ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

从'ー'从『いつもどおり』のようです

3 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:29:14.76 ID:+UoTobZHO


( ・∀・)『今日は急いで帰らなきゃいけないから』

('、`*川『ごめんワタちゃん、今日はピアノなのよ』


 みんみんみん、七月の始めは蒸し暑くて、気の早い蝉たちは大合唱。
  わたしは学校の帰り道、用事があって早くに帰ってしまった友達の言葉を思い出しながら、一人で堤防沿いの道を歩いてた。

 空からはさんさん、元気なお日様が私の腕や顔をじりじり焼いてて、とっても暑い。
  けれどどこか「ああ、夏だなあ」と気持ちよくなるのは何でだろう。
  懐かしい様な、ふしぎな感覚。

 けど。

从;+ー+从「ふにぁぁぁ~~……」

 帽子もかぶらずに歩いていたら、頭があつあつのふらふらだよぉ。

 ふらふら、と堤防に手をつきながらおぼつかない足取りで歩いていると、世界が、ぐにゃあり。
  ついに、倒れそうになっちゃって。


「危ないモナっ」


 後ろから手首を引かれて、前に倒れかけていた身体は後ろに傾いて、誰かの胸に、ぽすん。
  そして、世界はぐにゃぐにゃのままゆっくりと暗くなって───




4 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:31:13.65 ID:+UoTobZHO



 幼馴染みのモララーくんと親友のペニちゃん

 広くて青い空から照りつける太陽と入道雲

 みんみん騒ぎ立てる蝉の声

 風のぬるさに空気の匂い


 それらはいずれもが、わたしの『いつもどおり』


 けどある日、わたしの『いつもどおり』の中に
  『いつもどおりじゃないもの』が舞い込みました


  それは────



 从'ー'从『いつもどおり』のようです


 優しい笑顔が、とってもとっても、眩しくて





6 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:33:25.16 ID:+UoTobZHO

────────

( ´∀`)「大丈夫モナ?」

从'ー'从「はい~、ありがとうございますぅ」

( ´∀`)「地元っ子と言えど、ちゃんと帽子くらいは被りなさいモナ」

从;'ー'从「ふぇぇ……ごめんなさい~」

 倒れそうになった私を後ろから支えてくれたのは、この辺りでは見た事のない人でした。
 その男の人は暑そうにネクタイを緩めたスーツ姿で、上着を片手に汗を拭ってる。

 わたしは道の途中にあるかき氷屋さんに連れてきて貰って、パラソルの下で男の人とかき氷を食べている。
 ふにゃふにゃになった私は男の人にかき氷を奢ってもらっちゃったのです。

 代金はお支払します~と何度も言ったけど、男の人はそれを絶対に受け入れなくって。
 わたしは男の人の好意に甘えて、あま~いイチゴミルクのかき氷をぱくつくのでした。

( ´∀`)「それにしても暑いモナー、君はそこのVIP中学の子モナ?」

从'ー'从「はい、そうですぅ」

( ´∀`)「暑いけど海が近くて気持ちの良い所モナね」

从*'ー'从「え、えへへ……」




7 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:35:28.81 ID:+UoTobZHO


 自分の事を褒められたわけじゃないのに、なんだか照れ臭い。
  照れ隠しに笑ってみせて、かき氷をシャリシャリ。
  冷たくって頭の芯がきんとする。


 照りつけるお日様の暑さとかき氷の冷たさはよく合って、
  「暑い」と「美味しい」を二人で言い合う内に、少しずつ初対面と言うやりづらい壁は壊されていった。

 男の人の名前は「モナーさん」と言うらしい。
  この町にはお仕事で来たらしくって、慣れないスーツに困ったかお。

 わたしよりずうっと年上の筈なのに、困ったかおはなんだか子供っぽくて、可愛かったな。
  かわいいって言ったら、また困ったかおをされたけれど。

 空っぽになったかき氷のカップを捨てに行く途中、私のカップには赤いシロップの残り、モナーさんのカップには緑のシロップが残ってる事に気付いた。
  緑と言ってもメロンとは違う、もっと濃くて濁った緑。
  そこに赤暗い色のが混ざって、よく分からない色になっていた。




8 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:37:02.89 ID:+UoTobZHO


从'ー'从「モナーさんは、何を食べたんですかぁ?」

( ´∀`)「モナ? 僕は宇治金時だったモナ」

从'ー'从「うじきんとき……わぁ~、なんか大人っぽぉい……」

( ´∀`)「渡辺さんはイチゴミルクっぽいモナ」

从'ー'从「む、それって子供っぽいって事ですかぁ?」

( ´∀`)「おっと逃げるモナ」

从'ー'从「あ~! 待て待て~!」

 ゴミ箱にカップとスプーンを捨てると、モナーさんが子供みたいに走り出した。
  わたしはセーラー服を翻しながらその背中を追っかけて追っかけて行く。

 空はゆっくり暗く、夕方に近づいてゆく。
  暑さも随分マシになって、辺りが赤っぽく照らされていって。




9 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:39:10.90 ID:+UoTobZHO


从*>ヮ<从「つかまえた!」

( ´∀`)「モナっ!」

 後ろから、モナーさんの背中にぎゅっと抱き付いて、やっとモナーさんをつかまえた。
  モナーさんは面白い声をあげて立ち止まり、両手をあげて降参のポーズ。

 その姿勢のままわたしを振り返るモナーさんは、困ったように照れたように笑ってる。

( ´∀`)「抱き付かれたら照れちゃうモナー」

从'ー'从「うっそだ~、全然照れてませんよぉ」

( ´∀`)「僕は顔に出にくいタイプなんだモナ、ほらほら離れなさいモナ」

从'ー'从「離したらまた逃げるでしょ~?」

( ´∀`)「もう降参モナ、逃げないから、ほら、離れてモナ?」

从'ー'从「むぅ~~……しょうがないなぁ、なんちゃってぇ」

( ´∀`)「ありがとうモナ、渡辺さんは元気モナー」

从*'ー'从「えへへっ、元気だけが取り柄ですっ」




11 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:41:01.68 ID:+UoTobZHO


( ´∀`)「そんな事無いモナ、渡辺さんは元気で可愛い女の子モナ」

从'ー'从「ふぇ……」

从////从=3

( ´∀`)「モナ?」

从////从「な、なんでもないですぅ~……」

( ´∀`)「?、? ……あ、もうこんなに暗くなってきたモナ。
      地元っ子と言えども遅くなりすぎるのはいけないモナ」

从'ー'从「は、はいぃ……じゃあ、んとぉ……また!」

( ´∀`)「ん、また。気を付けて帰るモナ! なんなら送ってくモナー?」

从'ー'从「いえ~、大丈夫ですぅ、さよなら~~!!」

( ´∀`)「分かったモナ、さよならモナー!」




12 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:43:03.31 ID:+UoTobZHO



 あっちっちになった頬っぺたに手を当てながら、わたしはモナーさんに背中を向けて走り出した。

 うわあ、うわあ、うわあ!
  可愛いなんて初めて言われた、男の人に可愛いなんて初めて言われたよぉ~~!!

