ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

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( ^ω^)ブーンは社長のようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 16:58:49.32 ID:YSSae7lO0
 
午後三時。
僕はテレビの音で目を覚ます。

(*゚ー゚)「おはようございます、社長」

( ^ω^)「うむ。おはよう」

秘書から着替えを受け取り、スーツを身に纏う。
さあ、仕事の始まりだ。

( ^ω^)「さて、今日は何をしようかお」




3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:02:29.32 ID:YSSae7lO0

    
ブーン電機株式会社。
電子機具界では名の知れた会社、それが僕の会社だ。

( ^ω^)「おはよう」

('A`)「社長、おはようございます」

(´・ω・`)「おはようございます」

( ^ω^)「ふふん、挨拶はいい。さっさと業務につきたまえ」

全く、うちの社員は挨拶だけは一流ですね。
早いとこ業績の方も一流になってもらいたいものです。

( ^ω^)「今月の業績はどうかお?」

(*゚ー゚)「はい。デジタルカメラのシェアですが、メガロニック・スナオクールの新製品の影響か下降気味です」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:07:16.37 ID:YSSae7lO0

  
( ^ω^)「なんという事だお。うちの開発部門は何やってるんだお?」

(*゚ー゚)「申し訳ありません」

( ^ω^)「もういいお。開発チームは解散させて、もっといい人材をヘッドハンティングしてこいお」

(*゚ー゚)「はい。かしこまりました」

僕は社長室に入り、どっかと椅子にもたれかかった。

( ^ω^)「メガロニック・スナオクールめ……」

メガロニック・スナオクールは、この業界でトップシェアに君臨する大企業だ。
人材も厚く、特に開発チームは優秀で、常に時代の最先端を先取りし新製品を開発している。

( ^ω^)「うちもそろそろ大幅リストラして、人材を入れ替えるべきだお。
       金だけ貪る馬鹿は必要ないお。経費削減だお」

やはり、他とは違う「天才」を集めなければ、メガロニック・スナオクールに勝つのは難しい。
百人の凡人より一人の天才を、優遇すべきなのだ。



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:11:30.63 ID:YSSae7lO0

   
( ^ω^)「よし、決めたお! 大幅リストラするお! 起業改革だお!」

コンコン。

(*゚ー゚)「失礼します。開発チームのドクオが社長にお話がある、との事ですが」

( ^ω^)「なんだお? たった今、そいつらのリストラを決めたとこだお」

その時、秘書のしぃを押しのけて、開発チーム主任のドクオが転がり込んできた。

('A`)「しゃ、社長! 待ってください! 開発チームの解散とは、一体どうして……!」

( ^ω^)「解散だけじゃないお。お前ら全員リストラだお」

('A`)「そんな! もうすぐ新プラズマ技術が完成しそうなのに……」

( ^ω^)「いつまで待っても一向に出来ないじゃないかお。時代はスピードだお。
       お前ら開発費ばっか掛かって結局、メガロニック・スナオクールに負けてるじゃないかお」



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:16:13.25 ID:YSSae7lO0

  
('A`)「お願いします!絶対に完成させて魅力的な新製品を……!」

ドクオは土下座をして、頭を社長室にこすりつける。

( ^ω^)「あーあー、そのフケだらけの頭で絨毯を汚さないでくれお。お前の給料の何か月分すると思ってるんだお?
       それに、頭下げたって投資した開発費は返ってこないんだお。僕の言ってる事、わかる?」

('A`)「申し訳ありません!今年中には必ず実用化を……!」

ドクオは涙目になって声をあげる。

( ^ω^)「あー、めんどくせーお。じゃあ半年だお。半年で成功しなかったら開発チーム全員路頭に迷うと思えお。
       ま、無理だと思うけどせいぜい足掻いてちょんまげだおー」

