ブーンミコ酢 ブーン系過去作まとめ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

( ∵)ビコーズの災難のようです 第一話

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:19:17.81 ID:LTJ3K280O

無口、鉄面皮、無愛想、不気味。

自分に対する評価は、いつもそんな単語ばかりだった気がする。

別に否定するつもりはない。
自分でも自分がそんな単語で表せてしまう人間だと見られていることは理解している。

ただ、弁解するならば、自分はあくまでも表面的に限り平らな人間だ。



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:22:41.48 ID:LTJ3K280O


確かに無口だし、独り言は他人より多いかもしれない。

でもちゃんと人並みの感情も思考回路も持ち合わせているつもりだし、決して冷血漢でもイカレた思考の持ち主でもないとも思う。



楽しいことは楽しいと感じるし、悲しいことは悲しいと感じる。

好きな事や物もあるし、嫌なことや物だってある。


ただ、自分のそういった感情や思考が、人よりも少し、いや圧倒的に、表に出にくいだけなのだ。




6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:26:52.59 ID:LTJ3K280O

実際、この性格というか性質というか、自分が持って生まれたこのある種の特技のせいで、
自分は他人から一マス分距離を置かれる存在になってしまった。

無口な人間が、話し掛けられなければさらに無口になることは当然で、
自分の特技はさらに研ぎ澄まされていき、
世界無表情選手権だとか、世界無愛想選手権だとかが開催されたならば、
間違いなく世界一に輝けるであろうほどにまで熟練してしまい、
より他人を寄せ付けないオーラまで身につけてしまった。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:30:09.31 ID:LTJ3K280O



流石に自分だってこの状況には危機感を抱く。

こんな自分だって人並みの生活を送りたい。


まして今の自分は、何を隠そう華の高校新入生なのだ。


友達を作り、思い出を作り、新しい自分を作りたかった。

その為の努力も、したつもりだった。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:36:12.52 ID:LTJ3K280O