 嬉しいのと恥ずかしいのとよく分からない気持ちがぐにゃぐにゃに混ざり合って、わたしは何回か転けそうになりながら帰宅。


 ご飯を食べてる間も、お風呂に入ってる間も、宿題してる間も、ベッドに入ってる間も、顔の熱いのはとれなかった。

 枕をぎゅっと胸に抱いて目を瞑ると、まぶたに浮かぶのは笑顔。
  モナーさんのあったかくて優しい笑顔。


 暫くはベッドの中でゴロゴロじたばたしてたわたしだけど
  ほう、と疲れてついた溜め息が合図となって、まぶたがとろとろ、わたしはあっという間に眠りの中へと落ちてった。



 その日の夢は、もちろんモナーさんの夢。





14 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:45:18.46 ID:+UoTobZHO



 翌朝、いつもより早く起きちゃったわたしは、いつもより早く身支度を整えてご飯を食べて、外に出た。
  蝉がひたすらみんみん騒ぎ立てる朝の早く、少し白っぽい感じのする朝日が寝不足のわたしを照らす。

 斜め掛けの白い鞄を揺らしながら堤防の上を歩いていると、右手に見えるものは広い広い海
  左手に見えるものはうっそうとした雑木林
  正面の遠くの方には、いま向かってる学校が見えた。

 寝不足の目をぐしぐし擦っていると左の方から女の子の声。

('、`*川「ワータちゃん、おはよ、今日は早いね」

从'ー'从「あ、ペニちゃんおはよ~……早くに起きちゃってぇ……」

('、`*川「あらま、どしたの? 元気無いね」

从'ー'从「ん~……そうかな~……」

('、`*川「もしかして、昨日先に帰っちゃったから? そうならゴメンっ、本当にゴメンねっ!」

从;'ー'从「あ、ち、違うよぉ~っ! ペニちゃんのせいじゃないっ!」




15 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:47:15.93 ID:+UoTobZHO

('、`*川「……ガリ勉か」

从;'ー'从「ふぇ?」

('、`#川「ガリ勉のせいかーッ!!」

从;'ー'从「ふぇぇぇ~っ!?」

((( ・∀・)「おはようございます」

从'ー';从「あぁっ! モララーくん逃げてぇ~っ!」

( ・∀・)「はい?」


ウプスッ!( ∀(⊂=('、`#川 デュクシ!


(;・∀(#)「何ですかいきなり!」

('、`#川「君が! 泣いても! 殴るのを止めない!!」

(;・∀(#)「止めないんですか!?」

('、`#川「黙れオラァアアアアアアア!!!!」

          メメタア!!
ヤーダッバアアアア!!( ∀(##⊂=('、`#川




16 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:49:04.38 ID:+UoTobZHO



('、`*川「あースッキリした、行こうかワタちゃん」

从;'ー'从「あ、も、モララーくん……大丈夫……?」

(メメ##)∀(メ#) ナニヲスルダア……

('、`*川「行こうかワタちゃん」

从;'ー'从「ふぇ、でも、モララーくんが……」

('、`*川「行こうかワタちゃん」

从;'ー'从「ペニ……ちゃん……?」

('、`*川「行こうか、ワタちゃん」

从;'ー'从「は、はいぃぃぃ……ごめんね、ごめんね、モララーくん……!」


(メメ##)∀(メ#) ジョースターサン……





18 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:51:10.22 ID:+UoTobZHO


 教室の中、わたしは一番後ろから二番目の窓際の席に座りながら外を見ていた。
  外と言っても海と林と校庭と、民家がかたまってあるだけ。
  でも海のゆらゆらきらきらは、見ていると飽きない。

 それに、モナーさんの事を考えてるから、暇なんて感じない。


 わたしが海を見ながらぼんやりしていると、前の席のペニちゃんがこっちを向いて、身を乗り出してきた。

('、`*川「ワータちゃん」

从'ー'从「ん~?」

('、`*川「今日さ、教育実習の先生が来るんだって」

从'ー'从「そうなんだ~」

( ・∀・)「若い男の先生らしいですね」

('、`*川「あん? 生きてたのアンタ」

(#・∀・)「殺さないで下さい」

('、`*川「しぶといねぇ」

(#・∀・)「……」




19 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:53:03.57 ID:+UoTobZHO


 モララーくんとペニちゃんが前後からわたしを挟みながらお話をしていると、教室の入り口が開く音。
  それとほぼ同時に、先生の声がした。

(,,゚Д゚)「お前ら席につけー、煩いから黙って喋れー。
     今日はお前らにちょっとしたニュースがあんぞゴルァ」

 先生の言葉を聞いてペニちゃんやモララーくんを含むみんなが席について、静かになる。
  先生が教壇に立って、入り口にむかって手招き。

 すると、そこには、


( ´∀`)「教育実習生のモナーですモナ、二週間の短い間ですがお世話になりますモナ。
     どうかよろしくお願いしますモナ!」


 ……あれれぇ?
  なんか、見覚えのある人が教壇に居るよぉ?

