ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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('A`)が地図の無い旅をするようです 1

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:07:11.05 ID:P55CwnjP0


<一旅目  傘屋と枯れる街>

(;'A`)「街はまだですかい」

何度目になるかわからない独り言を繰り返す。
前の町を出たのは日の出前、只今太陽は俺の真上。

(;'A`)「もう砂漠は飽きました。そろそろ砂利道を歩きたいです」

すでに半日近くも砂漠を歩いている。
歩き始めてから一度も生き物を見ていない。

(;'A`)「方向……間違った?」

動物すらも避ける道?勘弁してくれ。
少し不安になる。泣いちゃいそう。
でも水分がもったいないから泣くのを堪える。


(;'A`)「それにしても、この日差しの強さ……」

引きずってしまいそうなほど長い服。布と言った方が良いかもしれない。
ソレを肌に、直射日光があたらぬよう身に纏う。
これが無かったら今ごろ歩いてはいられないはずだ。





8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:08:29.56 ID:P55CwnjP0


■  ■  ■

明日町を出るか。
そう考えた俺は商店街に足を運んだ。

色んな地域から集まってきた商人や旅人、
現地の住民などで大変にぎわっていた。

ここから行ける街はどのような所かを知りたかった俺は、
他の街から来て店を出している商人を探していた。

('A`)「おっ」

小太りの男が開く露店が目に入る。
あまり見かけないものがいくつかおいてある。
俺はその小太りの男の店に、人ごみを避けながら近づく。

( ^ω^)「いらっしゃいませーですお」

年齢は……おそらく二十代前半だろう。

('A`)「どうも。訊きたいことあるんだけど……良い?」

( ^ω^)「全然かまいませんお」

('A`)「(変った口癖だな…)これ、この町のじゃないよね?」

俺はそう言って商品を手に取る。
何十本かの棒で骨組ができて、そこに何かが張られている。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:08:58.60 ID:P55CwnjP0


( ^ω^)「それは隣街の<枯れる街>で手に入れたものですお」

('A`)「枯れる街?」

( ^ω^)「この街を出て北の方へ進むとありますお」

('A`)「北ってどっち?」

(;^ω^)「ちょwwあなた旅人じゃないんですかお!?」

('A`)「あー。俺コンパスも地図も持ってないんだよね。見つけた道ひたすら歩いてきただけだし」

(;^ω^)「早死にしますお」

('A`)「どうにかなるでしょ」


そんなことより、これいくらなの?
俺は花の蕾が潰れたような形の骨組みを手にとり、
小太りの男にたずねる。

( *^ω^)「それはカッコ良いから売らないんですお」

('A`)「……」




10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:09:32.19 ID:P55CwnjP0


こいつよく商人やってこれたな。
そのことを俺はとても不思議に想った。

('A`)「よく今まで商売続けれたね」

( ^ω^)「あなたに言われたくないおw」

それもそうだな。
俺がそう答えると男は声を出して笑う。
それにつられてこちらも笑みをこぼす。

('A`)「えっと…枯れる街……だっけ?ここからどれくらい?」

ちなみに徒歩ね、と付け足すと、
男はあごに手を当て少し考えてから口を開いた。

( ^ω^)「まっすぐ進めれば…半日かからないとおもいますお」

半日か、意外と近いな、などと考えていると男はまた口を開く。

( ^ω^)「まっすぐ進めたら、の話ですお。あなたはコンパスを持っていないお。
       しかも砂漠の上、下手をすると一日かかってしまうかも……」

砂漠でも何でも進めればいい。そう考えていた。
進めればそのうち何処かしらにはたどり着くだろうから。
時間がかかってしまうのならば早く出ればいいだけじゃないか。
早速出発に向け準備をしよう。



