ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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陽炎 後

178 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 04:25:00.95 ID:jnCKQ+be0

―――――8月15日


(-_-)「……」


(-_-)「……夏という季節はどうして鬱になりやすいのだろうか?」


(-_-)「……それはおそらく楽しい過去があったからにほかならない」


(-_-)「……過去と現実とのギャップはときに人を傷つける」


(-_-)「……例えばカーテンをあけると祭りの光がここまで来てる」


(-_-)「……鬱だ死のう」


lw;‐ _‐ノv「こらこら」



180 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 04:29:59.02 ID:jnCKQ+be0

lw;‐ _‐ノv「いきなり何いい出すのかな君は?
       死ぬなら私のいないところで死んでくれ。
       夢に出てくるでしょうが」

(-_-)「……シュールもなかなかひどいね」

lw´‐ _‐ノv「だって私、自分本位な人間ですから」

(-_-)「だいたい君が出ていけばいいじゃん」

lw´‐ _‐ノv「だって私、構ってちゃんな人間ですから」

(-_-)「……ひどいね」

lw´‐ _‐ノv「そうだね」


(-_-)「で、今日は何しに?」

lw´‐ _‐ノv「遊びにきた」

(-_-)「今日は外に出ないから帰ってくれない?」

lw;‐ _‐ノv「……祭りごときに何びびってんの?」


182 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 04:34:12.39 ID:jnCKQ+be0

(#-_-)「うるさい!君に何が分かる?!
      子供の楽しそうな声がどれだけぼくを蝕むと思ってるの?!」

lw´‐ _‐ノv「そんなの知らんよ。
       外のことなんかに関わらんからね。
       私が今、関わるべきなのはヒッキーだけだよ」

(;-_-)「……あぅ」

lw´‐ _‐ノv「ここで話をする?」

(;-_-)「……公園にいこう」

lw´‐ _‐ノv「外に出ないんじゃなかったの?」

(;-_-)「気が変わったんだよ。
      ここに居座られても困るしね」

lw´‐ _‐ノv「把握した」


183 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 04:38:37.63 ID:jnCKQ+be0

そうしてぼくらは公園へ向かう。
ここのところ毎日いってるなあ、とふと思う。
それもこれもシュールのせいだ。
彼女に引っぱられて、その手を振り払うこともできなくて……。
気がつけば、夜の散歩が楽しく思えてきた。

しかし、同時に言い知れぬ違和感を感じてた。

(-_-)「……」

lw´‐ _‐ノv「……」

(-_-)「……」

lw´‐ _‐ノv「……」


キャーキャー……

(;-_-)そ ビクッ

lw;‐ _‐ノv「……あのねえ」

(;-_-)「だ、だって怖いものは怖いんだよ……」

lw;‐ _‐ノv「声がきこえた程度でビビるなってば。
       だいたい、声出してる人は私たちを見てすらいないんだから」

(;-_-)「むう……」


185 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 04:43:41.58 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「まあいいや。
       ほら、君の大好きな公園のベンチですよー」

(;-_-)「いや、大好きじゃないから」

lw´‐ _‐ノv「でもいつもおんなじところに座ってるじゃん」

(;-_-)「習慣ですから」

lw´‐ _‐ノv「ふーん…………ん?」

(;-_-)「ど、どうしたの?」

lw´‐ _‐ノv「……いや、なんでもない」

(;-_-)「?」


lw´‐ _‐ノv「さあ駄弁ろうぜ!!」

(;-_-)「……どうしてこんなに急な方向転換するんだろうね?」

lw´‐ _‐ノv「しらん」

(;-_-)「自分のことでしょうが!」

lw´‐ャ‐ノv「ナイスツッコミ」

(;-_-)「……はぁ」


187 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 04:48:04.78 ID:jnCKQ+be0

(-_-)「で、今日は何を話すの?」

lw´‐ _‐ノv「そうだね……。
       いままでエセ哲学的なやつばっかり話してたから、別のことを話そうか。
       例えば……」

(-_-)「例えば?」

lw´‐ _‐ノv「暴露話」

(;-_-)「ばくろ……」

lw´‐ャ‐ノv「……猥談のほうがよかった?」

(;-_-)「……」


(*-_-)「ぜひ!」

lw´‐ _‐ノv「……するわけないでしょうが。
       こちとら花も恥らう乙女なのですよ」

(;-_-)「……絶望した」

lw´‐ャ‐ノv「はっはっは。
       男を磨いて出直せい」

(;-_-)「……精進します」


189 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 04:52:37.87 ID:jnCKQ+be0

(-_-)「で、暴露話って……何を暴露するの?」

lw´‐ _‐ノv「お互いに秘密とか過去とかいろいろあるでしょ?
       それを思いつく限り口に出そう」

(;-_-)「……膨大な量になりそうだね」

lw´‐ャ‐ノv「今夜は寝かさないぜえ?」

それを本来の意味できいてみたいものだよ……。

lw´‐ _‐ノv「というわけでヒッキー、話せ」

(;-_-)「いきなりぼくですか?」

lw´‐ _‐ノv「だっていつも私ばっか話してるじゃん。
       たまには君から話してよ」

(;-_-)「う、うん。わかった」



(-_-)「うーん……。
     といっても秘密らしい秘密はないかな?
     まあ、過去は17年分あるけどさ」

lw´‐ _‐ノv「オーケー、じゃあ思い出話に花を咲かそう」


191 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 04:57:23.58 ID:jnCKQ+be0

(-_-)「えーと……そうだね。
     よくこの公園で友達や妹と遊んだもんだよ。
     そこの木の下にタイムカプセルなんかも埋めたね」

lw´*‐ _‐ノv「よし、それを掘り起こそう」

(;-_-)「こらこら」

lw´‐ _‐ノv「…………で、妹さんは今なにしてるの?」

(-_-)「……」



(-_-)「死んだよ」

lw´‐ _‐ノv「……」

(-_-)「去年の2月あたりに交通事故でね」

lw´‐ _‐ノv「……そう」




192 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 05:01:39.93 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「なんか一気に暗くなったね」

(-_-)「そりゃ明るい話題じゃないからね」

lw´‐ _‐ノv「あー。それもそうだけど……そうじゃないよ」

(-_-)「??」


lw´‐ _‐ノv「話だけじゃなく君の雰囲気も、だよ。
       もう過ぎてしまったことに落ち込みすぎだと個人的に思ってね。
       半年も経ってるんだし、そこまで雰囲気が変わるものなんだ?」

(-_-)「……」

lw´‐ _‐ノv「妹さんのこと、好きだったんだ?」

(-_-)「………かもしれないね。
     少なくとも大切にはしてた。
     うちは片親だから、ぼくが妹の面倒をみなきゃいけなかったからね」

lw´‐ _‐ノv「ふーん」


(-_-)「でもぼくが目を離したばっかりにあいつは……」

lw´‐ _‐ノv「愚痴りたいなら愚痴ればいいよ」

(-_-)「ありがとう」


195 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 05:06:01.37 ID:jnCKQ+be0

(-_-)「妹は今年高校に入学するはずだったんだ。
     高校はぼくと違うけどね。
     で、久しぶりに時間ができた妹と一緒に買い物に出かけたんだ」

(-_-)「そして少し目を離した隙に妹が消えてた。
     ウインドショッピング大好きっ子だったからね。
     ぼくはしょうがないなあ、と思いながら探したんだよ」

lw´‐ _‐ノv「……」

( _ )「……近くで玉つき事故が起きた。     
     けが人が出た。
     いくつかの車が近くの建物に突っ込んだ。
      妹はそれで……」

lw´‐ _‐ノv「……」


196 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 05:10:29.06 ID:jnCKQ+be0

( _ )「……今でも思うんだ。
      あのとき買い物にいかなければ、てね。
      あいつとは一番、一緒のじかんを過ごしたんだけどね……そんな妹を殺してしまった、てね」

lw´‐ _‐ノv「もしかしてそれが引きこもりの原因?」

( _ )「そうかな?…………そうかもね」

( _ )「妹が死んでからね……何もする気が起きなくなったんだよ。
     学校にいっても違和感ばかりがつきまとうんだ。
     おそらくショックだったんだろうな。
     もしかしたら大切なものがふとした事で壊れるから、そういうものを作りたくなくなったかもしれない。
     それとも……妹を殺したことに罪を感じてるのかもしれないね」

