从「強酸の一種だ。……お前、丈夫だな」

 それもお前のせいだ、とジョルジュはのたうちながら呻いた。
 大学から馴染みの二人は、よくお互いの実験材料にされた。引っかけたり引っかけられたりは茶飯事だ。

 もっとも、それらの液体が、本当に有害だったのかというと、これはハインだけの秘事になるのだが。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:18:10.92 ID:O2PBaOPsO

 _
(;゚∀゚)「強酸を人にかけるなんざ、正気の沙汰じゃねえぞ……」

从 ゚∀从「こんな状況で、正気を保ってるお前は偉いな」
 _
( ゚∀゚)「……ほめられた」

 確かにそうだ。研究所の窓から見ていると、時折、叫喚しながら駆けていく人を見かける。
 きっと、発狂したのだろうが。まともに会話ができるくらいに落ち着いているのは、なかなか珍しいと思う。

从 ゚∀从「……しかし、この雪をどうするかだな、本当に」
 _
( ゚∀゚)「……セスナ機で散らすとか、どう? よく聞くけど」

从 ゚∀从「昨日、どっかの国がやったよ。雲が厚すぎて意味なかった」
 _
( ゚∀゚)「そうか……」



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:21:07.59 ID:O2PBaOPsO

 
 かくしてジョルジュたちは、生き残るために寝る間を惜しんで悩んだが、目立った成果は得られなかった。
 持っている情報は、誰かが得、伝えたもののみ。自分自身で見つけたものは、なにもない。

从 ゚∀从「よしジョルジュ、この袋に例の雪を入れてこい」
 _
( ゚∀゚)「えー、また外に出るのかよ。オレ嫌だぜ?」

从 ゚∀从「……」
 _
(;○◎○)「……ではまた、会えたら」

 ジョルジュはすごい勢いでガスマスクを被り、研究所を出ていった。
 その背中を見送ってから、ハインはすぐにため息をついた。

从 ゚∀从「……くそっ、どうすりゃ……」

 頭を抱えても、今の状況を打破する確実な方法はまだ浮かばなかった。



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:24:07.69 ID:O2PBaOPsO

 _
( ゚∀゚)「持ってきたぞ」

 袋の口をきつく閉じて、ジョルジュは雪をハインに寄越した。
 _
( ゚∀゚)「……つーか、ここでやって平気なのか? ガスを吸ったら死ぬんだぞ?」

从 ゚∀从「だったら、ガスマスクを付けてりゃいいさ。……恐れてちゃ、何もできないぜ? 科学者の端くれ」
 _
(;゚∀゚)「く……」

 ジョルジュは苦々しげに、歯を食いしばってから、ガスマスクを取り出した。
 _
( ○◎○)「分かったよ……オレにも手伝わせてくれ」

从 ゚∀从「よし。そしたら……」

 ハインの次の言葉で、ジョルジュはいよいよその眉をひそめた。

从 ゚∀从「金をくれ。いっぱい」



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:27:08.94 ID:O2PBaOPsO

 _,
( ゚∀゚)「オーケー、ハイン。まずは外に出てもらおうか」

从 ゚∀从「お断りします」

 ジョルジュはとりあえずガスマスクを投げ、ハインに詰め寄った。
 _,
( ゚∀゚)「なぁ、ハイン。確かに生きるには金が必要だ。だが、今生きるために必要なものはなんだ?」