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:10:13.97 ID:P55CwnjP0


('A`)「色々とありがとう。何も買わないですまんかったね」

まあこいつが売らなかったんだけど。
宿にもどって荷物をまとめて早く寝よう。

('A`)「(水と食料も準備しなくちゃな…)」

店に背を向けて歩き出そうとすると、男が焦った様子で声をかけてくる。

(;^ω^)「ちょ、ちょ、ちょっと待つお!!まさかその恰好で!?」

('A`)「そうだけど……?なんか変?」

何が変なのだろうか。
ジーンズにTシャツ、旅をするには身軽で良いとおもうのだが。
森や林ばかりを歩くわけじゃないんだから……

(;^ω^)「砂漠をそんな恰好で歩いたら死んじゃいますお」

(;'A`)「なんで?マジで?」

(;^ω^)「砂漠なめんなお。それに嘘ついてもしょうがないお……」




12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:11:18.21 ID:P55CwnjP0


砂漠なんて、今まで歩いたことはもちろん、見たことも無い。
どんな服装がいいのかなんてわかるわけがない。


これは困った。そんな気持ちが通じたのだろうか、

( ^ω^)「これで良ければあげますお」

そう言って男は自分の荷物から何かを取り出す。
衣類、ただの布のようにも見える。

( ^ω^)「これで肌を隠すと良いお。陽射しは直接あてちゃだめですお」

初めて会う商人にここまで親切にされるなんて思ってもみなかった。
この男のことは、余程のことがない限り忘れないだろう。

(*'∀`)「ありがとう。名前も知らない商人さん」

( *^ω^)「さよならだお。名前も知らない旅人さん。良い旅を」

今度また逢うことがあったらそのときはお互いに自己紹介でもしよう。
そう約束して俺は店を後にした。


――出発は日の出前。


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:12:14.93 ID:P55CwnjP0


■  ■  ■

(;'A`)「あの商人の助言がなかったら…今頃ぶっ倒れてるな……」

あの商人が商品を売らないから歩く羽目になった、
そんなことは一度も思わなかった。
そもそもどうしても欲しい物なら粘ってでも手に入れていただろう。

逆に感謝している。
次の街に行く切っ掛けを与えてくれたし、
こうして彼がくれた物のおかげで歩くことができている。

何より俺は、アレを作った人を見てみたかった。

そのためにこの道のない砂漠をひたすら進む。

しかし目的の街は一向に見えて来ない。

(;'A`)「日も傾いてきたよ……」

そろそろ涙を流そうか、そう思った矢先、何処からか声をかけられた。

右に見える大きな岩、そこの陰から男が顔を出す。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:13:00.42 ID:P55CwnjP0