( _ )「……どれが答えかよく分からないうちに引きこもってた」

lw´‐ _‐ノv「ふーん」


( _ )「……これで終わり」

lw´‐ _‐ノv「乙」



lw´‐ _‐ノv「といいたいところだけど1つアドバイスしとくよ」


198 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 05:14:58.14 ID:jnCKQ+be0

( _ )「……?」

lw´‐ _‐ノv「そんなにツライなら忘れればいいのに」

(;-_-)「な……?」



(#-_-)「何言ってるの?
      そんなことできるわけないじゃん」

lw´‐ _‐ノv「人はいつか死ぬ。
       生きてる人がやるべきことは死人を引きずることじゃない、弔うことだよ。
       引きずれば死んだ人が傷つく。
       そんなことするくらいなら忘れたほうがいい」

(#-_-)「……なんでそんなこと言われなきゃいけないの?」

lw´‐ _‐ノv「……なんでだろうね?
       私もよく分からない」

(#-_-)「ふざけないで!」

lw´‐ _‐ノv「……」

( _ )「……もういいよ…………もうほっといてよ…」


201 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 05:19:54.79 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「それはできないよ」

(#-_-)「いいかげんにしてよ!
      うっとうしいいいだよ!!」


lw´‐ _‐ノv「……」


lw´‐ _‐ノv「そう」

(;-_-)「……あ」

友達の1人が頭をよぎる。
……また、やってしまった。

彼女は口を開く。


lw´‐ _‐ノv「そうやってジョルジュも拒絶したわけ?」

(;-_-)「っ!!」


(;-_-)「ど、どうしてジョルジュのことを?」

lw´‐ャ‐ノv「どうしてだろうね?」


203 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 05:24:29.08 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「さて、私も暴露するか」

(;-_-)「……」

lw´‐ _‐ノv「実は私も目的があって君に近づいたわけだ。
       その目的はね……」



lw´‐ _‐ノv「君に憑くことだったりするんだよね」



(;-_-)「…………へ?」



lw´‐ _‐ノv「意味が分からない?
       君にとり憑くことだっていってるの」

(;-_-)「え、え、?」

彼女の表情は変わらず、しかしその能面が微妙に変わったような気がした。
……なにそれ、イミワカンナイヨ?


204 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 05:28:45.57 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「君って1人じゃん。
       そういう人間にはとり憑きやすいんだよねー。
       今に囚われてないしね。
       だいたい私たちの出会い方も異常だったと思わない?」

(;-_-)「だ、だって君、触れられるでしょ?」

lw´‐ _‐ノv「触れられるから生きている?
       君は私を笑い殺す気なの?
       生きてる人間に死者の常識なんてわかるはずないでしょ?」


(;-_-)「……」


lw´‐ャ‐ノv「ねえ……妹さんの死は悲しい?
        今でも痛い?
        そう感じていながらなんで君は生きてるの?
        なんで君は死なないの?
        死にたいなら今すぐ連れていってあげるよ?フフ……ムフフフフ」

(;-_-)「う……うわああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!!!」


ぼくは情けない悲鳴をあげながらシュールから離れた。
シュールと数メートルの距離をあけたが、まだ足りない。
彼女の微笑みが黄泉への誘いのようで、一目散に公園から抜け出した。
彼女との距離が十数メートルから数十メートルとなり、無我夢中で家まで走った。


206 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 05:33:44.80 ID:jnCKQ+be0

―――――そんなわけで私は暴露した。


     「う……うわああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!!!」


したら彼は悲鳴をあげ、一目散に私から逃げた。
……そんなに驚かなくてもいいじゃない。


lw´‐ _‐ノv「……」


lw´‐ _‐ノv「……ジョルジュが隠れて私を見てるのはワカッテマス」


ガサッ

  _
(# ゚∀゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「なにもあんなにビビらなくていいのにねー」


208 名前:lw´‐ _‐ノv ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 05:37:17.35 ID:jnCKQ+be0

  _
(# ゚∀゚)「おい」

lw´‐ _‐ノv「ん?」


パンッ、とはじける音がきこえた。
つづいて熱を頬にかんじた。
今の衝撃で視界が明後日をむいてたので元に戻す。
ジョルジュの手は握り締められてなかった。

平手打ちくらいならまあ……許そう。

lw´*‐ _‐ノv「気が済んだ?
        なら早くヒッキーのもとにいってあげなよ。
       彼、今頃ビクビクしてるだろうからさ」
  _
(# ゚∀゚)「いろいろききてえんだよ。
      これがお前のいってたことなのか?」

lw´*‐ _‐ノv「けっこう効果的でしょ?」
  _
(# ゚∀゚)「ふざけるなよ。
      なにが『ショック療法して外に出れるようにする』だよ?
      これじゃあますます引きこもるじゃねえか!?」

lw´*‐ _‐ノv「そこをどうにかするのがジョルジュの仕事でしょ?」


209 名前:lw´‐ _‐ノv ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 05:40:41.77 ID:jnCKQ+be0

 

パーン……


lw´*‐ _‐ノv「男女を平等に扱ってくれるのは嬉しいけどあんまり叩かないで。
        家の人にいいわけができなくなるでしょうが」
  _
(# ゚∀゚)「うるせえよ」


  _
(  ∀ )「お前なら何とかしてくれる、と思った俺がバカだったよ……」

lw´*‐ _‐ノv「そうだね、バカだね」
  _
(# ゚∀゚)「……」

lw´*‐ _‐ノv「……今日、理由きいて理解できたよ。
        ヒッキーにはああするしかないよ。
        引きこもりから脱するには、誰かに頼らざるを得ない環境を作るしかないよ」
  _
(# ゚∀゚)「……」

lw´*‐ _‐ノv「私は拒絶された。
        だから宣言通りおとなしく去るよ。
        そろそろそういう時期だからね」
  _
( ゚∀゚)「……」


214 名前:lw´‐ _‐ノv ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 06:20:48.13 ID:jnCKQ+be0

lw´*‐ _‐ノv「私はもうヒッキーに頼られる立場じゃない。
        ジョルジュが頼られるべきなんだ。
        友達なんだからできるでしょ?」
  _
(; ゚∀゚)「……」

lw´*‐ _‐ノv「返事してよ」
  _
(; ゚∀゚)「できる、と答えたいが。
     正直分からない。
     俺だって拒絶されてるんだからな……」

lw#‐ _‐ノv


パーン……

  _
(* ∀ )「……いてぇ」

lw#‐ _‐ノv「強引でいい。
       追い返されたら何度も特攻しろ。
       それでもだめなら忍び込んででも接触しろ」

lw´ _ ノv「じゃなきゃ……なんでヒッキーを遠ざけたのか分からなくなるじゃないか」
  _
(; ゚∀゚)「……」


215 名前:lw´‐ _‐ノv ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 06:26:27.10 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「ヒッキーの友達が現れて嬉しかったんだよ。
       これで彼は1人じゃなくなると思ったから。
       1人は寂しいから……でも私だけじゃどうしていいか分からなかったから……」
  _
(; ゚∀゚)「……お前」

lw´‐ _‐ノv「だから最初は彼にとり憑こうと思ってた。
       でも君が現れたからわざと怖がらせてしてヒッキーを遠ざけた。
       私みたいなのと関わるより友達と関わったほうがいいからね。
       なのに……結局は無駄だったみたいだね」
  _
(  ∀ )「っ」

lw´‐ _‐ノv「こんなことならとり憑けばよかったとつくづく思うよ……でももう手遅れか。
       私が姿を現してもすぐに追い返されちゃうからなぁ」
  _
( ゚∀゚)「……おい、シュール」

lw´‐ _‐ノv「ん?」
  _
( ゚∀゚)「いろいろすまんかった。
     今からあいつのところにいってくるわ」

lw´‐ _‐ノv「そう」
  _
( ゚∀゚)「ありがとな。あと殴ってすまん!」

lw´‐ _‐ノv「……」


216 名前:lw´‐ _‐ノv ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 06:31:08.98 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「ジョルジュ」
  _
( ゚∀゚)「ん?」