从 ゚∀从「金だよ。……ジョルジュ、お前は何も分かっちゃいない」
 _
(#゚∀゚)「何でだよ! お前はこんな時までカネだカネだって、そんなに金が重要かよ!」

从 ゚∀从「うん。だってそうだろ? こんな時に金が無くて、何ができるんだ?」
 _
( ゚∀゚)「いろいろあるだろ。例えば――」

 次の言葉は出て来なかった。



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:30:05.75 ID:O2PBaOPsO

 
从 ゚∀从「例えば、何だよ」
 _
(;゚∀゚)「……ここにあるもので十分じゃないのか? 新しいの買うひちようなんて……」

从 ゚∀从「うわ、噛んだ」
 _
(;゚∀゚)「うるせぇ、はぐらかすなよ。何で金が必要なんだよ、ここの実験器具はそんなに少ないのか?」

 ジョルジュは口の中で舌をベロベロ動かしながら、必死に食い下がった。
 彼自身、これ以上言っても無駄だとは分かっていた。しかし、譲るつもりもない。
 そもそも、何に使うかも分からない金を渡したくはない。

从 ゚∀从「……べつに、実験材料が不足してる訳じゃねえし、俺の金銭欲が呻いてる訳でもねぇ。
     ただ、金があったらどうにかなるんじゃないかって……ぼんやりそう思っただけだ」

 未だぼんやりだ。とハインは言ったが、事実は異なった。
 彼女には、膨大な額のお金と、これまでに伝聞したものが確かならば成功する、雪を止める手段があった。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:33:05.32 ID:O2PBaOPsO

 _
( ゚∀゚)「……そうか。……けど、オレは大した金は持ち合わせてない」

从 ゚∀从「知ってるよ」

 はじめは、誰かにこれを教えて実験を代行してもらおうとも考えた。
 だが、ウン百万の費用、成功する確証もないのに出して貰えるはずはない。

从 ゚∀从「……ちょっと期待したかっただけだ。ごめんよ」
 _
( ゚∀゚)「いや……」

 精神的な意味で、息をするのも苦しい空気が漂った。雪が発する気体のせいで、袋がパンパンに膨らんでいる。
 _
( ゚∀゚)「そいつは破れちまわないのか?」

从 ゚∀从「あぁ……集気瓶に移さねえとな……」

 ふらふらとハインが作業を始めた時。二階から電話の鳴動が聞こえてきた。
 _
( ゚∀゚)「オレが出てくるよ」

从 ゚∀从「あぁ」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:36:44.22 ID:O2PBaOPsO

 
 なんで電話が二階にあるのだろうと、ジョルジュは首を傾げながら階段を上がる。
 あとで、なんでも知ってるハイン博士に訊いてみよう。
 _
( ゚∀゚)「もしもし?」

 受話器を取って、ベルを黙らせる。聞こえてきたのは、知らない声だった。

『もしもし。長岡ジョルジュさんですか?』
 _
( ゚∀゚)「そうですが……どなたですか?」

『私は、貴方のご両親の友人です。名前はモナー』
 _
( ゚∀゚)「はぁ」

『……実は、伝えるべき事がありまして。気を確かに持ってください』

 ジョルジュの米噛みを、冷や汗が流れた。
 そんな声の調子で、そんなことを言われたら、あらぬことを疑うじゃないか。

『貴方のご両親は、……揃って、息を引き取りました』
 _
(;゚∀゚)「……はぁ」



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:39:23.63 ID:O2PBaOPsO

 
 何も言えなかった。あまりに唐突すぎて、リアクションが取れない。こんなざまでは、出川哲朗失格だ。
 _
(;゚∀゚)「……なんだって?」

 ジョルジュは通話口に問いかける。

『お二人が亡くなられたのには、理由がございます』

『まず、この寒さと雪で、ギコのトウモロコシ畑が、みんな駄目になってしまったこと』
 _
( ゚∀゚)「それは聞きました。昨日、お袋に電話したんで」

『……では、彼らの決意を知っているのですか?』
 _
(;゚∀゚)「決意? ……いいや。また昨日の昼ごろ、親父から電話がかかってきたけど……何も聞いてません」

『……そうですか。では、私からお話し致します』

 モナーは、長く間を置いてから、ぽつぽつと語りだした。
 両親が死んだ理由、ジョルジュに託された使命と財産。それから、二人の最期の姿を。
 _
( ゚∀゚)「……」