 ぽかん、と口を開くわたしに気付いたモナーさんは、ちらっとわたしを見て
  少しだけ驚いて、にっこり、笑った。


 胸が、つきん。




20 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:55:02.00 ID:+UoTobZHO


「せんせー! どこから来たのー?」

( ´∀`)「街ー」

「先生! 彼女いる?」

( ´∀`)「さー」

「先生ってモテる?」

( ´∀`)「んー?」

「先生はいくつー?」

( ´∀`)「いくつでしょー」

「せんせ、童貞?」

( ´∀`)「さてー」

「せんせー」
「ねぇ先生!」
「モナー先生っ!」

( ´∀`)「はいはーい」




21 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:57:04.89 ID:+UoTobZHO


 モナーさん────モナーせんせは、あっという間にクラスの人気者。
  わたしは席に座ったまま、その様子をただぼんやり眺めてた。

 人気者、なんとく、寂しいなぁ。
  最初にせんせを知ったのは、わたしなのに。

('、`*川「人気ねーモナーさん」

从'ー'从「そだねぇ」

( ・∀・)「授業も悪くないし、人柄も良さそうですしね」

从'ー'从「んー……」

('、`*川「……ワタちゃん、どったの?」

从'ー'从「うー……」

( ・∀・)「……知り合いですか?」

从'ー'从「ふぇ? ……うん、そうだよぉ……」

('、`*川「何故に」



24 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/27(水) 23:59:19.72 ID:+UoTobZHO

从'ー'从「昨日会ったの、……良い人だよぉ」

('、`*川「ほほう、ならからかってくるか」

(;・∀・)「からかうなよ」


Σ(´∀` )]('、`*川=「ドーン! 先生チャック開いてるー!」

[(;´∀`)「嘘ッ? 開いてるモナッ!?」

('、`*川「嘘だよ」

[(;´∀`)「……ひどい……む、君は誰さんモナ?」

('、`*川「ペニサス伊藤でーす」

[( ´∀`)「伊藤ちゃん把握モナ」

('、`*川「あれがガリ勉のモララーであっちがワタちゃん、渡辺さん」

[( ´∀`)「モララー君と渡辺ちゃん把握モナ」

('、`*川「先生、背中にバカって張り紙されてる」

= [バカ] ´∀)「もうその手には引っ掛からないモナ!」

('、`*川「ふーん」



25 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:01:11.13 ID:1luuw3RLO


('、`*川「ただいま」

( ・∀・)「張り紙貼ったの君でしょうに」

('、`*川「いつ気付くかしらね」

( ・∀・)「ひっでぇ」

('、`*川「いや、なかなか楽しいわねあの先生」

( ・∀・)「先生で遊ばない」

('、`*川「黙れガリ勉」

( ・∀・)「あれ? 今のはなんか理不尽」

 背中にバカと書かれた紙を引っ付けたまま、先生は教室を出ていった。
  ペニちゃんとモララーくんがお話をしている間も、わたしは窓の外ながめて胸を押さえてた。

 なんか、なんか、苦しいよ。
  せんせが人気者なの、嬉しい気もするし、嫌な気もする。
  わたしは、どうしちゃったんだろう。


 胸の奥がもやもやして、せんせの笑顔を思い出すと、きゅうっとなる。

 これは、なんなんだろう。



26 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:03:06.40 ID:1luuw3RLO




 せんせが学校に来て数日、学校のみんなから好かれるせんせは、たまにわたしとお話をしてくれる。
  それは他愛もない事ばかりだけど、その瞬間だけ、胸の痛みがいなくなる。

 けど、せんせがいなくなった瞬間、胸の痛みが押し寄せる。
  病気なのかな。


('、`*川「あっちーねー毎日」

从'ー'从「そだねぇ」

 学校からの帰り道、わたしとペニちゃんはならんで歩いてた。
  モララーくんは先に帰っちゃったし、外は暑いし、やだなぁ。

('、`*川「あぢー」

从'ー'从「あぢー」

('、`*川「ワタちゃんさー」

从'ー'从「んー?」

('、`*川「なんか隠してんでしょー」

从;'ー'从「ふぇっ!?」




28 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:05:04.39 ID:1luuw3RLO


('、`*川「何よ、なんかあったんでしょ? 相談とか乗らせてよね」

从;'ー'从「う、うん……でも、わたしにもよく、わかんないのぉ……」

('、`*川「……好きな人でもできた?」

从;'ー'从「ふぇぇっ?」

('、`*川「ドンピシャかよ」

从;'ー'从「わ、わか、わかんないよぉ~……」

('、`*川「言え、その好きな男とやらを言え」

从;'ー'从「えぇぇ~……す、好きなのか分かんないんだけど……思い出したら、胸がきゅってなるのぉ」

('、`*川(わーい、わかりやすー)

从'ー'从「それに、その人は大人の人でねぇ……笑ってる顔が、きらきらしてるの……」

('、`*川(モナー先生か。うぇーい、わっかりやすっ)

从'ー'从「お話しできたら凄く嬉しくて、頭を撫でられたらすっごく嬉しくて……好きって、こう言うのなのかなぁ……」

('、`*川(うわあ青春ストライク)




30 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:07:12.36 ID:1luuw3RLO

('、`*川(まあ青春ストライクでもスイーツ(笑)でも、ちゃんとアドバイスしなきゃねぇ。
     だがその前に、しっかり根掘り葉掘り聞き出さねば)

('、`*川(しかしまあ……分かりやすいと言えども教育実習生に恋か……ワタちゃん初恋なのに前途多難だなおい)

从'ー'从「でねぇ、ペニちゃん好きな人、いる?」

('、`;川「はいィッ!? え、何? 何であたしの話になってんの?」

从'ー'从「ふぇ? ペニちゃん、好きな人いないの?」

('、`;川「いや、それは、まあ……いる、かも、けど」

从'ー'*从「えぇ~っ、どんな人ぉ?」

('、`*川「……べ、勉強が得意だけど、変で、ムカつく、最近背がのびた奴」

从'ー'从「んー、誰だろぉ……今度モララーくんに聞いてみようかなっ」

('、`;川「いや、ちょ、おま、それはないわ」

从'ー'从「ふぇ、どうして~?」

('、`;川「お、女の子同士の秘密ってわかる? ワタちゃん……それは人様に喋るような事じゃないから……」

从'ー'从「あ、そっか。うんわかったぁ、誰にも言わないねぇ!」

('、`*川「あ……はは、うん……そうね……」



32 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:09:55.71 ID:1luuw3RLO

('、`*川「駄目だこの子、早く何とかしなきゃ……」

从'ー'从「ん?」

('、`*川「あはは、何でもないよー、それよりその人との出会いとか聞かせてよー」

 微妙にひきつった笑顔のペニちゃんから浴びせられるたくさんの質問に、せんせとの出会いなんかを思い出しながら応えてゆく。
  思い出すたびに頬っぺたが熱くなって、応えるたびに胸が苦しくなって。