パーン…… 


lw´‐ _‐ノv「これでおあいこ」
  _
(* ∀ )「……いてえ」

lw´‐ _‐ノv「気合入ったでしょ?」
  _
(* ゚∀゚)「……ああ」

lw´‐ _‐ノv「よし、じゃあいってこい」
  _
(* ゚∀゚)「おう!」








lw´‐ャ‐ノv「……概ね計算どおり、かな」



217 名前:( ゚∀゚) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 06:36:05.37 ID:jnCKQ+be0

―――――昨日、シュールはこう耳打ちした。

   『極論をいえば、私はヒッキーにとり憑きたいんだよ。
    まあ、とり憑くっていうのは比喩だけどね』

はっきりいえばその案は最悪だった。

   『私という存在が他人の心にどれだけ入ることが出来るか?
    それだけが知りたかったんだ。
    だから引きこもりの彼を選んだ』

その言葉は小森を傷つけるためだといっていた。

   『私の存在が根付いたと感じたら、私は消えるとしよう。
    それでも彼が私を忘れようとしなければ実験は成功だよ。
    私は彼にとり憑くことが出来たというわけだからね』

なら、

   『まあ、それで脱引きこもりになればヒッキーも喜ぶだろ?
    私を探すためには外へ出なければいけないのだからね。
    ……一種のショック療法だよ』

昨日の言葉と今日の言葉が違うと感じるのはなぜだろう?
昨日の表情と今日の表情が違うと感じるのはなぜだろう?

   『ヒッキーの友達が現れて嬉しかったんだよ』
   『こんなことならとり憑けばよかったとつくづく思うよ』


218 名前:( ゚∀゚) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 06:40:35.36 ID:jnCKQ+be0

シュールに促され、あいつの家へ走って向かう。
  _
( ゚∀゚)「……」

俺は小森に避けられた。
俺も小森を避け続けた。
この年になればそういうやつが、ぽつりぽつり出てくる。
小森とも交友関係が疎遠になっていただけだった。

疎遠になった理由なんて普通はないだろう。
新しい関係ができたから、昔の関係を維持できなくなってくるだけなのだから。

なら俺らの関係は普通じゃない。
昔は小森と小森妹と3人でよく遊んでいた。
そしてとある事故で小森妹は亡くなって、あいつも引きこもるようになった。

それでも俺はあいつに会いにいった。
で、あいつに『もうこないで』って言われたんだっけ。
だから俺はあいつに会わないようにした。
しばらく会わないほうがあいつのためだと思ったから……。

  _
(  ∀ )「……」

なんつー大馬鹿者なんだ俺は。
シュールに言われたとおり俺は最低だよ。


220 名前:( ゚∀゚) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 06:45:28.51 ID:jnCKQ+be0

  _
( ゚∀゚)「……ハァ」

明かりがついた、家の1つの前で立ち止まる。
表記には『小森』と書かれている。
深夜といえる時間帯だが、かまわずインターホンを押す。

…………。

  _
(# ゚∀゚)「おい」

小森は寝てるのか?
さっきまで公園でシュールと話してたんだから、答えはノーだ。
思いっきりドアを叩く。
ついでに大声で小森の名前を呼んでやった。
これで出てこなかったらそいつは勇者だ。

やがて、ドアの先に気配が現れる。
気配は鍵をあけ、ドアを開いた。

(;-_-)「……どうした、の?」
  _
( ゚∀゚)「急用だ。邪魔するぜ」

(;-_-)「あ、ちょっと」

返事を待たずに中へ入る。
勝手知ったるなんとやらだ。


222 名前:( ゚∀゚) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 06:50:32.46 ID:jnCKQ+be0

  _
( ゚∀゚)「お前の家に入ったのも久しぶりだなー」

(;-_-)「……そうだね。
      それでどうしたの?
      こんな時間に訪ねてくるなんて」

まあ、そうだよな。
こいつが不信がるのも当たり前だ。
用件をいう。
  _
( ゚∀゚)「ヒッキーって呼ばれてるんだって?
     俺もそう呼んでいいか?」

(;-_-)「……っ!!」
  _
(;゚∀゚)「こらこら、逃げんな。
     シュールのことで話があるんだ」

(;-_-)「なん、で?」
  _
( ゚∀゚)「この前、花火やったよな?
     そのときの煙がすごかったんで、野次馬根性まるだしで公園にいったんだ。
     で、そのときお前らをみたから、お前が帰ったあとにシュールと話したんだよ」

(;-_-)「……あの屋外バルサンね」


223 名前:( ゚∀゚) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 06:54:46.83 ID:jnCKQ+be0

  _
( ゚∀゚)「あー……シュールが『憑く』とかいってたが気にすんな。
     あれは比喩だから」

(;-_-)「え?」

昨日の夜のことを詳しく説明した。

人の心にどれだけ入れるか、ということ。
それを『憑く』と表現したこと。
そういう事情から引きこもりのこいつに接触したこと。
  _
( ゚∀゚)「シュールについて知ってることはこれくらいだ。
     あいつは幽霊じゃないから安心しろ」

(;-_-)「う、うん」
  _
( ゚∀゚)「正直な、シュールの案はひどいと思ったよ。
     でも、そもそもお前が引きこもってたから起こったことなんだよな。
     原因はお前にもあるし俺にもある。
     だからシュールを許してほしい……まあむかつくだろうけど」

とりあえずシュールを殴った自分を棚に上げておく。
今は俺のことよりヒッキーのことについて話さないといけないんだから。

(-_-)「……」
  _
( ゚∀゚)「もっとお前と話をするべきだったよ。
     そしてお前が引きこもらないようにするべきだったよ。
     だから、その……ごめんな」


225 名前:( ゚∀゚) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 06:59:24.57 ID:jnCKQ+be0

(-_-)「……謝らなくていいよ。
     全部ぼくが悪いんだから」
  _
( ゚∀゚)「それは違う」

(-_-)「どうして?」
  _
( ゚∀゚)「つらいときに支えてやるのが友達だからな。
     今まで支えてこなかった俺にも責任がある。
     だから全部自分のせいにするな」

(-_-)「……」
  _
( ゚∀゚)「……俺もお前にとり憑きたいんだ。
     お前の妹だけに独占させてたまるかっつの」

(-_-)「……余計なお世話だよ」
  _
( ゚∀゚)「やーだね。
     俺がそうしたいんだからそうするんだ。
     指図すんな」

(#-_-)「……余計なお世話だっていってるでしょ」
  _
( ゚∀゚)「……指図すんなっつってるだろ」


226 名前:( ゚∀゚) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 07:03:54.24 ID:jnCKQ+be0

(#-_-)「……」

おー、こわいこわい。
努めてポーカーフェイスやっているが内心汗だくだ。
でも俺だってひくわけにはいかないんだ。
  _
( ゚∀゚)「なあ、話は変わるけどよ……シュールといて楽しかったか?」

(;-_-)「……いきなり変えてきたね」
  _
( ゚∀゚)「変化は常に唐突なモンだ。気にすんな」

(-_-)「……シュールみたいなこと言うね」
  _
( ゚∀゚)「……それはいやだな」

(-_-)「うん、まあ、楽しかったと思うよ」
  _
( ゚∀゚)「そかそか」


  _
( ゚∀゚)「でもよ、あいつどこかに消えると思うぜ?」

(;-_-)「え?」


227 名前:( ゚∀゚) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 07:08:30.14 ID:jnCKQ+be0

  _
( ゚∀゚)「前もっていってたんだよ。
     『もし傷つけて拒絶されたらおとなしく去るよ』ってな」

(;-_-)「……」
  _
( ゚∀゚)「シュールとは数回しか話してないからよく分からんが、それでもお前のことを想って行動していた。
     そして俺はシュールに頼まれたんだ。後は任せるってな」

(;-_-)「それ、ほんと?」
  _
( ゚∀゚)「ああ。
     だから……俺は、もうお前を避けねえぞ!
     何度追い返されようが、お前を支え続けるぞ!
     つらいのなら俺もそのつらさを肩代わりできるようにしてやる!!
     いたいのなら俺もそのいたみを味わってやるからな!!!」