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:42:06.67 ID:O2PBaOPsO

 
『……これが、私の見聞きした全てです。……ジョルジュさん?』

 モナーの声が、ジョルジュを気遣うように高くなった。
 _
( ゚∀゚)「平気です。……それで、あの、オレは……」

『ご両親の意向に沿うも沿わないも自由です。……でも、私としては、努めて欲しいのですが』

 思考するまでもなかった。自分の親が命を賭して作ったチャンスを、無視できるはずがない。
 _
( ゚∀゚)「……でも、オレはそんな大金は必要ないです」

 しかし、体のいいジョルジュの羞恥心は、自身にそう言わせた。

『……それでも、貴方は受け取ってください。たとえ不要でも、このお金はご両親の全てなのですから』
 _
( ゚∀゚)「……全て、ですか」

 ジョルジュは、誰が見ている訳でもないのに頷いて、受話器をそっと置いた。



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:45:15.26 ID:O2PBaOPsO

 
 足早に階段を下り、ジョルジュは足元のガスマスクを拾い上げた。
 放蕩状態で雪の成分を解析するハインに、小さく声をかける。
 _
( ゚∀゚)「ハイン」

从 ゚∀从「あ?」
 _
( ○◎○)「ちょっと、行ってくる」

 くぐもった声で言い、外へ出ていったジョルジュを、ハインはぽかんと見送っていた。

从 ゚∀从「……ガスマスクが絶対安全って、決まった訳じゃないんだが……ま、あいつなら平気か」

 根拠はないが、ハインはひとり頷いて納得していた。



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:47:04.67 ID:O2PBaOPsO

 
 運良く、銀行は操業していた。もっとも、雪が有毒ガスを発していると発表されて以来、
 家に帰れなくなった銀行員が、やつれた顔で受付をしていたが。

(ヽ´ω`)「……何しに来たお」

 語尾に特徴のある男が応対する。明らかな警戒を感じて、ジョルジュは慌ててガスマスクを取った。
 _
(;゚∀゚)「あー、お金を引き出しに来たんです、だからその銃を下ろしてください……」

(ヽ´ω`)「……すまなかったお。でも、ガスマスクで銀行に来ちゃいけませんお」
 _
( ゚∀゚)「ですけど、これは……。ともかく、オレの口座を見せてください」

 通帳と印鑑を渡し、暗証番号を確認してから、銀行員は頷いた。

(ヽ´ω`)「ほんとは、色々紙を書かなきゃいけないんだけど……そんな必要もなさそうだおね」
 _
( ゚∀゚)「?」

(ヽ^ω^)「さて、」



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:49:27.77 ID:O2PBaOPsO

 
(ヽ^ω^)「こちらは預かり屋です。どのようなご用件で
しょうか?」
 _
( ゚∀゚)「……」

 ジョルジュは用事を済ませた。
 _
( ゚∀゚)「ただいまー」

从 ゚∀从「おぉ、お帰り。早かったn……」

 帰ってきたジョルジュの手には、大きめのジュラルミンケースがあって、それだけでハインは言葉を失った。

从 ゚д从「……」
 _
( ゚∀゚)「ハッハッ、どうしたハイン。そんなおっぱいみたいな顔をして」

 何故なら、そのジュラルミンケースからは、雄獅子のたてがみのように、諭吉があふれ出ていたから。
 ついでに、ジョルジュの顔には付け黒子があって、何かと訊くと、
 _
( ゚∀゚)「あぁ、諭吉コスだよ」