('A`)「は、はい! 頑張ります!」

ドクオは深々と頭を下げ、社長室を出て行った。



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:21:13.51 ID:YSSae7lO0

   
(*゚ー゚)「いいんですか? 社長」

( ^ω^)「ふん、どうせ何もできっこないお。ドクオは親父の知り合いだったらしいけど、僕には関係ねーお。
       使えない奴は切る……それだけだお」

(*゚ー゚)「ふふ、相変わらず厳しい人ですね」

( ^ω^)「僕は親父のような人情経営者とは違うお。利益にならない所は潰すお。
       コストカットこそ経営の真髄だお」

僕はしぃの胸を揉み解しながら、高らかに笑った。
さっきのドクオの顔を思い出し、あまりに哀れで面白かったからだ。
僕の方がずっと年下なのに、地位は僕の方が上。まったく、ああいう使われる人間にはなりたくないものだな、なんて。

( ^ω^)「おっおっお」

まあ、せいぜい頑張って欲しい物だ。会社の為に。



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:25:39.19 ID:YSSae7lO0



会社の一室。開発チーム一向にはどんよりとした空気が漂っていた。

(´・ω・`)「ドクオ、どうだった?」

('A`)「半年以内に実用化。それが最後のチャンスだそうだ」

(;´・ω・`)「半年だって!?いくらなんでも、そりゃあ……」

副主任であるショボンが思わず立ち上がる。
普段、温厚である彼が額に汗をかいている。それほど、彼らは追い込まれていた。

('A`)「……やるしかないんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「そうよ。gdgd言ってる時間すら、私達には無いのよ」

開発チーム、紅一点であるツンが声を張り上げた。
常に前向きな発言をし、チームをひっぱる彼女は開発チームにとってありがたい存在であった。
彼女の一声で、開発チームの下がっていた士気が再び盛り上がる。

「そうだ、やってやろうぜ!」
「もうあと少しの地点まできてるんだ!いけますよ!」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:34:29.58 ID:YSSae7lO0

   
('A`)「……そうだな。やろう。新製品を開発して、メガロニック・スナオクールに取られたシェアを取り返せば
    社長も、開発チームを存続させてくれるはずだ」

(´・ω・`)「よし、じゃあ早速、研究に取り掛かろう!」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ。これからは急ピッチでの開発になるわ。各々、会社に泊まりこむ事になるでしょうから
     必要な物を準備しておいたほうがいいわよ」

開発チームの挑戦が、始まった。
彼らが開発しているのは、プラズマを利用した新しいデジタルカメラだ。
高画質で、何より省エネが売りとなる製品である。価格戦争が激しい家電業界で、生き残るには他者よりも大幅に有利でなければならない。

('A`)「さて、この行き詰っている設計をどこから組みなおすか……」

(´・ω・`)「一からやってたら間に合わない。それに、この電力を効率よく蓄積するメカニズムはこれで完成してると思うんだ。
      やっぱり、このプラズマがN2地点で漏電する部分を直すしかないよ」



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:40:54.09 ID:YSSae7lO0

 
実験は、昼夜問わずぶっ通しで行われた。
仮説を立て、実験し、失敗を繰り返し、彼らは、仮眠やトイレ以外、ほぼ開発研究に取り組んでいた。

ξ゚⊿゚)ξ「うう……目が痛くなってきたわ。ちょっと目薬さしてくる」

(´・ω・`)「ツン、少し仮眠を取った方がいいよ。もう三日も寝てないだろ?」

ξ#゚⊿゚)ξ「たとえ十分でも今は貴重なのよ!?まだ実用化への問題は山ほどあるし、眠るなんて開発が終わってからいくらでも出来るわ!」

(;´・ω・`)「つ、ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「あ……ご、ごめんなさい」

寝不足と、中々進展しない開発への苛立ちからか、開発チームの雰囲気は張り詰めていた。
ツンは怒鳴った事を後悔するような顔つきで、俯く。




20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:45:49.59 ID:YSSae7lO0

   
そんな二人の気まずい間に、ドクオが入り込む。

('A`)「ほら、お二人さん。そんな気張るなって。ほら、コーヒーだ」

ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう……」

(´・ω・`)「うん、うまい」

('A`)「だろう? 僅かな時間でもリフレッシュは大事だ。常にオンじゃどんな電気製品もぶっ壊れちまう。
    休む時は休む、わかったか? ツン」

ドクオはツンの肩を叩いて、笑った。

ξ゚⊿゚)ξ「ええ。余計な気を使わせてごめんなさい……」

('A`)「気にするな。焦らず急いでやろう」

(´・ω・`)「矛盾してるよ、それ」

笑い声が開発室にあふれた。
ドクオは、いつだってチームの空気を良い方向へと変えてくれる。



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:50:07.82 ID:YSSae7lO0

  
(´・ω・`)「……」

ただ、ショボンはそんなドクオの気配りが心配だった。
ドクオは今日までまともに休めていない。それを察せられないように、笑顔を振りまいているが
その顔は青白く、頬もやせこけていた。