(;-_-)「……そう」



( _ )「……ありがとう…………ごめん」
  _
( ゚∀゚)「……」


229 名前:( ゚∀゚) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 07:13:22.93 ID:jnCKQ+be0

これで大まかなところを話し終えた。
グッジョブ、俺。
後は……

  _
( ゚∀゚)「んじゃ、これから何して時間つぶす?」

(;-_-)「……うん。……………………え?」
  _
(* ゚∀゚)「久々に泊まりにきたんだから盛大に騒ごうぜ!!」

(;-_-)「え?え?
     いつの間にそんなことが決まってたの?」
  _
(* ゚∀゚)「今」

(;-_-)「……」
  _
(* ゚∀゚)「いいじゃんいいじゃん。
     せっかく友達が遊びにきたんだからよ。
     お前も楽しもうぜ!!」

(*-_-)「……ハァ。君らしいよ」


文句をいいながらもまんざらではない様子のヒッキー君。
ひとまず、今日の接触は成功だな。
背中を押してくれたシュールに感謝する。
……ほんのちょっぴり、心の中でだけど。


230 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 07:17:41.40 ID:jnCKQ+be0

―――――8月16日


(-_-)「……」

(-_-)「……」

(-_-)「………………………………………zzz」
  _
(* ゚∀゚)「おーい、朝だぞー」

(-_-)「………………………んん」
  _
(* ゚∀゚)「早く起きないとカールひげと額に肉だぞー」

(-_-)「……………zzz…………zzzz」



  _
(* ゚∀゚)「オーケーおーけー、それがお前の答えなんだな?」


231 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 07:23:31.95 ID:jnCKQ+be0

 

……朝起きて、目が覚めて、マサオさんぼんやり鏡みた。


僕の今日は絶叫からはじまった。
僕より早く起きてたジョルジュが、僕の顔にラクガキをしていた。
鏡のなかの異人を前にして、脊髄につららが刺さったような気持ちになった。
そしてラクガキを洗い流そうとして、油性でかかれたことを知り、絶望した。

そんなこんなで2時間後。
時計の針は左上を指していた。

(;-_-)「……ったく」
  _
( ゚∀゚)「お?やっと落ちたか」

(;-_-)「うん。おかげで顔がヒリヒリするよ」
  _
( ゚∀゚)「それは僥倖」


233 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 07:27:46.01 ID:jnCKQ+be0

(#-_-)「……ジョルジュは朝飯抜きね」
  _
(; ゚∀゚)「なん……だと…?」

(-_-)「というわけでそろそろ出ようか」
  _
(; ゚∀゚)「待ってくれ!
     朝飯を食わないと脳がうまく働いてくれないんだぜ!
     そんなんでシュールに会ってもちゃんと話せるわけないだろ!!」

(-_-)「引きこもりをなめンな。
     一日一食を確保できれば問題ないから」
  _
( ;∀;)「ごめんなさい。
      ラクガキしたの謝ります。
      だから朝ごはんください~」

(;-_-)「……やれやれ」

とりあえずジョルジュに菓子パンを投げつけてやった。
彼は大いに喜んでいた。


234 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 07:32:45.41 ID:jnCKQ+be0

  _
( ゚∀゚)「さて、そろそろいくか」

(-_-)「うん」
  _
( ゚∀゚)「あいつの家って公園の近くだっけ?」

(-_-)「うん、そうだと思う」
  _
( ゚∀゚)「……」

ぼくらは外に出てシュールに会いに行く。
前にシュールの家の近くまで送っていった事があったから、大体の場所だけ把握している。
その場所周辺で『砂尾』という家を見つければいい。
珍しい苗字だからすぐ見つかると思う。
見つかったら……とりあえず怖がってごめん、と謝っておこうか。
  _
( ゚∀゚)「……あのよ」

(-_-)「ん、なに?」


235 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 07:37:06.38 ID:jnCKQ+be0

  _
( ゚∀゚)「シュールって何者なんだ?」

(-_-)「……ぼくらが出会ったのは最近だから、詳しいことは知らない。
     知っているのはクラスメイトだってことだけだね」
  _
( ゚∀゚)「っ。それは」

(-_-)「ん?」
  _
( ゚∀゚)「………………。いや、なんでもねえ」

(-_-)「???」
  _
( ゚∀゚)「……っと。ここがあいつの家か?」

(-_-)「『砂尾』って表記もあるね」
  _
( ゚∀゚)「んじゃ、いってみようぜ!」

(;-_-)「あ、でもシュールの家じゃないかもしれないよ?」
  _
( ゚∀゚)「んなもん家の人に確認とればいいじゃねえか」

まあそうだけど。
ぼくが戸惑っていると、ジョルジュは止める間もなくインターホンを押す。
数秒後、家からくぐもった返事がきた。

果たして玄関から1人の女の子が出てきた。


237 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 07:41:30.91 ID:jnCKQ+be0

ノパ⊿゚)「どちらさまで……あ」


  _
(* ゚∀゚)「お、お前は!!
     暑苦しいがそこが可愛らしい!
     熱血漢じゃなく熱血少女!!
     夕日に向かって吼える姿が甘酸っぱい!!
     情熱に燃える我らがクラスのアイドル、砂尾 瞳 ことヒートじゃないかっっ!!!」

ノパ⊿゚)「そういうお前は!!
     顔はまず良し、だめ性格!
     心の中はピンク色!!
     おっぱいこそがわが人生!!
     我らがクラスの女子の敵、長岡 丈治 ことジョルジュじゃないかっっ!!!」

(;-_-)「……」



  _
(  ∀ )「しにたい」

ノハ;゚⊿゚)「すまんすまん、調子に乗りすぎたよ。
     で、何の用なの?」


238 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 07:45:41.33 ID:jnCKQ+be0

  _
( ゚∀゚)「ヒッキーがお前に話があるんだってよ」

ノパ⊿゚)「ヒッキー?……っと小森じゃん、久しぶり!!」

(;-_-)「う、うん、久しぶり」

ノパ⊿゚)「……あー、それでヒッキーって呼ばれてるのか。
     で、何の用なの?」

(;-_-)「いや、ヒートに用があるわけじゃないんだけど。
     砂尾 示由流って知らない?」

はじめのジョルジュとヒートのハイテンションに若干引き気味だったけど、何とか用件を伝えることができた。
でも、おそらくこの家にはシュールはいないだろうと思う。
双子でもないかぎり、同年齢の子供が一緒に住むことはないのだから。

しかしぼくの思惑とは裏腹に、ヒートは首をかしげて聞いてきた。


242 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 08:10:01.04 ID:jnCKQ+be0

ノパ⊿゚)「……シュールのこと知ってるの?」
  _
( ゚∀゚)「ヒッキーがここ数日、お世話になったから礼をいいたいんだってさ」

ノパ⊿゚)「お世話?」

(-_-)「……君のほうはシュールを知ってるの?」

ノパ⊿゚)「知ってるもなにも。
     シュールは私のいとこだよ」
  _
( ゚∀゚)「ほう?さっそくそいつに会わせてくれないか?」

ノパ⊿゚)「その前に私からも聞きたい。
     シュールにお世話になったって……どういうこと?」

とりあえずここ数日間のお茶会の内容を話した。
その話をしていると、ヒートの表情がだんだん険しくなっていった。
そして全てを話し終えるとヒートは一言。

ノパ⊿゚)「とりあえず2人とも中に入って」

ぼくらはヒートの言葉に従った。


243 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 08:14:43.04 ID:jnCKQ+be0


ノパ⊿゚)「ほい、麦茶。
     くつろいでいってくれ」

(-_-)「ありがとう」
  _
( ゚∀゚)「麦茶うめー」

ノパ⊿゚)「で、ヒッキーに聞きたいんだけど。
     君が会った女の子は本当に示由流と名乗ったの?」

(-_-)「うん、そうだけど?」

ノパ⊿゚)「……ふーん」
  _
( ゚∀゚)「なあ、いいかげんシュールに会わせてくれよ」


ノパ⊿゚)「それは無理」


(;-_-)「……え?」
  _
( ゚∀゚)「……説明してくれねえか?」

ノパ⊿゚)「だってシュールは他県に住んでるもの。
     会わせようたってできないよ」

ぼくらは耳を疑った。


245 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 08:19:04.25 ID:jnCKQ+be0