 でも、全部をペニちゃんに打ち明けたら、スッキリしたのも事実。

 それと同時に、自覚する。

('、`*川「レモン一つ」

从'ー'从「あ……う、い、いちごみるく」

('、`*川「好きだねー、イチゴミルク」

从'ー'从「……うん、似合うかなー、いちごみるく」

('、`*川「甘ったるそうなとこが似合うかも」

从'ー'从「……子供っぽい、かなぁ」

('、`*川「好きなら良いじゃない、似合う似合わないじゃなくさ」

从'ー'从「そう、だね」



34 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:11:16.12 ID:1luuw3RLO


 帰り道の途中にあるかき氷屋さん、せんせに奢ってもらっちゃったかき氷屋さん。
  今日はペニちゃんと二人で寄り道。

 少しだけ宇治金時の文字を見てしまったけど、結局はいつも通りのいちごみるく。
  甘くてピンクで子供っぽくて、ペニちゃんもわたしに似合うかもって、ちょっぴり悔しいな。


 さくさく。
  かき氷を口に運びながら歩いて、わたしは考える。

 わたしは、せんせが好きなんだ。
  わたしは、せんせを好きになったんだ。

 甘酸っぱさを口の中いっぱいに感じる、その甘酸っぱさは胸に降りていく。

 好きになっても、わたしは子供でせんせは大人。
  迷惑だよ、ね。迷惑だよね。


 わたしは、どうすれば良いのかなぁ……。


 胸が痛い。
  この恋とやらは、きっとかなわないだろうから。
  余計に胸が、ずきずき、する。




35 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:13:19.13 ID:1luuw3RLO




 胸の辺りが重い感覚を持ったまま、時間はどんどん、流れていく。
  せんせがこの学校に来て一週間、つまり、半分があっという間に過ぎてしまった。

 わたしはと言うと、自分の気持ちに気付いてから、ろくに顔をあげていない気がする。

 思いを伝えるわけにもいかない、けど、諦められはしなくて。
  わたしは、胸を痛めるばかり。

 好きだけど言えない、けど言いたい、けど言えない。
  思いは、堂々巡り。



( ・∀・)「暑いですねー」

('、`*川「夏だしねー」

从'-'从「うん……」

( ・∀・)「……」




36 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:15:02.05 ID:1luuw3RLO


( ・∀・)(どうしたんですかアレ)

('、`*川(さあねえ)

( ・∀・)(……ふうん)

('、`*川(あんた、妙に鋭いわよね)

( ・∀・)(長いですから)

('、`*川(かわいそうに)

( ・∀・)(えぇぇ……)


( ・∀・)「渡辺」

从'-'从「んー……」

( ・∀・)「今日は身体測定ですね」

从'-'从「うんー……美味しそうだねー……」

( ・∀・)「駄目だこりゃ」




37 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:17:09.50 ID:1luuw3RLO


('、`*川「ほらワタちゃん、更衣室行って着替えるよー」

从'-'从「んー……」

( ・∀・)「それじゃまた」

从'-'从「うん……」

('、`*川「覗くなよ」

( ・∀・)「誰が覗くんですか」



 更衣室、わたしとペニちゃんは隣同士のロッカーの前。
  セーラー服を脱いでハンガーに掛けると、体操着に袖を通した。

 ロッカーの扉を閉めて、また、ため息。

('、`*川「暗いねぇ、ため息つくと幸せ飛んでくよ」

从'-'从「うー……」

('、`*川「あー鬱陶しい! ほら保健室行くよ!」

从'-'从「……うん……」




39 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:19:07.47 ID:1luuw3RLO


 ペニちゃんに引っ張られるまま保健室へ。
  そんな中でも、わたしは始終足元を見ていた。

 体重を量る時も、身長を測る時も、胸囲を測る時も。
  身長を測る時、先生に少し怒られてしまったけれど。

 わたしの身長体重なんかが記入された紙を改めて見て、ふと気付く。


从'-'从「去年と、全然かわってないよぉ~……」

('、`*川「おう、終わったー?」

从'-'从「うん……」

('、`*川「やんなるわー、身長やら体重やら胸囲やら、全部増えてやがんの」

从'-'从「ふぇ」

('、`*川「あん?」

从'-'从「……」

('、`*川「?」

从'-'从「おっぱい……」




40 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:21:01.66 ID:1luuw3RLO


('、`;川「お、おっぱ!? 別のクラスの長岡!?」

从'-'从「ペニちゃん、おっぱいいくつ……?」

('、`;川「普通に二つ……いやサイズか、サイズなら85……」

从 - 从そ

('、`;川「わ、ワタちゃーん……?」

从;-;从 ~□ ヒラリ

('、`;川「泣いた! あたしが泣かせた!? うおおどうし……あ、ワタちゃんの測定用紙……うおう」


('、`;川(胸囲……65……カリカリですやん……)


('、`;川「……ほ、ほら……ワタちゃん成長段階だからさ……こんなのただの脂肪だし……」

从;-;从「そんなのおっぱいあるから言えるんだよぉ~……」

('、`;川「いやいやいや……だってほら……その……ねぇ?」

从;-;从「ふぇぇぇん……」

('、`;川「な……泣くなよう……」




42 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:23:03.16 ID:1luuw3RLO


 おっぱいが小さい
  いこーる、こどもっぽい。
  わたしはどこまで行っても……こどもっぽいんだ……。

 ペニちゃんとの差、およそ20cmを感じたわたしは、それまで以上に落ち込んでの帰り道。
  いつでも暗い暗い空気をしょっています……。
  20cm……。


( ・∀・)「あ、女子も終わりましたか」

('、`;川「う、うん……」

(*・∀・)「渡辺、俺、身長が……」

从 - 从「……」

( ・∀・)「……渡辺?」

('、`;川「あー……ちょっと乙女のデリケートな悩みがね……」

( ・∀・)「……ああ」

('、`;川「分かってやるな……」




44 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:25:03.67 ID:1luuw3RLO


( ・∀・)「気にする事なんですか」

('、`;川「女の子だからね……」

( ・∀・)「俺は渡辺なら小さかろうがどうでも良いですけどね」

('、`*川「あん?」

( ・∀・)「いや何でも」

('、`*川「……どいつもこいつも青春ストライクしやがって」

( ・∀・)「自分もすれば良いじゃないですか」

('、`#川「してるわよ! 黙れガリ勉!」

(;・∀・)「なんか理不尽!?」

('、`#川「うるさいわ! ワタちゃんの事にしか気付かない朴念仁が! 氏ね!!」

(;・∀・)「えええ!?」

('、`#川「ワタちゃんもワタちゃんよ!」

从;'ー'从「ふぇっ!?」




46 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:27:03.72 ID:1luuw3RLO


('、`#川「好きなら胸とか歳とか身長とか悩んでないでサクッと告白でもなんでもすりゃ良いでしょうが!!」

从;'ー'从「で、でも、あのぅ……」

('、`#川「や か ま し い わ ! !」

从;'ー'从「ふぇぇぇっ!」

('、`#川「本気で好きならもう何もかも振り払ってまっすぐに告白すれば良いでしょ!? 何ウジウジしてんのよ鬱陶しい!!」

从;'ー'从「だ、だってペニちゃん、あの……」

('、`#川「いっそ! 告白! しなさい!!」

从;'ー'从「はいぃぃっ!」

('、`#川「よろしい!!」


(;・∀・)「つえー……」

('、`#川「アンタもよこのガリ勉!! 氏ね!!」

(;・∀・)「どっち!?」




48 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:29:03.68 ID:1luuw3RLO

──────

 先週、ペニちゃんにぼっこぼこにされる勢いで捲し立てられたわたしは、反射的に頷いてしまった。
  それはつまり、せんせに告白するって事で。
  そんな事わたしに出来るのか、想像するだけで胸が痛い。