……結果、どうなったか。

入学式を迎えた自分は、たまたま隣に座っていた自分と同じ新入生の女の子に、
実に一ヶ月の間練習し続けて来た笑顔で出身校を尋ね、




病院送りにした。




13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:39:54.07 ID:LTJ3K280O

何も気絶させるような行動をとった覚えはない。

その女子生徒は自分の笑顔を見るなり卒倒したのだ。

凹んだ。
やはり顔には出なかったが相当凹んだ。

自分がその相手に笑いかけた瞬間、歪んでいく相手の顔を自分は一生忘れないだろう。

泣けるのならば泣きたかった。

笑顔で人を気絶させるなど聞いたことがない。

ましてや初対面の相手をだ。


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:40:53.63 ID:LTJ3K280O


状況が状況な為に、出来事の詳細は瞬く間に知れ渡った。

華の高校生活初日のスタートは大失敗である。

極め付けに、広まる間に余計な情報が添付されてしまったらしい。

入学式の翌日から、
「初対面の相手を病院送りにした揚げ句平然としている鬼畜」などという、
不名誉極まりない第一印象を得てしまった。

結局誰も近寄ってこない始末である。



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:45:21.00 ID:LTJ3K280O


「作れたのは友達や思い出どころか自分の回りに聳える高い壁だ」などと、
上手いことを言っている場合ではない。
もはやどうすればいいのか自分には分からなかった。

言葉で弁解しようにも、今までに培った会話スキルなど皆無だ。
誰にどうやって話し掛け、どうやって弁解すれば良いのかさえ分からない。

やはり自分は無口で無表情で鉄面皮で無愛想で笑顔で人を気絶させることだけが取り柄の人間なのか。

彼女が現れたのは、そんな絶望に包まれていた次の日だった。




20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:46:42.08 ID:LTJ3K280O






( ∵)ビコーズの災難のようです






24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:49:39.34 ID:LTJ3K280O

------------------------------------------------

( ∵)「……」

今は入学式から二日目の朝である。

人の寄り付かない自分の机で、入学式から今までの忌々しい記憶を回想していた自分は、
始業を知らせるベルの音を聞いて我に帰った。




25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:51:09.06 ID:LTJ3K280O



ふと、教室の窓側最後尾にある自分の席から、右前に位置する唯一の空席を見る。

先日自分が病院送りにした同級生は、同じクラスだった。
が、彼女は入学式に来たっきり、一度も学校に来ていない。

( ∵)「……」

……このまま不登校になってしまいでもしたら、本当に心の底から笑えない。

鬱な気分に浸っていると、担任が教室に入ってきて、自分は他の生徒に合わせて起立した。



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:53:41.50 ID:LTJ3K280O

( ´∀`)「おはようモナー」

同時に礼。着席。
担任が出席簿を片手に出席を確認する。

( ´∀`)「えー……欠席は椎名さん一人……」

どうやらあの生徒は椎名さんと言うらしい。
セミロングの髪型がよく似合う可愛い子だった。



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:55:58.23 ID:LTJ3K280O


( ´∀`)「……」

( ∵)「……」


こっちを見るなよ。分かってるよ。

自分のせいだよ。重々痛いほど切実に感じてるよ。

早々に要チェック生徒リストに仲間入りですか。

こっちの言い分も聞いてくれ。


担任のチラ見攻撃に耐え抜き、朝のクラスルームを終えた自分は、
クラスルームが終わるなり席を発っていった自分の周りの席の人々に極力目を合わせないようにしつつ、
一時間目の準備をして静かにしていた。





32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 20:59:40.18 ID:LTJ3K280O


「……ねぇ……あの人でしょ……?」

かすかに聞こえる声に気付く。

悟られないようにその方向を見ると、
数人の生徒が廊下からこちらを見て何やら話していた。

どうやらわざわざこの自分を見にきたらしい。
ご苦労なことだ。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:01:07.03 ID:LTJ3K280O