ノパ⊿゚)「本当ならシュールは今年もお盆に、遊びに来るはずだったの。
     でも、今回はこっちに来なかったんだよ。
     だから他県にいるシュールに合わせることが出来ないの」
  _
(; ゚∀゚)「ちょっとまて、それはおかしい。
     だとしたら俺らはシュールに出会うこともないじゃないか……」

ノパ⊿゚)「うん、私もおかしいと思う。
     だからよく分からないんだよ。
     ……ちょっと待ってて」

そういうとヒートは電話の子機を握り、ボタンを押す。
とある番号にかけて、子機を耳にあて数秒……。

ノパ⊿゚)「もしもし……空さんですか?ご無沙汰してます!
     示由流いますか?」

それからヒートは電話と話をする。
その間、ぼくたちはヒートからの情報について話し合っていた。
まあ電話してる人がいるので小声でだけど。


246 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 08:23:42.99 ID:jnCKQ+be0

  _
( ゚∀゚)(……シュールは別の学校に通ってて、おれらのクラスメイトじゃないってことは確定したな)

(;-_-)(それは分かったけど……じゃあぼくらが会ったシュールは誰だったの?)
  _
(; ゚∀゚)(……それは分からん。そもそもなんでシュールの名前を語るのかも分からん)

(;-_-)(うーん?)







ノパ⊿゚)「うん……うん………分かった。んじゃ待ってるね!」


247 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 08:28:00.45 ID:jnCKQ+be0

ヒートの電話が終わった。
それにあわせてぼくらは姿勢を正す。
そんなぼくらにヒートは、楽にしていいよ、といった。

ノパ⊿゚)「シュールに聞いたんだけど、やっぱり今年はこっちに来てないってさ。
     そもそも引越しの準備でそんな暇ないって少し怒ってたよ。
     早くこっちに来たいって愚痴もいってたね」

(;-_-)「??早くこっちに来たい?」

ノパ⊿゚)「……ああ、夏休み明けにこっちに転校してくるんだよ。
     その準備で今年のお盆は忙しくて来れなかったんだよ。
     ちなみに君たちのこともさりげなく探っておいたよ。
     シュールは会ったことないっていってた」

(;-_-)「……」
  _
(; ゚∀゚)「……」

ノパ⊿゚)「……君ら、誰に会ったんだよ?」

その疑問にぼくらは答えられなかった。
そんなのこっちが知りたいよ。


249 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 08:32:17.64 ID:jnCKQ+be0

結局、あの後ヒートと別れた。
ヒートいわく、狐にでも化かされたんじゃないのか、と。
なのでぼくらはそれを確かめるため、例の公園でシュールを待つ。
……シュールが来るかどうかなんて分からないけど。


で、今の時刻は午後7時。
空には仄かに太陽の光が残っている。

(-_-)「……」
  _
( ゚∀゚)「……」

(-_-)「……」
  _
( ゚∀゚)「……」

(-_-)「……」
  _
( ゚∀゚)「あいつ、来るかな?」

(-_-)「さあ?」


250 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 08:36:45.49 ID:jnCKQ+be0

  _
( ゚∀゚)「何時ごろまで待ってみる?」

(-_-)「日付が変わるまで」
  _
(; ゚∀゚)「うわあ……すごい根性だな」

(-_-)「……慣れてるから。
     別に帰ってもいいよ。
     シュールは来ないかもしれないんだし」
  _
( ゚∀゚)「……帰らねえよ。
     俺だってあいつの正体を知りたいんだからよ」

(-_-)「そう」
  _
( ゚∀゚)「……」

(-_-)「……」

会話が途切れる。
向こう側で破裂音が聞こえた。
その方向に目を向けると、薄く煙が上がっていた。

……花火か。
そういえばシュールとやったなあ。
今年は絶対にやらないと思ってたのに。
まあ、あれは楽しかったな。


251 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 08:41:04.77 ID:jnCKQ+be0

何が楽しかったかって、あの花火の仕方がだ。
爆竹を人に向けて投げてくるし。
まとめて火をつけるのを当然と思っていたし。
束になった線香花火の火を最後まで落とさなかったし。

(-_-)「……あの線香花火の仕方、聞いておけばよかったよ」


独り言をつぶやく。
ジョルジュはなにも答えない。
そして、



      「聞いただけでできるほど易しくないよ、あれは」



待っていた人の声がきこえた。


253 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 08:45:24.04 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「はろー」
  _
(; ゚∀゚)「……」

(;-_-)「……」

ぼくたちは声が出なかった。
ヒートと話したことでシュールがシュールじゃないと思ってしまったからかもしれない。
そんなぼくらにシュールは再び声をかけてきた。

lw´‐ _‐ノv「……人の挨拶を無視するとな?」

あ、怒った。
表情は変わらないけど言葉に怒気が含まれているのを感じる。
その人間っぽさのおかげでぼくは冷静になることができた。
改めてシュールをみる。
その格好にお化けらしいところが見当たらない。
手には白いビニール袋を持っている。

……おっと、そういえばぼーっとしてて挨拶がまだだったよ。

(;-_-)「あ、ごめん。こんばんわ」

lw´‐ャ‐ノv「そうそう、挨拶は大切だよ。
       ところでさ、ジョルジュと一緒にいるところをみると……ふーん、へえ?」


256 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 08:50:04.42 ID:jnCKQ+be0

(;-_-)「あー……なんか昨日、くさい台詞を吐いてきたから。
     まあそんなこんなで今、一緒にいるの」

lw´‐ャ‐ノv「ほうほう、頑張ったねジョルジュも」
  _
(* ゚∀゚)「うるせえよ」

lw´‐ャ‐ノv「むっふっふ~。照れるな照れるな」

(-_-)「……」


(-_-)「それで君は誰なの?」

  _
( ゚∀゚)「ヒートから聞いたぞ。
     今年のお盆は引越しの準備でここに来れないってな。
     ならここにいるお前は何者なんだ?」

(-_-)「……」

lw´‐ _‐ノv「……」


261 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 09:15:11.37 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「そう……ヒートに会ったんだ」


それだけいうとシュールはビニール袋を地面に置く。
中に入っているのは……薪だ。
シュールはしゃがみ、積み木よろしく薪を組み立てる。
そして薪を弄りながらゆっくりと口を開く。


lw´‐ _‐ノv「私の家はね、父さん、母さん、姉ちんの4人家族なんだ」


lw´‐ _‐ノv「父さんも母さんも忙しくってね。
       だから自分たちの教育がしっかりしているかは、学校の成績でしか判断できなかったんだよ」

lw´‐ _‐ノv「姉ちんはしっかりした人でね。
       頭がよくて、成績優秀だからどんなことでもそつなくこなしてた。
       ありゃ、天才だね」


lw´‐ _‐ノv「だから私は親にいわれ続けてたんだ。
       もっと勉強しなさいってね。
       優秀な姉ちんと比べられてたんだね」

lw´‐ _‐ノv「一生懸命勉強したよ。
       寝る間も惜しんで努力したよ。
       自慢じゃないけど成績は常に学年で10位以内だったよ。
       ……それでも、もっと努力しろ、どうしてこんな成績なんだっていわれたよ」


262 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 09:19:30.51 ID:jnCKQ+be0

トントンと薪が積み上げられていく。
ぼくらは黙ってその話を聞いていた。
……なんとも厳しい家庭だな、と思う。

lw´‐ _‐ノv「そのうち私はノイローゼになってね。
       そこまでいってやっと親も気づいたんだね。
       私は姉ちんみたいな天才じゃないってね」

lw´‐ _‐ノv「だから療養もかねて私に違う生活をさせようってことになったんだよ。
       具体的には親元を離れてさせて、違う学校に通わせようってこと。
       いとこのヒートのところで一緒に生活させれば大丈夫だろうってね」

lw´‐ャ‐ノv「ちなみに発案者は姉ちん。
       親の反対を押し切って私を転校させることにしたわけだよ。
       姉ちん流石だよ。惚れ直したよ」

lw´‐ _‐ノv「そうして学校の友達に別れを告げた。
       悲しくはあったけど、それ以上にこの地での生活に期待してたから特に問題なかった。
       まあ、引越しの準備でお盆に来れなくなったのが残念だけどね」



lw´‐ _‐ノv「で、気づいたらなぜかここにいた、ってわけ」


  _
(; ゚∀゚)「ちょ、それ説明にもなってないだろうが!!」

ジョルジュはツッコんだけど、ぼくもそう思う。
なんでいつの間にかここにいることになってるんだよ?