 そんなわたしは理科準備室で、せんせの背中を見ながら胸を押さえていた。


从;'ー'从(告白……するの、……?)

 授業に使った道具なんかを洗って拭いて片付けているその背中は、いつも通りの広さ。

 せんせが学校から居なくなるまであとほんの少しだけ。
  残り少ないせんせの授業を聞いていても、考える事は告白の事ばかり。
  みんなが理科室から出ていったのにも気付かなかったわたし、一人でぼんやりしてるところを後ろから肩を叩かれて。


( ´∀`)「お手伝い助かるモナー、渡辺ちゃん」

从'ー'从「あ、ぇ、えへへぇ」

 ここで言って後悔するか、言わないで後悔するか。
  こわい、けど、




50 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:31:07.89 ID:1luuw3RLO


( ´∀`)「渡辺ちゃんは良い子モナー」

从*'ー'从「そんな事ないですよぉ~」

 せんせの笑顔を見たら、こわいとか不安とかよりも、好きが強く強くなっちゃって。

( ´∀`)「あ、これは上の棚にお願いモナ」

从;'ー'从「はーい……あっ、きゃあっ!?」

(;´∀`)「モナッ!?」

 渡されたビーカーを棚の上へと仕舞おうと踏み台に乗って背伸びをした時、バランスが崩れて、踏み台から足を踏み外した。
  ビーカーが手から離れて、重力に従いながら、背中から落ちていく。