 真顔でそう答えられた。
 ハインは遠慮なく、例の赤い液体をぶっかけてやった。



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:51:11.87 ID:O2PBaOPsO

 
从 ゚∀从「……お前が出掛けている間に、理論を完成させたよ」

 ジョルジュの付け黒子を剥がしながら、ハインは言った。
 _
( ゚∀゚)「なにそれ?」

从 ゚∀从「雪を消す理論だよ。……その金があれば実行に移せる」
 _
(;゚∀゚)「本当か!?」

 びくっと体を震わせたジョルジュは、ジュラルミンケースを手から滑らせ、床に落とした。
 その衝撃で、諭吉が天井へ噴き出す。諭吉たちを追いかける奇妙な踊りも、ジョルジュはしなかった。
 飽和してしまった金銭欲ゆえか、それとも冷静に状況が見えているのか。
 _
( ゚∀゚)「絶対に、絶対に成功させてくれるよな?」

 親の命に代えた、ただ貨幣と呼ぶにはあまりに重い、札束の山。あっさりドブに捨てる訳にはいかない。



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:54:05.69 ID:O2PBaOPsO

 
从 ゚∀从「……絶対とは……言えない」

 ハインはあちこちの器具を見回してから、俯いて呟いた。
 _
(;゚∀゚)「……なぬ?」

从 ゚∀从「どんな究極理論ったって、確かめてみなければそれが正しいかは判らない。
     お前は人が死んだら極楽か地獄に行くと言われて、それが絶対に正しいと言えるのか?」
 _
( ゚∀゚)「あぁ、仏に誓う」

 ジョルジュがやたら真剣な瞳をしていたので、ハインはむしろ自分が悪いことをした気がした。

从 ゚∀从「……例が悪かったな。まぁ、アレだ。ともかく、未確認の事象で、絶対ってのは無いんだよ」
 _
( ゚∀゚)「まぁ……そうだな。ちょっと驚いただけだよ」

从 ゚∀从「それじゃあ、俺に託してくれるのか?」
 _
( ゚∀゚)「あぁ。……その代わり。絶対とは言わない、出来る限り、成功させろ」

 ジョルジュは諭吉を拾い集めて、ぐしゃぐしゃのままハインに寄越した。



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:55:59.42 ID:O2PBaOPsO

 
从 ゚∀从「じゃあ、俺は材料を買ってくる。なるべくすぐに戻ってくるから、実験マウスと戯れてな」
 _
(*゚∀゚)「マジ! いいの!? マウスたーん!!」

 ジョルジュがケージに飛び付いたせいで、檻内のマウスはひっくり返って仮死状態になった。
 それを見てひとつ咳払いをしてから、ハインは未だに雪が降る、灰空の下に出ていった。

从 ○◎从「……じゃあ、また」

 こんな人間だが、ジョルジュは一応、真っ当に生きている。
 学生のころは人体実験だとか称されて、体中をまさぐられた記憶がある。まんざらでもなかった。

 あの時に、護身用のプレパラートを持ち合わせていなかったら、どこまでいったのだろうか?

从;○◎从(なに思い出してんだ、俺……)


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:59:07.82 ID:O2PBaOPsO

 
从 ○◎从「ジョルジュ……」

 何となく、その名を呟いてみた。

 初めて会ったときは、馴れ馴れしくて、人の乳は揉むし、なんて鬱陶しいやつだと思った。
 だけれど、いつの間にか、ジョルジュといることが苦痛でなくなっていた。

 むしろ、ジョルジュとしか居られなくなっていた。

从 ○◎从「俺の人生はジョルジュで出来ていますな」

 ぼんやりする意識の中、これからもジョルジュと生きたいと思った。

从;○◎从「?」

 不意に、喉の痛みを感じて立ち止まる。おかしい、ガスマスクはしていると、顔を叩いて確かめる。
 そしてよぎったのは、これまで予期しなかった不安。
 頭の中で、ジョルジュがいやらしく笑ったような気がする。



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:01:08.18 ID:O2PBaOPsO

 
从;○◎从(そう笑うなよ、ジョルジュ……いや、いっそ……笑ってくれ)