ドクオは開発チームのリーダーであり、メンバーは彼に誘われた者達で結成されている。
責任を感じているのだろう。もし、この開発が失敗したら、チーム全員が路頭に迷うことになる。

(´・ω・`)「ドクオ、無理するな。休んだ方がいいんじゃないか?」

('A`)「うん? いや、主任が休むわけにはいかんだろ、はは」

そう言って、ドクオは立ち去っていった。
足取りは、弱々しかった。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:55:54.04 ID:YSSae7lO0



(;^ω^)「何てことだお!東地区の工場が火事かお!?」

(*゚ー゚)「そのようです」

一方、社長室では悪いニュースが流れていた。
東地区に位置する工場で火災が起こってしまったのだ。

(;^ω^)「ちくしょう……被害総額はいくらぐらいだお!?」

(*゚ー゚)「工場の立地だけで最低でも三十億は」

(;^ω^)「前代未聞の損失だお!ふざけるなお!工場の管理者に責任取らせろお!!」

(*゚ー゚)「管理を任されていたモナー氏は火災の際、死亡したとの知らせが……」

(;^ω^)「あぁ? だったら生命保険でも何でも使って責任取らせろお!遺族でも誰でもいいから!
       ちくしょおおおおお! 何でうちがこんな目に合うんだおぉ~~~!」



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 17:59:59.93 ID:YSSae7lO0

  
(*゚ー゚)「社長、落ち着いてください」

(;^ω^)「ハァハァ、もうあんな工場は取り壊しだお!損失を最低限に抑えろお!」

(*゚ー゚)「従業員の配属はいかがなさいますか?」

(;^ω^)「んなもん知るかお!クビだおクビ! それより、このニュースでうちの信頼がた落ちだお。
       これ以上、取引先が減ったら会社が傾くお!」

ブーンは近くに置いてあった花瓶を壁に叩きつけ、怒鳴り散らす。

(;^ω^)「くそがああ!氏ね!クソどもが足を引っ張りやがって!!
       ふひ、ふひひひひひひ。持ちこたえてやるお。僕は一流の経営者だお。ふひ」




26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:04:18.61 ID:YSSae7lO0



(´・ω・`)「そんな……」

('A`)「東地区工場が……」

開発チームにも、このニュースは伝わっていた。
工場と連携していた彼らにとって、そのニュースはあまりにも衝撃であった。

ξ゚⊿゚)ξ「モナーさんが亡くなったそうよ……」

('A`)「くそ。どうしてこんな事に」

ドクオが壁を叩く。
モナーとドクオは酒を交わした仲であった。同じ機器を造る仲間として、語り合った事もあった。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ……」

('A`)「くそ、くそ……!」

(´・ω・`)「落ち込んでいても仕方ないよ……。今、会社の為に一番すべき事を、僕達社員がやらなくちゃ」

('A`)「ああ。ショボンの言うとおりだ……」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:08:58.27 ID:YSSae7lO0

   
そのニュースから、開発チームの雰囲気はどんよりと暗いものになってしまった。
一向に進展しない開発に、もうダメなんじゃないか、と諦めの声さえ挙がる。

('A`)「もう少しなんだ……もう少し」

(´・ω・`)「ドクオ……」

もはや、交わす言葉はなくなった。
チームのほとんどが瞳から光を失う中、ドクオだけは狂ったように実験を繰り返した。

('A`)「……ん、こ、これは」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの?」

('A`)「これなら漏電しない! この組み合わせが正解だったんだ!」

ξ゚⊿゚)ξ「成功したのね!」

(´・ω・`)「おおお……!」

開発から、四ヶ月余りの月日が流れた頃だった。
成果が、表れた。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:12:25.02 ID:YSSae7lO0