 そして、背中に叩き付けられると思っていた痛み───


 は、なかった。





51 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:33:01.91 ID:1luuw3RLO


 全身を包む圧迫感に恐る恐る目蓋を持ち上げたら、目の前にはせんせの困った顔。


从;'ー'从「ふ、ふぇっ!?」

(;´∀`)「怪我はないモナッ!?」

从;'ー'从「はいっ……あ、あり、ありがとうございますぅ……」

( ´∀`)「ああ……ビックリしたモナ……」

从;'ー'从「ごめんなさい……」

( ´∀`)「怪我がなくて何よりモナ……」

 わたしを床に下ろしたせんせは、奇跡的に割れてなかったビーカーを拾い上げて棚に仕舞った。
  そしてわたしの頭をぐりぐり撫でて、顔を覗き込んで、にっこり。


 うあ 笑顔が、近い。


 息がかかりそうな場所にある先生の笑顔に、わたしは顔がどんどん熱くなっていって。


 だめだ、もうだめだ
  こんなに、せんせが好き。
  わたしは、せんせに恋をしてる。



53 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:35:04.19 ID:1luuw3RLO


从* ー 从「あの、あの、わたし、せんせ……」

 もう止まらない。
  ずっと胸に秘めていようと思ったけど、もう、苦しくて苦しくて、止まらない。

 ペニちゃんに言われたからだけじゃない、わたしは自分の意思で言おうとしてる。
  わたしは早く楽になりたくて、せんせに気持ちを告げようと口を開いた。


 けれど、わたしの言葉は、せんせの言葉に遮られてしまう。


( ´∀`)「僕には、恋人が居るモナ」

从'-'从「ぇ……」

( ´∀`)「地元で僕の帰りを待ってくれてる彼女の為にも、立派な教師になって、彼女を幸せにしてあげたいんだモナ」

从 - 从「ぁ……そう、なん、ですか……」

( ´∀`)「……大学でも良い成績が出せなくて、教師になる自信を失ってた……けどここに実習に来て、やっと自信を取り戻せたモナ」

从 - 从「う、ん……」




55 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:37:02.90 ID:1luuw3RLO


( ´∀`)「それもこれも、渡辺ちゃんのおかげモナ」

从'-'从「……ふぇ、」

( ´∀`)「初めて会った時から、君は僕に明るく接してくれて、伊藤ちゃんやモララー君とも君を通じて仲良くなれた。そこから、色んな生徒さん達とも仲良くなれた」

从'-'从「せん、せ」

( ´∀`)「僕が自信を持てたのは、君のおかげモナ」

从'-'从「せんせ、や、め」

( ´∀`)「ありがとう、君と出会えてよかった」


( ´∀`)「君は、最高の、生徒モナ」



 ────ああ、わたしは

  せんせの、『生徒』なんだ



57 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:39:04.27 ID:1luuw3RLO



从 ー 从「わたしも、せんせに出会えてよかったです」

( ´∀`)「……ありがとうモナ」

从'ー'从「彼女さんと、幸せになって下さいね! わたし、応援してます!」


从*^ー^从「さよなら! せんせ!!」



 走り出したのはわたしの意思じゃなくて
  勝手に足が動いただけ。

 せんせの笑顔があんまりにも優しくて、あったかくて、おおきくて、ひろくて
  わたしは余りにも小さくて。

 あの場にいたらきっと泣いちゃってたから、わたしは自分の足にありがとうを言った。



58 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:41:08.15 ID:1luuw3RLO



从 ー 从「ペニちゃんに、背中押してもらったのになぁ……」

 ひとりで歩くにはとても長い、堤防沿いの道。通学路。
  悲しいくらい綺麗な夕日を横顔にうけながら、わたしは歩いていた。

 せんせの笑顔、幸せそうだった。
  わたしには苦しいくらい、輝いていた。

 彼女さんは、しあわせだなぁ。
  あの笑顔をずっと、見ていられるなんて。
  あの笑顔を見て、苦しくならないなんて。

 きっと素敵な人なんだろなぁ。

从 ー 从「ぁ……かき氷、食べたいかもぉ……」

 いつものかき氷屋さんを見つけて、わたしは近づく。

 そして、いつものイチゴミルクを


从 ー 从「宇治金時、くださいな」


 たのまなかった。




60 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:43:02.11 ID:1luuw3RLO


 おばちゃんはにっこり笑って頷いて、氷をかく。
  その笑顔にすら、わたしの涙腺は刺激されて。
  涙がぷわ、とあふれて、こぼれそうになって。

 後ろから、頭をくしゃっと押された。


  「宇治金時、もう一つ」


从 ー 从「え、ぁ」

( ・∀・)「俺が、奢りますよ」

从 ー 从「モララーくん、どうし、てぇ?」

( ・∀・)「……なんと、なく」

从 ー 从「頭、くしゃくしゃって、しないでよぉ……」

( ・∀・)「君の頭が良い位置にあるんですよ、くしゃくしゃにしやすい位置に」

从 ー 从「ふぇ、?」

 引っ込んだ涙にほっとして、頭にモララーくんの手を乗せたまま顔をあげる。
  モララーくんは確か、わたしとちょっとしか身長が変わらなかったはず。




62 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:45:13.25 ID:1luuw3RLO


 でも、振り向いたところに居たモララーくんの顔は、わたしよりずっと高くにあった。

从 ー 从「あ、れぇ?」

( ・∀・)「俺の背が伸びたのにも気付いてなかったんですか、君は」

从 ー 从「だって、だって、……あれぇ? 声も、低いよぉ?」

( ・∀・)「声変わり」

从 ー 从「ぁ、あれ、ふぇ? いつの、まに?」

( ・∀・)「毎日一緒に居たのに気付かなかったのは、どうかと思いますよ」

从 ー 从「ご、ごめんなさい……」

( ・∀・)「……いや、ううん、良いんだ。それだけ、君は夢中だったんだ」



( ・∀・)「あの人に」




63 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:47:03.29 ID:1luuw3RLO


 ことん、と二つの宇治金時を置いて、おばちゃんは店じまいの準備を始めた。
  いつもはもっと遅くまでしてるのにな、ふしぎだな。

 わたしたちは宇治金時を片手に堤防によじ登って、腰掛けながら、さくさく。
  氷を崩して、あんこと一緒に、緑色のかき氷を口に運んだ。

 宇治金時を味わっていると、なんだか止まっていた涙が復活しちゃって。

从;-;从「ふ、ぅ……っぐ、ひぐ、ぅぅぅ……っ」

( ・∀・)「……渡辺は、好きだったんですね、モナー先生の事」

从;-;从「ひぐ、ぅ、ん……わたし、ね、わたしね、好きだった、のぉ」

( ・∀・)「うん」

从;-;从「でも、ぇくっ、ひぐ……でも、でもせんせには、彼女さんが居てね、地元で待ってるってね、でっ、ね」

( ・∀・)「うん」

从;-;从「笑顔が、きらきらで、ぇっ、嬉しそうで、はなす、から、わたっ、し、苦しくって、苦しくって」

( ・∀・)「うん」

从;-;从「せんぜ、に゙、っぐ、うぅぅ、おうえ、してま、てっ……さよならってぇっ!」

( ・∀・)「うん」




65 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:49:13.18 ID:1luuw3RLO


从;Д;从「ぅっ、う、ぐうっ、ひぐ、ふっ、あ、あぁあああっ……うわああああああんっ!! あああぁぁぁあぁぁぁああああんっ!!!!」

( ・∀・)「うん、……」

从;Д;从「好きだったのぉっ! いまでもっ、まだぁ! まだわたし、わたしぃっ! うわああああんっ!! ああああぁぁああぁあああんっ!!!!」

( ・∀・)「うん、うん」

从;Д;从「苦しいよぉっ! 苦しいよぉおぉおおおっ!! どうして、どうしてこんな、ぅああぁぁぁあぁああああぁんっ!!!!」

( ・∀・)「うん、うん……俺も、苦しいよ……」

 ぽつんとしたモララーくんの呟きも聞こえずに、わたしは大声で泣いた。
  泣いて泣いて、頭の中のぐちゃぐちゃしたのを全部吐き出したくて、泣いた。

 声がかれて、頭が痛くて、かき氷はもう水みたいになって。
  それでも、わたしは泣き続けた。


 出会ったのはこのあいだ
 恋をしたのもこのあいだ
 それに気付いたのもこのあいだ

 そして恋が散ったのは、ついさっき




66 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:51:13.56 ID:1luuw3RLO


 夕焼けが姿を消そうとしている頃に、わたしはやっと泣き止んで。
  熱くなった鼻と瞼を撫でて、隣に座るモララーくんを見上げて笑った。

从'ー'从「えへへぇ……喉、いたいやぁ」

( ・∀・)「でしょうね」

从'ー'从「……星、でてきたねぇ」

( ・∀・)「ですね」

从'ー'从「きれいだねぇ」

( ・∀・)「ですね」

从'ー'从「モララーくんはさ、好きな人、いるのぉ?」

( ・∀・)「はい」

从'ー'从「そっかぁ……だれ?」

( ・∀・)「良いから宇治金時飲みなさい」

从'ー'从「あ、うわっ、ぱっしゃぱしゃだよぉ……」

( ・∀・)「まぬけ」

从'ー'从「うぅ……良いもん、飲むもんっ」



67 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:53:17.20 ID:1luuw3RLO


 緑色の液体になったかき氷。
  カップの縁に口をつけて、ぐいっと一気に飲み下す。
  甘くて苦くて、ふしぎな液体が喉の奥へと流れ落ちてゆく。

 全部を飲み込んで、ぷは、と息をついた。
  空を見上げるとお日様はもう居なくって、代わりに星の海が広がってて。



 初めての宇治金時は思ったよりも甘くって。

 初めての恋は、思ったよりも苦かった。


 でも、嫌いじゃない、ふしぎな味で。
 わたしはきっと、また恋をする。




69 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:55:10.05 ID:1luuw3RLO


~( ・∀・)~



( ・∀・)(悩んでた自分が、バカみたいだ)