264 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 09:24:04.00 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「あわてないあわてない。
       人の話は最後まで聞くものだよ」

薪を組み終わった。
そうしてシュールは立ち上がり、ぼくらに向いた。


lw´‐ _‐ノv「正直いうとね……お盆の時期が一番心が休まる時期だったんだよ。
       だってこんな家庭なわけだから。
       なのに今年はここに来れないときたもんだ」

lw´‐ _‐ノv「おそらく……それが今、私がここにいる理由なんだろうね」
  _
(; ゚∀゚)「……さっぱり分からん」

(;-_-)「どういうこと?」

lw´‐ _‐ノv「私のその想いがもう1人の私を作ったんだよ。
       つまりね……」



lw´‐ _‐ノv「生霊だっていえば……理解してくれる?」




265 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 09:28:59.84 ID:jnCKQ+be0

生ぬるい風が吹く。
遠くからきこえた花火の音も今はきこえない。
空に残っていた太陽の光もすでに消え去っていた。

(;-_-)「いき……りょう……?」

声が震える。
正直いって怖い。
だって昨日、『憑く』っていわれた身だ。
怖くないわけがない。

  _
(; ゚∀゚)「……なんでヒッキーの前に現れたんだよ」

lw´‐ _‐ノv「……」
  _
(; ゚∀゚)「おい!!」



lw´‐ _‐ノv「どうしてだろうね?」

  _
(; ゚∀゚)「はあ?」
(;-_-)「へ?」


266 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 09:33:33.28 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「……正直さ、どうしてヒッキーと接触したのか私にも分からないんだ」

シュールはポツリと腹のうちを語る。

lw´‐ _‐ノv「親との関係が最悪だったから……1人のつらさを体験したことがあるから同情したのかもしれない。
       私は人付き合いがヘタだから、ヒッキーと傷を舐めあう間柄になりたかったかもしれない。
       引きこもりを調べるためのいいサンプルと思ったのかもしれないし、もしかしたら恋仲になりたかったかもしれない。
       ………本当にとり憑きたかったのかもしれない」

lw´‐ _‐ノv「ただ、ヒッキーを1人にしておくことができなかった。
       放っておけなかったからヒッキーに会おうとおもったんだ」

(;-_-)「……」

lw´‐ _‐ノv「……ねえヒッキー。
       私は君に問題を出してたよね。
       『人とのつながりとは』、『愛とは』、『自分とは』……君なりに答えを見つけることができたかな?」

(;-_-)「……一応」

lw´‐ _‐ノv「きかせて」

少しばかり思考する。
そうして口を開く。


268 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 09:37:54.01 ID:jnCKQ+be0

(;-_-)「人のつながりとは……ジョルジュとシュールのように……知らず知らずのうちに皆どこかでつながってると思う。
      ただ、それに気づけるかどうかは本人にしか分からない。
      そしてそのつながりの良し悪しは……神に丸投げしようとおもう」

lw´‐ャ‐ノv「はは」


(*-_-)「愛とは……他者を想えばそれは愛なんじゃないの?
     詳しく説明するとサブイボ立つから……これで勘弁して」

lw´*‐ _‐ノv「ほうほう」


(-_-)「自分とは……一番近くて一番分かりにくいものだとおもう。
     妹が亡くなる前は引きこもる自分を想像できなかった。
     ジョルジュを遠ざけた自分が理解できなかった。
     そして……ちょっとしたきっかけで太陽の下で歩き回った自分が信じられないよ」

lw´‐ _‐ノv「ん?kwsk」
  _
( ゚∀゚)「昨日お前と変な別れ方したろ?
     だから謝りたくってお前のことを探し回ったんだよ。
     昼前くらいからだぜ?すげーよな」

lw´*‐ャ‐ノv「ほう?それは嬉しいね」

(*-_-)「……」


269 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 09:42:50.95 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「さて、ちょっと長話しようか」

lw´‐ _‐ノv「……私は生霊で今日中に消えるでしょうな。
       お盆にヒートのところに行きたい、という念が私を作ったんだからね。
       だけど消えないほうの私は消える私を知らないでしょう。
       私が過ごした記憶もあっちの私に受け継がれることもないしね」

(;-_-)「え?消えるって……」

lw´‐ _‐ノv「きけ」

シュールの一言でぼくは黙ってしまった。
それほどまで話したい内容なのか?
ぼくらは無言でシュールの話を聞いた。


lw´‐ _‐ノv「……私はね、君らと普通に会いたかったよ。
       君らと普通に駄弁って、衝突しあって、笑いあって。
       それでまた明日もその繰り返して……そんな未来を見てみたいよ」


lw´‐ャ‐ノv「でもね、神様は許してくれないみたいだよ。
       むしろお前がこの地にいる奇跡を感謝しろ、っていってるのかねえ?ふふふ」


lw´‐ _‐ノv「それでも、本物の私はここにいない。
       幽霊の私は今年のお盆限定でこの地にいることができて……そして消えるの。
       神様の都合で勝手に産み落とされて殺される。消えたくないのにね。
       やんなっちゃうね」


271 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 09:47:11.53 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「できれば私の記憶をあっちのシュールにあげたいよ。
       それなら私はまだ消えない。
       どっちも同じシュールなんだからね」


lw´‐ _‐ノv「でも無理みたい。
       私は本物をモデルにして作られた陽炎みたいなものだからね。
       本物のシュールにはなんら影響を与えられない。
       だからヒッキーと駄弁った夜の記憶はこの身同様、ここで消える」


lw´‐ャ‐ノv「なら私はなんのためにここにいたのだろう?
       なんのためにヒッキーに接触したのだろう?
       霊だから『人とのつながり』も『愛』も全て幻でさ……『自分』すら持ってない有様だよ」


lw´‐ _‐ノv「だから私は試したわけだ……ヒッキーに憑けるかどうかをな。
       私が愛をもって接してみれば、なにかしら結果がでるかも、と思ってね」

(;-_-)「……」


272 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 09:51:40.72 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「さて、質問だ。
       私は何か残せたかい?」

(;-_-)「……残せてるよ。
      君が話してくれたから、ぼくはここにいるんだ」

lw´*‐ャ‐ノv「そう……ありがとう」

(;-_-)「どうにもならないの?」

lw´‐ _‐ノv「どうにもならないね」

(;-_-)「……」

lw´‐ャ‐ノv「なに、そう悲観することないよ。
       人間は皆、生まれたときから死んでいるんだ。
       違いがあるとすれば、その死が早いか遅いかだけで……私の場合、ちょっぴり早かっただけなんだから」

(;-_-)「……そう」



274 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 09:56:44.11 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「さて、そろそろ……」

シュールはそういってポケットからマッチを取り出す。
そして火をつけて組み上げた薪の中に投げる。
火は煙を上げながらどんどん大きくなっていった。
  _
(; ゚∀゚)「げほっごほっ……って、煙すごすぎだろ」

lw´‐ _‐ノv「そりゃあ、この薪全部松の木だから煙……というより煤がすごいだろうね」
  _
(; ゚∀゚)「松の木はあくまで火種用だろ……常考」

(;-_-)「てか、何してんのさ?」

lw´‐ _‐ノv「……送り火だよ。
       本来はご先祖様を送るための火だけどさ」


275 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 10:01:32.34 ID:jnCKQ+be0

なるほど。
これで自分を送るわけか。
てか本当に煙すごいなあ。
まるであのときのよう……ってちょっと待った!