 呼吸に息苦しさが現れる。ジョルジュの笑顔が、いつまでもぐるぐる回って、止まらない。
 さっき自分で、絶対というものはないといったはずなのに、すっかり忘れていた。
 いっその事、ガスマスクを外してしまおう。こんな間抜け面で、死んでいたくない。

从 ゚∀从「……やっぱり、お前は特別なんだな。ジョルジュ……悪い……」

从 ∀从「お前と……次のかがくを……きずきたかっ……」

 暗闇をぐるぐる回るジョルジュに手を伸ばす。その手に、僅かな温かみが感じられた。

从 ∀从「……た」

 瞳を閉じた白衣の少女に、口付けがなされた。
 恋人同士がするものにしては、あまりに乱暴で、だというのにその様からは愛が溢れていた。

 直、ハインの体に活力が漲る。うっすらと目を開くと、その人が見えた。



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:03:19.43 ID:O2PBaOPsO

 _
( ゚∀゚)「ふざけるなよ、ハイン」

从 ∀从「……ジョルジュ? どうしてここに、」
 _
( ゚∀゚)「五月蝿え、勝手に死にかけやがって。胸騒ぎがして来てみりゃあこのザマかよ」

从 ∀从「っ……」

 ジョルジュの言葉は、ハインの弱った胸に鋭く突き刺さった。
 安全な屋内に来ると、ジョルジュは大きくため息をついて、ハインを座らせた。
 _
( ゚∀゚)「……ったく、本当にアウシュビッツでも生き抜ける気がするぜ」

从 ∀从「……すまん、ジョルジュ。俺のせいで」

 ジョルジュはまた、「下らないことを喋って体力を使うな」とでも言いたげな行動をした。
 _
( ゚∀゚)「お前の必要なものを教えろ、ハイン。俺がどうにでもしてやる」

从 ゚∀从「……」

 ハインの頭に、ぱっと恥ずかしいセリフが浮かんだ。



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:06:04.28 ID:O2PBaOPsO

 
从 ゚∀从「お、俺は……」

 言ってしまうのか? こんな恥ずかしいセリフを口にしてしまうのか?
 いきなり現れた奇妙な自制心を、ハインはイライラしながら振り払った。

从 ゚∀从「俺は……あー、ジョルジュが必要だ。……そばにいてくれ」

 言ってしまった後。ハインは羞恥で体が爆発するかと思った。
 _
( ゚∀゚)「……いいのか?」

从;゚∀从「に、二回も言わせるやがるか! 変態!!」

 このくらいで変態呼ばわりとは、生きにくい世の中になったねぇ、とジョルジュは頭を掻く。
 白々しい態度に苛ついたか、それとも何かしらの欲求が我慢の限界に達したか。
 ともかくハインは、ジョルジュをタックルの要領で押し倒して、縋った。



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:08:11.26 ID:O2PBaOPsO

 
从#゚∀从「分かったんだよ。俺は、お前がいなきゃ成り立たねえ。一緒にいやがれ!」

 威勢良く言い放ったはいいが、ジョルジュはというとどこか困惑した様子であった。

从 ゚∀从「……嫌なのか? やっぱり俺なんかと一緒にいたくはないのか……?」
 _
(;゚∀゚)「いや、そんなんじゃない。なんていうか、その……雪はどうするんだ?」

从 ゚∀从「……ん」

 いまいち空気が読めていないジョルジュを睨んで、ハインはしばらく考えた後、こう言った。

从 ゚∀从「明日。明日どうにかするよ。……だから、もうちょっと、こうさせていてくれ」

 ハインは、ジョルジュを抱いた腕をより一層きつくして、胸に顔を押し付けた。
 _
( ゚∀゚)「仕方ねえな……」

 ぽんと置かれた手に、ハインは妙な安心感を覚えて、瞬く間に眠りに就いてしまうのだった。



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[ 2008/09/01 23:36 ] 夏祭りまとめ | TB(-) | CM(0)

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