 渡辺が先生の事を好きなのは分かっていた。
  顔や態度に出るのは、昔から変わらない。

 だから、先生に忠告をした。
  渡辺ができるだけ傷つかないように。

 それはつい先日、夕方の職員室。
  他には誰も、居なかった。


 がらら。

( ・∀・)「失礼します」

( ´∀`)「お、モララー君モナ? どうしたモナ?」

( ・∀・)「モナー先生にお話があって来ました」

( ´∀`)「お話、モナ?」

( ・∀・)「渡辺は、先生の事が好きです」




71 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:57:46.32 ID:1luuw3RLO

( ´∀`)「……そう、モナか」

( ・∀・)「渡辺の気持ちを受け止めるなり、諦めさせるなりしてやってください。
      今の渡辺は、見ていられません」

( ´∀`)「申し訳ない、モナ。
      僕は教育実習生だけど教師同然、生徒とのそういった付き合いは、できないモナ」

( ・∀・)「そう、ですよね」

( ´∀`)「それに、教育実習生は実習後、実習先の生徒達と一切関わってはいけないモナ」

( ・∀・)「つまり、」

( ´∀`)「恋人関係どころか、連絡を取り合う事すら許されないモナ」

( ・∀・)「厳しいんですね、教師って」

( ´∀`)「教える人間は、誰かを贔屓したり、差別をしちゃいけないんだモナ。
      だから僕は渡辺さんを傷つけないように、でもハッキリと、すっぱり僕の事を忘れられる様な返事をしたいと思いますモナ」

( ・∀・)「そう、ですね」

( ´∀`)「それが僕に出来る、精一杯モナ。
      だから誠心誠意、彼女に伝えるモナ」

( ・∀・)「はい」




72 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 00:59:15.17 ID:1luuw3RLO


( ´∀`)「だから……泣かせてしまったら、申し訳ない、モナ」

( ・∀・)「そうなったら、俺が何とかします」

( ´∀`)「……申し訳ないモナ……」

( ・∀・)「いえ……それじゃ、失礼します」

( ´∀`)「さよならモナ」

( ・∀・)「さよなら」


 先生は見た目や言動よりずっと大人で、ただの子供の戯れ言だと切り捨てる事はしなかった。
  それが良い事ななか悪い事なのかは、子供の俺には分からない。

 けど、それで俺の好きな人が少しでも傷付かないのなら、それで良いと思った。

 図体がでかくなろうが、声が低くなろうが
  俺は、やっぱり子供だった。


 でも、子供だって本気の恋をするんだ。
  俺は渡辺の隣で、渡辺を守って生きたいんだ。


 前途多難だけど。



74 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:01:06.59 ID:1luuw3RLO

───────

 みぃんみぃんみぃん。
  蝉がいやってくらいに鳴いていて、暑さがひどく感じる。

从'ー'从「ペニちゃあん! 早くはやくぅ!」

('、`*川「焦らせんなっつーのー……んもー何? こんなとこ連れてきて」

 夏休みに入ったわたしたち。
  今いる場所は、通学路にあるかき氷屋さん。

 わたしは朝の早くからペニちゃんを呼び出して、一緒にかき氷を食べようと思った。

('、`*川「レモン一つ」

从'ー'从「宇治金時くださいなぁ」

('、`*川「あん? イチゴミルクはどったの?」

从'ー'从「んー……卒業?」

('、`*川「はーん……似合わないの」

从'ー'从「う、うぅ……みんな言うなぁ」




76 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:03:11.81 ID:1luuw3RLO

('、`*川「何、他の奴等にも言われたの?」

从'ー'从「うん、モララーくんにも言われたし、クラスのみんなにも言われたよぉ」

('、`*川「シメちゃろか」

从;'ー'从「えぇっ?」

('、`*川「嘘よ嘘、で、何であたしを呼び出したのよ? 胸を大きくするヒケツなんかないわよ?」

从'ー'从「う、あったら教えてほしかったけど……今日はね、違うの、あのね」

 堤防にならんで腰かけて、海に向かって足を投げ出す。
  ペニちゃんはわたしの左っかわに座って、レモンのかき氷を食べていた。

从'ー'从「モララーくん、好きな人いるんだってぇ」

('、`;川「ぶぼぉっ!」

从'ー'从「誰なんだろうねぇ……どしたの? ペニちゃん」

('、`;川「げっほげっほ……何でもないわよ、で?」

从'ー'从「んー……ペニちゃん、モララーくんのこと好きでしょ?」

('、`;川「ぶぼぅぇっ!!」

从; ー 从「わぶっ!?」



78 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:05:03.62 ID:1luuw3RLO


('、`;川「ぇほっ! げほっ! ごめ、ちょ、ごめ!」

从;'ー'从「う、ううん……うわベタベタ……」

('、`;川「つか、はぁ!? 何あんたいきなり! アホか!?」

从;'ー'从「いや、う、その、好きなのかなぁ、って」

('、`;川「憶測であんたは……別にさぁ、好きとかじゃ……ないっつーの」

从'ー'从「ふぇ? そうなのぉ?」

('、`;川「何を根拠に……はぁ……アホクサぁ…………」

从;'ー'从「ふ、ふぇぇ……ごめんねぇ」

('、`*川「良いよもう……顔面にかき氷ぶちまけたから、オアイコねオアイコ」

从'ー'从「う、うん……」

('、`*川「好きなのはあんただろうが」

从'ー'从「ふぇ?」

('、`*川「何でもないよー、これ捨ててきて」




81 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:07:01.52 ID:1luuw3RLO

~('、`*川~


 レモンシロップでベタベタになったワタちゃんは、空っぽのカップを捨てに堤防から離れる。
  ゴミ箱はここから遠いから、少しかかるだろうな。

 あたしはぼんやりと青い青い空を見上げて、溜め息を吐いた。

('、`*川「ふぅ……アホか、あの子は。ガリ勉が好きなのはワタちゃんだっつーの」

('、`*川「……ふぅぅ……」

( ・∀・)「幸せ逃げますよ」

('、`*川「ねー……」

('、`;川「うわ何か出た!!」

( ・∀・)「人をゴキブリか幽霊みたいに……」

('、`;川「どっからわいて出たの、あんた」

( ・∀・)「かき氷を食べに来たら君が黄昏てた訳ですよ」

('、`*川「あー……そー……」

 どいつもこいつも、なんだって夏休みに通学路に来るんだか。




83 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:09:14.67 ID:1luuw3RLO

('、`*川「あー……」

( ・∀・)「ん?」

('、`*川「あたしさー」

( ・∀・)「はい」

('、`*川「あんたが好きー」

( ・∀・)「そうですか」

('、`*川「そうですよ」

( ・∀・)「俺は渡辺が好きです」

('、`*川「知ってます」

( ・∀・)「ごめんなさい」

('、`*川「いえいえ」

( ・∀・)「残酷な事を言っても良いですか?」

('、`*川「どぞどぞ」

( ・∀・)「これからも良い友達で居てください」

('、`*川「はいはい」



86 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:11:03.63 ID:1luuw3RLO


( ・∀・)「じゃあ、俺はこれで」

('、`*川「へいへい」

 へろっと現れたガリ勉モララーは、へろっと去っていった。
  まあ好きだなんだと言いながら、暫くは告白しないんだろうなあ。

('、`*川「…………新しい恋、探そう……」

 思っていたよりもスッパリ気持ちを切り捨てて、先に進もうとするあたし。
  失恋ってのは、もっとウジウジクヨクヨするもんだと思ってた。
  けどまあ、ワタちゃんも失恋から立ち直ったみたいだし、これが若さかな。

('、`*川「ペニサス伊藤は女の子ォッ! 恋には貪欲貪欲ゥッ!!」

 良い女になって見返してやるわガリ勉!
  さよなら初恋、カモン次の恋! わっはっはっ!!