(;-_-)「この人絶対煙玉入れたよ!!
     黄色い煙なんて立つはずないもん普通!!」

lw´*‐ _‐ノv「あ、ばれちった」

シュールは肯定してビニール袋から大量の煙玉をとりだした。
そして、まとめていくよー、といって送り火の中に追加していった。
  _
(; ∀ )「ちょwwwおまwwwww」

悲鳴をあげるジョルジュの顔もよく見えない。




lw´ _ ノv「仕方ないでしょ。
       別れるのは悲しいもの。
       泣き顔を見られたくないもの」


277 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 10:05:59.47 ID:jnCKQ+be0

(;-_-)「え?」

シュールの声がきこえる。
顔はよく見えない。

lw´ _ ノv「ジョルジュ。
       正直いって君は苦手だ。
       とはいえ君と話すのはなかなか楽しかった……わけではないなあ。
       とりあえずヒッキーを支えてやってくれ」
  _
(; ∀ )「すげえ複雑な心境だが……分かった、頑張る」

lw´ _ ノv「そしてヒッキー。
       世の中は楽しいことばかりじゃない……辛いこともある。
       だから時には受け流せ」

(;-_-)「……シュール」

lw´ _ ノv「この別れがつらいのなら受け流してくれてもいい。
       君にとってとるに足らないものなら忘れてくれてもいいから」

(;-_-)「……そんなのできないよ」

lw´ _ ノv「その理由は?」

( _ )「君といて……楽しかったから」

lw´ ャ ノv「そか」


278 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 10:10:51.58 ID:jnCKQ+be0

      「それでも……私との思い出に負い目を感じたなら捨ててちょうだいな。
       引きずられるのは正直ごめんだから」

( _ )「……っ」

      「私の名前の由来はね、『自分で考え、それを行動に移すべきかどうかを判断できる聡い子になれ』って意味らしい。
       理由の“由”をはさむように“流す”“示す”という字を当ててそれを表しているんだとさ」

( _ )「……」

      「自分の殻に閉じこもるのは勝手だけどね……現状がつらいなら行動に移すべきだよ。
       じゃないと妹さんもうかばれないしね。
       せめて妹さんがあっちの世界で自慢できるような兄になってみなよ」

( _ )「……ぼくはどうすればいいのさ?」

      「そこはじぶんで考えなよ。
       ともあれ頑張ってね」

( _ )「うん、うん……頑張ってみるよ」


      「んじゃ、またね」



      「そうそう。火消し、よろしくね」




280 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 10:15:18.65 ID:jnCKQ+be0

 













………………………煙が晴れたときにはすでにシュールの姿はなかった。


282 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 10:19:54.30 ID:jnCKQ+be0

―――――9月1日


(-_-)「……というわけ」
  _
( ゚∀゚)「さすがの俺もびっくり体験だったぜ」

ノパ⊿゚)「へー」
  _
( ゚∀゚)「ヒッキーも学校にくるようになって万々歳だ」

(;-_-)「う」

ノパ⊿゚)「そりゃすげーよ。
     シュールに教えたらびっくりするかもなー」
  _
( ゚∀゚)「あ、そういやシュールって今お前の家にいるんだよな?」

ノパ⊿゚)「うん、そうだよ」
  _
( ゚∀゚)「会わせろ」

ノパ⊿゚)「断る」
  _
(# ゚∀゚)「なんでだよっ!?」

ノパ⊿゚)9m「お前が危険人物だからに決まってるだろおおおおおおお!!」
  _
(  ∀ )「うわあ、しにてえ」


283 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 10:24:42.28 ID:jnCKQ+be0

今日から学校だ。
といっても今日は始業式だけなので昼前に終わった。
今は放課後で、ヒートにこの前のことを話してたところだ。
ちなみに今日は転校生がやってくることはなかった。

ノパ⊿゚)「どうせここに転校してくるんだから近いうちに会えるでしょうが!」
  _
( ゚∀゚)「でもいきなり馴れ馴れしく接したら引くだろ、実際」

ノパ⊿゚)「安心しろ。
     お前はクラスの女子みんなが引いてるから。
     馴れ馴れしくしなくてもシュールはちゃんと引いてくれるから!!」
  _
(  ∀ )「ははは、ほろにげえ」

ノパ⊿゚)「せめて普段の行いを正せばもっとモテるのになあ」
  _
( ゚∀゚)「え?マジ?それマジ?」

ノパ⊿゚)「…………調子に乗りそうだから黙秘権を使わせてもらいます」
  _
(# ゚∀゚)「いえよ!!」

(;-_-)「……」


285 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 10:29:07.27 ID:jnCKQ+be0

シュールの件を話し終えたら、別の件でヒートアップする2人。
とりあえずしばらく傍観者でいさせてもらいますね。

ノパ⊿゚)「あ、そうそう。
     ヒッキーはシュールに会いたい?」

(;-_-)「え、あ……うん。会いたいよ」

急に話を振られてビビるぼく。
あれ?俺との対応と違うくね?……と驚いてるジョルジュ。
ジョルジュを無視して話し始めるヒート。

ノパ⊿゚)「ヒッキーになら会わせてもいいよ。
     多分あの公園にいるだろうから」
  _
(* ゚∀゚)「よっしゃあ、いくかヒッキー!!」

(*-_-)「う、うん!」

ノパ⊿゚)「これこれ、そこのゲジ眉。
     君は私といっしょに帰ろうか」
  _
( ゚∀゚)「え?なんで?」

ノハ#゚⊿゚)「た、い、せ、つ、なシュールを汚されないようにするためだ!!」
  _
(; ゚∀゚)「何気に俺って有害物質扱い?!」


286 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 10:33:43.35 ID:jnCKQ+be0

ノパ⊿゚)「あ、その表現もらい。
     これからは有害物質名乗ってね」
  _
(* ゚∀゚)「あ、でもこれってデートじゃね?」

ノパ⊿゚)「……うわあ、しにてえ」
  _
(# ゚∀゚)「台詞パクんな!!」

そうしてジョルジュはヒートに引きずられていく。
ジョルジュは何だかんだで嬉しそうだ。
ヒートは何故か一生懸命ジョルジュの相手をしている。
やがて2人の姿が見えなくなったところで、

(-_-)「……帰るか」



289 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 10:38:11.90 ID:jnCKQ+be0

学校の外にでて、歩きながら考える。
この夏の不思議体験についてだ。

煙が晴れるとシュールの姿はすでになかった。
彼女はなにを思ってぼくの前に姿を現したのだろう?
なにを思ってぼくに付き合ってくれたのだろう?
そして、なにを思って消えていったのだろう?

シュールは消える前にある程度、心の内を吐露した。
が、それだけで彼女の心を理解してるとは正直いえない。
そもそも人の心なんて他人には理解できないものなのだから。

もし理解できるのなら、そいつの頭の中は相手と同じ構造をしていることになる。
ぼくと話したシュールと未だ話したことのないシュールのように。
ならば片方は陽炎のように消える運命なのだろう。

(;-_-)「……ん」

……ここまで考えて気づく。
ぼくはまだ顔を見たことのないシュールを恐れていることを。

正確には、ぼくが会ったシュールと未だ会ってないシュールが違っていたら……と不安に思っているのだ。
だから2人のシュールが同じ人物であることを望んでいる。
実際どうなのだろう?