  
('A`)「これならいける! 新製品が完成するぞ!」

「おおお!!」

奇跡だった。
何千万通りとある組み合わせの中から、ドクオが当たりを引き当てた。

これなら、メガロニック・スナオクールに勝てる。

誰もが、確信した。

ξ゚⊿゚)ξ「後は試作品を作って、社長に見せれば……」

(´・ω・`)「一気に商品化だ!!」

すぐさま、開発チームは試作品の開発に取り組んだ。
価格革命を起こすほどの、究極の省エネ技術。それが商品化されれば、間違いなくシェアは独占できる。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:16:48.57 ID:YSSae7lO0

 
(´・ω・`)「凄いじゃないか、ドクオ!さすが主任と言ったところだね!」

('A`)「ありがとう。よし、後は設計を……」

(´・ω・`)「ドクオ?」

ドクオが、その場に力なく倒れこんだ。
突然の出来事だった。まるで、糸を切られた人形のように、倒れこんだのだ。

(;´・ω・`)「た、大変だ!救急車を!」

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ! ちょっと、しっかりしなさいよ!」

ドクオは、すぐさま病院に運ばれた。

体の限界を超えてまで、仕事をした反動だった。診断は、過労及び栄養失調による失神。
ドクオは、入院を余儀なくされた。




41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:20:30.31 ID:YSSae7lO0

 
(;'A`)「あと一ヶ月で仕事が一段落着くんだ。それまで働かせてくれ」

ドクオの申し出は、許可されなかった。
医者によると、いつ死んでもおかしくないような状態だったそうだ。

三ヶ月の絶対安静を、突きつけられた。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ……」

('A`)「皆、すまん……俺が頼りないばかりに」

(´・ω・`)「気にしないで、体をゆっくり休めてよ。開発の指揮は、僕が引き継ぐから」

('A`)「ああ、すまない……」

ドクオは悔しさくて、拳を握った。
最後の頑張り所で、リーダーである自分が戦線離脱してしまったのだ。自分の貧弱な体を、呪った。


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:24:27.15 ID:YSSae7lO0

 
( ^ω^)「やあ。体のほうは大丈夫かお?」

('A`)「社長!」

社長が直々に見舞いにきたのは、ドクオにとって予想外の出来事であった。

( ^ω^)「三ヶ月の入院だってねー。まあ年には勝てないって事だお」

('A`)「申し訳ありません……」

( ^ω^)「それより、開発の事なんだけど」

ドクオは、思わず息をのんだ。

( ^ω^)「いまいちうまくいってないみたいだお。試作品がまーだこないんですけど」

('A`)「そんな。もう開発するにあたって問題は無いはずなのに、どうして」

ドクオは重い体を起こし、声をあげた。
社長は、そんなドクオを見て、言った。

( ^ω^)「お前がいないからだお」



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:30:40.33 ID:YSSae7lO0

  
(;'A`)「……!!」

それは、真実であった。同時にドクオの胸にきつく突き刺さる一言であった。
省エネデジカメの開発を、何よりしっているのはドクオだ。
本来、指揮を取るべきドクオがいないということは、チーム全体にとってかなりの穴になる。

(;'A`)「社長! お願いします! もう少しだけ、期限を」

( ^ω^)「期限は期限だお。時間が掛かれば掛かるほど、無駄なコストが積み重なっていくんだお。
       それに、独自の技術とかのたまってるけど、もたもたしてたら出し抜かれちゃうお?」

(;'A`)「お願いします! あれが完成すれば、必ずメガロニック・スナオクールからシェアを取り返せるはずです!
     皆の努力が、もうすぐ報われようと……」

社長は、静かにため息をついた。

( ^ω^)「努力努力って、ビジネスは結果が全てなんだお。経緯じゃなくて結果をよこせお。
       会社は仲良しクラブじゃねーんだお」

その突き放したような言い方に、ドクオはただ黙る事しか出来なかった。

( ^ω^)「それに、シェアだ何だって、開発者の君に経営がわかるのかお?
       何もわからないくせに、理想ばっか語られてもたまんねーお」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:34:43.21 ID:YSSae7lO0