「いきなりガンつけてくるんだろ……?」

何だ「ガンつけてくる」って。
あれか、今は笑顔を投げ掛ける行為をそう呼ぶのが流行ってるのか。

「自分の笑顔を鏡で見たことあるのかな……?」

自分で自分の笑顔を見たかって?
見たさ。
会心の出来だと我ながら思ってたんだ。
悪いか。何か文句でもあるのか。そっち見て笑うぞ。


「しぃちゃん今日も休み何でしょ……?
相当怖かったんだろうね……

しぃちゃん……もとい椎名様。
全力で誤解しておられます。
どうか一刻も早く御登校なされまして、ワタクシめに弁解の余地を頂きたく存じます。




35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:03:28.38 ID:LTJ3K280O

( ∵)「……」

苦痛にしかならない時間がしばし続く。

授業の開始を待ちわびていると、
突然、下腹部に違和感があった。

尿意だ。

( ∵)「……」

到底授業の間耐えられるレベルではなさそうなので、
トイレに行こうと席を立つ。

ガタガタガタヤベェニゲロガタガタキャーコワーイガタガタガタガタ

( ∵)「……」

……キレてないですよ。自分をキレさせたら大したモンですよ。

一斉にそれぞれのクラスに逃げかえる同級生達を見ながら、
自分は独り言で心の内にせり上がる感情を押し殺す。

自分がトイレに向かって帰る間、前方には誰もいなかった。


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:06:30.81 ID:LTJ3K280O

------------------------------------------------

時間は過ぎて昼食休み。

黒板に集中していられる授業の時間は、悲しいほど短く感じられた。

とりあえず先程のように好奇の目に曝されるのを避けるべく、
自分は持ってきた昼食を片手に、教室を後にした。

------------------------------------------------

自分は何をしているのだろうと、廊下を歩きながら思う。

本当ならまだ余り互いを知らないクラスメートと共に屋上にでも行って、
出身校とか他愛もない話で盛り上がっているはずなのに、

自分ときたら誰も来なさそうな場所を探し、一人淋しく飯を食べようとしている。

結局昼食を摂る場所に選んだのは、人気の皆無な体育館の裏だった。




39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:07:36.52 ID:LTJ3K280O

( ∵)「……」

……そろそろキツイ。

ひたすらに憤慨して気分を紛らわして来たが、
こうやって一人になるといかに空しいモノだったか思い知る。

結局今まで通りの評価を背負って生きて行かねばならないのだろうか。

無性に悲しくなったが、無表情な自分は涙を流さなかった。




41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:09:50.51 ID:LTJ3K280O

グルグルグルギュ~

( ∵)「……」

こんなときにも空腹はやってくるのだから困る。
体育館の縁に腰掛け、持っていた弁当箱の包みを解き、弁当を広げた。

何を隠そう、この弁当、自作である。
具はダシ巻き卵、鶏の唐揚げ、ほうれん草のお浸し、ミニトマト、デザートにウサギ林檎だ。

ただし、決してさりげなく女子生徒に見せて「スゴーイ」だの「ビコーズ君意外!」だの言われたかった訳じゃない。

朝早く起きて気合いを入れて作ったりなどしていない。

決して。

決して断じて命に賭けて違う。




44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:12:23.72 ID:LTJ3K280O

( ∵)「……」

結局は誰にも見られなかった弁当に箸を向け、先ずはダシ巻き卵を食べようとした矢先だった。

「うおおああああ!!」

絶叫と何かがゴロゴロと転がる音が聞こえる。どうやら頭上からだ。

ふと見上げた、瞬間。

从;゚∀从「あああああ!!!」

( ∵)「……」

体育館の屋根から人影が飛び出して来た。




51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:15:41.06 ID:LTJ3K280O

从;゚∀从「おぉぉおぉ!」

人影は荒川静香だろうが織田ナントカだろうが、
決して真似出来ないであろうほどの高速アクセルを行いながら落下してくる。

从;゚∀从「ぶべらッ!」

女子生徒は墜落した。


渾身の作であった、自前弁当の真上に。


56 名前:訂正:女子生徒は→女子生徒が:2008/05/18(日) 21:18:06.99 ID:LTJ3K280O

( ∵)「……」


何が起こったのだ。

体育館の屋根から錐揉み回転落下し、目の前に横たわるパンツ丸見えの女子生徒と、
その女子生徒に弾き飛ばされて、無残にも地面に落下し、中身をブチ撒けた弁当を見据え、自分は混乱の極みだった。