シュールに会いたい。
シュールが怖い。

その2つの葦が相反しながらも、何かに引きずられるように公園に向かう。


291 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 10:43:49.31 ID:jnCKQ+be0

故に、ぼくは公園に辿りつく。
そして、いつも座っていたあのベンチで足を止める。

ぼくはそのベンチに向かって声をかける。


(;-_-)「具が入ってないおにぎりって美味しいの?」

lw´‐ _‐ノv「……日本人たるもの、白米をおかずに白米を食えずにどうするの?」

(;-_-)「どうするったって、ねえ?」

そんなこと聞かれても困る。
そういえば、以前もこんなやりとりがあったなあ。
お盆のころを懐かしく思いながら、ぼくもベンチに腰掛ける。

(-_-)「そんなんで物足りないと思わないの?」

lw´‐ _‐ノv「大丈夫、外れもいっぱい作ったから」

(-_-)「具がレモンやからしのを?」

lw´‐ _‐ノv「……。
       まあそれ以外にもあるけど。
       なんでおにぎりの中身を知ってるの?」

(-_-)「似たようなものを以前食べてしまってね」

lw´‐ _‐ノv「……ふーん」


295 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 11:09:05.92 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「ムグ………あのさ…ムグムグ」

(;-_-)「話は飲み込んでからでいいから」

lw´‐ _‐ノv「はぁーい」

w´‐ 0‐ノv「あーん」

野菜を風呂敷で包み込むように、手のひらにあったおにぎりを一気に平らげる。
そして流れるようにお茶を手に取り、口に含んで米と一緒に嚥下する。

しばらくすると口の中に何もなくなったようで、彼女はぼくに聞いてきた。

lw´‐ _‐ノv「君の名前をおしえてくれない?」

(-_-)「……小森 マサオ。
     友達からヒッキーって呼ばれてる。
     好きなように呼ぶといいよ」

lw´‐ _‐ノv「……」


lw´‐ _‐ノv「私の名前は砂尾 示由流。
       みんなからシュールとかシューとか呼ばれてるから、君もそう呼んでくれると嬉しい」

(-_-)「分かったよ、シュール」

lw´‐ _‐ノv「よろしくね、ヒッキー」


296 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 11:14:28.71 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「いきなり暴露するけどさ。
       今日、私がここにいるのはヒート……砂尾 瞳という子の指示だったりするんだよ。
       ここにいればヒッキーという人物がやってくるから、てね」

(;-_-)「え?」

lw´‐ _‐ノv「お盆のときの話、ヒートからちょこっと聞いたんだよ。
       ……まあ、以前から『1度も顔を会わせたことないクラスメイトがいる』って、私たちの中で話題にはなってたけどね。
       それはともかく、なんでも私の名前を語る人物にあったんだって?
       詳しく教えてくれにゃい?」

(;-_-)「……」

ここにいるシュールはお盆のころの記憶がない。
今、彼女の頭には、ヒートの家に行って話した情報くらいしかないのだろう。
ヒートにだって今日、学校で話したばかりなんだし。

      『私は本物をモデルにして作られた陽炎みたいなものだからね。
       本物のシュールにはなんら影響を与えられない。
       だからヒッキーと駄弁った夜の記憶はこの身同様、ここで消える』

残暑厳しい今日の気温と反比例してぼくの頭が冷えていくのを感じる。
つまりぼくが会ったシュールは幻で、あのときの彼女ははここにいないというわけだ。
ならばぼくらは今日はじめて出会ったことになる。

( _ )「……」

lw´‐ _‐ノv「どうしたの?」

(-_-)「……ううん、なんでもない」


299 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 11:19:19.41 ID:jnCKQ+be0

それからぼくはお盆の件をシュールに聞かせた。
そこでどんなやりとりがあったのか。
そこで何をいわれたのか。
できるかぎり詳しく話した。


lw;‐ _‐ノv「……なるへそ。そりゃあすごい体験だったね」

(-_-)「……うん。
     そのおかげもあってか、今では脱引きこもりしたよ」

lw´‐ _‐ノv「ふむふむ」


lw´‐ _‐ノv「ねえ」

(-_-)「ん?」

lw´‐ _‐ノv「その陽炎の私についてkwsk聞きたいんだけど、いい?」

(-_-)「……いいよ」



302 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 11:23:37.42 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「私はどんなこと話してたの?」

(;-_-)「けっこうワケ分かんないことはなしてたよ。
      『考える葦』とか『宗教的考え』とか『縁』とか……。
      本当に無宗教なのか疑わしく思ったよ」

lw´‐ャ‐ノv「ふふ……それは厄介な奴に目をつけられたね。
       新聞はいらないって言ったほうが良かったんじゃないの?」

(;-_-)「今度現れたらそういっておくよ」

lw´‐ _‐ノv「それとその頭のネジがトんでる奴はどんな格好をしてた?
       あと、ヒッキーと一緒にどんなことして遊んでた?」

(;-_-)「格好は今の君とおんなじだよ。
      遊びは……花火くらいかな?
      常識では考えられないような花火の仕方で驚いたよ」

lw´‐ _‐ノv「ほうほう。例えばどんな?」

(;-_-)「爆竹は人に投げてくる。
      煙玉で屋外バルサンする。
      線香花火は1束まるまる火をつけても火を落とさない。
      ……今でもあのときの体験は夢じゃないかと思うほどだよ」


304 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 11:28:13.62 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ャ‐ノv「それほどすごかったんだ?」

(;-_-)「もうすごいのなんの。
      大体、花火を大量に買いすぎ。
      あと、まとめて火をつけるなんて危なすぎだよ」

lw´‐ _‐ノv「ん?花火ってまとめて火をつけるものじゃないの?」

(;-_-)「だから違うってば。
      近所の小学生を見ればわかるでしょ」

lw´ _ ノv「おお……ジーザス……」

(;-_-)「いやいや、ジーザス……じゃないから。
      危ないから君もやらないほうがいいよ」

lw´‐ _‐ノv「ん、善処します」

(;-_-)「心配だなあ」


lw´‐ _‐ノv「それで……君の知っているシュールがいなくなってさみしい?」


(-_-)「……」

(-_-)「…………ちょっと」

lw´‐ _‐ノv「そか」


305 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 11:33:12.08 ID:jnCKQ+be0






lw´‐ャ‐ノv「でも安心しなよ。
       ヒッキーの知ってるシュールはちゃんとここにいるから」







(;-_-)「え?」



いま、なんて、いったの?



310 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 11:39:40.72 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ _‐ノv「お盆になにが起こったかは君から大まかに教えてもらえた。
       だから私は君の知っているシュールになることができるってことだよ」


lw´‐ _‐ノv「だってそうでしょ?私たちは同じシュールなんだから。
       お盆の記憶をもらうことができたら、私は君の知っているシュールになれる。
       ……正確には記憶じゃなくて記録なんだけどね」


lw´‐ _‐ノv「それでもまったく同一の葦が私たちの中にある。
       その記録だけでもう1人の私がなにを思ったか、手に取るように分かる。
       そら、そこまでいけば2人のシュールに何の違いがある?」

(;-_-)「……あ」

lw´‐ _‐ノv「それでもまだ、もう1人のシュールにはなれないのだろうけどね。
       情報が足りないんだよね。
       君とは今日はじめて会ったから。まだ君のことをよく知らないから。
       ……だからね」


lw´‐ャ‐ノv「これから君のことを知ろうと思うんだ」

(;-_-)「っ!!」


312 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 11:44:22.06 ID:jnCKQ+be0

lw´‐ャ‐ノv「だからよろしくね。
       こんなおかしな私だけど、友達になってくれたら嬉しい」

( _ )「……う、ん。
     こちらこそよろしく」

lw´*‐ _‐ノv「感涙したの?
       私のために泣いてくれるなんて……いやはや感激だなあ」

(;-_-)「いやいや!泣いてないよ!!」

lw´‐ャ‐ノv「むっふっふ~♪」

(;-_-)「……その笑いはなに?」

lw´‐ャ‐ノv「いやいや、なんでもないですよ~。
       むっふっふっふっふ~♪」



314 名前:(-_-) ◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 11:46:55.40 ID:jnCKQ+be0




残暑厳しい今日

空は快晴

太陽は大地を照らし

風はなく空気は重く暑苦しい

2人はベンチに座って駄弁りあい



―――――遠くで陽炎がゆらゆらとぼくらを見ていた。


                             fin


321 名前: ◆QG4PJ7Y4ts :2008/08/28(木) 11:51:27.14 ID:jnCKQ+be0

あとがき、というか

やっと終われました。
ペースは下がるわ妨害されるわでさるさんにはくたばってほしいです
あと、この作品では謙遜しなくとも謝らなければならないことが多々あります
夜通し支援してくれた方は、もし休める状況ならば、どうか休んでください
お願いします

長々とすみませんでした


[ 2008/08/31 00:54 ] 夏祭りまとめ | TB(-) | CM(0)

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