  
言いたい事をいい終えたのか、社長は席を立った。

(;'A`)「社長、確かに私は無知ですが」

(;'A`)「この半年間の、開発メンバーの努力や熱意は誰よりも知っています」

( ^ω^)「……ふーん。お大事に」

そう言って、病室のドアが閉まる。
一人残されたドクオの胸には、絶望の二文字しか残っていなかった。

(;'A`)「くそっ! 俺のせいだ……」

皆への罪悪感と自分自身の不甲斐なさが、ドクオを襲った。
生まれてこのかた40年、今ほど自分の弱さを呪った事は、無かった。



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:37:57.08 ID:YSSae7lO0



一方、開発チームは苦戦を強いられていた。

(´・ω・`)「ダメだ……!」

試作品は、すでに出来上がっていた。
しかし、それを完成品として仕上げるには、大きすぎる問題が一つ残っていた。

ξ゚⊿゚)ξ「これじゃ、開発コストが高すぎて商品に出来ないわ」

(´・ω・`)「くそっ。せっかくドクオが見つけた組み合わせなのに……!」

漏電を防ぐ仕組みが、開発コストを引き上げていたのだ。
これでは、例え量産しても元が取れない。



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:42:07.94 ID:YSSae7lO0

  
ξ゚⊿゚)ξ「もう期限が近いわ……」

(´・ω・`)「く……」

ショボンは、必死で打開策を考えていた。
コストを劇的に下げる方法がないだろうか? いや、そんな物があれば誰だってやっている。
ならば、また一から考え直すか? しかし、期限はもうすぐそこまできている。

(´・ω・`)「……」

ショボンの頭に、諦めという考えが浮かんできた。
崖っぷちに立たされた開発チームの士気は、もはやゼロに等しかった。

(´・ω・`)「もう……」

ダメか。
そう言おうとしたその時、頭の中にドクオやモナーの言葉が浮かんだ。



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:47:55.20 ID:YSSae7lO0

  
('A`)「開発するのに、無理なんて言葉はないんだよ。そりゃ確立から言えば、数万、いや数億分の一かもしれない。
    だけど、それは決してゼロじゃないんだ。ゼロじゃない限り、答えは必ずそこにあるんだよ。
    俺達が諦めたその瞬間、可能性はゼロになるんだ。俺はそう考えてる」

( ´∀`)「僕達はただ機器を流れ作業で造ってるんじゃない、っていつも従業員に聞かせてるモナ。
      僕達は夢を造ってるんだモナ。一つ一つの製品は、開発者の夢や努力の結晶なんだモナ。
      だから、工場は言わば夢を皆に送り届ける、サンタクロースの住処みたいな所だモナ」

彼らは何故、諦めなかったのか。
それは、夢があったからだ。彼らはいつも、夢を追いかけて、そして実現化してきた。

(´・ω・`)「……諦めちゃだめだ」

だから、彼らの夢を継いだ僕は、最後までやり遂げる義務がある。



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:52:27.79 ID:YSSae7lO0

   
(´・ω・`)「漏電を防ぐ組み合わせから考え直そう。もっとコストが安く済む組み合わせを探す」

ξ;゚⊿゚)ξ「何ですって?」

開発チーム内に、ざわめきがはしった。
それは、期限を考えればあまりに厳しすぎる決断だった。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオでさえ見つけるのに四ヶ月近くかかったのよ!?それを、今から別の組み合わせを見つけるなんて不可能だわ!」

(´・ω・`)「不可能じゃない。やるんだ。もし、この場にドクオがいたら、彼もそう言うさ」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