_
( ゚∀゚)「そこの旅人さん水を持ってないかね?」

(;'A`)「(ビックリした……)ありますよ」
  _
( ゚∀゚)「くれ。死にそうなんだ」

水の入った水筒を渡すと、
この特徴的な眉をした男はあっと言う間に水を飲み干した。
  _
( ゚∀゚)「いやー、助かったよ。死にそうは大げさだったけどW」

そう言っとけばくれると思ったから、笑いながらそんなことを言っていた。

俺はこの男が居た岩場で、一休みすることにした。
男の隣に腰掛け、食料や水、旅の道具を地面に置く。

この男は「ジョルジュ」と言うらしい。
三十歳らしいがもっと若く見える。


そして、今俺が向かっている、<枯れる街>の住民。




18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:13:23.25 ID:P55CwnjP0

  _
( ゚∀゚)「とうちゃーく」

ジョルジュに案内され、無事に<枯れる街>にたどり着いた。

とりあえず、この町に居る間はジョルジュの家に泊めてもらえることになった。
ジョルジュ曰く、「命の恩人だしWWW」だそうだ。

  _
( ゚∀゚)「ここが俺の家ー。しがないお店をやっていまーす」

正直とても驚いた。
俺は並んでいる商品のひとつを手に取る。

('A`)「これ……」
  _
( ゚∀゚)「傘だよ。俺が作った。」

商人が持っていた物と同じだった。

('A`)「どれくらい前かわからないけど…商人がこれを買わなかった?
    小太りで、変な口癖の」
  _
( ゚ω゚)「こんなかんじの奴か?」

この陽気な男が、
水欲しさに下手糞な演技で「死にそう」とまでほざいた眉毛が、

このジョルジュ長岡が、俺が会いたかった人物。



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:14:02.52 ID:P55CwnjP0


荷物を部屋に運び、また外に出る。
  _
( ゚∀゚)「案内してやりてぇんだがな、やることがあるんだ。
     すまんが一人で散策しててくれ」

('A`)「行ってきまーす」

この街は水がまったく無いわけではないようだ。
街を出て少し歩いたところには湖のようなものもあるらしい。
その少しがどれくらいかも分からないのだが。

ジョルジュと出逢った場所、
あの場所からここまで
  _
( ゚∀゚)「すぐそこだけど?」

と言われてついて来たのだが、
四十分もかけてこの街についた。

当分遠出はしたくない。

緑は決して多くはない。
だが皆が生活していける食物などはしっかりとあるようだ。

('A`)「枯れる街……ね」

空を見上げる。
この街の上には、全くと言っていいほど雲が無かった。


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:14:26.22 ID:P55CwnjP0


――この街についてもう一週間が過ぎた。

初めこそ苦労したが、今では住み易いと思えるようになった。

旅人と言うこともあり、
住民たちはこの街のことを色々と教えてくれた。

この街特有の農作物のこと。
ここから行ける街、そこまでの道程。
ここにきた人達のこと。

そして、雨が二ヶ月近く降っていないこと。

その日の夜、俺は次に目指す街を決めた。

ジョルジュにそのことを話すと、
  _
( ゚∀゚)「そうか、寂しくなるが…旅人だもんな。
     長居をさせちゃいけないか」

この男でもやはり寂しいと思うのか。




22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:15:40.25 ID:P55CwnjP0


だがこの街を出る前に、
どうしてもこの男に訊きたいことがあった。

('A`)「あなたは…どうしてこの街で傘を売るんですか?」

ほとんど雨の降らない街、傘の需要なんて全くと言っていいほど無い。

('A`)「傘を売りたいのなら他の街に行けばいいはずです」

どうして、俺がそう訊くとジョルジュは静かに口を開く。
  _
( ゚∀゚)「傘はさ、雨から身を守るだろう?」

続けて言い放つ

「俺はな、雨が大嫌いなんだ。ここは雨がほとんど降らねぇ。最高だろ?」


俺はジョルジュのその言葉に、少し違和感を覚えた。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:16:32.82 ID:P55CwnjP0


ジョルジュはそれ以上口を開かなかった。
これ以上は訊いちゃいけない、そんな気がした。
言いたくないことを言わせるほど、俺は偉くない。

旅人は、「旅人」というだけで、街の人たちから善くされる。
だから旅人は街の人が嫌がることは絶対にしない。

('A`)「俺がこの街にきた理由って、あなたに会うためなんですよ」
 _
(;゚∀゚)「どかっで会ったことあるっけ?俺君のこと知らんかったよ」

俺は前の街でのことを説明する、
それを聞いて彼は少し考えて口を開く。
 _
( ゚∀゚)「なるほどねぇ。こんな奴でがっかりした?w」

('A`)「イメージしてたのとは違いましたけど、
    がっかりする要素なんて見当たりませんでしたね」

彼は、お前はいい奴だww
などと言いながら背中をバシバシと叩いてくる。
笑い終わると彼がこちらに質問をする。

「お前さん、いつここを出ちまうんだ?」


俺は…明後日、ここを出ます。



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:18:16.98 ID:P55CwnjP0


出発の日の朝、俺はもう一度この街を周ることにした。

あまり大きくはない街。

人に逢う度に

「今日出発なんだろ」「また来ておくれよ」などの温かい言葉をかけてもらう。

中には、「旅の途中で食べな」と言って、食料をくれる人もいた。

ひと周りした後、ジョルジュの家にもどる。
荷物を担ぎ、出発に備える。
 _
( ゚∀゚)「短い間だったけど楽しかったぜw」

('A`)「何から何までお世話になってしまって……本当にありがとうございました」

もう行きますね、そう言うとジョルジュは右手をだす。
俺はその手を取り強く握り返す。
 _
( ゚∀゚)「気を付けてな!旅の安全を祈る。」

俺は街の出口に向けて歩き出す。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:20:09.19 ID:P55CwnjP0


彼に会いにきた理由。
それは彼の作った傘がどことなく寂しそうに見えたから、それだけ。

傘、それは雨の日にさすもの。
上から降る水から身を守るもの。

きっと彼は嘘をついている。
彼は雨を嫌ってなんかいない。

本当に雨が嫌いだったら外に出ないだろう。

傘は雨の降る道を歩く道具。

彼の家にはボロボロになった傘があった。

彼の作った傘は、ちょっとやそっとじゃ、ああはならない。

彼は何度も傘をさしたに違いない。

なぜ雨を嫌いと言ったのか。

彼が言いたくないのだったらそれでいい。

言いたくないことを無理して聞くほど馬鹿じゃない。


俺は傘を買わなかった。
旅人は必要以上に荷物を増やしてはいけない。



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:22:56.36 ID:P55CwnjP0


街を出る直前、足下を何かが通った。

俺はそれを目で追う。

('A`)「この街にもいるのか」

飛んでいるのは小型の、尾が二つに割れた黒い鳥。

どこかの街で、あの鳥が低く飛んだら雨が降る、と聞かされた。



旅人は雨を嫌う。

大切な荷物が濡れてしまうから。

旅人は雨が止むまでじっと待つ。

普通の旅人は傘を持たない。理由はそれぞれ。



俺は傘を買いにジョルジュの店にもどる。

傘をさせば雨の中も歩ける。

俺は雨が嫌いじゃない。

どこかの傘職人と同じように。


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/22(火) 23:23:25.83 ID:P55CwnjP0


一旅目・了




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[ 2008/07/29 17:33 ] 短編まとめ | TB(-) | CM(0)

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