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:20:55.31 ID:LTJ3K280O


从#゚∀从「ぬあー!」

唐突に謎の女子生徒が跳ね起きた。
頭をブンブンと振り回し、唸る。

从 ゚∀从「畜生……まさか体育館の屋根で眠りこけて転がり落ちるとは……」

丁寧な説明を含んだ独り言を呟いて、女子生徒は立ち上がり、やっとパンツを隠したスカートをはたいた。

从 ゚∀从「……ん?」

こちら側に気付いたらしい。



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:24:15.14 ID:LTJ3K280O


从 ゚∀从「……アンタ……もしかしてさ……」

怪訝そうに女子生徒が呟く。

( ∵)「……」


ああ、見ました。スイマセン。

意図的ではないにしろやはり謝るべきだろうと思考する。

しかし。

そんな方向に考えが進んでいた自分にとって、
彼女の次の一言は想定外だった。


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:25:47.49 ID:LTJ3K280O



从 ゚∀从「笑顔で人を気絶させた男か?」

( ∵)「……」

そっちで来たか。

むしろパンツ見たかと聞いてほしかったぜ。

というか一体話はどこまで広がっているのだろうか。

誰からもそんな風に呼ばれる羽目になったりしたら、これから先生きていく気力が湧かない。

从 ゚∀从「だろ!?やっぱりそうだろ!!」

自分の無言を肯定と受け取ったらしく、女子高生は勝手にテンションを上げていく。

( ∵)「……」

从 ゚∀从「無口だなーおいwwww」

( ∵)「……」


……あー死にたい。


膝を叩きながらケラケラと笑う彼女を傍観しつつ、自分はふとそう思った。


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:28:42.00 ID:LTJ3K280O


从 ゚∀从「アヒャヒャ……ん……?」

ふと、笑い続ける女子生徒の視線が下を向いて固まった。

その先にあったのは無残な姿に成り果てた我が弁当だ。

自分の手から弾け飛んだ弁当箱から飛び出たおかずが、地面に点々と落ちている。

从 ゚∀从「……お前の?」

( ∵)「……」

女子生徒の問いに頷きで返す。

从 ゚∀从「……」

すると、女子生徒はしばし考えているかのように黙ると、

从 ゚∀从「……三秒ルールだッ!」

コンクリートの地面に落ちていたダシ巻き卵を手に取るなり、口の中に放り込んだ。



68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:32:08.61 ID:LTJ3K280O


( ∵)「……」

いきなり何をするのか。

当の昔に三秒ルールは適用外だというのに、一度は地面に落ちたそれを、躊躇なく食べたことを心の中で驚愕する自分を差し置いて、
女子生徒は口をモゴモゴと動かしている。

やがて巻き卵を飲み込んでしまった。

从 ゚∀从「……本当に無表情なのな」

不思議そうな顔をして、女子生徒は呟いた。

( ∵)「……」

从 ゚∀从「フツー驚くなり怒るなりするだろー」

( ∵)「……」


一応これでも驚きはしているのだが。

どうしたものかと思案した矢先だった。



70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:34:07.45 ID:LTJ3K280O


从 ゚∀从「てかさ、このダシ巻き卵めちゃめちゃ美味いな!」

女子生徒は感心したようにそう言って、地面に落ちるダシ巻き卵をもうひとつ持ち上げ、口に放り込んだ。

直に地面に落ちたのではなく、靴底の砂利払いに落ちたから、
そこまで汚くはなっていないだろうが、それでもその行動には驚かざるをえない。

从 ゚∀从「味付けがスゲー好みなんだけど!この唐揚げも貰っていい?」

二つ目の巻き卵も食べるや否や、今度は弁当箱に辛うじて残っていた唐揚げも自分の返答も待たずに食べてしまう。

自分は、何とも言えない気分で彼女が次々に弁当を平らげているのを眺める他無かった。


从 ゚∀从「ご飯無いの?ご飯!」

さらに主食を要求してきた。

从 ゚∀从「デザートまであんじゃん!」

そういって彼女は兎りんごにまで手を伸ばす。

……もう好きにすればいい。

数分後。
弁当箱は空になった。


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:36:45.13 ID:LTJ3K280O



从 ゚∀从「あー美味かった!」

女子生徒は腹をさすりつつ、足を放り出して長座座りに座りなおす。

( ∵)「……」

何なんだ、一体。

从 ゚∀从「わりぃね、昼食盗っちゃって」

明らかに悪く思っていない口調で、女子生徒は片手を面前で立てて謝った。

( ∵)「……」

从 ゚∀从「まだ無口クンか?」

女子生徒に覗き込むように顔を見られて、自分は顔を引く。

( ∵)「……喋るのは苦手だから」

辛うじて声を喉の奥から搾り出す。

なんとも情けない一言だ。



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:37:22.06 ID:LTJ3K280O


从 ゚∀从「あのさ!」

かと思えば、急にこちらを至近距離で見てくる。

自分は思わず身を反らした。

从 ゚∀从「この弁当、自作?」

( ∵)「……まぁ」

上手い返事が出来ない。

一度は開き直って諦めた、待ちに待ったシチュエーションだというのに。

从 ゚∀从「マジで!?」

女子生徒は驚きつつ再び腹をさすった。

从 ゚∀从「いや、スゲー美味かったぜ?」

正に、正に待ち侘びた瞬間だ。

( ∵)「……どうも」

しかし、口から出たのはありきたりな一言だった。



76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:41:03.02 ID:LTJ3K280O

从 ゚∀从「……」

( ∵)「……」

沈黙が場を包む。
仕方の無いことだ。

あらゆる問い掛けに、話を拡げ様のない返答をされては、どんなに巧みな話術を持つ人もやがては黙ってしまうに決まっている。

从 ゚∀从「あのさー」

女子生徒が適当に拾い上げた石ころをいじりながらさりげなく呟いた。

从 ゚∀从「コレ、一日に二つ作る……ってのは無理か?」




77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:42:00.46 ID:LTJ3K280O

……何だって?

女子生徒が口にした言葉に、思わず耳を疑う。

そのせいで形相が凄まじいことになったようで、女子生徒はたじろぐように弁解した。

从;゚∀从「い、いや、無理なら良いんだぜ?
都合の良すぎる話だとは分かってんだ。
ただ、余りに気に入ったから、また食べられたらいいなーとふと思っちまったんだよ。
気分悪くするなよ?」

慌ててそう言い繕うのを聞いて、
やはり先の言葉に聞き間違いは無かったと確信する。

今度こそ。チャンスを逃したりはしない。



80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:44:50.34 ID:LTJ3K280O


( ∵)「……いいよ」


……言った。言ってやった。


自分の決死の返答を聞いて、女子生徒の顔が一瞬驚きに染まり、そしてすぐに明るくなった。

从 ゚∀从「いいの?マジで!?
悪いけどお返しとか出来ないぞ!?」

別に見返りなど要求してはいない。
学校で誰かと繋がりを持てることが何よりの報酬だ。

女子生徒の問いに頷きで答えると、女子生徒は両手を天に突き上げて喜んだ。


从 ゚∀从「よっしゃー!
メシ代が浮くぜー!」

( ∵)「……」



82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 21:47:52.31 ID:LTJ3K280O


……文句はない。
ただ、デリカシーの無さは分かった。
まぁそんな感じのキャラクターだとは薄々分かっていたが。

从 ゚∀从「あ、まだ自己紹介してなかったか。
アタシはハインリッヒ。ハインでいいぞ」

女子生徒……ハインリッヒは、こちらに向けて手を差し出した。

( ∵)「……ビコーズ」

自分はその手を握る。

从 ゚∀从「よろしくビコーズ!」

握手した手をブンブンと振り回される。
何とも言えないタイプの人間だが、何はともあれ彼女が自分にとって、この学校で初めて知り合った人物になった瞬間だった。



( ∵)ビコーズの災難のようです       第一話 おしまい


[ 2008/06/03 23:55 ] 中篇一覧 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://boonroop.blog5.fc2.com/tb.php/105-406f88e3








上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。