ショボンは、すでに覚悟を決めていた。

(´・ω・`)「さっそく、僕は組み合わせを探す作業に入る。
      無理強いはしないが、もし僕の考えについてきてくれるなら、協力してくれ」



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 18:55:56.63 ID:YSSae7lO0

 
ξ゚⊿゚)ξ「ふう、馬鹿ね」

ツンはやれやれといった様子で、立ち上がった。

ξ゚⊿゚)ξ「最後まで付き合ってあげるわよ。ドクオの為にも、ここで諦めるわけにはいかないわ」

「俺も協力します!!」
「俺も!!」

(´・ω・`)「皆、ありがとう」

再び、開発チームは動き出した。
期限まで、一月をきっていた。

それでも、彼らは諦めなかった。そして再び、徹夜での作業が始まった。



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:00:45.48 ID:YSSae7lO0

 
彼らの努力に、奇跡は応えた。
ついにコストを抑え、漏電も防ぐ組み合わせが発見されたのだ。

開発チームを、歓喜が包み込んだ。
すぐさま試作品が開発され、最終段階へと進んだ。

(´・ω・`)「ドクオ! 見てくれ、これが試作品だ!」

('A`)「おお……」

ドクオは、そのデジカメを隅から隅まで見つめた。
そして、辛かった半年に想いを馳せる様に、目を閉じた。

('A`)「ありがとう、ショボン。君のおかげで新製品が出来上がった」

(´・ω・`)「何を言ってるんだ。君が主任だろう?君の手柄だよ」



70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:04:58.09 ID:YSSae7lO0

 
('A`)「いや……俺だけじゃ実現しなかったよ。皆のおかげだ」

そう言って、ドクオは感涙を流した。
長い入院生活のせいか、ドクオの体はさらに痩せ細り、髪もだいぶ薄くなっていた。

(´・ω・`)「退院したら酒でも飲もう」

('A`)「ああ。打ち上げは、それまで待っててくれよ」

こうして、新製品はついに商品化へと進む。
誰もが、そう思った。


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:09:16.72 ID:YSSae7lO0

   
ξ;゚⊿゚)ξ「撤退!?」

( ^ω^)「そうだお。だから開発チームは今日限りで解散。
       当面の方針が決まるまで、今後の指示を待てお」

社長は、試作品を見る事もなく、そうつげた。

(;´・ω・`)「待ってください!ついに試作品が完成したんです!」

( ^ω^)「まだやってたのかお?その台詞はもう聞き飽きたお。期限はもう過ぎたお。
       工場も炎上してしまったし、メガロニック・スナオクールには価格戦争では勝てないお。だから撤退するお」

有ろう事か、試作品を社長に見てもらう前に、ブーン社長は電子機器からの撤退を発表した。
それはつまり、開発チームの死を意味していた。



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:13:48.21 ID:YSSae7lO0

    
ξ;⊿;)ξ「待ってください!お願いします!この製品を商品化させてください!
      間違いなくヒットしますから!」

(´・ω・`)「ツン……!」

プライドの高いツンが、涙を流しながら土下座をした。
悲鳴にも似た声だった。ショボンは、思わず胸が苦しくなった。

( ^ω^)「商品化って、それにいくらかかると思ってるんだお?
       もううちは火の車なんだお。これからはゲームだお!ゲーム業界に参入する事にしたお!」

ξ;⊿;)ξ「お願いします!お願いします!」

( ^ω^)「あー、うるさいお。僕は撤退の色々な後片付けで忙しいんだお。
       ご退出願うお」

ブーンがそう言うと、秘書のしぃがツンの腕を掴んだ。

(*゚ー゚)「では」

強制的に、部屋からつまみ出された。部屋から出されても、ツンは、土下座をやめなかった。
扉はもう、開く事は無かった。



78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:17:08.27 ID:YSSae7lO0

   
( ^ω^)「ふー、まったく金食い虫どもが」

(*゚ー゚)「彼らの今後の配属は、いかがいたしましょう」

( ^ω^)「使えない技術者に興味はないお。撤退の後片付けが終わったら、捨てるお」

(*゚ー゚)「かしこまりました」

( ^ω^)「それにしても、開発ってのは何とも気味の悪い連中だお。見たかお?あの顔。
       まるでゾンビみたいだったおwwwやっぱり女性はしぃのように美しくなきゃ生きてる価値がないお」

(*゚ー゚)「ええ……」

ブーンはしぃの腰を抱いた。
そして、窓の外へ視線を向け、息を吐いた。

( ^ω^)「親父のお荷物はさっさと切っておくべきだったお。
       これからは使えない人材はガンガン切っていくべきだお」



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:19:22.10 ID:YSSae7lO0



(´・ω・`)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ドクオの病室の前で、二人は立ちすくんでいた。
まだ、ドクオには撤退の知らせが届いていない。だが、いずれ新聞などで知るだろう。