 はぁ。

 好きだったなぁ、顔も頭も性格も良いもんなぁ、あいつ。
  ガキの言い分だけど、結構本気の恋だったんだよなぁ。


 はぁ。


89 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:13:30.94 ID:1luuw3RLO

 全身にミンミンと言う蝉の声を浴びながら、わたしはカップをゴミ箱に捨てて来た道を戻ってゆく。

 レモンのベタベタと汗のベタベタが混ざりあい、ひどく気持ち悪い。
  けど、お家に帰ったらシャワーを浴びようと思ったら少し気分がよくなって。


从'ー'从「ふん、ふん、ふーん」

( ・∀・)「何してんですか」

从'ー'从「あ、モララーくん! どうしたのぉ?」

( ・∀・)「かき氷を食べに来たら機嫌良さそうに歩いてる君を見つけまして」

从'ー'从「んー? えへへぇ、早く帰ってシャワー浴びたいなぁって」

( ・∀・)「……そ、う、ですか」

从'ー'从「どーしたの?」

( ・∀・)「な、何でもありませんよ、ちょ、見るな」

从'ー'从「あ、ねぇねぇ! かき氷買ったらちょっと分けてぇ?」

( ・∀・)「食べてないんですか」

从'ー'从「顔面レモンシャワーで落としちゃったの」

( ・∀・)「何だそれ」



90 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:15:15.91 ID:1luuw3RLO


从'ー'从「ペニちゃんがね、ぶぼぉって」

( ・∀・)「あー……吹く癖あるから、彼女」

从'ー'从「あ、そだ」

( ・∀・)「うん?」

从'ー'从「ペニちゃん、モララーくんのこと好きじゃないんだって……」

(;・∀・)「ぶぼぉっ!」

从'ー'从「てっきりね、モララーくんのことが好きなんだと勘違い……どしたのぉ?」

( ・∀・)「うん、いや、何でも」

从'ー'从「わたしはモララーくんのこと好きだけどなぁ」

(;・∀・)「ぶぼぇぅっ!!」

从'ー'从「どしたの?」

(;・∀・)「は? あ、え? ん? よく、聞こえなかった、かな?」

从'ー'从「ふぇ? わたしはモララーくんのこと好きだよーって」

(;・∀・)「ぐっ……げほっ、げほっ、そ、それは、その、つまり、え?」




92 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:17:03.97 ID:1luuw3RLO

从'ー'从「ペニちゃんのこともクラスのみんなのことも大好きー」

( ・∀・)「ですよねー。……はーぁ……」

从'ー'从「モララーくん、かき氷買いに行こ?」

( ・∀・)「あー……うん、はいはい」

从'ー'从「かっきごっおり、かっきごっおり……あ、ペニちゃーん!」

('、`*川「あ、おかえゲッ」

从'ー'从「げ?」

('、`*川「何でガリ勉が一緒なの?」

从'ー'从「そこで会ったの」

('、`*川「やりづれぇ」

从'ー'从「ふぇ?」

('、`*川「何でもないわよ何でも! あー! かき氷を奢れガリ勉!!」

( ・∀・)「ワア、八つ当たり」

('、`*川(てめーの所為だてめーの、ああ?)

( ・∀・)(これは失礼)



94 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:19:21.97 ID:1luuw3RLO

从'ー'从「モララーくーん、わたし宇治金時ー!」

( ・∀・)「え、」

('、`*川「あたしレモン」

( ・∀・)「ちょ、」

从'ー'从「モーララーくーぅん!」

( ・∀・)「あー……はいはい分かりました分かりました、全くもう、君達は」

わしゃわしゃ。
べた。

( ・∀・)「何ですか、この酷い手触り」

从;'ー'从「あっ、頭わしゃわしゃダメだよぉ」

( ・∀・)「うわベタつく……何ですかこれ」

('、`*川「唾液とレモンシロップ」

( ・∀・)「顔面レモンシャワーてこれですか、って汚いな」

('、`*川「そう思うならワタちゃんの頭から手を退かせい、んで洗いに行け」

( ・∀・)「だからシャワー浴びたがったんですね……」



96 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:21:03.80 ID:1luuw3RLO


从'ー'从「うん」

('、`*川「何そのいやらしい会話」

(;・∀・)「な!」

('、`*川「わーお! ガリ勉はムッツリですよー! ワタちゃんの貞操が危なーい!!」

(;・∀・)「ちょ、おま、やめ! 止めなさいってマジで!!」

('、`*川「高校生になるまでママは認めません」

( ・∀・)「君が母親ですか」

('、`*川「黙れガリ勉」



 ペニちゃんはモララーくんのこと好きじゃないって言ったけど、本当は好きだったんじゃないかなぁ。なんて。
  さっきよりも笑顔が明るいのは、何でだろう。吹っ切ったのかな?
  失恋したってわけでもないのにな。

  ふしぎ。




98 名前: ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 01:23:22.32 ID:1luuw3RLO



 モララーくんとペニちゃん

  広くて青い空から照りつける太陽と入道雲

  みんみん騒ぎ立てる蝉の声

  風のぬるさも空気の匂いもいつもどおり。


 けれどわたしたちは、少しずつ変わってゆく
  それでも、それは『いつもどおり』


 わたしはこの『いつもどおり』が
  大好きで大好きで、たまらないのです。


 モララーくんとペニちゃんとわたし
  この『いつもどおり』は、ずうっと、


 いつもどおり。





102 名前: ◆/NwXemodck :2008/08/28(木) 01:26:48.58 ID:1luuw3RLO

以上で終わりです、支援ありがとうございました。
なんとか時間内に終われて良かったです。

それでは失礼します。



つ( ・∀・)
つ( ´∀`)


[ 2008/08/31 01:07 ] 夏祭りまとめ | TB(-) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する







上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。