それならば、今、教えた方がよいのではないだろうか?
しかし、それはあまりにも、残酷だった。

(´・ω・`)「……入ろうか」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ」

二回ほどノックし、中に入る。

('A`)「やあ、二人とも」

まるで別人のようにやせこけたドクオが、ベットに横たわっていた。



82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:24:52.87 ID:YSSae7lO0

 
(´・ω・`)「や、やあ」

ξ゚⊿゚)ξ「元気そうね」

('A`)「うん? どうした、何か落ち着きが無いな。
    試作品は、どうだった? 社長は気に入ってくれたかい?」

思わず、黙り込んでしまった。
しかし、黙ると言う事は、Noだと言っているのと同じだ。

(´・ω・`)「あ、ああ」

ξ゚⊿゚)ξ「!!」

ショボンは、思わず首を縦に振った。



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:27:13.34 ID:YSSae7lO0

  
('A`)「……そうか」

(´・ω・`)「僕らの頑張りが、ようやく形になるんだ。よかったな、ドクオ」

('A`)「ああ。技術者として、これほど嬉しい事はない。後は、消費者の皆に喜ばれればいいが……」

(´・ω・`)「きっと喜ばれるさ。うちの嫁なんて、もう買う気満々だよ。省エネで長期的に見れば安上がりだってね」

('A`)「はは、気が早いな。だが、そういう声が励みになるよ」

ショボンは、嬉しそうに話すドクオの顔を見て、思わず涙が出た。

(´・ω・`)「失礼、ちょっとお手洗いに言ってくるよ。腹を下してしまったww」

そう言って、ショボンは病室を出た。
便所の個室に駆け込む。

(´;ω;`)「ぐ、ぐうう……くそぉっ…・・・」

声を殺して、泣いた。
ドクオの夢を、自分が途絶えさせてしまった。自分の判断の遅れが、こんな事態を引き起こしてしまった。
ショボンは、ただただ自分を責めた。





87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:31:47.01 ID:YSSae7lO0

 
(´・ω・`)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

それから、解散を告げられた開発チームの面々は何もするべき事が無く、会社に来てもただただ所在無くしていた。
指示が何もないまま、何日も、何日も過ぎた。そして、

(´・ω・`)「解雇だそうだ……」

ξ゚⊿゚)ξ「そう……」

最後の通達は、解雇であった。
皆それぞれ、暗い表情で荷物を片付けていく。

完成した試作品は、ショボンが引き取る事となった。
商品化が幻となった今では、それはただむなしいだけであった。




89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:34:50.78 ID:YSSae7lO0

  
「それでは……」
「お世話になりました……」

若い連中は、最後にぽつりとそう言って去って行った。

(´・ω・`)「これから、皆どうするんだろうね」

ξ゚⊿゚)ξ「やっぱり、転職でしょうけど」

(´・ω・`)「僕くらいの年だと、もう無理かもなあ。子供もまだ中学に上がったばかりだって言うのに、どうしよう」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ツンは、かける言葉が見つからなかった。
開発チームは、その日を最後に解散。それぞれ、別の道へと歩んでいった。




91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:38:44.21 ID:YSSae7lO0

 
それから、数ヶ月の月日が流れた。
小さな工場で、二人の男が働いていた。

川 ゚ -゚)「失礼。ここに、ドクオとショボンという男がいると聞いたんだが」

「おーい、ドクオ。べっぴんさんがお前をお呼びだぞー」

('A`)「どちらさんでしょうか?」

ドクオは、退院後、小さな工場で働いていた。
モナーの知り合いがやっている、小さな製品工場だった。

川 ゚ -゚)「失礼、私はメガロニック・スナオクールのクーと言う者だが」

('A`)「メガロニック・スナオクールの……?」

ドクオは作業帽を脱ぎ、名刺を受け取る。



95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:43:01.94 ID:YSSae7lO0

  
(´・ω・`)「遅れました。私がショボンですが……こちらは?」

('A`)「メガロニック・スナオクールの社長さんだそうだが」

(;´・ω・`)「はあ、メガロニック・スナオクールのねえ……ええ!?」

思わず、ショボンが声をあげる。

('A`)「どんなご用件でしょうか?」

川 ゚ -゚)「お二方は、以前、ブーン電機株式会社で開発を担当していらしたと聞いたのですが」

('A`)「ええ。数ヶ月前までは、開発でした。しかし、今はもう」

ドクオの言葉に覆い被せるように、クーは言った。

川 ゚ -゚)「先日、ブーン電機株式会社を、我がメガロニック・スナオクールが買収したのですが、
     その際にほぼ開発が完成されていたデータがありまして」

('A`)「はあ……」



100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:47:13.29 ID:YSSae7lO0

   
川 ゚ -゚)「これを我がメガロニック・スナオクールの主力商品として、商品化したいと思い
     是非、あなた方前開発チームに我が会社にきてほしいと思いまして」

('A`)「それは……つまり」

(´・ω・`)「僕らを、技術者として雇ってくれると言う事ですか?」

川 ゚ -゚)「そういう事になります」

信じられない出来事が、起こった。
メガロニック・スナオクールによる買収。そして、もはや幻となっていた新製品の商品化。

('A`)「しかし、俺達はもう40過ぎですが……」

川 ゚ -゚)「構いませんよ。あと20年も退職まで残っているじゃないですか」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「我々の会社で、もう一度、夢を造ってみませんか?」

クーが、手を差し伸べる。



103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:51:42.97 ID:YSSae7lO0



メガロニック・スナオクールによる買収は、ものの見事なものであった。
経営者として、会社を傾かせてしまったブーンは、株主からの信用を失い株価は暴落。

川 ゚ -゚)「我が社が、貴社の株の半数を得ました。よって、経営権はこちらにあります」

( ^ω^)「な、何を言ってるお? 株の何パーセントかは、僕の親族が持ってるんだお」

川 ゚ -゚)ノ「簡単に売ってくださいましたが、何か?」

(;^ω^)「な、なに!? 親族が僕を裏切ったのかお!!役員は??あいつらの株はどうしたお!!」

川 ゚ -゚)「皆さん、快く売ってくださいました」

(;^ω^)「そんな、そんな馬鹿な……!」

川 ゚ -゚)「それでは、さようなら。これからもメガロニック・スナオクールをよろしく」

(*゚ー゚)「社長……!」

(;;;^ω^)「う、うおおああああああああああ!!!」



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 19:55:00.04 ID:YSSae7lO0

 
……



('A`)「わかりました」

ドクオは、その手を掴み握手を交わした。

川 ゚ -゚)「あなたは、どうしますか?」

(´・ω・`)「……私は、まだ夢を見ていいのでしょうか?
      現実に敗れ、朽ち果てた惨めな私が」

('A`)「敗れた? 何を言っているんだい、ショボン」

ドクオがにこやかに、笑った。

('∀`)「時間は掛かったが、夢はこうして、叶ったじゃないか。
    それに、夢を見るのに資格なんていらない」

(´・ω・`)「ドクオ……!」

ショボンは、少し考え、そして

決断をした。



122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/04(水) 20:02:41.59 ID:YSSae7lO0




メガロニック・スナオクールという会社がある。
電子機器を中心に、常に消費者のニーズにあった商品を発表してきたその会社は、日本を代表する大企業となった。

その会社を支えてきた、開発チーム。一度は挫折し、解散したはずのチームは、再び集結し素晴らしい商品を世に送り出した。
彼らの思想は次世代へと語り継がれ、経営史で取り上げられるほどであった。

そのチームの代表であるドクオ氏の放った言葉は、有名である。

('A`)「技術者は、常に夢を見ているんです。ただ、夢を実現するのは、本当に難しい。
    だけど、強く信頼しあえる仲間がいるから、俺は夢を実現できたんです。そして、諦めなかったから、夢は叶った。
    皆さんも、夢を見てください。その瞬間から、きっと夢が現実となる可能性が生まれるのです」


終わり


[ 2008/06/08 23:05 ] 短編一覧 | TB(0) | CM(1)

イイハナシダナー(うA;)
[ 2008/06/09 15:39 ] [ 編集 ]

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